唯子は「ごめんなさい」は暁人にも言った。しかし暁人は出て行かなかった。
暁人は子供らしく信じられないと食い下がった。あの時、唯子は愛されてると思ったから酷いことも言えたんだと思う。この子なら今の自分を受け入れてくれるだろうと。だって血の繋がった親子はどんな形になったって親子なんだから。

でも暁年は違った。会話もせず卍との関係を一方的に納得し出ていってしまった。
唯子はただ会話をしたかったんだと思う。
しかし唯子は会話すら許して貰えなかった。

「ごめんなさい」の一言は、家を守れなかったこと、家族を裏切ったこと、他の人を愛してしまったこと、言い訳も出来ないすべてが露呈したことについてを含んだ精一杯の謝罪なんだと思う。