突如現れたのは鬼だった。

「お前が桃太郎か。噂通りの色男じゃねえか。ちょうど女は犯し尽くしたあとで飽き飽きしていたんだ。お前の身体、もらっていくぜ」

「何をする、やめろ!」

 鬼の力は強かった。腕自慢の桃太郎ですら、簡単に組み伏せられてしまった。

 抗おうにもなされるがまま、身体に手を這わされる桃太郎。お爺さんとお婆さんはその姿を、なす術なく眺めるしかできなかった。桃太郎は乞うた。頼む、見ないでくれ……。

「や、やめてくれ。せめて、せめて別の場所で……!」

「そんなこと言ったってお前のきびだんごはもうこんなに日本一じゃねえか」

 鬼は桃太郎の桃尻に目を付けた。その滑らかな曲線に、鬼も思わずドンブラコ。

我慢できずに自身の金棒を引っ張りだす鬼。そのとき、鬼に向かって一本の包丁が投げつけられた。

「い、いますぐ桃太郎を放せ! ワシの大事な息子、いや……ワシの大事な男じゃぞ!」

お爺さんだった。ナタを手に持ち、足を恐怖で震わせながらも鬼に向かって果敢に立ち向かっている。

彼の背中を押しているのは、子を想う親心か。恋の情熱か。いずれにしてもそこに立っていたのは、まごうことなき一人の『漢』。

「なんだジジィ、ジャマをするならお前から喰ってや……」

「やめろ! お爺さんには手を出すな!」