【小説NON】夢枕獏・妖獣王【スピリッツ】
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夢枕獏が1984年から1986年にかけてビッグコミックスピリッツで連載していたものの
長らく中断していた、エキサイティングノベル「妖獣王」に関して語り合うスレです。
「妖獣王」はこの度めでたく小説NONで再開されました。
「妖獣王」以外でも、夢枕獏作品のエロ描写などの話題もOKです。
・夢枕獏 公式サイト「蓬莱宮」
http://www.digiadv.co.jp/baku/
・夢枕獏 公式ブログ「酔魚亭」 ※最新情報はこちらから
http://www.yumemakurabaku.com/
・夢枕獏 公式Twitter「夢枕獏事務所 」
https://twitter.com/yumemakura_baku とりあえず自分がラノベ版の夢枕獏スレで行っていた「妖獣王」のビッグコミックスピリッツ版と
小説NON版との比較をここで行っていきたいと思います。 ではとりあえず比較していきたいと思います
皆さんが入手しやすい小説NON版からまず抜粋して
それとの比較でスピリッツ版を抜粋するという方式でやって行きたいと思います
NON版は(N)スピリッツ版は(ス)と表示します
(N)6ページ
序章 けものへん
一
(ス)
序章 けものへん@
壱
※@は(ス)での連載形式の関係上付けられた物です。
(N)6ページ上段3行目
山には、魔性のものが棲んでいる。
ーその魔性のものに、自分は憑りつかれたのだ。
(ス)
山には、魔性のものが棲んでいる。
ーその魔性のものに、おれは憑りつかれたのだ。
※さらに(N)では「もの」の横に付けられている「、」が(ス)ではないです。
(N)6ページ下段3行目
日本では第十四位、南アルプスでは第六位の高峰である。
(ス)
日本では第十五位、南アルプスでは第七位の高峰である。
(N)6ページ下段6行目
頂は、風雨にさらされた古い岩峰である。
(ス)
頂は、風雨にさらされた岩稜である。 (N)8ページ上段2行目
周囲のどの山から入るにしても、尾根伝いでも1000メートル以上の標高差がある。
(ス)
周囲のどの山から入るにしても、尾根伝いでは1000メートル以上の落差がある。
(N)8ページ上段8行目
静岡県から鬼首岳に入るには、その尾根伝いの標高差のある縦走コースしかない。
そのコースをとった場合、東京を起点とすると、もよりの交通機関を使って、
鬼首岳の頂に立つまで三日かかる。
(ス)
静岡県から鬼首岳に入るには、その尾根伝いの落差のある縦走コースしかない。
そのコースをとると、東京を起点とすると、鬼首岳の頂に立つまで三日かかる。
(N)8ページ上段13行目
頂上を踏めても、帰るのにさらに二日から三日は必要になる。
(ス)
※スピリッツ版ではこの表記はないです。
(N)8ページ上段15行目
山梨県側からの、尾根続きのコースでも、似たような日数がかかる。日曜や祝日を利用しての
二泊三日の登山では、きつい。
(ス)
山梨県側からの、尾根続きのコースでも、似たようなものだ。日曜や祝日を利用しての
登山では、きつい。
(N)8ページ上段24行目
つまり、登山者は、その分だけ、食料や寝袋を自分の肩や脚で担がねばならないということになる。
(ス)
つまり、その分だけ、食料や寝袋を自分の肩や脚で担がねばならないということになる。
※さらに「寝袋」には「シェラフ」のルビが付いてます。 (N)8ページ中段7行目
さらに曲がりくねった林道を三時間近く走る。そのバスの終点から、足の速い者が休まずに歩いて、
約十時間半で、鬼首岳の頂上である。
(ス)
さらに曲がりくねった林道を二時間近く走る。そのバスの終点から、足の早い者が休まずに歩いて、
約八時間半で、鬼首岳の頂上である。
(N)8ページ中段13行目
鬼呼沢は、鬼首岳の中では、最も懐が深く、頂の喉元近く、頂上直下までその沢が入っているのである。
(ス)
鬼呼沢は、鬼首岳の中では、最も懐が深く、頂の喉元近く、頂上直下までその刻みが入っているのである。
