https://www.nhk.or.jp/bunken/summary/kotoba/term/067.html

「女王」の読み
2002.12.01

Q.「女王」を「ジョーオー」と読んだら、間違っていると指摘されました。

A.「ジョーオー」と言う人もいますが、放送では「ジョオー」と言うことになっています

解説
女は「ジョ」、王は「オー」としか読まないから「ジョオー」なのだ、と言ってしまえばそれまでなのですが、実は事態は少々複雑なのです。
日本語の二字漢語(漢字二字からなる音読みのことば)の中には、
それぞれの漢字どおりの読み方をしないものが例外的にいくつかあります。
夫+婦=夫婦(フーフ)
詩+歌=詩歌(シーカ)
女+房=女房(ニョーボー)
披+露=披露(ヒロー)
上の例は、それぞれの漢字をそのまま読んだとしたら「フフ、シカ、ニョボー、ヒロ」となるはずです。
しかし、元の漢字にはない長音(ー)が付け加えられており、放送でもそのように読むことになっています。
「女王」を「ジョーオー」と言うのも、これと同じことです。では、なぜ「フーフ」はよくて、「ジョーオー」はだめなのでしょうか。
「フーフ、シーカ、ニョーボー、ヒロー」などは、歴史的に見て少なくとも江戸時代より前からこのように読んできた、ということがわかっています。
それに対して「女王」を「ジョーオー」と読む人が出てきたのは、日本語の長い歴史の上で見れば比較的最近のことだと考えられます。
そのため、放送では伝統的な「ジョオー」を使うことにしているのです。
以上のことは「別の音を付け加えた」例です。
これとはちょうど逆に、「体育、体育館」の「イ」を1つ落として「タイク、タイクカン」と発音する人も多いでしょうが、
これも放送では「タイイク、タイイクカン」と言うことになっています。
(メディア研究部・放送用語 塩田雄大)