姉の彼氏なぞ微塵も興味はないが、彼氏の方が是非とも会いたいということで、家族団欒の場に臨むことになった。

昼を少し過ぎたあたり、父より先に姉と彼氏が我が家にやってきた。母から呼ばれそそくさと挨拶をすませ席に着く。
姉は昨日の夜から居なかったつまり昼帰りということになる。

それが許されるのは母は姉の彼氏を以前紹介されたというのが理由なのか。それとも母の中にある罪悪感が姉を咎められないのか、俺には判断がつかないことであった。

話してみると姉の彼氏は気さくないい人であった。金髪の頭の印象とは遠い誠実で真面目な人だった。こんな人が兄さんになるのなら悪くないなと思うほど俺は姉の彼氏に好感を持つことができた。

母と姉は昼食の準備をするため席を立ち2人でキッチンの方へ向かった。俺は姉の彼氏とゲームや車、学校のことを話した。男同士の家族の会話をあまり経験したことのない俺にとって新鮮であり楽しいものであった。

姉の彼氏は俺の耳元で「塾サボったらダメだよ」囁いた。
俺がサボったのは母の浮気を目撃した時だけ。そちらに夢中で俺には気づかなかったがバッチリ目撃されたらしい。彼氏は勝ち誇った顔で「2人の秘密な」と笑った