■受賞作講評

■新人賞

「恩返しさせてください」(Y.Sさん)

 子持ち未亡人、未亡人兄嫁、未亡人教師、という三人の未亡人が、少年に「恩返し」を施していくという誘惑小説。
 お風呂、アナル、パイパン、口紅、専用風俗嬢、など、それぞれのヒロイン独自のシチュエーションを用意するなど、読者を飽きさせないサービス精神に唸らされた。
 ただ「恩返し」というテーマで作品に統一感はあったものの、どれも似た展開で構成されていて(少年に女性が感謝、そのあと濡れ場)、単調な展開すぎるという印象を抱いた。だが、弊社レーベルの熱心な読者だということが随所に感じられる好篇であった。
 異例の早さではあるが、5月刊の刊行が決定した。現在の原稿をブラッシュアップしていけば、必ずやフランス書院文庫読者の琴線に響く作品になるだろう。今後の大きな飛躍を期待してやまない。