(N)8ページ中段19行目
鬼首岳の山麓である。
(ス)
※スピリッツ版ではこの表記はないです。
(N)8ページ中段20行目
もともとは地元の猟師が、狩猟の時に小屋がけをして、そこを基点にして猟をしていたものだ。
(ス)
地元の猟師が、狩猟の時に小屋がけをして、そこを基点にして猟をする。
(N)8ページ中段24行目
その小屋を借り、自分で改造して山小屋に変えたのが、沢村の小舎であった。山用の地図では、
有人の印である黒く塗り潰した小舎のマークが記されているのみである。
(ス)
その小屋を借り、自分で改造して山小屋に変えたのが、沢村の家であった。山用の地図では、
有人の印の黒く塗り潰した小舎のマークが記されているのみである。 (N)8ページ下段8行目
薄い蒲団が十人分くらいは用意してあるが、客が、蒲団の数より多くなる時は、
年に何度あるかどうかである。
(ス)
薄い蒲団が十人分くらいは用意してあるが、それ以上の時は、年に何度あるかどうかである。
(N)8ページ下段15行目
電気は、来ていない。
(ス)
電気は、来ない。 (N)9ページ上段5行目
しかし、沢村がそこで暮らすようになったのは、金が目的ではない。
(ス)
しかし、沢村がそこに小舎を建て、暮らすようになったのは、金が目的ではない。
(N)9ページ上段7行目
山で暮らしたかったからである。
(ス)
単純に、山で暮らしたかったからである。
(N)9ページ上段8行目
都会に馴染めなかった。
(ス)
※スピリッツ版ではこの表記はないです。
(N)9ページ上段9行目
山に入り、山で山の一部になったような生活を送ることが、沢村の学生時代からの望みだった。
(ス)
山に入り込み、山で山の一部になったような生活を送ることが、沢村の学生時代からの望みだった。
(N)9ページ上段14行目
わざわざ、奥の深い、めったに人の来ない場所を選んだ。
(ス)
わざわざ、奥の深い、めったに人の来ない場所を選んでのことである。
(N)9ページ上段14行目
しかし、長い間、山に独りでいると、自分の頭がおかしくなっているのではないかと思えることがある。
(ス)
長い間、山に独りでいると、自分の頭がおかしくなっているのではないかと思えることがある。 (N)9ページ中段2行目
一日じゅう何事かを、
(ス)
一日中何ごとかを、
(N)9ページ中段8行目
夜、何者かと、しきりと会話している自分に気づいたりもする。誰かが質問し、それに自分が答えている。
それに気づいた途端、その何かは見えなくなってしまっている。
(ス)
夜、何者かと、しきりと会話をしている自分に気づいたりもする。誰かが質問し、それに自分が答えている。
それに気づいた途端その何かは見えなくなってしまっている。
(N)9ページ中段16行目
自分が、ようやくその一部として山に同化しつつあるのかと思う。
(ス)
自分が、ようやく山の一部として同化しつつあるのかと思う。
(N)9ページ中段18行目
山と対話をしているうちに、どんどん自分にまとわりついていた人としての衣が引きはがされ、
自分の肉の中に隠されていたものが、どんどん露わになる。
(ス)
山と対話をしているうちに、どんどん自分の衣がひきはがされ、
自分の肉の中に隠されていたものが、どんどん露わになる。
(N)9ページ中段23行目
それを呼吸しながら眠るうちに、この三年で、山の魔性が自分の内部に溶け込んでしまったのだ。
(ス)
それを呼吸しながら眠るうちに、山の魔性が自分の内部に溶け込んでしまったのだ。 (N)9ページ下段3行目
いや、その魔性は、山ではなく、人の、自分の肉の奥に潜んでいたものなのかもしれない。
その魔性を、人の肉の中から、引きずり出してしまう作用が、山にはあるのだ。
(ス)
いや、その魔性は、山ではなく、人の、自分の肉の奥に潜んでいるのかもしれない。
その魔性を、人の肉の中から、ひきずり出してしまう作用が、山にはあるのだ。
(N)9ページ下段8行目
そう思う。
(ス)
※スピリッツ版ではこの表記はないです。
