妄想性障害は、1つまたは複数の誤った思い込みがあり、
それが少なくとも1カ月間持続するのが特徴です。
治療には医師と患者の良好な関係の構築が不可欠です。
一般に、妄想性障害は成人期中期から後期にかけて発症します。


妄想の内容は、後をつけられている、毒を盛られる、感染させられる、
遠くから誰かに愛されている、配偶者や恋人に裏切られるなど、
実生活でも起こりうるような状況に関するものがあります。
妄想と誤った思い込みとの違いは、妄想の場合は、
矛盾するどれほど明らかな証拠があっても信じ続けるという点にあります。

妄想性障害には、いくつかの種類が知られています。

【被愛型】
誰かが自分に心を寄せていると思い込みます。
電話や手紙、さらには監視やストーカー行為などによって妄想の対象者と接触を図ろうとする行動がよくみられます。
妄想に関連した行動が法に触れることもあります。

【誇大型】
自分には偉大な才能がある、あるいは重要な発見をしたなどと思い込みます。

【嫉妬型】
配偶者や恋人が浮気をしていると信じこみます。
この思い込みは、あいまいな証拠を踏まえた誤った推測に基づきます。
このような状況では、身体的な暴力に訴える危険性が大いにあります。

【被害型】
自分に対して陰謀が企てられている、見張られている、中傷されている、嫌がらせをされているなどと思い込みます。
裁判所など行政機関に訴えて、繰り返し正当性を主張しようとすることもあります。
まれに、想像上の迫害に対する報復として、暴力的な手段に訴えることもあります。

【身体型】
体に変形が起きている、体臭がするなどと思い込み、体の機能や特徴にとらわれます。
この種の妄想は、寄生虫感染症など想像上の病気という形を取る場合もあります。