*
非番のベン・クルーゾーの前をいい尻をした女が通る。
程よくしまっているがムチムチとした肉付きのいい尻。発達した内腿のラインが秘部の締りの良さを如実に語っている。
性犯罪を犯すほど前頭葉が衰えていないベンであったが、いい尻の魅力にはあらがなえない。
彼はふらふらと良い尻の後を追い、秋葉原駅前の某アニメショップへとやってきてしまった。
「ここです。この店でなら、千鳥かなめ抱き枕カバーが手に入るはずです」
いい尻に見とれて気づかなかったが、いい尻の隣にはどーでもいい男尻があった。
なんと尻女は、野暮ったい眼鏡マスクと連れ添って、某アニメショップにやってきたのである。
ベンは嫉妬した。彼は今まで自身の隠された趣味を、親兄弟にすら暴露できずにいた。
ましてや女になど――目の前の眼鏡マスクは、その点で一歩ベンより先んじた存在である。
「やっとここまできたか……カザマ、早くはいろう」
「はい!」
嫉妬に打ち震えるベンの前で、エロ尻女が眼鏡マスクの手を引く。
気のせいか眼鏡マスクの顔が紅潮しているように見える――それがベンの逆鱗に触れた。
「秋葉原は二次元との邂逅の場なのだ。三次元との一次的接触は新宿二丁目でやってくれないか」
某アニメショップの自動ドアをくぐる二人を睨み付け、ベンはそう呟いた。
*
サビーナは色とりどりの店内に、目が眩まん思いをした。
原色の髪色をした女の写真が壁に所狭しと貼り付けられている。棚にはフィギュアやプラモ、各種グッズが並び、人の眼を惹くように煌々と照らされていた。
秋葉原駅を降りた時以上の衝撃がサビーナを襲う。彼女はあまりの物量に生唾を飲み込んだ。
「すごい。全部アニメーションキャラクターなのか?日本中のキャラクターがいたりするのか?」
「ここに並んでいるのは全体のごく一部です。もし日本中のアニメ、漫画キャラのフィギュアを展示したらこの店どころか、ビッグサイトが何個あっても足りません。
――もしかしてレナードスキーさんは、その……所謂アニメオタクじゃないんですか?」
「実は、私はアニメをフルメタしか知らないんだ。オタクなのはレナ……私の上司だ。ここへも上司へのお土産を買うために来た」
サビーナのアニメ知識は、移動中に読んだフルメタ原作本(短編、サイドアームズ込み)とアニメ、同じく移動中にママゴトをして遊んでいた『ROBOT魂[SIDE AS] サベージ(サンドカラー) 』のみである。
サビーナは肩にかけたバックを顎で示した。
「実はこの中にサベージの人形が入っている」
「サベージが好きなんですか?」
「カエルみたいでかわいい。でも私はエリゴ……いや、なんでもない」
「?」
「おいカザマ!もしかして私に似ていると言っていたキャラはあれか?」
話をはぐらかすようにやや大きな声を上げたサビーナ。
彼女が指さした先にはサビーナと同様、カーキ色の半袖ジャケットを着た女のフィギュアがあった。
「あれはミ○サだよ。同じアニメだけど別のキャラ……あー、リ○・プレツェンスカのフィギュアはないですね」
「なぜだ?」
「それは人気無いか……いや、なんでもないです」
「?」
「あっ!レナードスキーさん!あのポスターにうつってる眼鏡の子がそうです!」
風間が指さした先には、進○の巨人のキャラ紹介ポスターが。
「これがリ○か。あまり似てないように思うが?――いや、プレツェンスカ?ポーランド系か?なら私もそうだ。日本人には白人は皆同じ顔に見えるのかもしれないな」
「あぁ……日本人は外国人を見る機会が少ないから。すいません、気に障りましたか?」
「いや別に。それに私もカザマのことを、フルメタの風間信二に似ていると思っていた」
「えー、酷いな……僕はあんなにむっつりスケベじゃありませんよ。温泉ものぞきませんし種も割れません」
「私の股間に顔を押しつけて鼻血を出していたじゃないか」
「鼻血はレナードスキーさんに殴られたからですよ」
二人はそんな会話をしながら店内を散策した。
目的の物『フルメタル・パニック! Blu-ray BOX All Stories 』はすぐに見つかった。
特設コーナーが設置されている。BDだけでなく原作や続編のアナザー、漫画、フィギュアなどが『ついで買い』を誘発するように陳列されていた。
コーナーの上部には大きなPOPで『10月26日コ○ブキヤ秋葉原館にて原作者の賀東○二さんとメカニックデザイナーの海老川○武さんのトークショー開催予定』と書かれている。
風間がそのPOPを見て眼を輝かせた。
「僕もこのトークショー、高校の友達と行く予定なんです――レナードスキーさんは……?」
「残念だが無理だ。26日まで日本にいられない、トークショーにはその友人と行くといい。その友人もフルメタが好きなのか?」
「フルメタが好きというよりASや武器が好きなんです。好きなだけじゃなくて実際の軍人なんじゃないかってくらい知識も凄くて……ちょうどフルメタの相良宗介みたいな感じです。
あ、そう言えば彼も、サベージは良いASだって言ってました。丈夫で無理がきく、最後の最後まで搭乗者を見捨てない、プロの道具だって」
「そうか。良い趣味をした友人だ」
サビーナがすぐに日本をたってしまうことを知って、風間は大きく気を落とした。
しかし旅行者のサビーナの前で陰鬱な顔をすることはできない。
「カザマ!べリアルの人形があるぞ。これも買う!」
ややテンションが上がったサビーナが風間が持つ買い物籠に商品を突っ込む。
風間は下がりかけたテンションを無理に引っ張り上げて「べリアルですか!チートですけどデザインカッコいいですよね!弓矢とか!一人だけ飛んじゃうとことか!」と言った。
「カザマも良い趣味をしている――まぁ私は、パイロットのレナード様がその……す、好き、なんだが」
キャラ萌えオタ女乙!――風間は内心そう思った。
*
殺意に目覚めたベン・クルーゾーの前で眼鏡マスクと尻女が和気藹々と買い物デートをしている。
フルメタBDを手に入れた二人はその後も店内を散策していた。
尻女が「あれが噂のエヴァンゲリ○ンという奴か?」と言って眼鏡マスクの手を引いた――楽しそうにオタク趣味に興じる二人を見てベンは激しく嫉妬した。
二人で一つの本を手に取って、二人で同時に覗き見る。
コスプレグッズをお互いにつけ合いだした時など、ベンは嫉妬、怒りで買い物籠の取っ手を握りつぶしてしまった。
「これはなんだ?」
「ヘッドセットですよ、頭につけるんです。ほらア○カ――赤い子も頭につけてるでしょ?」
尻女は手に持った猫耳のようなものを頭に乗せた。
「こうか?隣の青い髪、青い子はやはりいらない子なのか?」
「いえ、寧ろ赤より青の方が人気があります。この作品ではピンクの子がいらない子です。缶コーヒーのオマケに三人のフィギュアがついたときなんか、ピンクばかり大量にあまったり……あ、ヘッドセットずれてますよ」
「ぅん……」
ヘッドセットの位置を直すために眼鏡マスクの手が尻女の髪に触れる。
尻女は何か眠たげな息を吐いて、眼鏡マスクの手を受け入れた。その光景を見てベンは発狂しそうになった。
――ヤメロ!アニメショップ、しかもアキバでそんな雰囲気を醸し出すんじゃない!せめて日本橋のラブホまで我慢するんだ――聖地アキバを穢す不届きものに天罰を!我は大義を得たり!――
ベンはいてもたってもいられず、M9以上の静粛性を発揮しイチャツク二人に接近した。
横を通り過ぎる瞬間、自身の買い物籠から『とある商品』を抜き取り、眼鏡マスクが持つ買い物籠にそれを差し入れる。
*
会計時、レジスタッフが言う。
「お客様……アダルトコーナーの商品はそれ専用の窓口がございますので、そちらで会計していただけますでしょうか?」
TENG○だ。
買い物籠にはなぜかT○NGAが入っていた。
「?……なんだそれは?」
サビーナが籠を覗き込んで言った。
風間は心底狼狽した。
*
「カザマ、買ってきた」
狼狽する風間を横目で見たサビーナは、○ENGAを籠からひったくると「アダルトコーナーの窓口はどこだ?」と言った――できる女サビーナは、高校生の風間ではアダルトグッズを買えないと瞬時に察した。
「あちらです」店員の案内のまま『R-18』の暖簾をくぐるサビーナ。風間は呆気にとられてそれを見送る。間をおいて店員が咳払いをする。
