彩花みん「赤ずきんチャチャ」その3
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0103名無しさん@ピンキー2007/11/14(水) 02:57:49ID:YFj0n/N0
そこかwww
エロ小説特有の言い表わし方かと思ってた。
何キャラか分かるのもすごいなw
0104名無しさん@ピンキー2007/11/14(水) 03:28:34ID:7RS7RI0U
うp主の弁解を待ってたが
パクでFAなのかな

ここに限らず2ちゃんに投下されたSSが
実はよそのパクりだった、って結構聞くけど
このネット時代にバレない方がおかしいんだぞ
やろうと思ってた奴、真似するなよ
0105名無しさん@ピンキー2007/11/14(水) 04:21:08ID:YFj0n/N0
ファイル整理の時に出てきたBLの改変なんじゃね?
どっちにしても、うp主がそういう趣味バレなのには代わりないがw
0106名無しさん@ピンキー2007/11/14(水) 16:04:16ID:xizez6kz
2次エロ小説のツンデレ女or受の名前を
全てどろしーちゃんにして音読するセラ。

が思い浮かんだ。
0107名無しさん@ピンキー2007/11/16(金) 09:48:29ID:EaU5Hmcz
神様ー!セラドロで、先生と生徒みたく教えこむセラと、最後までツンデレのドロシーちゃんの初エチをお願いしますー
0111名無しさん@ピンキー2007/11/25(日) 11:32:36ID:POYXoCrj
まやちょんが好きだー
0112名無しさん@ピンキー2007/11/25(日) 15:11:09ID:Hay4mp4r
神降臨を願って投下。まやちょんではなくてスマソ

セラどろで最後までするけど中途半端で短文。原作寄り。


お第は+Maestroより、いただきました。






01.脳が溶けそうだ

それは何の前触れもなく突然やってくる。


チャチャ達はその日は修学旅行2日目で、ニャンコハウスには誰もおらず、夜はセラヴィとどろしーが共同で利用する様になっていた。
「これで準備完了ね。楽しみだわ、昨日の続き♪」
「買ったものですかどろしーちゃん。昨日は僕がおやつを作って持ってきたのに。」
「まあまあセラヴィー、どろしーちゃんの焼け焦げたお菓子を食べたら、せっかくのDVDもつまらなくなっちゃうわよ」
「ほれもほうれふへ。へひはへふ」
「いいっ加減にしなさいよセラヴィー、おやつは食べさせないわよっ」
どろしーは腹話術を妨害するべく、セラヴィーの口に指を入れた。
「まあ、はめてろろひーひゃん。はひまるはよ」
「あんたねー。」
DVDが始まるので、そこで痴話喧嘩は中断された。


DVDは魔法の国で今流行りの続きものホラー映画だった。そんなものは普段は見ないが、流行っているということ、ホラーなので子供達には見せられないという理由で、

0113名無しさん@ピンキー2007/11/25(日) 15:27:42ID:Hay4mp4r
ふたりで見ることになっていた。

しばらくしてセラヴィーは、自分が見ることに集中してないことに気がついた。
見ようと思うのに、一向に内容が頭に入って来ない。

なぜだろう…?

隣ではどろしーが必死になって見ている。あるシーンで、とうとう顔をセラヴイーの腕の中に埋めてしまった。「大丈夫ですか?」
腕にしがみついている彼女を自分の体に引き寄せて言う。
「セラヴィー、見てないの?」
冷静なセラヴィーの反応にどろしーは一時停止を押して聞いた。
「何となく集中出来ないんですよねー」
「どうして?」
「さあ〜」
「さぁって、あんたが借りようって言ったんじゃない。昨日はうざったいほど怖がってたし」
少し膨れるどろしー。映画の内容が怖かったのでまだセラヴィーの腕の中にいた。口腔を掻き回した彼女の指も思い出してセラヴィーはだんだんと思考が麻痺する感覚に戸惑いはするが止める気は起きなかった。

「脳が溶けそうだ」

セラヴィーのそのつぶやきを無視して、どろしーは再び再生のスイッチを押そうとしたが、その手首はセラヴィーに捕まれ、そのまま押し倒された
「セラッ…」
抗議の文句は口で塞がれ、舌で思い切り口を掻き回された。
「なにすっ…や……やめっ」
0114名無しさん@ピンキー2007/11/25(日) 15:36:58ID:Hay4mp4r
息苦しさの為の息継ぎが、快感混じりの吐息に変わるのに時間はかからなかった。

