(ゴブリン討伐といっても、内容は様々だ)
(群れをまるごと潰してほしいという依頼もあれば、人に危害を加えないようある程度の場所まで追い払って欲しいというものもある)
(シンシアが受けたのは後者の依頼で、近くの農場にゴブリンが近付かないようにしてほしいというものだった)
(村の近くの森、一人での討伐はある程度気が楽な依頼といっていいはずだが)
(正義感が強く真面目な彼女は、何匹かのゴブリンを仕留めても満足せず)
(村人が安心して森に入れるようにと、かなり奥まで入り込んでいた)
……こんなところか。教会にも報告しないといけないし、日が落ちる前には村に戻らないとな
(思ったほどゴブリンの数もいなかったし、有害な獣もさほど見かけなかった)
(目印をたどって同じルートで戻れば危険はないだろうと、きびすを返したその瞬間)
っなんだ、この……くっ、これはっ……!
(気配を感じ、首を巡らせる間もなく胴に巻き付いてきた、蔓)
(即座に手にした剣で切り落とそうとして、その手もからめとられる)
悪魔の蔦……!見落としていたとは!
(蔦というには生々しい、生き物めいた感触が手首を締め付ける)
(隠し持った短剣を探ろうとしたもう一方の手も、さらには足までも蔦にからめとられ)
(シンシアは完全に動きを封じられた)
(もっと入り口に近い場所なら、他の冒険者に会うこともあったろうが)
(ここまで来てしまってはその可能性も低い)
(炎系の魔法が有効であることは知っているが、シンシアが扱えるのは簡単な回復魔法と防御魔法だけである)
(この手の生き物は人間の肉よりも体液を好むと聞いているから、なんとか逃げるタイミングは見つけられるかもしれないと)
(身動きがとれないなかでも、シンシアは諦めてはいなかった)

>>430
【ありがとうございます。それではこのような形で始めさせていただきます】
【よろしくお願いします】