「お付き合い頂くのですから・・・勿論、食事代は私が払わせて頂きますので、御心配無く・・・・」
「い、いえ・・・そういう事じゃなくて・・・・そんな、悪いですよ・・・・」
「いえいえ、遠慮は要りませんよ・・・私の我が儘に付き合って頂くのですから・・・・」
そうは言われても、美雪も答え辛いだろう。今も好意で車にも乗せて貰っているのだし、無下に断るのも失礼かもしれない。
美雪も本心では、明智に誘われた事を嬉しく感じているのだが、そんなに甘えてしまうのも気が引けてしまうのも事実であった。
すると、返事に困っている様子の美雪を見兼ねたのか、その背中を押す様に明智が優しく声を掛けてきた。
「いつもは一人で食事を済ませるのですが、せっかくの機会なので、七瀬さんと夕食を共にしたいと思いまして・・・御迷惑でしょうか?」
その明智の言葉には、どこか寂しさを感じた。あのクールな明智の、意外な一面を垣間見た様な気がして、美雪は胸をキュッとさせられてしまう。
「・・・わかりました。それじゃ、明智さんに甘えさせてもらいますね」
「ありがとうございます」
明智は美雪を見つめると、いつもの様に微笑する。そんな明智の視線に、美雪は益々顔を赤らめてしまっていた。