(N)9ページ下段9行目
毎日、山の中で孤独を噛んで過ごしているうちに、牙が尖り、肉の中がぎっしりと人間ではないもので
満たされてしまったような気もする。
(ス)
毎日、山の中で孤独を噛んでいるうちに、牙が尖り、肉の中がぎっしりと人間ではないもので
いっぱいになってしまう。
(N)9ページ下段13行目
毎年、毎年、自分がどんどん人間でないものになってゆくような気がしている。
だから、今、自分は、おそろしいことをしようとしているのだ。
(ス)
※スピリッツ版ではこの表記はないです。
(N)9ページ下段22行目
ねちゃねちゃしたねばいものが、そこの粘膜に張りついていた。呼吸をする度に、
息が肺と喉を擦りあげる。
(ス)
ねちゃねちゃした糊のようなもので、その粘膜が張りついていた。呼吸が、肺をこすりあげる。 (N)10ページ上段7行目
客であり、しかも独りである。
(ス)
しかも独りである。
(N)10ページ上段12行目
女がいけないのだ。男が、おれひとりしかいないとわかっているのに、連泊するなんて。
おれは悪くない。
昨晩は、なんとかがまんしたのだ。
(ス)
※スピリッツ版ではこの表記はないです。
(N)10ページ上段21行目
沢村の股間のものが、硬く膨れあがり、
(ス)
沢村の股間のものが、堅く膨れあがり、 (N)10ページ中段2行目
さらにその後方の床に、ジーンズが落ちている。歩きながら脱いだのだ。
(ス)
さらにその後方の床に、ジーンズが落ちている。
(N)10ページ中段10行目
ごつい上半身には、何年も着込んだ、山用のシャツ一枚を着ているだけである。
(ス)
ごつい上半身には、何年も着込んだ、カッターシャツ一枚を着ているだけである。
(N)10ページ中段16行目
頭の中でざわざわと蟲が騒いでいた。
(ス)
闇の中でざわざわと森が騒いでいた。
(N)10ページ中段17行目
ドアのノブに手をあて、ゆっくりとそれを回す。
(ス)
ドアのノブに手をあて、ゆっくりとそれをまわす。
(N)10ページ中段22行目
終りかけてはいるが、まだ夏といってもいい時期だ。しかし、寒い。寒いのに汗をかいている。
(ス)
真夏だというのに寒い。寒いのに汗をかいている。 (N)10ページ下段11行目
闇の中から、女の肉の温度が伝わってくる。
(ス)
※スピリッツ版ではこの表記はないです。
(N)10ページ下段24行目
二日前、たった独りで、この小舎にやってきた女であった。
(ス)
今夕、たった独りで、この小舎にやってきた女であった。 (N)11ページ上段16行目
その唇が、白い飯を口に含み、動くのを、ランプの炎の下で、沢村は見ている。
(ス)
その唇が、白い飯を口に含み、動くのを、赤いランプの炎の下で、沢村は見ている。
(N)11ページ上段19行目
ウエストの締まった女だった。
(ス)
腰の締まった女だった。
(N)11ページ中段2行目
あの唇にー
あの尻にー
おもいきり……
(ス)
あの唇にー。
あの尻にー。
おもいきり……。
(N)11ページ中段7行目
瘤のように股間のものが膨れあがっていた。
(ス)
瘤のように股間のものがふくれあがっていた。
(N)11ページ中段16行目
かたちの良い鼻を通り抜ける呼吸音。
(ス)
かたちの良い鼻の通り抜ける呼吸音。 (N)11ページ下段4行目と5行目の間
(ス)
横になって膝を曲げていた。
※スピリッツ版ではあったこの表記がNON版では削除されてます
(N)11ページ下段8行目
女は、起きていた。
闇の中で、大きく眸を開いて、沢村を見あげていた。
その黒い大きな瞳に、月光が青く映っていた。
沢村がおおいかぶさるより早く、女が、下からしがみついてきた。
(ス)
ほんの一瞬、女は、それまで眠っていたその姿勢を保っていた。
女が悲鳴をあげたのと、沢村が襲いかかったのと、ほとんど同時であった。
(N)11ページ下段15行目
二
(ス)
弐
(N)11ページ下段16行目
女は、もう、喘いでいた。
(ス)
いつか、女が喘ぎ始めていた。
(N)11ページ下段18行目
まさか、自分を待っていたのか!?
