親から授かった強靱すぎる体躯や内臓をもてあますように、オレは空漠をおぼえたときそれを埋めようと料理に心をそらすことがある。
野菜を切って寸胴鍋に放り込む、肉を焼いたり煮たりする。鍋から立ち上がる香り、香辛料の混沌としたハーモニー。
料理の迷宮のような過程に打ち込む瞬間瞬間は、肉や心の火照りを沈静させる力がある。自己を調律し、状況を客観化する力がある。
馬鹿力を抑えるにはちょうどいい作業になる