頑張っているな、きつみは 今日ものんびりと過ごしていこうな
朝から色々と騒がしかったけど、今のところ実害が無くてほっとしたよ
うん、朝からあのアラームは本当にびっくりするしかないよ
ちっちゃなミハシも怖かっただろうな
きつみは?ああ、あいつなら・・・真っ先に台所の床下収納に入ってたよ
そもそも一般家庭に地下室とかないからな
前に見たニュースでは避難訓練で野良仕事している人たちが
用水路に隠れていたけど、ここもそれくらいしか隠れる場所がなさそうだ
家庭用核シェルターなんてのはよほどの金持ちじゃないと持てないだろうな・・・
いっそのこと庭に爺婆から聞かされていた防空壕でも作るか・・・
なら非常用の保存食も用意して水とか空気清浄機もあったほうがいいな
それと非常用電源とか長時間外に出られない時の為に本とかゲームとか
それにあれもこれもそれも・・・素直に地下室を作ったほうが早そうだ平和が一番!!

てくてくてくてくてく・・・
歩いていた足を突然停めると後ろの方で慌てたようにそれがとまる
また歩き出して急に停めるとヒタヒタ・・・タッと止め切れなかった足音がして停まった
おかしい・・・やっぱり誰かが後ろから付いてくる
出来るだけ後ろを振り返らないようにしてきつみははまた歩き始めた
今度は徐々に歩みを早め、後ろのそれから少しでも離れるように
今日は午後から日課の散歩に出かけた
家主であり保護者の俺は昼食後、いつもの様に横になって昼寝を決め込んでいる
毎回一緒に歩いてダイエットを、と言っているのだが、馬耳東風の様だ
いつもの同じ散歩コースをのんびりと楽しむ
通称ジタバタさん(本名・水谷)が仲間と見守ってくれているのは知っているが
いつも気が付かないので言われないと忘れているくらいだ
秋のちょっと涼しい風が気持ちよくて空は晴れて青色が綺麗だったので、ついつい遠くまで来てしまった
家に戻ろうと今来た道をてくてくと歩いていると、それに気が付いた
いつからか、誰かが自分の後をつけてきている・・・
それは水谷たちではなく、まったく知らない誰かで・・・きつみはの本能は危険であることを伝えていた
早足はいつしか駆け足になり、そして全速力で走り出していた
早く・・・家に戻らなければ・・・怖いものに追いつかれてしまう・・・  つづく