どっちでもいい。今はそんなことを考えている時じゃない。
(ス)
それでも、かたちだけの抵抗を続けている。 (N)12ページ上段10行目
沢村は、残った一方の手で、女の手首を握り、強引に自分の股間まで引きよせた。女の白い指が、
沢村の硬い肉の瘤に触れた途端、
「ああー」
沢村のそれを指がつかんできた。
強く握った。
もう一方の女の腕が、沢村の首に回された。沢村を握った手が上下に動く。
(ス)
沢村は、残った一方の手で、女の手首を握り、強引に自分の股間にひいた。女の白い指が、
沢村の硬い肉の瘤に触れた途端、女の抵抗が止んだ。
「ああー」
沢村のそれに指をからめた。
強く握ってきた。
もう一方の女の腕が、沢村の背に回された。沢村を握った手が上下に動く。
(N)12ページ上段22行目
しかし、その回数は、片手の指で数えられるほどの哀れな数でしかない。
女の数ではない。抱いた回数だ。
(ス)
女を抱くのは、むろん、初めてではない。
しかし、数えるほどの哀れな数でしかない。 (N)12ページ中段5行目
これならば、まだ、自分の手で自らを慰めてやる方がましであった。
(ス)
これならば、まだ、自分の手で自らを慰めてやる方がマシであった。
(N)12ページ中段5行目
敏感な肉の芽が、沢村の指の腹に当っている。
(ス)
敏感な肉の花粒が、沢村の指の腹に当って、小刻みに動く。
(N)12ページ中段19行目
沢村に憑りついたのと同じ狂気が、女にも乗り移っていた。
(ス)
沢村に憑りついたのと同じ狂気が、女にものり移ったようであった。 (N)12ページ下段5行目
”やっておる”
どこかで、しわがれた声が言う。
(ス)
”やっておる”
しわがれた声が言う。
(N)12ページ下段7行目
”入れておる”
(ス)
”いれておる” (N)13ページ上段5行目
荒い呼吸の塊を、沢村が吐き出した。
(ス)
荒い呼気の塊りを、沢村が吐き出した。
(N)13ページ上段9行目
”もどってくる”
(ス)
”戻ってくる”
(N)13ページ上段20行目
”必ず、な”
”必ず、よ”
(ス)
※スピリッツ版ではこの表記はないです。
(N)13ページ上段22行目
沢村が、脱力して女の身体に自分の体重をあずけた。
(ス)
沢村が、肘を折って、女の身体に自分の体重をあずけた。
(N)13ページ上段24行目
女が、下から、両腕を沢村の首に回した。
(ス)
女が、下から、両腕を沢村の背に回した。 (N)13ページ中段2行目
女は、その鼻孔と唇から、まだ、愉悦の余韻を吐き出している。
(ス)
女は、その鼻孔と唇から、まだ、愉悦と余韻を吐き出している。
(N)13ページ中段7行目
耳には聴こえぬ声ではない声が、ゆっくりと小さくなってゆく。
(ス)
耳には聴こえぬ声ではない声が、ゆっくりと小さくなってゆく。
(N)13ページ中段12行目
山の静寂がしんしんと小舎を押し包んできた。
(ス)
山の静寂がしんしんと小屋を押し包んできた。
※スピリッツ版第1回分はここまで それでは再開します。スピリッツ版第2回に当たる部分です。
(N)13ページ中段13行目
三
(ス)
参
(N)13ページ中段15行目
たちまち山麓まで駆け下りてきた。
(ス)
たちまち山麓まで駆け降りてきた。
(N)13ページ下段3行目
鬼首岳の頂に近い山頂から、赤と黄の斑模様の血があふれ、
(ス)
鬼首岳の頂に近い山麓から、赤と黄のだんだら模様の血があふれ、
(N)13ページ下段9行目
山の胸元から肉をほじっていった痕のようであった。
(ス)
山の胸元から肉をほじっていった跡のようであった。
(N)13ページ下段13行目
空を見あげていた。
(ス)
空を見上げていた。
(N)14ページ上段2行目
小さく膝が覗いている。
(ス)
小さく肌が覗いている。
(N)14ページ上段3行目
両袖を肘までまくったシャツも、
(ス)
両袖を肘までまくったカッターシャツも、
(N)14ページ上段12行目
そうして空を見あげているのか、
(ス)
そうして空を見上げているのか、
(N)14ページ上段14行目
風に梢を揺らしているような錯覚さえ覚えている。
(ス)
風に梢を揺らしているような錯覚さえおぼえている。
(N)14ページ上段17行目
できるだけ薪を作っておかねばならないのだが、
(ス)
できるだけ薪を造っておかねばならないのだが、
(N)14ページ上段22行目
冬の寒さはそれほど変わりはない。
(ス)
冬の寒さはそれほどかわりはない。 (N)14ページ中段15行目
