ロミリエ「わたくしにとって敵なのは、あなたの名前だけ。たとえクオルデンツェ家の人でいらっしゃらなくても、あなたはあなたのままよ。
クオルデンツェ――それが、どうしたというの? 手でもなければ、足でもない、腕でもなければ、顔でもない、他のどんな部分でもないわ。
ああ、何か他の名前をお付けになって。名前にどんな意味があるというの?
バラという花にどんな名前をつけようとも、その香りに変わりはないはずよ。
ウィルク様だって同じこと。ウィルク様という名前でなくなっても、あの神のごときお姿はそのままでいらっしゃるに決まっているわ。
ウィルク様、そのお名前をお捨てになって、そして、あなたの血肉でもなんでもない、その名前の代わりに、
このわたくしのすべてをお受け取りになって頂きたいの」