彼のペニス
は勃起する
徴候を見
せなかった。
それは今
のところ安寧
の泥の中に静
かに身を横た
えていた。
(略)天吾のペ
ニスは背中
を指でとんと
んとつつかれ、
泥の中での
穏やかな眠り
から目覚め
たようだった。
それはひと
つあくびをし、そ
ろそろと頭を
もたげ、徐
々に硬度
を増していった。
そしてやが
て、まるで
ヨッ
トが北西
の方向から吹
いてくる確か
な順風を受け
てキャンバ
スの帆を
張るように、
留保のない
完全な勃
起に至った。