いうわけでなはい。
(ス)
いうわけではない。
(N)14ページ中段16行目
正確には、今年の夏の終わり頃からであった。
(ス)
正確には、今年の夏からであった。
(N)14ページ中段21行目
前の晩のことについては、ひと言も触れなかった。沢村には、前夜のことが、現実ではない
夢のできごとのように思えた。
(ス)
昨晩のことについては、ひと言も触れなかった。沢村には、昨晩のことが、現実ではない
夢のできごとのように思えた。 (N)14ページ下段1行目
山の魔性がふたりに憑りつき、
(ス)
山の魔性がふたりに取り憑き、
(N)14ページ下段11行目
意識だけでその記憶を辿ると、闇の中に見た朧な夢の彩りのように遠いものが、
(ス)
意識だけでその記憶をたどると、闇の中に見た朧な夢の彩のように遠いものが、
(N)14ページ下段23行目
重く淀んだ澱のような臭い。
(ス)
重く淀んだ澱のような匂い。
(N)14ページ下段24行目
植物や虫や獣の臭い。
(ス)
植物や虫や獣の匂い。 (N)15ページ上段6行目
沢村は、ふいに、その視線を感じ取っていた。
(ス)
沢村は、ふいに、その視線を感じていた。
(N)15ページ上段20行目
山の内臓が、そこにどろどろともつれ合っているようである。その暗い内臓の奥から、
何ものかが自分を見つめている気配があった。
(ス)
山の内臓が、そこにどろどろともつれあっているようである。その暗い内臓の奥から、
何者かが自分を見つめている気配があった。
(N)15ページ中段20行目
あの晩以来、時おり自分の周囲に感ずるあの視線である。
(ス)
夏以来、時おり自分の周囲に感ずるあの視線である。
(N)15ページ下段12行目
何気ない風や、
(ス)
何げない風や、
(N)15ページ下段22行目
そうして後を追っていくうちに、山の奥深い懐に誘い込まれ、山に囚われてしまうのだと
思う。いや、山に喰らわれ、人知れぬ森の岩影で、山の吐き出す胃液に肉体を溶かされ、
とろとろと山に消化されてゆくのだ。
(ス)
そうして後を追っていくうちに、山の奥深い懐に誘い込まれ、山に捕らわれてしまうのだと
思う。
いや、山に喰らわれ、人知れぬ森の岩影で、山の吐き出す胃液に肉体を溶かされ、
とろとろと山に消化されてゆくのだ。 (N)16ページ上段7行目
眼球に至るまで山に喰らわれ、
(ス)
眼球に至るまで山に啖らわれ、
(N)16ページ中段10行目
毛のない皺だらけの猿
(ス)
毛のない猿
(N)16ページ中段22行目
沢村を見あげていたのである。
(ス)
沢村を見上げていたのである。
(N)16ページ下段11行目
その耳に捉えていた。
(ス)
その耳に捕えていた。 (N)16ページ下段21行目
十一月十九日ー
(ス)
十一月十九日ー。
(N)17ページ上段15行目
祥子に重い荷物を担がせるわけにはいかなかった。
(ス)
祥子に重い荷を担がせるわけにはいかなかった。
(N)17ページ上段18行目
祥子の腹の中にいるのは、
(ス)
祥子の腹の中に居るのは、
(N)17ページ中段3行目
その日から、ふたりの山での生活が始まった。
(ス)
その日から、ふたりの山での生活が始まった。
(N)17ページ中段19行目
一見、都会風に見える祥子だったが、すぐに山の生活に馴染んだ。
(ス)
一見、都会風に見える祥子は、すぐに山の生活に慣じんだ。
(N)17ページ中段24行目
式をあげるのも籍を入れるのも、それは下界でのルールであった。山には山のルールがある。
いや、自分と祥子のルールだ。
(ス)
式をあげるのも籍を入れるのも、それは下界でのルールであった。山には山の自然なルールがある。 (N)17ページ下段4行目
そのルールに自然に従って、自分たちは一緒になったのだと、沢村は思っていた。
(ス)
そのルールに自然に従って、自分たちは一緒になったのだと、沢村も祥子も思っていた。
(N)17ページ下段19行目
歩いている沢村の股間が立ちあがってくる。
(ス)
歩いている沢村の股間が立ち上がってくる。
(N)17ページ下段21行目
そのこわばりのため、歩きにくいほどであった。
(ス)
そのこわばりが、歩きにくいほどであった。 (N)18ページ上段1行目
男が、ひとりの女をここまで自由にしていいのかとも思う。
(ス)
男が、ひとりの女をここまで自由にしていいのかと思えるほどであった。
(N)18ページ中段1行目
祥子は、自分よりも若い。
(ス)
祥子は、自分よりも遥かに若い。
