>>983
とはいえ『奴隷妻・夏子 ――肛虐の刻印』みたいに、「娘を誘拐した」なんてあからさまな
脅迫電話が入ったのに通報しないのは不自然ですよね。
肉屋が「ひどい目にあったらしい娘さんをウチで保護しました」って体裁を装っておびき出す
方がらしいと思いません?

ちょっと改変してみました。

>「ママァ……」
> いきなり娘の泣き声が耳に飛びこんできた。
>「直美ちゃん、どうしたの!?……今、どこにいるの!?」
> だが、娘の泣き声は途切れてしまい、代わって男の低い声がした。
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「奥さん、肉屋です、先程は失礼しました。いや驚きました、娘さんが帰り道で誰かに襲われた
らしくて、うちの店に逃げ込んできたんですよ。警察を呼ぼうかとしたんですが、娘さんが頑な
に嫌がるもので、取りあえず奥さんに連絡してみたという次第です」
「そ、それはどうも、本当にありがとう……ございます」
 ホッとした反面、よりにもよってあんな下品でいやらしい男に、こともあろうに娘のことで借
りを作ることになろうとは、夏子は自身の運命を呪った。
「ご迷惑をおかけいたします。それでは今から迎えに伺わせていただきます」
「奥さん、それでしたら着替えもお持ちになってください。服がボロボロで裸同然でしたから」
「す、すぐに参ります!」
 夫が不在なときに一人であの肉屋に赴くのは不安ではあったが、すでに冷静さを失っている夏
子は電話を切るなりタクシーも呼ばず、我れを忘れてサンダルを引っかけ、家を飛びだしていた。
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