感想
ダメ、ゼッタイ。 副作用や常習性はないというフォローはされているが、そも題材からして反社会的な雰囲気が漂う。
挿絵はエロ漫画家の「桂井よしあき」 カラーモノクロ共に技術は巧みで、題材的な相性のオーダーと言える。

さて展開はキメセク×純愛寄せ。投薬、乱れ飛ぶ特殊文字のハートマーク、ついでに吹っ飛ぶ理性。
主人公は気弱でこれといって特色が無く、一人称が俺でHの時には強気という程度の存在。
ヒロインも一見清楚な高嶺の花と、幼なじみ便利キャラとこれもテンプレート。一応取り合いからの3P展開でしめている。

Hとしてはこれもおクスリでのファスト展開。
即発情即挿入という流れが多く、特殊プレイは少なめ。淫語レベルも最初からろれつが回っていない。

難点は…… そもそも、キメセクと純愛の相性が悪い。
まずキメセクのうまみと代償である人格破壊、人間関係の悪化、家庭崩壊、死かそれに近い副作用などの退廃ネタがことごとく使えず、
MCものの利点である「もしかしたら誰が使ってもこいつは股を開くのかもしれない」という展開も使いにくい。
じゃあピカレスク展開や退廃寄りにすれば〜となると既にそんな感じの作品は存在しているであろう悲しさ。
特に陵辱同人に強い絵師はそんなのを出してそうだし、とらでセットで買った場合はそれぞれの温度差で微妙になること必至。
さらに、クスリ要素を抜いたとしても清楚な彼女が実は〜となるだけでそれすら美少女文庫でもメジャーなネタ。
結局便利アイテム程度の存在に落ち着くしかなく、その時点でもはや詰みである。

地の文やシリアスギャグなども寒く、何度も延期している点は同情するにしてもそれが直接高評価に繋がるわけもない。
例えば弁当にたっぷりと仕込まれた後のシーンで「そういや二錠取ったらどうなるんだ?」と聞いてたりする。
お前山盛りに仕込まれたこと忘れてるだろ。言うんなら「二種類別のホレキメを〜」だろう。
ラストシーンなんかみんな脳みそスポンジになってんじゃないか?と心配になる。いくらフォローされていても、である。

総じると、キメセク×純愛という見て分かる微妙なコースライン。
本格キメセクにはパンチ不足、純愛コメディにはそもおクスリが邪魔。中途半端な日和見の結果と言えよう。