(風もいっそう強くなり、コートのフードを深く被って寒さを凌ぐ)
(かじかんだ小さな両手を口元に当てて、はーっと息を吐いて暖をとり)
(顔を上げてみると、公園の外から駆けてくる芹さんの姿に、表情はぱっと明るくなり)
約束の時間より5分チコクだよ……芹さんのこと、ずーっと待ってたんだから。
ま、まあココアももらったし……許してあげるっ。
(ジト目で芹さんを見つめる。その割には口元は緩み、嬉しさを隠せていない)
(お詫びの印のココアを受け取ると、嬉しそうな表情を浮かべ)

(二人並んで彼女の家に向かうと、芹さんがすっと手を差し出して)
う、うんっ……ちょっと恥ずかしい、けど……
(そう言うと、小さな手で彼女の手を握り返し、手を繋ぎながら家路を急ぐ)
(一見兄弟にも見えるふたり。千歳の顔は真っ赤に染まっている)
(恥ずかしいのはもちろん、何故か手を繋いでいると例えようのないドキドキした感情が、胸の奥から湧き上がってきて)
(それでも内心はとても嬉しくって、少し体を寄せながら歩いていた)