ナイバッチきつみは
月曜からまずまずの順位じゃないか
夏ももうそろそろお終いかな
昼間のセミの鳴き声がまだ凄いが、夜になると虫の音がいかにも「秋」という感じだよ
一抹の寂しさを感じ・・・ているとまた夏がぶり返しそうだ
とにかくもう暑いのは勘弁してください
メタボな俺には夏の極暑はもう耐えられません
「だから少しでも体を鍛えればいいのに・・・運動すれば少しは痩せるのに・・・」
いや、判っている・・・判ってはいるんだよ・・・でも・・・orz

あ・・・ああ・・・
どこからか少しばかり甲高い声が聞こえてくる
あ・・・あああ・・・あーああああーあー
それは段々と発声練習でもしているかのようにはっきりとしたものになっていった
声のする方へと行くと、屋上で野球部の三橋が声を限りにと歌うように叫んでいた
あーああああーー!ああああー!あー!!
「おい三橋、一体どうしたんだ?これも野球部の練習のなのか?」
「あ・・・俺くん・・・聞こえて、た?」
「そりゃあれだけ大きな声で叫ばれたら嫌でも聞こえるさ」
「ご、ごめん・・・あ、あの・・・今度文化祭で劇をやるから歌の練習をしていたんだ・・・」
劇?あ、そういえばこいつのクラス、ミュージカルだかやるとか聞いたな
「それで三橋も役がついて、それで練習していたのかよ」
「う、うん・・・ついでに複式呼吸の練習もできていいんだ、これ」
ニカッ、と笑う三橋に俺は、なら音程を合わせる練習もしておけとは言えなかった・・・
ひとまず頑張れよ、とだけ言うと三橋は「ありがとう!」と喜んでくれた
それが数日前
そして今日も、放課後の遅い時間だというのに校舎の奥から三橋のあの歌声が小さく聞こえた
もっとも音量を抑えてるいるのか、微かなものだったが