本能の愛は、まったくたじろがなかった。
彼女の頭脳を奪っても。
彼女の身体を支配していても…。
しかし、この爆発には大きな犠牲が伴いました。
レディーインジャスティスだった彼女は、
自分が自分に向けたスーパーパワーを吸収することが出来ませんでした。
彼女の身体は黒焦げになっていました。
その隣には、やはり黒焦げの、動かぬフェリックスが横たわっていました。
彼女は彼を見て、涙を流しました。
それが今、彼女のできる全てでした。
(ああ、フェリックス、わたしは、ああ、わたしが、息子を殺してしまった。ああ、でも、でも、ああ、神様、
もし彼が生きていてくれるなら、私の、命は要りません。どうか、どうか、神様、彼が…・・フェリックスが
生きていてくれますように。お願いよ)
彼女は心の中で強く思いました。
そうして、この経験が初めてではない事に気が付いていました。
フェリックスは、病弱な幼子でした。
分娩の時から始まって、大きな病を乗り越えるたびに、いつも、そう、彼女は祈っていました。
ケインが彼女をかばって、超人悪党共によって殺された時、彼女は生きる希望を失っていました。
その時、奇跡が起こりました。
彼女は彼の子供を妊娠していたのです。