四:07-06.マナさんと母屋を離れて…/彩画堂
地方の屋敷で一回り以上歳の離れた従姉妹と肌を重ねるエロティック伝奇ホラー。
脳梗塞で倒れた父の入院費を賄うため親族の元を訪れた青年は、
見返りに要求された従姉妹を抱き子を成せと言う言葉に常識を疑うもすべなく受け入れる他なかった…。
著者が過去に双葉社において連載していた作品群とはかなり趣の異なる作品で、
舞台を地方の田舎に移し隔離された村社会がもつ独自の観念の大地主たちの思惑に徐々に巻き込まれていく伝奇ホラーもの。
しかし浮世離れした性倫理を持ったキャラクターが主人公から常識的な考えを奪っていくと言う展開は、
著者が過去の作品で幾度も題材としていたテーマでありそれを舞台を換えただけと言うこともできる。
相手となる女性は従姉妹と言うにはかなり歳の離れた年齢で主人公は当初伯母と思っていたほど。
主人公は華奢な体格で彼女よりも背が低いので姉ショタの構図になっている。
隔離された農村で常軌を逸した村民が毎夜怪しげな行動を取るという類のストーリーはエロ界隈でも見られる趣向だが、
物語の核心にあるのが異教や土着信仰であったりするが本作ではそういったオカルティックなものは扱っていない。
その代わりにあるのが先の大戦後に激変した日本の社会情勢である。
占領軍による統制であったり農地解放による地主制度の撤廃が何を地方にもたらしたのかが視覚的に分かりやすく描かれ、
農業職者の高齢化や地方の過疎化といった問題の根源的原因が見えてきてハッとさせられる。