>>300
「考えなおせ、アルト。お前は人殺しに向いてる男じゃない。」
震える肩にミシェルの手が伸びた。
「違う!違うのよ、ミハエル!」
だん、と有人のこぶしがミシェルの厚い胸板を叩いた。
その瞳から零れた涙が素肌を伝って岩に吸い込まれて消える。
「私は……男……なのに……なのに、私が…オレが…演じた女にしか、誰もが価値を認めない…あなただって…そうじゃない…」
「…アルト」
ミシェルは初めて自分の軽口がどれだけ友人を傷つけていたかを知って慄然となった。
「男のさ…男のセックスのための理想型にされて、毎日みたいに性欲剥き出しにした眼で見られてさ…!」
「…顔、拭けよ。涙でえらいことになってるぞ」
「ミハエル…」
さまざまな感情を押し殺してミシェルは有人の涙をハンカチで拭いてやった。
目の前で泣きじゃくる友人が可憐な乙女にしか見えなくなってミシェルはアルトが男なのかどうか直に性別を確認したい衝動にさえ襲われた

ミシェルの初恋はアルト姫^−^
ぼえていいお^−^