首筋、胸元に深いキスをしながら、
その胸に微妙な加減で力を加えると、何ともいえないといった風に吐息が漏れる。
「ほん…とに…ぁ」
「なんです?」
聞くだけ聞くが、その手の動きも、全身で拘束するのも止めない。
「愛してる…ですか?」
前の情事にて、うっかり言ってしまったことを引き合いにだされ、羞恥心で顔を真っ赤にしながら、どろしーは抗議する。
「違うわよ。こんなことして子供達が…」
「3日前も聞きました。3日前はいましたけど、今日はいませんよ。いてもいなくても止めませんけどね♪」
「…ぁぅ…セ…んっ………いつか、ポピィ君やしいねちゃんが感づくわよ」
どろしーに淡い想いを寄せる少年の名前が彼女から発せられたことに、心の奥底で真っ暗な闇がうねるのを感じながら、セラヴィは秘部の膨らみを撫でた。
「後始末は完璧にやりますよ。」
優しく冷酷な話し方に、背筋が凍るのを感じながら、同時に襲いかかる官能の波に、ひと極高い声が、部屋に響いた。
0115名無しさん@ピンキー2007/11/25(日) 15:42:44ID:Hay4mp4r
「どろしーちゃん、声が大きいですよ。」
耳元で、そっと囁いてからかうセラヴィー。
「誰のせいだと思ってんの…よ」
羞恥心と屈辱感とそれをも呑み込む快感がどろしーの声を高く霞めさせる。

「僕のせいですか。」
それが却ってセラヴィーの征服心を煽って、指を水壷に出し入れする音が、淫らにコダマする。濡れそぼったソコは薄い桃色に染まり、欲望の棒を求めて、本人の意思と関係なく蠕きはじめていた。
「止めて欲しいですか?」
欲に反り立ったソレの注挿を繰り返して白く柔らかな耳朶を甘く噛みながら、セラヴィーは聞いた。
「っ…はぁっ…あぁ…ん」
答えは無く喘ぎだけが返ってくる。その返事に満足すると、頭を突き抜けそうな想いそのままに腰の動きを早くし、そのまま欲の塊を二人のモノでぐちゃぐちゃに溶けた中に吐き出した。
0116名無しさん@ピンキー2007/11/25(日) 15:57:31ID:Hay4mp4r
それから暫くの間、セラヴィーはどろしーをソファの角に閉じ込めるように軽く抱きしめて、休んでいた。
「服を着たいから少しどいて」
穏やかな静寂を先に破ったのはどろしーだった。
「…もう帰るんですか?」
永遠に知られたくない不安が、つい口をついて出た。

漆黒の瞳が碧緑の瞳を捕えて少しの間放さなかった。何を思っているのか読むのは無意識に拒否した。
「どうしたの。セラヴイー。」
いつもの調子で心配そうにどろしーが聞いた。安堵すると共に何も変わらない雰囲気に、彼女の意思を感じて、セラヴイーは答えた。「寝ぼけてただけですよ。そうですね、どろしーちゃんは最近ウェストが気になるようですから手伝いましょうか?」
と、いつもの調子で答えた。

痴話喧嘩後、ビデオの続きを二人で見たが、二人とも余り内容に集中できないまま、けれど、文字通りホラーなワンシーンの、

「脳が溶けそうだ。」

に、何故か、二人顔を合わせて思わず苦笑いをするのだった。

     【終わり】



色々…すみませんでした。セラどろ以外も好物です。待ってます。
>>85様、気長に待ってます。
では、退却します。

皆様、失礼しました。
m(_ _)m
0118名無しさん@112-1162007/11/25(日) 22:14:59ID:Hay4mp4r

>>117様。こちらこそ、励みになります。他神SSと比べ、凹んでましたが、
表現力に磨きをかけて、いつかまた投下しようと思います。ありがとうございました。m(_ _)m
0121名無しさん@ピンキー2007/11/28(水) 00:57:35ID:mM5jLnGN
セラどろをお待ちの皆さん、及びまやちょんをお待ちの>>111様スマソm(_ _)m
しいね×お鈴です。需要あるか分からないがとりあえず投下します。
そして長文で重ね重ねスマソm(_ _)m




