「どうしたんだ?」
「いやな、競争率が半端無さそうなんだよ。」
「えっ?どういう事?」
「俺の調査によるとだな、お前の母親は結構人気あんだよな。俺の他にも何人かは指名するって話だ。」
「えっ?そうなの?」ニケルはあっけにとられる。
「っとにお前ってヤツは?お前の母親の価値を全く分かって無いよな。」
「へ〜、そうなんだ?」
「そうなんだじゃねえよ。お前には許しを得ても、エリーナさんが俺を選んでくれなきゃ意味ねーしな。」
「まあ、そうだなww」半笑いを浮かべ他人事の様にアレクを揶揄うニケル。
「あーあ。そうなったら最悪だよ。エリーナさんじゃ無きゃ、もう誰でも良いわ!!」半ばやけくそ気味のアレク。
「ニケルが俺押しやってくれたらな?」アレクが何気に吐いた言葉にニケルは素早く反応した。
「まあ、やらない訳ではないけどな。」その言葉にアレクは驚いた。
「ホントに?」
「ああ、その代わり、俺もお前の母親を指名して良いか?」返って来た言葉に目を丸くするアレク。
流れの経緯上、アレクの言葉に乗る形にはなったが、実は本来、ニケルが持ち掛けようか悩んでた提案だった。
性を意識し始めた時から宿主はマリーだと決めていた。
ニケルに性を意識させたのは他でも無いマリーだったから。
ニケルにとって異性の象徴はアレクの母親マリー本人だったのだ。
でも親友の母親を宿主に指名すると言うのは勇気がいる事だ。
それをアレクが切り出してくれたのだからニケルにとっては渡りに船だ。
「ホントに俺の母親で良いのか?」アレクが聞き返す。
「ああ、構わないよ。その代わり俺もお前の希望をサポートするよ。」
「お互い共同戦線を張ろうぜ。」
こうして二人の密約が決まったのだ。