ナイバッチきつみは
今日ものんびりゆっくり慌てず急がずいこうなパフパフ
ところできつみはは木登りはできるのかな?
俺は無理だけど山育ちなら木登りくらい大丈夫だよな
確かクマーも木登りはできたはずだ
山でリアル熊と出くわした時のやってはいけない事の一つに木に登って隠れるというのがあったんだ
でも木登りのできない野生の獣から逃げるにはいいかもな
「じゃあ俺くんから隠れるのに木に登るのもありかな?あ、変な意味じゃないよ、かくれんぼとか鬼ごっことかさ」
そ、そうか・・・そうだよなハハハ・・・

「うーん・・・まだなんか変な感じだ・・・」
頭がぼやけているようではっきりとしない
「俺くん、大丈夫?」
きつみはは心配してくれるが、これがばかりは自分でどうにかするしかないのだ
今日の早朝、携帯からけたたましい音がして外では防災無線が鳴り響いた
それでたまげて目が覚め、それから暫くはきつみはとどこに逃げようかと慌てふためき
その興奮状態が暫く続き、そして今、反動で頭がボーッとしているのだ
「冷たいサイダーでも飲む?スッキリするよ」
いつもは軽口を叩いてくるきつみはだが、こんな時は心配してくれる
「そうだな、一杯いただくか 飲んでちょっと昼寝すれば治ると思うよ」
確かに今日はいつもと違う感じだ
当たり前だと思っていた日常が崩れ去るのではないかという恐怖
俺はいいがきつみはは・・・こいつだけは守らなくては・・・
「こんちはー!きつみはさんいらっしゃいますか!」
水谷が嫌味なくらいに元気な様子でやってきた
きつみはとなにやら話していて、程なく俺のところにあいつはやってきた
「俺さん、具合が悪いって聞いたんですが・・・大丈夫ですか?これって鬼の霍乱ってやつですか?ハハハ」
野郎・・・だけど今は怒る気も起きない
だが覚えていろよ、元に戻ったら倍返しどころか十倍、百倍返しに・・・
「でも俺さんが元気ないときつみはさんも・・・だから早く治してくださいね」
とりあえず、倍返しだけにしておいてやろう
やってきた睡魔に飲み込まれながらこの平和の時が、水谷はちょっと邪魔なときもあるが、ずっと続けばいいと強く思った