昨年の春、偶然成人コーナーで見かけた、とある雑誌に、
今思えば抗えない引力に引き込まれるように目が写っていった。
ラベルを見た。そこには「快楽天6月号」と。
表紙は季節を意識したかのような暖かい暖色、表紙を飾るヒロインは決して安い猥雑ではなく
ふっくらしていてこちらを癒すような優しい眼差し、艶やかさ、暖かさに満ち、そして何より美しい曲線美をかもし出していた。
それを見たとき私の中で何かが弾け、気づけばその本をレジに渡していた。
自宅に着き、私は表紙を見つめ続けた。

私はテープを剥がした。
「ヒメゴトハニートラップ」表題にはそう記してあった。1ページ1ページどこも見逃すまい
とし、内容を追った。最後まで見た。

気がつくと、私の周囲は丸めたティッシュペーパーで埋め尽くされていた。幾つあったろう?
満タンのティッシュの箱がすっかり空寸前となっていた。
まだだ、まだと最初のページに戻るが陰茎が限界にきており、果てるまでには行かなかった。
また、明日にしようと最終ページを見ると「おかわり、する?」と。
私はそこに真実・絶対を見た。私にとってそれは、今まで銀だみ・灰色に染まった世界にたった一つ存在した
真実だったのだ。

あれから1年半。本作が掲載されている求愛エトランゼ・ならびに快楽天2018年6月号は
静かに私の部屋の片隅に輝き続けている。