今日もなかなかだぞ、きつみは
いや、お前はいつも一生懸命だからいつだってどんな時だって最高だな
特にここ数日は晴れるように毎日毎日熱心にお祈りをしている
晴れた青空に鯉のぼりを泳がせたい一心で天に向かって拝んでいるよな
その願いが神様に届いたのか、今日は晴れるみたいだ
もう少しして風が出てきたら鯉のぼりを揚げような
あ、でもお前は鯉のぼりにしがみついて一緒に揚がろうとするなよ
しかし毎年同じ事を言っているのになぜやろうとするのか・・・

>>822
保育園からは「せんせいさようなら、みなさんさようなら」の合唱が聞こえてきた
早い子はもう帰宅する時間なのだろう
だが子三橋は両親が働いていているから延長保育組のはずだ
保護者が迎えに来なければ園から出ることはない
だがそれでも奴は・・・三橋を狙う謎の人物はどんな手を使ってくるか判らないのだ
「こちら三班、これより二班と交代します」
「了解、今の所異常は無いが油断しないように」
密かに子三橋を警護する我々は片時も気の抜けない状況にある
保育園ではちらほらと保護者が子供を迎えに来る光景が見られた
子三橋はというと、まだ園内で自分と同じ延長保育の子たちと楽しく遊んでいる
その元気一杯で楽しそうな様子を撮影して永遠に留めておきたい・・・
今日、何度目かの衝動を強い意志で押さえ、我々は子三橋の警護を続ける
暫くすると空の青色に夕焼け色が混じり始め、夜が近づいてきた
この逢魔が時と呼ばれる時間は物悲しささえ感じられる
子三橋は遊びつかれたのか、ブランコに座って小さくブラブラしている
まだ両親は迎えにきていない
その時、何人もの親が一斉にやってきて子供を連れて園から帰っていった
仕事の終わり時間が同じような場合、こういうこともあるらしい
賑やかでちょっとした騒動のような状況だったが、親子達が園を去った後はそれはもたらされた
「こ、こちら三班!た、大変です!子三橋が園のどこにも見当たりません!」
つづく