>>27
(しかめっ面でプリントを分け、シャープペンシルの尻をかりかりと噛んでいる)
(それは少年が気づいた、先輩の機嫌があまりよろしくない時のクセ)
(けれどもそのどこか不機嫌そうな顔すら…いや、だからこそなのか、少年の胸を高鳴らせた)

どうぞ。
(短くそれだけ言うと、またペンをかじり始める)
(銀色のチタンフレームの眼鏡の奥の目は、本来指導しなくてはならない後輩の姿など入っていないかのようで)
(かがみこみ、足の傍を通って消しゴムを拾う後輩を一瞥もしなかった)

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(足の傍を通った瞬間、甘酸っぱい汗の匂いが鼻をつく)
(デオドラントスプレーでも消しきれない、濃い臭いが少年の分身に、劣情とともに血液を注ぎ込んでいった)