疑問を持ちながらも子三橋は律儀にお礼を言って家へと戻ろうとした
「ああそうだ、荷物が多くて大変そうだからフランクフルトは今ここで食べていくといいよ 熱々だから美味しいよ」
焼きたてのそれはまだジュウジュウを音を上げていて実においしそうだった
買い食いは駄目、と言われていた子三橋だが、これは貰ったものだから、とその場で食べ始めた
口を大きく開けぶっといそれにかぶり付く
一口噛むとジューシーな肉汁が口の中に溢れ、あっという間に食べ終えてしまった
「おじさん、ありがとうございました 凄くおいしかったです」
「そうか良かった あ、その串は捨てておくからこっちに渡しなさい」
満足して男に礼を言うと子三橋は今度こそ家に向かって歩き出した
そんな子三橋の姿を見送りながら、男はニヤリと笑った
「フフフ・・・こちらこそありがとう・・・」
男の怪しい呟きは子三橋の耳には入らず、自分が男の罠にはまってしまったことに気付くことは無かった つづく