フェリックスは通常、女性に対し下ネタを言うような男ではありませんでした。
彼はチェスクラブ選手権で、彼に5回続けて引き分けをさせた女の子と一度だけ、
そのような会話を試そうとしたことがあります。
彼女は可愛くて、ユーモアがあって鞭のように頭がいい。

しかし、彼は自分の言葉について考えることに追いついただけで、
実際には下品な言葉で男女のキワドイ会話を楽しむ様な事は決してありませんでした。
だからそれで、フェリックスは彼が十代特有の強い性欲を持っているという事実や、
超能力を手に入れたという事実、そして、たった今、経験した死への恐怖と、
その後の勝利の解放感とによって、冷めやらぬ興奮による、
思い上がり、のぼせ上がり状態になっていた。
それらの事実の合計が原因で、6時間ものあいだ、口ごもって、ためらうよりも、
むしろ、彼がうっかり口を滑らしたとしても。あなたはそれらを責められますか?
そんなこんなで、彼は軽口を開いてしまった。