ある日俺はまたブチ切れて
家出するとかいって30分くらい歩き続けた
後ろについてきてるのはなんとなくわかったけど
無視して歩いてた、でも我慢できなくなって
「なんでついてくんだよ」
って怒った
帰ろうって言われたけど
絶対朝になるまでにどっかで死ぬって
言い張ってた
今思えばアホだけど
虚弱体質マンだったから
すぐ酸欠になって息切れし始めてた

「しんどいんやろ、座ろ」って
公園を指さされた
ベンチのほうに行くか迷ってたら
秋がいつの間にか俺の手を引っ張ってった

座って息落ち着かせて、楽になってきた頃
秋は話し出した
「俺が家に帰りたくない理由なんだけどさ
俺の親、離婚してて今の父親は本当の父親じゃなくて、俺の本当の父親は」
そこで秋が1回区切るもんだから
俺がなんだよ?って聞き返したら
「自殺したんよね、母親は事故って誤魔化してくるんだけど、小さい時にその電話聞いちゃってさ、車で自分から崖に突っ込んだって」

俺はなんも言えなくてそのまま話を聞いてた
秋は話を続けた
「兄弟うち6人なんだけど、下3人が今の父さんの子供、俺含めて上3人は前の父さん、そんで今の父親の母親、つまりばあちゃんが俺ら上3人をよく思ってないんだ、いじめられてんの俺ら。そのうち金貯めて、妹だけ連れて家でようかなって考え中なんだけど」

俺は話を聞きながら考えてた
こいつだってしんどいんだ
秋だって色々あんのにも俺の前では
弱音も吐かず
俺がろくに会話もしないから
一生懸命話振ってくれて
馬鹿だなあ俺ばっかで
なんかしてやれんのかなあって思った