ニケルとアレクは幼い頃からの友人である。
体格も身長もアレクが少し大きいくらいで性格はニケルが几帳面で真面目。
アレクは勝ち気で喧嘩っ早いが、曲がった事が嫌いな熱血漢と言った方が良いかもしれない。
時には二人喧嘩もする事があったが、1時間もすればお互い忘れた様に一緒にいる親友だった。
細かい事には拘らない性格が二人を親友にさせているのかもしれない。
成人の義が近づく頃になると16才になる少年の関心事は宿主を誰にするかに集中する。
ニケルとアレクも例外ではない。
ある日、アレクが宿主の話を持ち出してきた。
「ニケル、怒らないで聞いてくれるか?」
「ん?」
「実は、・・・」アレクは言い辛そうに口ごもる。
「何だよ。はっきり言えよ。」
「うーん。実はな・・俺、宿主にお前の母親を指名しようと思ってるんだ。」
ドキっとした。
今までに成人の義の話をする事はあったが、アレクが自分の母親の事に触れた事は一度もなかった。
そんな素振りも見せた事は無かったので、いきなり母親の事を告げられて面食らってしまった。
「えっ、何でそうなるんだよ。」
ニケルにとっては拒否感と言うより予想外の展開に戸惑ってしまった。
「怒るなよ。俺も色々悩んだんだ。俺、ニケルの母さんにずっと憧れてたんだ。」
「お前、そんな事、今まで一度でも言った事あるか?」
ニケルはアレクの突然の告白が信じられないでいた。