この日が来るのは、何年も前から分かっていたんだ。
その話を聞かされたのは一週間前。
にゃんこハウスにお師匠様とセラヴィーさん、
ポピィくんとなるとちゃんといういつものメンバーをわざわざ集めて、
僕の初恋の人・チャチャさんと、バカ犬・リーヤは婚約を発表した。
「チャチャを、オレのお嫁さんにしたいと思うのだ」
しどろもどろな口調で一生懸命に僕達に告げたバカ犬を
幸せそうに頬を染めて見ているチャチャさんの表情が、
もう何があっても僕の失恋が決定したんだと突きつけていた。
認めたくない事実、でももうずっと前から分かりきっていたことだった。
チャチャさんの一番は僕じゃなくて、リーヤなんだってこと。
0122名無しさん@ピンキー2007/11/28(水) 19:43:30ID:fr1LBQQB
  ☆ チン
                          
        ☆ チン  〃  ∧_∧   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
          ヽ ___\(\・∀・)<  まだー?
             \_/⊂ ⊂_)_ \_______
           / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/|
        |  ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄:| :|
        |           .|/
0125121です2007/12/01(土) 16:38:43ID:AjkWXi8T
すみません、121です。
突然パソコンの調子がおかしくなる&仕事で忙しくなるで
続きの投下ができませんでした。。。。
すみません、続きとうかします。