風間は慌ててTE○GA以外の会計を終えると、足早に外へ出た。程なくしてサビーナも店の外へと出てくる。
彼女はグレーの不透明な袋を差し出しつつ、言う。
「なぜ中で待っていなかった?少し探した」
「いや、その……ごめんなさい」
風間は、羞恥とも罪悪感とも言えない妙な感情から首を垂れ、頭を上げられなくなってしまう。
――ど、どうしよう僕、女の人にオナホを買ってもらっちゃったよ……嫌われたかもしれない、いや、かもしれないじゃなくて絶対軽蔑される!っていうかなんでT○NGAが入ってんの?――
いつまでも視線を合わさず袋を受け取らない風間にサビーナは焦れた。彼女は袋の中身。TEN○Aを取り出すとそれをマジマジと見つめた。
「まぁいぃ……それでカザマ、これは結局なんだ?成人にしか販売できないということは危険物か?ガス、酸……もしかして爆弾?……テロでもする気か?」
「え?」
ポーランドのゴミ溜めウッチ出身で元殺し屋の傭兵サビーナにとって疑似マンコなど想像の外のものであった。
疑似マンコ?人類の半分は生マンコだろうが!滾れば犯せばよし!の世界の住人である――そして風間は、サビーナの勘違いに乗っかった。
「――そ、そうなんです!実は僕はテロリストで、たるみ切ったこの社会に、一発かましてやろうと思ってたとこなんですよ!はははっ!」
*
「なるほど。なぜアダルトコーナー――危険物販売コーナーに裸の女のポスターやビデオがあるのかと思ったが、あれは女奴隷のカタログなのか」
「はい。体裁上奴隷の売買は禁止されてるんだけど、日本ではまだあんな風に……」
「あるけどないことになっている――ニンジャみたいなものか。もしやカザマも?」
「え?……えーと」
「いや、いい。皆まで言うな。バレたらまずいのだろう?ニンジャは絶滅したことになっているからな」
某アニメショップから出たサビーナと風間は、最寄りのカラオケに来ていた。
これからテロについて話をする。他人に話を聞かれない場所はないか?というサビーナからの問いに、風間は「カラオケなら」と応えた。
現在カラオケボックスのテーブルの上には本日の戦利品――アニメグッズ&TENG○が並べられている。二人は同じソファーに隣り合って座っていた。
「この赤いの……TE○GAというのか?これもニンジャが使う特殊道具の一種か?」
サビーナは目の前の○ENGAを手に取ると、それをマジマジと見つめた。
頭の丸い部分を撫でたり挿入口を人差し指でなぞる彼女を見て、風間は股間がぞわぞわしてしまった。
「あまりそんな風に触らない方が」
「危険なのか?もしかして爆発物か?」
「いえ、むしろ爆発しそうなナニを鎮めるものだけど」
「?――小型の消火器か?ここから白い煙が」
「むしろ白い液を出――レナードスキーさん、そのシールとっちゃダメ!」
「……ぅわぁあ……ぬるぬるする……私も兵器には詳しいつもりだが見たことがない消火剤だ。帰ったらレナ……上司に聞こう」
「絶対聞かないでください」
サビーナはTEN○Aの挿入口に人差し指を突っ込んでグッポグッポと鳴らした。
どこに出しても恥ずかしい変態である風間は、ペニパンをつけたサビーナにアナルを犯される自分の姿を想像し、ますます股間を硬くした。
そんな風間を見てサビーナはあることを提案をする。
*
「するか?」
「え?」
「sex」
サビーナはネイティブ発音でそう言った。風間は思わず「え?」と聞き返した。
「日本語ではなんと言うんだ?私の女性器にカザマの男性器を入れて精子を出すことだ」
「え?」
「男は皆好きだと思うのだが……私がズボンを脱ぐ。そこに腰を叩きつけ快感を得る行為。sexでは伝わらないのか?」
「え?え?」
「カザマには借りができた。良ければ体で返そう……それとも私の体ではイヤか?これでも鍛えているつもりだ。締りがいいと言われたこともある。優しくしてくれるなら、使わせてやるぞ?」
サビーナが上着を脱ぎ、ワイシャツの胸元を肌蹴る。
彼女の甘い体臭が風間の鼻腔にすっと滑り込んだ。
*
どうもカザマはこれからあの奴隷市場にテロ攻撃をしかけるらしい――しかし彼は冷静さを欠いている。勢いも結構だが、そわそわして落ち着きがない。これでは成功しよう筈がない――
股間に手を添えて腰をそわそわさせる風間を見て、サビーナはそう結論付けた。
サビーナは小規模ながら自身の部隊を持っている。
臆病風に吹かれた部下に「ヤれ!成功したら一晩中私をヤらせてやる!」と叫んだこともある。
瀕死の重傷を負った部下に「もし生きて帰ったら私が体で傷を癒してやる」と言って「死ぬ前に隊長と、一発ヤりたかったです」と言った部下を看取ったこともあった。
そして任務前にいきり立つスナイパーに
「あまり興奮するな。そんなに玉を重くしていたら弾も遠くへ飛ばないだろう?手でいいか?軽くしてやる」
と言ったこともあった――現状はそれに似ている。
「あぁ!レナードスキーさんすごくスケベな匂いします!それにスレンダーかと思ったら以外とムチム――ムキムキじゃないですか!!
なんすかこれ!尻とか太ももムチムキじゃないすか!ミカ○リスペクトですか!!腹筋うっすらわれてんすか!?三角締めしてもらっていいですかきょええええええええ!!!!」
そしてこれである。
おもむろに胸元、乳の谷間を露出したサビーナを見て、風間の理性は一瞬でブラックアウトしてしまった。
震える手で無抵抗のサビーナをひん剥く。
童貞の風間に淑女をスムーズにクロスアウトさせることなど出来るはずがなく、それとなくサビーナが自分で脱いだのだが、彼に気づいた様子はない。
興奮のあまりヘッドバンキングを始めた風間を他所に、サビーナはワイシャツのボタンをヘソのあたりまで外した。
シャツの裾をスカートに入れたままで、袖から腕を引き抜く。
しっとりと汗で湿った脇と、上品な水色のブラが露わになる。
目を焼くような肌色に風間の人間性が焼き切れた。
「わきわきわきわきわきわき」
「落ち着け。マスクをしたままでは苦しいだろう?とれ。キスするか?」
おもむろに伸びたサビーナの手が風間のマスクを剥ぐ。
「す、する!ちゅーする!」
「ほら」
鼻息を荒げる風間の唇をサビーナが自身のそれで奪った。
震え強張った風間の唇を溶かし落とすようにサビーナの唇、舌が這いずる。
キス童貞の風間にキスの作法を教育するようなねっとりとした口づけに誘われるように、風間の唇、舌が次第に大胆に動き出した。
サビーナの薄い唇を風間のそれが食む。欲望に身を任せた風間を受け入れるように、サビーナは全身から力を抜いた。
「優しくしろ、服が破れたら困る。私は逃げたりしない。落ち着け」
「ぅ、うん、わき、わき舐めていいですかどうぞ!!?」
「構わないから落ち着け」
「うひょおおおおおおおおおおおお!!!」
「落ち着け」
そして風間の全身ペッティングが始まった。
腰にずり下がったワイシャツとスカートだけを身に着けたサビーナ。
彼女は風間が人の形をした獣になっている間に靴、靴下、そしてブラジャーにパンティをそれとなく脱いでしまっていたのだ。
マンコこそスカートで隠れているがいつのまにかプリンプリン乳房がたゆんたゆんしていた。
野暮ったい眼鏡の下に隠された体は必要以上の健康体である。腹筋背筋、胸筋、肩まわりを鍛えぬいたサビーナの乳房はツンと上を向いて、まさに芸術と言わんばかりだった。
肌も艶々でハリがある。血行の良いサビーナは生理不順にも便秘にもなったことはなかった。吹き出物などない、あるはずない。綺麗。エロい。メスい。
脇を舐めつつ呆然と乳房、その先端の桃色乳首を眺める風間。しかし彼は不意にキレだす。
「なに勝手に脱いじぇるんげすかペロペロペロペロ!そこは僕が脱ぎゃすときょでじょペロペロペロペロ!!」
「脇を舐めながらでは何を言っているのかわからん。落ち着け、とりあえずパンツでも被るか?」
「はい!!被りましゅぅうううペロペロペロペロ!!」
サビーナは風間の頭に脱ぎたて水色のパンティを被せた。
それと同時に彼の右腕が片乳を揉みし抱く。左手が尻に伸びてスカートの下の桃尻をこねくり回す。風間は横抱きにした彼女の体を全身を使って味わおうと試みた。
「脇以外も舐めてかまわない。こっちも舐めるか?あと、優しくしろと言ったろう?」
乳房を鷲掴んだ風間の指を一本一本丁寧にはがすと、サビーナはその手を自身の下半身へと誘った。
