(日頃の疲れ…温泉の心地よさ…カチェアも年頃の女性の顔に戻り)
(その感覚に身を委ね、微睡んでいたのだが)
ぇっ?な、何ですの…殿方…ぁ…そ、外側…
(突如温泉にまで響いて来る粗野な男の声にビクっと震え警戒するが)
(その声が温泉の外から聞こえると知り警戒を解く……が)
や、やだ…なんて下品な事を…っ?テレビの企画…!
まさか…そんな…嘘…もしそうなら早く出なくちゃ…
(そう思い自分が入ってきた温泉の出入り口扉…曇りガラス製のそれに目を向けると…)
……嘘…ひっ…!?
(そこには裸の人影が現れる…体格からして男であることは間違いない…)
〜〜〜ッ!こ、これがもしかして…今回の撮影だと言うの…?
ほ、他に出口は…に、逃げなければ…か、隠れる所…!…ぁ……きゃあぁッ!?
(露天風呂内で立ち上がり他の出入り口…身を隠せそうな場所を探すのだが)
(その余計な時間にその男は湯煙をかき分けて現れ、驚愕の目で露天風呂内の)
(全裸のカチェアを見つめている…先ほど聞こえた声の通り粗暴な雰囲気を感じさせ…)
ぁ、ああ…い、いやああぁっ!
(男の股間の逸物…それが凶悪な形に反りあがってゆくのを見て思わずカチェアは)
(乳房を隠しながら悲鳴を上げた…)
(だ、ダメ…いつもと違って兵士たちに銃を突き付けられたりしてるわけでも…)
(第一ケンジも犯されて来いなんて一言も言ってない…!)
(す、すぐに…出なくちゃ…んん…それ以前に追い払わなくちゃ…)
な、何なんですか?貴方は…!で、出て行って!
此処は女湯…奥方専用の場所でしょう…そこにそんな格好で入ってきて…
で、出てゆきなさい!
(乳房を手で隠すポーズにはなっていたものの…凛とした雰囲気で背を伸ばしたポーズで)
(湯船内に直立してその男に言い放つカチェア)
(軍部に人質に取られているとはいってもその凛とした振舞いは時折軍部側の人間を)
(怯ませるだけの効果を持っている…のだが)
な…ちょ…や、止めなさい…こ、来ないで…な、何をするつもりなんですか?!
…くっ…ならば…こ、こちらが出てゆきます…!
ついて来ないでください!
(手に持っていた身を隠せる唯一の布切れであったタオルを男に投げつけると)
(男の横を素早く通り抜けその濡れた肌も艶やかな髪も晒して露天風呂から上がろうとする)
(湯船から上がると豊かな乳房や引き締まった尻や太ももから水滴がしたたり落ちる)
(男は唖然として追ってこない…これなら…そう思い出入り口…脱衣所に向かうカチェア)
早く…早く…こんな所からは出なくちゃ…っ!え?扉…開かない?何で…鍵かけられてる?
や、やだ…嘘…お願い、開いて!
(扉を何とか開こうとするカチェアだが扉はガタガタ言うだけで開くはずもない…)
(そして…その曇りガラスに…カチェアの顔のある正面に向こうから何かが張り付けられる)
ぇ?なっ…?ふ…ふ、ふざけないで…ケンジィイっ!
(その正面のガラスに張り付けられた紙には『最低2時間は温泉内にいる事』と記されていた)
(あの憎たらしいケンジの手書きの文字で)
くっ…ぁ…?きゃぁッ!?い、いや…止め、止めなさい…来ては…来てはいけません…
こ、来ないでぇえ…!
(思わず温泉の方を振り返ったカチェアが震えあがった)
(カチェアの強気な態度に驚いていた男だったが、カチェアが逃げられない状況を)
(容易に察したのか…嗜虐の笑みを浮かべながらカチェアに近づいて来た)