俺が小さいころから、母親は自宅から1駅ほど離れた所に住む男の家に家事などの世話をしにいっていた。

父も母も何もその事についてなにも言わなかったが、母は週に2回、夕方から翌朝までその男の家で家事などをしていた。
朝はその男が母親を車で自宅まで送ってくれる。その時に男は俺にお菓子や流行りの玩具やゲームをプレゼントしてくれた。

俺はプレゼントをくれる優しい男が大好きだった。

ただ大きくなるにつれ何かおかしいと思うこともあった。
父親は祖父の代からの工場を経営している。従業員も多くはないはずだが帰りは早い。仕事が少ないのかと思ったら我が家は生活に困ること1度もなかった。

そして、母は昔と変わらず男の家に家事などの世話をしにいく。化粧をして俺の入学式や卒業式で着ていたような服を見に纏い男の家に行くのだ。

そして翌朝、母は男と共に帰ってくる。雑誌やテレビでしか見ないような高級車に乗って…
車から降りる母は服装こそ同じだが疲れた顔をして帰ってくる。シャンプーの香りを纏わせながら

そして男は俺にプレゼントをくれる。
昔とは違いコソコソとお小遣いをくれる。
おかしいと思っていてもお小遣いをくれるおじさんには何も聞けない。