股を蟹のように開いてスカートを大胆に捲り返す。ソファーに横倒しになったままでM字開脚をし、風間の視線をそちらに誘導した。
サビーナは「ほら、触れ」風間の右手首を持ってパンパンと自身の陰部に彼の手を叩きつけた。
あんまりなサビーナの作法に、流石の風間も脇を舐めながら素になった。
「レナードスキーさんは女性なんですから、もう少し恥じらいというかなんというかペロペロペロペロ……」
「なんだ、舐めないのか?」
「いえ、舐めます。超舐めます。ついでに『童貞のくせにバカにしやがってよぉぉぉ!!何がクニだよ クンニしろオラァァァ!!!』って言ってもらっていいですか?」
「童貞のくせにバカにしやがってよぉぉぉ!!何がクニだよ クンニしろオラァァァ!!!」
「ありがとうございます!!ありがとうございましゅうううううペロペロペロペロ!!!」
風間は素早く体を入れ替えるとサビーナの股間に顔を埋め、ムッチムキのマンコを舐めたくった。所謂『69(シックスティナイン)』の体勢だ。
彼女の陰毛は薄くて細い。マン臭も薄い。味も薄いが肉厚でぶりんぶりん、強いて名づけるなら『小悪魔系わがままマンコ』という感じであった。流石は100人切りのレナードの専属肉便器である。
マンコをしゃぶりつつ両手で尻肉を揉む。両桃が左右に押し広げられてアナルが拡張させられる。押し広げられたアナルに愛液と唾液の混合液が滴り、生ぬるい感触に肛門がきゅっと閉じた。
風間はクンニしながら叫んだ。
「おいじいでじゅ!!れなーじょじゅきぃさんのマンコおぎじぃでちゅううううジュパペロペロンチョジョベリンチョ!!!」
「んぁあ……なかなかいいぞカザマ……特別に、ぅん、私のフルネームを呼ぶことをゆ、許そう」
「サビーにゃ・れぬぁーじょスキーじゃんんんん!!!!」
「んん!……実は正しい発音は『レナー・ドガス・キーナ』なのだ。あとここは日本なのだからファミリーネームを前にしろ」
「レナードが好きーなサビーナしゃん!!!まんこおいじぃいいいでしゅううううう!!!」
「いいぞカザマ!もっと舐めろ、そしてもっと私の名前を呼べ!!」
レナードが好きなサビーナのテンションは、風間につられて有頂天であった。
熱を上げたサビーナの目の前で風間の下半身が揺れる。彼女は衝動的に手を伸ばすと、あっという間にズボンをトランクスごと剥ぎ取り、勃起ちんぽを握りしめた。
「びゃぁあん!!」
「!?……カザマ?」
握られただけで雄叫びを上げる風間。
雄叫びに怯んだサビーナの手に力がこもる。思わず仮性包茎の皮をズリ剥く。
ピュア亀頭が外気に触れて先端が寒い。
一握りされただけで玉袋から精液が急速に昇り詰める。
真っ赤な亀頭がさらに赤くなる。
サビーナは暴発寸前の包茎チンコを、大胆にもその小さな顔、小さな口で頬張った。風間は叫ぶ。
「びゃあん!!びゃあああぁあんんんん!!!!」
「ぎにゃぁっ!」
風間は射精した。まさに一瞬の出来事だった。
変態高校生風間の濃厚な雄汁がサビーナの喉を穿つ。あまりの早漏っぷりにサビーナはビビった、だがチンコは離しはしない。
彼女は花の蜜を吸うように唇をすぼめて、風間の精子を限界まで搾り取った。上唇でちんこの裏筋をなぞる。
口内に唾液をためて、頬の裏側でちんこの垢すりをするように、ひたすら愛撫し続けた。
レナードの朝勃ち処理に365日お口のご奉仕活動をしているサビーナにとって、本能まかせの童貞ツチノコを抑えることは甚だ容易いことであった。。
鼻息荒く風間は言う。
「はぁはぁ……レナードガスキーナサビーナさん……ごめんなさい。でちゃった――ティッシュ使います……?」
「いや、全部飲んだので、いらない――それはそうと少し溜めすぎではないか?多いし早い」
「そ、それはその、レナードガスキーナサビーナさんが凄いスケベな体してるから……脇とかお尻とか太ももとかおっぱいとか体臭とか」
「……自分としてはそうでもないと思うんだが」
「いやいやいやいや僕あれですよ?こう言ってはなんですがサビーナさんのお尻の穴舐めたいですよ?枕買い替えるんだったらサビーナさんのお尻の形、触感に近いものに買い替えてうつ伏せで寝ますよ?
サビーナさんが用をたした後の洋式便座の温もりで心温まりますよ?サビーナさんの脇で握ったオギニリはもとよりお尻の谷間で握ったオギニリ食べたいですよ?」
自身のこだわりについては断固曲げない男風間信二。オタク特有のテンションで捲し立てる。
あまりの勢いにサビーナは、下の名前で呼ばれたことをスルーせざる負えなかった。「オニギリとはあれか?日本人のソウルフード、ライスボールのことか?」とりあえず彼女は、どうでもいい話題で話の腰を折る。
「そうです。良ければ今度ご馳走しましょうか?」
「機会があれば。ただし尻では握るな、普通に手で握ってくれ――それよりカザマ、まだいけるだろう?」
「はい?」
「お前は満足したかもしれないが、私はまだなんだ」
舌戦での不利を覆すべくサビーナは風間に覆いかぶさった。
有り余る肉の力。女性にしては大柄なサビーナ(168cm、58kg、B87・W62・H89※目算)は圧倒的な肉の力で小柄な風間を押さえつける。
「ちょ、ちょっと」風間の制止も聞き入れず彼女は、瞬く間に射精したばかりのチンコを自身の下の口で包み込んだ。
亀頭にへばりついたザーメンをローション代わりに、風間の小人が進撃する。
「びゃあん!!びゃあああぁあんんんん!!!!」
「まだ、まだだ。射精すなよ?少しは耐え……おい。早い」
そして射精。腰を振る間もなく射精。サビーナの窮屈な膣、その襞の隙間に風間の精液が染み込む。
どこに出しても恥ずかしくない変態童貞風間信二にとって、老若男女あらゆる穴を堪能した性人レナードにして
『彼女の穴の世話になったら、他の穴じゃイけなくなるよ』
と言わしめた極上の精液搾り機サビーナ・レフニオのマンコは刺激が強すぎた。まさに歯車的砂嵐の小宇宙である。
めったに表情を崩さないサビーナだがこの早漏っぷりには流石にジト目――彼女は二発目なのにまだ濃厚な精液を膣奥で受けながら、騎乗位、股下の風間を睨めつけた。
「ひぃあ、はぁ……はぁ…あ、その見下した目、最高でしゅ」
「そうか。まだいけるな?」
「ど、どうでじょぅ……?」
「まぁ貴様が何と言おうと、無理やりイかせるんだが」
「びゃあん!!びゃあああぁあんんんん!!!!」
ブビッブビッとチナラが漏れる勢いでサビーナは腰を振った。風間はカラオケボックスから声が漏れる勢いで喘いだ。
度重なる射精にも風間の信二は硬度を失わなかった。サビーナはもはや射精を促すためではなく自身が気持ちよくなるため、言うなれば『角オナ』をするような心境でジャグジャグと体を揺する。
風間の熱に充てられてサビーナも彼の脇を舐めた、全身のペッティングをした。
風間のリクエストを受けて尻の穴を舐めさせた、小指の第一関節まで肛門に挿入させてやった、物理的に尻に敷いてやった。精液で精液を洗い流すほど膣出しさせてやった
――二人の痴態、痴情、性交はカラオケボックスの呼び電話が鳴るまで続き、風間は12回、サビーナは結局1回も絶頂に達せず終了となった。
精根尽き果てた風間は立つことができなかった、しかしチンコはサビーナが隣にいるだけで条件反射で勃ってしまっていた。
「しかたのない奴だ」
サビーナは今日一番の優しげな顔をすると、風間の全身をお手拭で拭いて、服を着せてやった。マスクはセックス中に汚れたのでゴミ箱に捨てた。
伊達にムチムキしていない彼女は、簡単に風間を背負う。
背中に勃起したチンコを感じつつ彼女はカラオケボックスを後にした。
*
復讐を果たしたベン・クルーゾーがたまたま目にしたのは、ボコボコに顔を腫らした(元)眼鏡マスクと、それを背負うエロ尻女であった。
酷い顔だ。あれは平手で叩かれたなどという生易しいものではない、グーパンだ。確実に右ストレートを打ち抜かれている、下手をすれば奥歯がいっているかもしれない
――遠目に二人を見ながらベンはグッと右手を握った。ガッツポーズである。
「聖地に女を連れ込むからそういうことになるのだ。これにこりたら二度と、この地で女とイチャつかぬことだな」
ベンは誰にも聞こえぬような声でそう呟いた。踵を返す。
遠ざかる二組――去りゆくベンを意識しないままサビーナは、背中に背負う風間にだけ聞こえるような声で、甘い息を吐いた。
