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続き;−;


そんな夜から数日後のことだった。
そのときも、振り子は総合を見ていた。
「のあのあ『なぜ山に登るのか?そこに山があるからだ』って言葉あるじょん^−^あれに愛感じるんらけろ^−^」
ない顔で書き込まれたレス。
振り子はその文章に何か引っかかるものを覚え、書き込もうとしていた赤ん坊の泣き声を模した文字列を消した。
胸がざわつく。何か、何かに似ている気がする。
答えを探すみたいにリロードを押す指は、ある一点を捉えて止まった。
「心を掴まれてるってことらのあ^−^山があったら登らずにはいられないんら^−^」
そのレスを見て、振り子は納得した。――納得、してしまった。
ぶさ子の顔を見ると突っかからずにはいられない。
努力して夢を叶える登山家に、こんなインターネットの掃き溜めで日々を送る自分を重ねるなんて、失礼が過ぎることは分かっているけど。
(心を掴まれてるとか、愛とか――そんな。やめてくれ)
考えもしなかった方向から、この気持ちに名前をつけられた気がして心臓が落ち着かない。