第六の事件

夏休みが終わり文化祭の季節がやってきた。
演劇部に所属する大鳥百合子の活躍を楽しみにする一同だったが百合子の顔色は冴えない。
その実力と美貌から主演確実と見られていた百合子は端役へ追いやられていたのだ
緋村真里亜。女優の娘として英才教育を受けてきた彼女は
母の代表作で自身の名前の由来ともなった劇中のヒロイン「マリア」を演じることに執着し役を無理矢理に奪った。
このやり方に百合子を理想の相手役と考えていた部長の常磐昴は反発し演劇部には不穏な空気が流れる。
悪夢は続く。百合子と園城寺渉の婚約は殺人事件で園城寺家の当主が死んだことで破談となったが
大鳥家は矢継ぎ早に新たな婚約を結ばせた。
その相手はあろうことか前回の事件の犯人である社浦芳樹だったのだ。
(社浦の一族が大富豪である事と能力犯罪を現行法でさばくことが難しいため監視つきの無罪放免となっていた)
精神的に追い詰められていく百合子。
行動班のメンバーはそんな彼女を支えるべく演劇部の裏方として協力することを決める。
しかし部内の軋轢は日に日に増していくばかり。
ついには真里亜が劇中の殺人鬼である「音楽の天使」に扮した暴漢に襲われ負傷降板。
百合子が再びマリア役に復帰することになる。

犯人は入院中の演劇部顧問、藍原久子。
藍原は元女優で緋村真里亜の母である里子と同じ劇団に所属していたが
今回の百合子と同じように里子の嫌がらせでマリア役を奪われていた。
輝かしい才能を持ちながら卑劣な手段によって役を奪われる百合子にかつての自分を重ねた藍原は
自らが音楽の天使となって真里亜を襲ったのだ。

※なお久子は脅しただけで真里亜を負傷させてはいない。
 襲われた際に犯人の正体が母の共演者であり尊敬する藍原だと気付いた真里亜が
 藍原を庇い百合子に役を譲るために負傷を装った。