「カザマ、結局私は気持ちよくなれなかった。私は中途半端が嫌いだ。カザマが私をイかせるまで、日本から離れん。レナ……上司に怒られたら貴様のせいだ。いいな、カザマ?」
「ひ、はぃい……がんばります」
その後二人は日本橋のラブホへと赴いた。
結局風間はサビーナを満足させ、日本から無事送り出すことができたのか?それは二人だけの秘密である。
*
因みに2013年10月26日にコ○ブキヤ秋葉原館にて開催された『フル○タルパニック!原作者の賀東○二さんとメカニックデザイナーの海老川○武さんのトークショー』の観覧席に男子高校生が二人、そして場違いなメガネ白人美少女がいたという話だが、真実は定かではない。
「カザマ、あれがガトー先生か!?サイン貰えるか?『サビちゃんへ』って書いてほしい……来て良かった――今日まで日本にいたのもカザマがテク無しだからだと思うと、それもよかったかもしれ――」
「ちょ、サビーナさんこんなとこでなに言ってるんですか!?やめてください!!」
「風間、テク無しとはなんだ?」
「相良君はだまっててよ!!」
真実は定かではない。
くぅ疲。お目汚し申し訳ない。
最初に書き忘れたけど、時系列は物語中のTSRの直後くらいです。
本当は現実のトークショー(10/26)までにあげたかったんだが、間に合わんかった模様
あと当スレの>>65を次のレスに差し替えたく思います
2年ぶりに読み返したところ、このままでは最後の部分との整合性がとれないので
気になって気になって… >>65
テッサの話をして唇をヒラヒラと動かすたびに、その花弁はどんな蜜を孕んでいるのかと考えることがある。ロニーは蚊の鳴くような声で「ちゅーしたい」と言った。
*
895 名前:囁かれし者:2011/10/03(月) 02:35:19 ID:E3hFVMt9
鉄橋を列車が通過する。轟音が橋桁の下に響き、それに合わせるようにテッサは大声で喘いだ。身を捩って乳を振り乱す。腰振りに合わせて乳首がぷるぷる揺れた。
ソーイチは周囲の轟音に掻き消されないように、大声でテッサに問いかける。
「テッサ!俺のペニスとバイブ、どっちがいいか言ってみろ!!この二本挿しで喘ぎ狂う淫乱な雌豚が!!」
「どょ、どっぢもいいです!どっちも好きなんです!!サガラさーん……ひぃあぅ!もっちょ、もっちょ突いてくださいぃいいい!!!」
ソーイチはテッサをバックで犯しつつ、彼女のアナルに深々と挿入されたバイブの根本を逆手で握った。ナイフで傷口を抉るようにバイブを捻る。「はひゃぃい!」テッサは高い声で鳴いた。
「どっちも好きだと!なるほど、貴様は救いようのないカスだ!!神と両親に懺悔しろ!
私はあなたからいただいた体をチンカス掃除に使っています!口はフェラで乳はパイズリ専用です!ザーメンまみれになるために今まで育ってきました!!マンコの襞でチンカスをこそぎ落して小便を漏らす下等な生き物です、と懺悔しろ!!」
「は、はいぃ!テッサはちんかすでしゅううううううううう!!」 乙!相変わらずのサビーナ好きっぷりで安心したww
でもいらない子なんていませんよ
それにしても一体何処の世界線に行けば
千鳥かなめの抱き枕カバーが手に入るんだ
乙
またえらい変化球カップリングだなw
サビーナちゃんが可愛いのでオールOKですがprpr
保守ついでに
フルメタゼロ最近読んだけど良かった
また違った宗かなが読めそうで楽しみっすわ
ゼロの新刊まだだねー
甘アニにモブでいいから千鳥やら出てこないかな
設定的にはご近所だしw
保守ついでに書きこみ
先日ファンタジア騎士団キャンペーンの色紙が届いたけど描き下ろしのかなめがかわいかった
なんかまた新しい企画やってるんだな
富士見にはフルメタぐらいしか弾がないのかと心配になるけど、
おかげで完結した現在でも新規イラストが見られるのは嬉しい
最近のかなめイラストはエロくて良い!
色紙うらやま
最近のかなめはほんとエロいね〜
軍曹はなんか顔変わった感ある
TRPG本の中って書き下ろしたくさんあるのかな
宗介は最中にエッチの実況しそうな気が。
「君の女性器が濡れてきた」
「そろそろ射精する」
とかイチイチ言いそう。
>>286
たしかに無自覚な言葉責めをしそうではある
かなめが恥ずかしがっていちいち言わないでよっ!とかキレながらも
しっかり反応は良くなるもんだからさらに調子乗ったり……
妙な方面で学習能力高いから最初はかなめとどっこいどっこいの知識しかなくても
そのうちすぐ追い越しそうだ。後、絶対アルに入れ知恵されてる 一挙放送で久々に一期見た
かなめもテッサもいい女だな
TRPGのサンプルキャラ、謎の転校生はなかなかヒロイン力が高いね。おっぱい的な意味で。
ちょっとしたセリフぐらいしかキャラ付けされてないのが、仕方ないとは言え惜しい。
アンダカヴァの子ならともかくただのサンプルキャラだからなぁ
個人的には謎の転校生は同じサンプルキャラの
ぽややんウィスパードの子と組み合わせたい
初夜。
かなめ「は、はじめてなんだから、やさしくしなさいよね……////」
宗介「心配することはない。俺はセックスの経験がある。スペシャリストではないが、アマチュアでもないぞ」
かなめ「!! あんたシタことあるの!? 誰とヤッたのよ!」
宗介「ミスリル以前の仲間とだ。だいぶ欲求不満だったようで、向こうから迫られた。任務に支障をきたすかもしれないので、仕方なくな」
かなめ(そ、そんな、宗介が……仕方なくとか言ってるけど……肉体だけの関係? でも経験済みならリードしてくれるかな)ブツブツ
宗介(隊の性欲処理時に俺は『女役』をしていたから、女性の扱い方は知っている。だから心配はいらないぞ、千鳥)
ソースケって童貞だけど非処女っぽいんだよなあ……
NOTのマオとメリッサ想像してみようとするんだけど、クルツの赤パン
思い出しちゃって、つい笑ってしまう
自分で書いておいてなんだけど、マオとメリッサってなんなんだよw
マオとクルツな
全年齢のアナザースレにレスするとなんか生々しいのでこっちに書いとく
下がってろ!蛆虫ども!
クルツの精液がシーツのシミになり、マオの割れ目に残ったカスがクララだ!
ヤバイ。メリッサヤバイ。まじでヤバイよ、マジヤバイ。
メリッサヤバイ。
まずエロい。もうエロいなんてもんじゃない。超エロい。
エロいとかっても
「すっぴんガールズ48人ぶんくらい?」
とか、もう、そういうレベルじゃない。
何しろいきなりキス。スゲェ!なんか告白とか無いの。遊びとか本気とかを超越してる。いきなりキスだし超エロい。
しかも滅入ってるらしい。ヤバイよ、滅入ってんだよ。
だって普通はSRTとか滅入らないないじゃん。だってマオ姐さんの顔がだんだん曇ってったら困るじゃん?手酌でとかこっそり泣いてるとか困るっしょ。
夜這いかけて、いつものときは余裕の笑顔で蹴り飛ばされてたのに、最近は部屋で相談聞いてくれるとか泣くっしょ。
だからクルーゾーとか滅入らない。話のわかるヤツだ。
けどメリッサはヤバイ。そんなの気にしない。滅入りまくり。最も遠くから到達する希望とか口説いたりしてもよくわかんないくらい暗い。ヤバすぎ。
キスっていたけど、もしかしたら欧米式の挨拶かもしんない。でも欧米式の挨拶って事にすると
「じゃあ、メリッサとの昨晩の出来事ってナニよ?」
って事になるし、それは俺もわからない。ヤバイ。この俺にも分からないなんて凄すぎる。
あと超感じる。超熱い。摂氏で言うと273℃。ヤバイ。感じすぎ。俺のバナナで穴穿つ暇もなくエクスタシィ。怖い。ハマりそう。
それに超黒髪。超年上。それに超かわいい。桜色のボインの乳首とか綺麗な声の喘ぎ声とか平気で出てくる。桜色の乳首て。アニメでもありえねぇよ、最近。
なんつってもメリッサは馬力が凄い。合計5回、いきなりキスとか平気だし。
うちらなんていきなりキスとか、たかだかナンパしてみただけで上手く扱えないから欧米式の挨拶ってことにしたり、プレゼント置いて逃げてみたり、駆け引き使ったりするのに、メリッサは全然平気。いきなりキスをいきなりキスのまま扱ってる。凄い。ヤバイ。
とにかく貴様ら、メリッサのエロヤバさをもっと知るべきだと思います。
そんなヤバイメリッサに発射しちゃった俺クルツとか超エロい。もっとがんばれ!超がんばれ!
エロ無し。無駄に長い。温泉回の裏事情
メリッサ姐さんと宗介とクルツと一応ヤン
おねえさんの来日(準備編) 9月19日 22:30(JST) 東京
(眠い)衛星無線で何やらマデューカス中佐と『やってみたいことがあるんですけど』などとニヤニヤ話していたマオ曹長が立ち上がった。
「ソースケ?悪いけどこれから出かけるわよ!」
テスタ・テッサロッサ大佐は、隣の部屋で眠っている。と言うかマオが巧みな話術(確か睡眠時間で肌がどうのとか言っていた)で眠らせた。
千鳥かなめの部屋も消灯した。
「了解だ。だが……」
「ヤンがこっちに向かってるわ。明朝までには戻るわよ。はい、車のキー」
言い終わる前にレンタカーの鍵が渡される。助士席のマオに指示されながらやってきたのは、奥多摩の温泉宿だった。朝食時に話題になった明日宿泊する大きな外浴場のある日本の伝統的な宿である。
「明朝までにトラップを仕掛けるわ。あなたの同級生達やクルツが女湯を覗けないように、ね」
今マオと宗介は警備会社の技術員と言うことになっている。栗毛色のカツラと警備会社の青い帽子、ツナギの作業着のマオは、何か宿の支配人とキャピキャピと話をしていた。
二人は緊急メンテナンス中の札を下げて浴場に入る。
「さてと、作戦開始」
「了解だ」
「じゃあ質問。こっちの風呂に入るにはどうしたらいいと思う?」
ノートとボールペンをもちながらマオが尋ねる。
「壁ごと爆破する」
「ちょっと……女湯に被害者出さずにね……
死体愛好者じゃないのよ。見たいのは生きてる人間なの」
「火薬の量を加減……」
「隠密によ!隠密に!」
「ならば入り口があるのだから普通にそちら側から……」
「バレるつうの!」
「遮蔽物に隠れながら、足音をたてなければ気づかれまい」
「まああなたならね……
でもクルツはともかく一般の高校生がそんなこと出来るわけが無いでしょ」
「では発想を変えよう。裸で出てきて欲しいなら煙幕を張り非常ベルを鳴らす」
「そこまで大袈裟にしたら宿追い出されるわよ!」
「『覗かせてくれ』と頼んでみてはどうだろうか?」
「ホントソースケは、一般常識がぬけてるわね……
覗こうとする敵の気持ちになって?罠を仕掛ける時の常識よ?
クルツと素人とが彼らの常識に従って、気づかれないように壁の向こうの様子を
目視したいならどうする?」
「うーむこれならどうだ?こちらの壁の無い部分ががら空きだ。またはこの壁に穴を開ける」
「まあそんなとこかな?じゃあそれで覗けないように罠しかけて。はいこれ。
ダナンから送られてきた荷物よ。セントリーガンと地雷とワイヤー位しかないみたいだけど。
今浴室両方ともメンテナンス中って事になって誰も入って来ないから」
どんな緊急搬送システムを使ったのだろうか、宿には既にダナンからダンボールが送られてきていた。
「了解した」
「脱衣所も一応チェックして、それから女の子が身を乗り出しても怪我しないようにね!」
「ああ」
「あたしは壁を変えるわ。鉄板仕込んだもの送られてきたからM9で設置して。
少し離れた場所に当日までECSで置いておくから、万が一私がなんかあったらよろしく!」
宗介は素早くダナンからのダンボールを簀の床に置く。急がないと朝までに帰宅出来なくなる。
30分後にはだいたい風呂場の罠は仕掛け終わった。
「遠方からだとどう思う?」
「クルツは狙撃のスペシャリストだ。覗くならここかここを選ぶだろう」
「私もそう思うわ。多分こっちね!」
「どうしてだ?」
「こっちの方に小道があるからよ。私達なら両方可能だけど、一般人にはこっちは辛いと思うの」
暗い山中に地雷を埋めに行く。ただのハイキングコースだ。やや傾斜は有るが、敵がいるわけでも無く、作業着、作業靴に月夜、頭に懐中電灯もあって、別段苦労するような道では無い。
前を征くマオも速足でしっかり山を登り、テキパキと二人で作業を進めていく。
ほどなく地雷を埋める作業も終わり、立ち入り禁止のテープを片付けて、マオは額の汗を拭いながら作戦終了告げた。
「……そういえばマオ?」
山を下りながら宗介が質問をする。
「なあに?」
「裸といえば夏の、"負けたら全裸で基地一周"の約束を果たしてないようだが?」
「まさか……見たいの?」
「いや、だが、大佐殿からの命令ならば致し方ない。
クルツや隊の何人かは相当楽しみにしているようだが?」
「致し方ない?……まあ、安心して。その命令なくなったから……」
「しかしなぜ、裸や下着姿を見られたらいけないのだ?
クルツは敵でもないし、彼女達が宗教的な戒律を守っているともおもえん。
マオもメリダ島や日本では、いつも裸同然でいるじゃ無いか?」
「失礼ね!あたしはちゃんとタンクトップと短パン、着ってるでしょ!
だいたい、日本の夏もメリダ島も、蒸し暑いのよ〜〜〜!」
「肯定だ」
「まあテッサの入浴を覗いたって知れたら、クルツの腕だって、マデューカス中佐が
タダじゃおかないわね!
あの馬鹿、ただでさえ風紀上問題が有るって見られてんのに……」
「破廉恥な行為ということか?レイプや略奪行為、婚前交渉では無いが?」
「〜〜〜ソースケ!……一般社会では、覗きだけでも立派な犯罪だから!!
同意の上での婚前交渉くらいはまあ若いんだし〜、ぜーんぜん、かまわないけど…………
やっぱ一応駄目よ。あたしのいる時はやめて〜!
女の子の裸はシークレットなの!最重要機密情報なの!」
彼女が言うなら間違いないだろうと宗介は思う。マオは、良い先任曹長だ。多少気まぐれだが、作戦中は上部からの情報をよく整理し全体像を把握してから素早い判断で的確に指示をくれる。
次々逆の命令を出して混乱に陥れ無いし、ASの知識もあるし、よく通る訛りのない英語は戦場で聴きやすい。それどころか出撃時の個人的な精神的な問題も多少助言してくれる。過去にそのことに触れたら
『先進国の正規軍ではそういうのもお仕事なの。まあ一応だけど』
と言っていた。
そして、何より公平である。私利私欲の為に敵に部隊を売ったり、部下の命を無駄に危険に晒したりはしない。
それに本人も性別は女だ。
「それで俺もアーバレストはじめて使う時に何か変だったのか?」
「多分ねー」
「機密情報を盗むということは、衛星写真を使ったりは?」
「あの馬鹿や一般人にアクセス権限は無いわよ。まあでもそっちも強化してるでしょ
それに多分あいつもねー、そういう事したいんじゃ無いと思うの……
やりたいことはテッサと同じなのよね。きっと。
あと一応、チェックインの時に不審者がいないか宿帳も調べさせるから」
宿の灯りが麓に見えはじめた。
マオは宿の人と話をしている。帽子を脱いでお辞儀をしたあとこっちに走ってきた。
「やったぁ!、温泉入ってってもいいって〜」
ピースサインを両手でしてキャピキャピとはしゃぎながら駆け寄ってくるマオは、いつもとは別人だ。それを宿の支配人がニコニコと見ている。明日直ぐにまた来るのだ。顔を覚えられないよう帽子を目深に被り後ろを向く
「風呂か……ふむ」
二人とも汗と泥だらけになっていた。
「ソースケ、今晩も明日も"普通に入浴"しなさいね!
脱衣所で服を脱ぎ、身体と髪を洗い、風呂に浸かる、やっていいのはこれだけよ?
