「はじめちゃんのバカバカバカバカっ…!!」
今朝の美雪は、かなり不機嫌であった。その原因は昨日の出来事である。いつもの様に金田一の部屋で二人きりになり、ついに金田一と良い雰囲気になった。
やっと金田一と結ばれる……そう思った時、金田一から信じられない一言を聞かされてしまったのだ。
『ごめん、美雪……俺、お前が初めての女じゃねぇんだ』
『……え?』
その言葉に、美雪は固まってしまった。金田一の初めての相手は、なんと人気アイドルタレントである速水玲香だと言う。
確かに彼女は金田一に気があったし、金田一もまんざらではない様子だった。そんな玲香に誘われるまま、彼女と関係を持ってしまったらしい。つまり美雪を裏切ったのだ。
美雪は金田一の部屋から飛び出し、家に帰ってしまった。そして、それからずっと泣きじゃってしまっていた。
確かに自分とて処女では無い。中学生の時、とある先輩と付き合って、その男に処女を捧げてしまった。その先輩とは、卒業を期に別れており、ずっと会ってはいない。人づてに、彼は引っ越したらしいと聞いた。
一方、幼馴染みである金田一とは、その長過ぎた間柄の為か、まったくと言って良い程に進展はしなかった。だからこそ、せめて金田一の初めての相手になりたいと心の底から思っていたのだ。
それは自分のワガママでしかないが…それとは別に、金田一に裏切られた事に腹が立つのである。
「はじめちゃんの………バカッッ!!」
美雪は金田一の不貞に怒り、ムカムカする気持ちのまま登校していたのだ。すると、そんな美雪の背後から声が掛かり、肩を叩かれた。