きつみはもふもふふもふもふ
あれもこれも目移りして何が一番か判らなくなる
もう一度一番大事なものを再確認すべき、ということなんだろう
大丈夫、俺の一番はきつみはだからさ、それだけは変わらないぞ
「やった!俺が一番なんだ!俺くんが目移りするのは食べ物だけだよね」
う・・・そ、そうだな・・・だけどその慢心が絶対だと思ったらいかんぞ
俺だってきつみは以外に・・・は無いです、無いと思います・・・

夜もふけた人気の無い住宅街
街灯だけが行く手を照らす夜道をその男は歩いている
仕事帰りで家に向かう足取りは疲れているようで、早く進もうとしてもそれがままならない
中年の悲哀を滲ませながら、男は家路を急いだ
ススッ・・・
後ろで何が動いた気がして男は立ち止まり振り返った
だが、そこには夜の闇があるだけだ
気のせいか、と男はまた歩き始めた
ススス・・・サササ・・・
また背後から何がが動くようなかすかな音が聞こえた
気味が悪くなった男は歩みを速め、急いで家に戻ろうとした
早足が焦りからか何時の間にか駆け足になっていた
サササ・・・タタタ・・・タタタタタ・・・
男の後ろを何かが走って追いかけてきた
恐怖を感じ、男は全速力で走り出した
後ろからやってくるもの・・・それに捕らえられたら・・・
その時、男の肩に何かが触れた
「ヒッ!!」
それを振り切ろうとしたが、強い力で捉まれその場に立ち止まってしまった
背後からはハーハーと荒い息遣いが聞こえてくる
ガクガクと震える男の背後から、二本の腕が絡みついてきた
「とうちゃん捕まえた・・・フフフ・・・」
恐怖のあまり、悲鳴を上げる事もできず、とうちゃん三橋は謎の腕に捕まれ、暗い路地へと引きずりこまれてしまった
つづく