他の行動は絶対行わない。
特に明日、エンジェルやアンスズがいるからって変な行動しちゃ絶対に駄目。
これだけトラップがあれば大丈夫だから」
「だが……」
「大丈夫、あたしも必ず二人とは一緒に入浴するわ。これは命令よ。
"普通に入浴を楽しみなさい"」
そう言って素に戻ったマオは赤い暖簾の女湯に入っていった。宗介も男湯に入る。
先ほどまで作業していた外風呂に裸になって入浴してみると、この露天風呂というのは、外気と適度な温さのお湯が気持ちが良い。
夜で暗いが足元には灯りがあって、風にそよぐ枯葉の音と虫の音が聞こえる。虫の音は良い、敵の襲撃があっても、動きが聞こえやすいからだ。トラップが張り巡らされてるというのも更に良い。安心できる。
女湯から多分マオの身体を洗う泡の音、湯船に入る水音、それにメンテナンス後に来た先客でもいたのだろうか
『若い人はいいわね〜肌もすべすべ体もピチピチで。婚前旅行?ホホホ』
『い、いえ、仕事で……』
など年配のご婦人とのたわいもない世間話が聞こえる。
その場を頭は勝手に想像する。と言っても、いつもの服装が肌の色に置き換わっただけだが
…
……
(ちゃぽん)
女湯から水音が聞こえる。
十歳年上のあのマオとお婆さんの裸に、なんとも微妙な気持ちなってきて、風呂を出ることに決めた。
そもそも宗介は長湯はあまりしないのだ。
「さてと出るか」
宗介は脱衣所の前でマオを待つ。マオも直ぐにやってきた。
「あーいいお湯だったわね〜〜〜鬘で髪が洗えないのはちょっと残念だったけど」
「そうだな」
「ちょーソースケ!きゃ〜〜〜!
服着なさい!服!新しい汚れて無い作業服よ!深夜で人少ないからいいようなものの〜」
「だがマオが、"脱衣所で服を脱ぎ、身体と髪を洗い、風呂に浸かる、
やっていいのはこれだけ"と命令した」
ハァとマオは溜息をつく。
「"男子の脱衣所で身体を拭いて、服を着る"を追加。ゆっくりでいいわ。180秒で」
「了解した」
(ただ歩いて脱衣所に向かう数十メートル、マオが値踏みするような
にやけた顔で見ていうような気がするのは何故なんだ?)
「はい。お疲れ。一応今回足りない分の訓練って事になってるから、報告書作成して欲しいんだけど。 まあ、あんまり無理しないで」
服を着て脱衣所から出てきたところで、マオは自販機のイオン飲料を二つ購入して、一つを渡してくれた。
「大丈夫だ。きちんと書く」
「うん、じゃあよろしく。それと帰りはあたしが運転するわ」
「いや……」
「いいからいいから。右ハンドルの練習もしたいし。テッサが来てから疲れてるでしょう。
あたしも台風とはいえ来るの遅れちゃったし、ちょっと楽しんじゃったし、ね」
ウィンクするマオに敬礼して、レンタカーにトランクに荷物を詰め込み助手席に座りこんだ。
少し車を走らせた所で栗毛色の鬘をとって、マオはラジオを入れた。深夜ラジオから日本語で何やら二人の女との婚姻関係の悩みを話題にした投稿葉書が読まれている。マオは慌ててスイッチを消した。
「ねえ、ソースケ?カナメとテッサとどっちが好き?決まってるなら協力するわよ?」
「協力?両方とも俺の大切な人だ。もちろんマオやクルツも」
「……質問を変えるわ。どっちの裸が見たい?」
「どちらも否定だ。どっちも後が怖いような気がする」
「あははは、分かってんじゃないの。じゃあどっちと寝たい?」
「どっちとも寝た事がある」
「ワオォ!」
「大佐殿とは数日前寝た。朝、気がついたら隣で眠っていたのをマオも見てたじゃないか。
その前の晩は倒れた俺をカナメと一緒に夜通し介抱してくれたらしい。
このような下っ端の介抱もしてくれるとはありがたい艦長だ…
カナメとは短い時間だが、夏休みにダナンに移動中の輸送機の中で5分程寝た。
どうもカナメが怒っていて、話がしにくくなったのだ。
マオやクルツとも輸送中何度か睡眠をとった事があるし、
大分前の話だがカリーニン中佐やカリーニン夫人と寝たこともあるが?」
「あら?問題発言!」
「しかしなぜそんな事聞くんだ?一応緊急時ではなく許可された時間内だったが眠っては……」
「OK、OK、全然大丈夫!明日は、クラスメートのカザマとオノDと寝れて楽しみね!」
「肯定だ。彼等から襲われる事は無いだろう」
赤信号で止まったマオは、ハンドルに頭を置いた。
「ソースケー〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!
……うん、まあ、でも。あたしも、その位の時はそうだったかもしれないわね。
テッサやカナメには少し気の毒だけど」
「?」
「あたしも17の頃は、仲間達と朝を迎える方が楽しかったって事」
「……」
「でもそのうち選択しなきゃいけない時が来て……」
青信号になり、マオは車を発車させた。
「来て……?今はどうなんだ?」
対向車線から来る車のヘッドライトに運転席にいるマオの顔が照らされる。一般的に言うと彼女の顔は美人の部類に入るんだろう。
「んー。今は、『フライデー』と一緒の夜が一番かな?」
マオはアクセルを踏みながら、猫――勿論、宗介の知っている猫はシロだ――が眼を細めたように笑う。
あんなに手荒に扱っていても、マオも自機のAIを大切に思っていると思うと宗介は嬉しくなった。
まあAIだけが大事で外側はそれ程大事に思っていないのかもしれないが。
「なんだかマオといると落ち着くな。
カナメや大佐殿は確かに俺にとって大切な人なのだが、一緒にいると
強敵の照準に晒されたように鼓動が激しくなって死にそうになる。
マズイ状況というか……特に二人同時にいると」
「ハハハハ。喜んでいいんだか、悲しんでいいんだか…
でもソースケお疲れ。眠いならそのまま助手席で寝ててもいいわ」
「いや……しかし……」
「敵もあたしも、襲うつもりならもっと前に襲ってるわよ。ガキには興味無いから。
それで駐車場ついても部屋に戻らずそのまま寝てなさい」
「本当にいいのか?」
「いいわ。命令よ。このままじゃ、あなたまた倒れちゃうでしょ?
屋上に野宿して日本の警察にやっかいになるよりずっといいと思うわ」
「……」
「でもね、ソースケ。誰かに決められちゃう前に自分で選択しなさい。
他の誰かに決められて後悔する前に。
それだけは言っておくわ。それじゃあ、オヤスミ!」
「本当に感謝する。ゆっくり休息が取れそうだ」
ここ数日の疲れを取るように、宗介は深い眠りに落ちて行く。
『かわいい』
浅い眠りの戦闘の夢の途中でマオ機に囁かれたような気がした。
車が駐車場へつき一旦目覚めると、手荷物を持ったマオが、彼女がよくやるジェスチャー人差し指と中指に唇を付け手を翻し――いわゆる投げキッスというらしい――、去って行く。
宗介はまた微睡みの中に落ちて行った。
もうすぐ空が白みはじめる
ヤン伍長は、マンションのエントランス付近で伊達眼鏡にスーツ姿で酔っぱらって倒れたジャパニーズビジネスマンのフリをして座り込んでいた。近くには万一のためにレンタカーも駐車してある。
「お疲れ、ウルズ9」
聞き慣れた女性の声。
「お疲れ様です。ウルズ2。特に変わった事はありませんでした」
「良かった。それにあなたも目立たなかったみたいね。もうすぐ6時か」
「はい」
「出発が午後からだから5時間は眠れるわー
……出発が遅いんだけど私達が出かけた後、あなたもセーフティハウス使ってね。
それまで駅前の商店街に何件か早朝から開いている店があるから」
「了解です」
「そうだ、ヤン?あなた誰と寝たい?」
(それって……いったいどういう意味?
『マオさんです』って返答したら、一緒に寝れるって意味かな?
いやそれは絶対ないだろう。じゃあ部屋にいるテスタロッサ大佐とかエンジェル?
いやいや……もっと絶対無い!)
早打つ鼓動を隠しきれずヤンは答えた。
「えーと……今はいませんが、恋人とです。よろしいでしょうか?」
「それが ”普通” よね」
『じゃあおやすみ〜』
と手を振ってセーフティハウスの部屋に向かって、マオは去って行く。
(普通って……じゃあなんて言えば普通じゃないんだ?動物?