(N)18ページ中段9行目
背負子のベルトが肩に喰い込んでくる。
(ス)
背負子のベルトが肩に喰い込んでいる。
(N)18ページ中段10行目
どんどんと、あたりが暗くなってくる。
ヘッドランプを点けた。
灯りを点けると、さらに闇は深くなったようであった。
(ス)
※スピリッツ版ではこの表記はないです。
(N)18ページ中段16行目
地面に降り積もった落ち葉が、
(ス)
地面に降り積もった落葉が、
(N)18ページ中段24行目
その雪は春まで残る可能性が充分にある。
(ス)
その雪が春まで残る可能性が充分にある。 (N)18ページ下段6行目
腹の子のためを思えば、次の雪が降る前に、山を下った方がいいに決まっている。
(ス)
腹の子のためを思えば、根雪が残る前に、山を下った方がいいに決まっている。
(N)19ページ上段6行目
沢村が見あげると、ヘッドランプの灯りの届かない遥か頭上の風に揺れるブナの梢の中で、
黒いものが、動くのが見えた。
(ス)
沢村が見あげると、遥か頭上の風に揺れるブナの梢の中で、黒いものが、動くのが見えた。
(N)19ページ上段11行目
むろん、それは猿ではなかった。
(ス)
むろん、これは猿ではなかった。
※スピリッツ版第2回分はここまで スピリッツ版第3回に当たる部分です。
(N)19ページ上段13行目
猿でなければ何かー
(ス)
猿でなければ何かー。
(N)19ページ上段15行目
切り株の上に座って、
(ス)
切り株の上に立って、
(N)19ページ上段19行目
何かの生き物が棲息しているのかもしれない。
(ス)
何かの生き物が棲息しているのかも知れない。 (N)19ページ中段1行目
絶滅したはずのニホンオオカミを目撃したという人間もいる。
(ス)
絶滅したはずの日本オオカミを目撃したという人間もいる。
(N)19ページ中段3行目
山のどこかに、そういった生き物ばかりが棲む場所へ通ずる入口があって、そこから、
時おり、奇妙なものたちが人を化かしに出てくるのかもしれない。
(ス)
山のどこかに、そういった生き物ばかりが棲む場所へ通ずる、女陰のような入口があって、
そこから、時おり、奇妙なものたちが人を化かしに出てくるのかもしれない。
(N)19ページ中段12行目
梢には、葉がほとんどなくなっていた。
(ス)
梢には、葉がほとんど無くなっていた。
(N)19ページ中段19行目
梢にうずくまったそいつが、
(ス)
梢にうずくまったそれが、
(N)19ページ中段22行目
そいつが、
※そいつの横に傍点
(ス)
それが、
※それの横に傍点 (N)19ページ下段4行目
それが生き物であるとはわからなかったかもしれない。
※それの横に傍点
(ス)
それが生き物であるとはわからなかったかもしれない。
※それの横に傍点なし
(N)19ページ下段6行目
下から、沢村がそいつを見あげているように、梢の上から、そいつが沢村を見下ろしている。
その黒いものの眼が見えるわけではない。視線を感ずるのである。
(ス)
下から、沢村がそれを見あげているように、樹の上から、それが沢村を見下ろしている。
それの眼が見えるわけではない。視線を感ずるのである。
※それの横に傍点 (N)19ページ下段14行目
濃くなってゆく闇の中に伸びあがった。
(ス)
たち込めかけた闇の中に伸びあがった。
(N)19ページ下段18行目
山の内深く根を這い込ませた樹々が、
(ス)
山の肉深く根を這い込ませた樹々の根が、
(N)19ページ下段21行目
声と共に闇が吐き出されているのだ。
※声の横に傍点
(ス)
声と供に闇が吐き出されているのだ。
(N)19ページ下段23行目
沢村の背に、無数の虫が這い回っているような感触があった。
(ス)
沢村の背に、無数の虫が這いまわっているような感触があった。 >>35での訂正
(N)19ページ下段21行目
声と共に闇が吐き出されているのだ。
※声の横に傍点
(ス)
声と供に闇が吐き出されているのだ。
※声の横に傍点 閑話休題
小説non7月号が発売となり
non版の第二話を読みましたが
やはり伊藤勢の絵は妖獣王には合いませんね
滝野真澄がこういうビジュアルだったとは
思いもしませんでした
自分の抱いていたイメージが崩壊していく・・・
見て一瞬、安永航一郎が描いたのかと思いましたわw
第一、今回は春頃の話なのに制服が夏服とはおかしいでしょう ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています