「すごいっ。やっぱり才能ある方は違うんですね…」
夕方、二人は先輩の大学のアトリエに到着した。専属アトリエだけあって、設備も整っている事に美雪は感嘆する。
「何言ってんの、才能なんか全くないさ。……あるのはキミへの想いだけだよ」
「えっ?」
「あ、いやいや……それじゃあ七瀬、早速始めようか!さぁ、服を脱いで」
その言葉に一瞬、美雪の思考が停止してしまう。
「………えっ?」
「あれ?言わなかったか?俺、今、ヌードに挑戦してんだよ」
「ええっ!?そっ、そんなの聞いてませんっ!し、失礼しますっ!」
美雪がアトリエから出ようとした瞬間、先輩は美雪の腕をギュッと掴んで引き止めた。
「俺は真剣なんだ!そんなにイヤなら、少し露出する位で良い。俺は七瀬を描きたい……いや、お前だけを描きたいんだ!!」
その先輩の真剣な言葉に、美雪は一歩たりともその場から動けなくなってしまった。
いや…むしろ何かの魔法に掛かったかの様に、何故か彼自身に惹かれてしまいそうになる。熱く見つめてくる先輩から、目が逸らせない。
「俺は、七瀬美雪が好きだっ!」
突然の先輩からの告白に、美雪は驚いてしまう。すると、そんな美雪の隙を突く様に、先輩が美雪の唇を強引に奪ってしまった。