"可愛がってる猫です"うーん……それも普通に聞こえる……
あー僕も温泉行きたかったなー)
おねえさんの来日(フォロー編) 9/20 23:30(JST) 東京
(なんか楽しい事ねえかなあ)宗介の同級生の高校生と枕投げして、やがて怪談と好きなコ告白大会聞いて、遊び疲れて眠った後、クルツは立ち上がった。
「やれやれゆっくり風呂でも入ってくるか」
「クルツまた風呂か?」
一人テトリスを飽きもせず続けている宗介が聞く。
「って言うか温泉ちゃんとつかってねーしな……」
「普通に入れよ。普通にな」
「うっせーなー。どーせもう女子達も寝っちゃっただろうし……」
とクルツは機嫌悪く廊下に出た。
(なーにが『クルツさんはやっぱあのマオさんと恋人なんですかぁ?』だっ、
『ちげーよ、あんな暴力ババア』って言や『じゃあ、別の恋人が大学にいるんですねー?』って
『あたぼうよ』答えたけどよ、けっ。あんなに目輝せやがって!
ハタチ過ぎたら女は選り取り見取りで、その中からドストライクの女と当たり前に
セックス出来ると思うなよー!童貞共が〜)
「あれ?姐さん!どうしたの?」
恨めしい紺と赤の暖簾がかかる脱衣所の前まで来て横に気配を感じて振り向くと、前の休憩所に、今回の憎き敵、メリッサ・マオがビールと煙草片手に寛いでいた。
「ん〜、不埒な輩が覗きに来ないか監視って、ウソウソ。流石に諦めたでしょ?
風呂の後の一服よ。一般高校生眠った後の部屋で喫煙飲酒はねぇ……」
「まあそうだな」
「窓と入り口はトラップ仕掛けたし、エンジェルもアンスズも、抜け駆け出来ないように二人繋いで 来たし〜〜〜ソースケも隣の部屋いれば大丈夫でしょ」
その言葉に、今のうちに女子高生が眠ってる部屋へ突入は無理と素早く判断する。
目の前の浴衣姿のマオは、いつもより露出度は少な目だが、それがまた風情があって良い。
風呂上がりとアルコールのせいで少し汗ばんで火照った白い肌、チラチラ見え隠れする豊かな熟しきった胸の谷間、浴衣の裾のよく発達したアキレス腱の足首に、視線が釘付けになる。
疲れた笑顔、まだ少し濡れた短い黒髪、煙草を吸うしなやかな動きがたまらない。
これだけで男は
(まあ今日の事はちょっとは許して、口きいてやってもいっかなあ)
と考えてしまう。
「あ〜〜〜しっかし今日は酷かった!あそこまでやるとはひでぇよ」
風呂はやめて、自販機で高いビールを買い、マオの向かいに座って缶を開ける。
向かいに座ったのは当然、女の身体をじっくり見る為だ。
たとえ着衣でも……!
裸でなくとも……!
心頭滅却すれば、また着衣もエロし……!!
「ああでもしないと覗くでしょ!実際覗こうとしたし
でも一応加減はしたのよ。ケツだって火傷で済んでるでしょ?」
「嘘こけ……桶すっげー壊れたぞ」
「ごめん、ごめん。でもあなたの性格だと一般の高校生巻き込むと思ったから
ホント加減はしたんだって〜〜〜!
遠くからスコープで一人で覗くだけならウルズ6の腕前なら簡単なことだけど
そうしないだろうなーって思ったの」
マオが慌てて手を振る。
「……全部お見通しって訳か」
クルツはわざとふくれてみる。
「まあね。成人してんだから、女の裸見たいならいくらでも見れるでしょ。
それにあなたの腕は買ってるわよ。
まあ一般高校生があそこまで来たとは、たいしたファッキンガッツだったけど」
「でも、姐さんの裸見たいのは本当だぜ」
指鉄砲の先のマオがチラッとこちらを見て、ビールを一口飲む。
(まあキスぐらい……)
「ねえさ……メリッサ……」
「……」
《ドッカッ!》
すかさず、飛んでくるグーパンチ!当然、予測していた動き。一応急所は外してくれてるようだが軽く、いやかなり体が飛んだ。
「っ……いってぇ…」
「エンジェルとアンスズの護衛と民間高校生引率しててそれはマズイでしょ。
次は本気で殴るわよ。それからマオと呼びなさい」
「やっぱり?!……」
ガックリときたクルツの両肩に逆にマオの手が伸びる。
「当然!うーん…でも、多少のお色気でクルツがヤル気が出るのなら、安い物ね。
訓練の時、そういったオプションを考えてあげてもいいわ!」
「マジ?!」
マオは肩に置いた手を離しうなずく。座り直して考えながら脚を組む。
浴衣の下から一瞬露わになった引き締まった白い太ももと、その奥にある見えそうで見えない秘密な部分に視線は移動して、血液は今迄以上の恐ろしい速さで股間へ集中し、心の中でガッツポーズ!
と気分が高揚したと同時にあのクソ師匠の言葉と顔が浮かび、一度冷静にあらゆる状況を計算してしまうのは悲しい癖で……
一線を越えてしまったら、SRT外されてラナの入院費払え無くなるかもしれない。
『ごめん、あとはお願い!』
そんな時自分を置いて撤退の指示を出す時、そんな関係だったら、彼女はどんな気持ちになるのか?
(泣かなくとも、流石に悲しむくらいはするだろ?)
彼女が敵に捕まって男達に犯され殺されても、引き金も引けずに耐えなきゃいけない場面があるかもしれない。
ASの中とか死体が見つからなきゃまだいいけど、テロで死んだ両親と妹みたいな焼け焦げた肉塊を見る事になるかもしれないし、死んだ仲間みたいにドッグタグだけがやけに光って……
今までいた傭兵部隊に女がいなかったのは幸いな事だった。抱いた女の死体なんか見たくない。
嫌な妄想を吹き飛ばすように頭を振る。
(やっぱ、こういう稼業だしなー……マジ惚れ禁止でしょ〜)
「そうねー、テニスウェアなんかどうかしら?青春っぽいでしょ?
ミニスカートで主に蹴り技を訓練するとかどう?」
そんな気持ちを察知してくれたのか、慌てて浴衣の裾を直し、暗闇で鼠を狩る猫みたいな瞳で力強く微笑む今のマオの顔は、訓練キャンプではじめて惚れたあの顔だった。
(なんだかんだでやっぱりこの顔の姐さんが一番だ)
とクルツは心とjrを納得させる。
「やった〜姐さん〜!優しい!大っ好き!愛してる!お肩お揉みいたします〜マオ曹長殿〜」
(本当はその柔らかそうな胸を揉みたいけどね……)
クルツはマオの肩を揉み、煙草に火を付け、せっせと奉仕活動するのだった。
「そうだ、姐さん。ジャパニーズマッサージチェア。金出すぜ」
「ん、そう?」
100円硬貨を入れると、マオはもう一つ購入していたビールを渡してくれた。
ブイーンと音を立てて古いマッサージチェアが動き出す。まず肩を激しく叩く動きで大きなオッパイがぷるぷると揺れる。
ビールの二缶目を飲みながら楽しむ。
その動きを後で思い出して、もちろん夜のおかずに使えるように、精一杯目に焼きつけておきたい。
「あの……明日の車内の割り振りなんだけど……」
「駄目よ!」
「ちぇっまだ何も言ってないじゃねーか」
「聞いたって同じよ」
「……日本語誰に習ったの?」
「ヒ・ミ・ツ」
「AS持ってきて置いてあるの?」
「それも、ヒ・ミ・ツ」
マッサージチェアは、マオの身体を弓ぞりにし、やがて細い腰を叩きだし身体を揺らす。
「姐さん色っぽいなー!今すぐ上から圧し掛かりたいくらい!」
「はぁ?最悪な言い回しね。ホントにやったらぶっ殺すよ」
まるで好きな男の下でいやらしく腰を振っている女のようなマオの動きに、今日の出来事を逡巡し、心の中で泣けてくる。
「結局今日も見逃し三振か……なあ、温泉旅行どうだった?」
「どうって?……まあ良かったわよ」
「また今度、一緒に……まったりと温泉、いかないか?
その……プライベートで……二人きりで……」
「うーん、いいわね……いつか……そうね、プライベートで!
……一人きりで、行きたいわね!
