「じゃあ、そろそろ、行きましょうか?」マリーがニケルに声を掛けた。
ニケルは頷いて二人並んで細い小道を歩き出した。
ニケルはアレクに「自分の事しか・・・」と言ってたがそれは自分も同じだった。
並んで歩く少し背の高い女性とのこれからの生活に胸躍らせているのは自分も変わらない。
そして、今夜、マリーと一つになる事を想像して。
アレクが大声で叫んだのを見て振り向くとアレクはガッツポーズをしていた。
ニケルに対するエール。
エリーナは掌を小さく振って別れを告げていた。
その顔は寂しさを秘めた別れの笑顔だった。
それから度々後ろを振り返ったが母親はこちらをずっと見送っている。
(暫く母さんに会えないのか・・)ニケルの中にも寂しさが込み上げてくる。
最初の曲がり角で最後の別れをしようと思った時、ニケルは心のざわめきを感じた。
母親とアレクは既にこちらを見てはおらず、二人向かい合って何かを話しているようだった。
後から考えるとこの瞬間に母親とアレクの二人の世界が築かれたんだと思った。
程なくしてアレクは自分の母親に精液を流し込むであろう。
今夜、自分がマリーにするように。
その前には母親の身体を堪能する楽しみも待っている。
向かい合って話す母親の思いは分からないが、アレクの頭の中は母親をどう犯そうかと考えている。
向かい合う二人の姿は正に凸と凹。
いくら年上の身だからと言っても、母は女性で常に受ける側の身。
やがて立場は逆転し若い性に翻弄される立場に変わりなる。
ニケルが母親の行く末を案じた別れであった。