バレ( 暁年の場合)

希望どおり単身赴任の期間は短縮され
暁年は久しぶりの我が家の前に立っている。
今日はとりあえず本社に立ち寄り、上司や同僚への
報告だけでよかったので、思いの外早い時間に家に着いた。

このことは唯子には一切話していない。
サプライズで唯子が無邪気に喜ぶ顔が見たくて、
今日帰宅することは内緒にしてきたのだ。
「あなた、お帰りなさい」
弾けるようないつもの笑顔が、暁年を出迎えてくれるはずだ。

子供のようにワクワクしながらドアを開けた暁年だが
(ん?誰もいない…)
買物にでも出ているのかな、どこか
さっきまで人のいた気配が漂っている。
「唯子ー、いないのかぁー」
リビングに入った暁年は、目に入った光景に驚愕した。