あ゛ーハァマジ疲れたわ〜二人とも、ホント、あたしの苦労少しは分かってよね〜〜〜!!!」
2ヶ月半が過ぎ、その間に西太平洋戦隊にも色々あった。まず、ブルーノとか言う情報部の裏切りもんを無事捕まえることが出来た
(姐さんの太ももを触りやがった事にNTR気分を十分味わったぜ。まあ真っ暗の中、真っ暗だが多分見えたドレスの中身は忘れられないシチリアの思い出だ)
それから夏に死亡したマッカラン大尉、ウルズ1の後任にクルーゾー大尉とかいういけすかない男がやってきた。
(挑発ついでなのか親しい間柄なのか知らないが、姐さんが奴をファーストネームで呼ぶのもすっげー頭に来る)
ソースケが上層部に反抗して、カナメの護衛を本職にした。
(これにはビックリして笑った。『良かったじゃないの』なんて酔って言う姐さんは少し寂しげで、肩に手を回したら殴られた)
あと人生最大の失恋をした。
(でもそれから姐さんはいつもより少し優しいような気がする)
そんなおり
"例の訓練の準備が出来たから明日絶対訓練場にきてね。お友達も連れて行きます(*^▽^*)
p.s.AS乗ってきてね"
クルツの元にマオから端末にメールが来た。
12月初旬 0000時(UTC) メリダ島
「……え?」
そして、その日。メリダ島の午前中の煌々と照りつける日差しの中、クルツ思わず目を疑った。
ドスッ、ドスッ、ドスッ!
(友達って誰だろう?テッサちゃん?エバ?ノーラ?サチさん?)
などと浮かれた気分でメリダ島の訓練場で、自機を降りて待っていた(もちろんカメラも持ってきた!)そこには!!
腰に短い布を巻きつけ、アンテナにブルーのリボンをつけたミスリルのE系列のM9と,
やはり同じく短い布を腰に巻きつけ、両方の角に濃いピンクのリボンをつけたクルーゾーの黒いM9ファルケが倉庫から走って来たのだった。ご丁寧に誰が作ったのかラケットもどきを持って……
「ごめん!クルツ、待った?!」
マオ機がシナを作りながら、スピーカーから柔らかい声を出している。
"早く捕まえるのよ"のサインに黒いASの手に取り囲まれた。
「よく来たな。ウェーバー!マオの言うとおりだ……貴様のような奴が本人から訓練を志願するとは」
「ね!ベン!賭けはあたしの勝ち!$30何買おうかなー」
賭けの材料にされたことと微妙な掛け金に腹が立つ。
「ウェーバーがテニスが好きだったとはな。
俺もテニスなど軟派なスポーツだと思っていたが、最近、ちょっとあって……
考えてを変えて、俺も嵌っている!
女性用ユニフォームのような姿は、なにぶんちょっと恥ずかしいが、
リボンのようなものはアンテナの指向性を試すもので、これは何かが腰に巻き付いた時の訓練だ!
まあ戦場では何が起きるかわからないからな!
今日はみっちりASの接近戦を訓練する!」
「もしかして、チアリーダーの方がよかった?」
「……姐さんマジで言ってんの?」
「ハハ。ケツの穴掘られたくなかったら、サッサと搭乗しなさい!
クルツの分も用意しといたわ!トロトロすんじゃないわよ!」
問答無用で自機に搭乗させられて、AS用のデカイスカート?とラケット?が投げ渡される。
「ちっ……訓練なんかしたって死ぬ時は死ぬつうの!」
「その前に私が責任問われるのよ!」
「戦場では、誰でも一人一人きりなんだぞ!私の愛も私の苦しみも!いくわよ!ひろみ…じゃなかったウルズ6!」
「ソースケが補習で居ないのが残〜念〜!頑張りましょう!
ちゃんとやんなきゃ金玉握り潰すわよ?!
Do you love me? come on〜 fuck me〜!!!」
「くっそっー騙されたー!!」
スカートが揺れて股の部分の中身が丸見えのマオ機の蹴りをよけながら
(動きはマオ姐さんだから)
とかそういうことでASに妄想を掻き立てるのは、露骨にエッチな脳内でも流石に無理で、
「糞……あのアマ……!いつもいつも、俺の純情弄びやがって……!
絶対いつか裸にひんむいて、全身くまなく視姦して……嫌って程背中かかせて……
腰ガクガクになるくらい中出ししまくって、愛してるって言わせてやる〜〜〜〜!!」
クルツはコックピットの中で一人虚しく悪態をつくのだった。
近い将来訪れる運命をまだ知らずに……
少しぼんやりとした視線と少し着崩れた薄い生地の温泉浴衣から想像出来るまろやかなボディラインが妄想を抱かせる。紺色の帯の巻いてある細い腰がまた……
露骨にエッチな脳内では勿論、目の前の緩くなっている浴衣のあわせをひっぺがして、猫のようにしなやかな身体をふかふかの布団に押し倒して、首筋に吸い付いて……
下着の色は、薄い生地の浴衣から透けてないから薄い色のようだ。
(ベージュか?グレーか?ブルーか?ピンクか?ラベンダー色のレースとか最高だよな〜)
妄想と共に大きな胸に近づいた顔を片手で押し返された。
「はいはい、その下品な顔やめな。
あとこれあなたとソースケの訓練って事にもなってるから、ちゃんと報告書書いておいて頂戴。
明晩地雷の回収も二人でやっときなさいねー」
「えー勘弁してくれよ…」
「こないだの訓練サボった分よ」
「代筆してくれよー」
「駄目よ。あたしも忙しいの!こないだの勝負負けて、
裸の代わりに酒と煙草抑える約束しちゃって、ストレス、貯めてるの!
ねぇ?あたしの立場分かってるわよね?
今ウルズ1不在だし、隊員のモラル向上とか、自分の恋心棚に上げてテッサまでほざいてるし……
まああんな裏切りあったから、気持ちも分かるけど……」
「……」
「でもね〜あなた達が何かしでかしたり、あなた達に何かあったら、
マデューカスのおっさんやカリーニンのおっさんに叱られるのは、あたし!
部下の訓練足りなくて色々言われるのも、あたし!全部あたしの責任になるの!
あ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!もう嫌ぁっ〜〜〜!」
「そんなん、しらねーつうの」
マオは深い溜息をついて指先で持っていた煙草を消し、口元を舐めた。いつもの口紅の色じゃない
艶やかで薄い色のリップクリームの唇がビールの缶に口付けをした後、小さく開く。
「それにね……クルツ?二人っきりだから本心打ち明けるけど///
あたし、あなたに、死んで欲しく無いの……
あなたに何かあったらと思うと……あたし、どうしていいか……
なるべく訓練してね……お願い……」
赤く上気した頬で彼女は俯く。
「……マオねえさん?酔ってるの?」
「んーそうかもね〜。だから、あたしの気持ち分かってくれる?」
小さな哀しげな声。太ももに置いた両手が震えている。
もう今日の事は全部許す気になって、ついつい顔がにやけてしまう。
「それにしても、想定外の原動力。覗き程度でウルズ6がこんなに根性入れて動くとはね……」
哀しげに溜息をつきながらマオが呟く。
「俺はいつでもどこでも、愛とエッチの為なら真剣なの!
特に姐さんに対する恋心は、真剣そのものなんだぜ…
なあ今宵、青春を楽しめなかった哀れな青年の心を、寂しい初秋の風を、
姐さんのその優しい愛で慰めて〜〜〜」
目の前にいる夜の似合う淫靡な黒髪の女の浴衣と下着を全部脱がせたところで《脳内シアター》も限界になり、立ち上がり現実の彼女の隣に行き、細い肩を抱こうと腕をあげた。
長い睫をゆっくり上げて、かったるそうにマオは顔をあげる。
彼女はまるで覚えてい無いが――色々な意味で覚えていなくて良かったが――、グエンにメスを投げた時の殺気立った下着姿と、警報が鳴って思わず抱きしめた、思ったよりずっと柔らかで小さな気絶した女の身体の感触が蘇る。
(誰かの上着かけて医務室に運んでやったけど、下着の中くらい覗いておけば良かったぜ)
女湯から聞こえてきた『肌綺麗ですしー』って誰かの声。
(あ〜覗きたかった。せめて姐さんだけでも〜)
それに毎度騙されていても、この美女がふと見せる、こんな愁いを帯びた声と表情に弱い。
避妊具も持ち合わせているし、あと何部屋か空いてるのはチェックイン時に下調べ済みだ。
(どうする?どうするよ?)
肩に指先が当たる。少し困惑したような紫色の瞳が、男の顔を凝視している。
大きくてやわらかそうなおっぱい。心の目で見ている乳首は今までの経験から唇と同じ桜色だ。
俯いた黒い横髪の、煙草とアルコールと、石鹸と女のいい匂いにクラクラする。
髪と同じ漆黒の闇に隠された下の唇も桜色で、奥は真紅に違いない。
現実ではまだ見えないが、あとワンアクションで、肩にまわした指が浴衣の襟まで届きそうな気が
…
……