喜びに有頂天のニケルだが、母親エリーナは至って自然体であった。
「そうだ。っで、母さんはどうだったの?」
「ん?わたし?ニケルがマリーさんを選んだ時点で選択枝ないでしょ。」怒る訳でも無く淡々と話す母親。
「と、いう事はアレク?」恐々と聞き返すニケル。
「まあ、そう言う事になるわね。」テーブルを拭きながら普通に答えるエリーナ。
自分達の策略が効いたかどうかわからないが、結果的に望む通りになった。
「嫌だった?」心配そうに尋ねるニケル。
「んーん全然。嫌だったら他の子選ぶわよ。アレクは良い子だし問題無いわよ。」その時初めて笑顔になった。
「良かった〜。でも、他に選ぶ子いたんだね?」
「えっ、ん〜ま〜ね〜。」軽くはぐらかすエリーナ。
後から聞くと母親を指名した少年は7人もいたらしい。
(お前の母親の価値を全く分かって無いよな)
アレクの言葉を思い出した。

一週間後、街の儀式が行われた。
この日より順次、宿主の排卵の時期に合わせて少年達は各々街の施設へと向かって旅立っていく。