「さぁ、チャチャ、これが最後の試着ですよ。直すところはないですか?」
「うん、ありがとうセラヴィー先生!素敵なウェディングドレス、ホントにありがとう!」
「チャチャ綺麗なのだー」
「チャー子、ブーケの花は本当にこれでいいのね?作り始めちゃうわよ?」
「うん、どろしーちゃん、綺麗に作ってね!」
「おい、なんか式当日は国王自ら祝いの品持ってくるって言ってるぞ、仕事しろって言ってるのに…」
「平八兄ちゃんが?!すごいのだ!王様になっても平八兄ちゃんは平八兄ちゃんなのだ」
あの婚約発表からわずか10日後に式を挙げることに決定し、
にゃんこハウスのメンバー総出で急ピッチで準備を進めていた。
お師匠様とセラヴィーさんがその驚異的な行動力でもって式の全般を取り仕切り、
バカ犬とポピィくんは仕事の合間を縫って挨拶回りと新居探し、
花嫁のチャチャさんはとにかくどんな式にするか壮大な計画を練っている。
そして僕はというと、旧友たちへの連絡係が主な役割となった。
とにかく知り合いの多い僕ら。
いったいどこでどれだけの人と関わってきたのか考えるだけで気が遠くなる作業だ。
「…チャチャさん、とにかく呼べる人はみんな呼ぶんですよね?」
「うん、もちろん!」
「きゅーちゃんとか、海坊主・海坊子さんとか、殿も呼ぶんですね?」
「居場所分かったのか、しいねちゃん?」
バカ犬がヒョコッと僕の持っているリストを覗き込む。
こいつの屈託のなさは成人しても変わらないらしい。
「まぁこのあたりは居場所の検討がつくから簡単に割り出せたけど…」
「分からない人がいるの?」
「セラヴィーさんの弟さん達は探しようがないですね。魔界ですし」
「いいです、呼ばなくて!あんな恐ろしい怪物どもは!」
「あぁら、次期大魔王のサンダルさん?大切なご家族に弟子の晴れ姿見せてあげなくちゃねぇ」
「…どろしーちゃんのイジワル……」
お師匠様とセラヴィーさんは相変わらず憎まれ口をたたくけど、
実はお師匠様のお腹の中に3ヵ月半になる双子の赤ちゃんがいるらしい。
急に2人の親密さが増したなと思っていた矢先のことで、
最近お師匠様がセラヴィーさんを見る眼がなんだか愛おしげだなと感じていたんだ。
なんだかんだ言って、お師匠様もセラヴィーさんが一番好きなんだよな。
「うらら学園の時のみんなは、絶対みんな呼んでほしいのだ!」
「そうだね、しいねちゃん、みんな来てくれるって?」
「えぇ、マリンさん以外は…あ、そう言えば…」
1人、行方不明になっている子がいる。
この子には絶対来てほしいと2人とも思っているはずだ。
「…実は、お鈴ちゃんが行方不明なんです」
0126121です2007/12/01(土) 16:39:31ID:AjkWXi8T
お鈴ちゃんの家を訪ねたのは5日前のこと。
メンバー集めのかなり最初の段階でのことだった。
(というか、チャチャさんも仲良しだったから真っ先に尋ねたのが彼女の家だ)
鈴之助くんが出てくれたけど「姉上は修行中だ」と追い返された。
しつこく通ったが修行中なのは本当らしくて、
しかし“忍の掟”だかで修行の場所を部外者に知らせてはいけないらしい。
「…じゃあ、お鈴ちゃん来られないの?」
「俺の超能力でも見通せないからな、忍者は気配を消せるって本当なんだな」
「なんとかならないのか?しいねちゃん?」
チャチャさんは目に涙を溜めている。無理もない。
僕達の学園生活でなくてはならない大切な友達の1人。
僕だってしばらく会ってないんだ、久しぶりにお鈴ちゃんに会いたい。
「…チャチャさん大丈夫、やっこちゃんに協力してもらうことにしたんです」
魔法薬ばかりでなく謎のアイテムに凝っている彼女ならなんとかなるかも。
「今日やっこちゃんに会ってきます。きっとお鈴ちゃんを連れてきますよ」
「うん、しいねちゃん、お願いね」
初恋の人の結婚式のために…僕はなんて健気なんだろう……。
0127121です2007/12/01(土) 16:43:19ID:AjkWXi8T
「あぁ、修行中、じゃあ見つからないわ」
レモンティーを飲み干してやっこちゃんはため息をついた。
やっこちゃんに会うのも久しぶりだ。
あまり道行く女性にいちいち目が行くことがない僕だが、
やっこちゃんは本当に美人になったなと思う。
この喫茶店でも一際目立っているし、僕がいなければ大勢の男が声をかけるだろう。
特定の恋人は作っていないようだけど、どこに行ってもかなりもてるはずだ。
「…どういうことですか?修行ってどこでしてるんです?」
やっこちゃんは身を乗り出して話し始めた。
「“忍の里”って知ってる?忍者はみんな学校に上がる年齢ぐらいまでそこで育つの」
「お鈴ちゃんから聞いたことがあります。そこにいるんですか?」
「十中八九ね。里全体が気配というか、人気を消してるから、水晶玉にも映らないのよ。
 あの子もまじめだからねぇ、一人前になった後もちょくちょく修行で山篭りしてるわよ」
そんなところどうやって探し出せばいいんだろうか。
すると、やっこちゃんはカバンの中から魔法薬を1本取り出した。
「そんな顔しないの!このやっこ印の“スーパー☆シャベルンZ”を使えば問題ナシ!!
 忍者が使う伝書虫に里の場所をしゃべらせちゃえばいいのよ!」
「やっこちゃん!いいんですか?」
「…高いわよ?」
「うっ……」
この子も、相変わらずだった。
0128121です2007/12/01(土) 16:43:53ID:AjkWXi8T
お鈴ちゃんの家の側でスズメに化けて、伝書バトならぬ伝書虫を捕まえる。
なるほど伝書バトでは目立ちすぎるから虫の方が好都合だ。
花の蜜の匂いなどを利用して一定経路を往復させられるように仕込んであるようだ。
やはり忍者は侮れない。
やっこちゃんの魔法薬を軽くスプレーすると、虫はしゃべりだした。
「今日モ仕事、蜜集メル、コッチカラ匂イスル」
この声のボリュームなら見失わないだろう。
極小の便箋を足にくくりつけて飛ぶ虫を僕は追っていった。
広い花畑の真ん中に、1ヵ所だけ不自然に見慣れない花が咲いている。
虫はその不自然な花に止まって蜜を採取し始めた。
ここが、この見渡す限り広がる花畑が、忍の里だろうか?
何もない。家も、道も、人のいる気配すらも。
しかし、風の流れだけが不自然だ。風向きが一定じゃなくあちらこちらから吹いている。
懐かしい匂いのする風が一筋だけある。間違いない。この風を追っていこう。
箒にまたがり、その風を追っていくが、明らかに僕から逃げている。
「……お鈴ちゃん…っ!!」
思わず声をかけた、すると、その風が失速しだした。
懐かしい匂いの風の先に、また懐かしい姿が現れた。
吹きすさぶ風に、長く伸びたその髪が揺れる。
かなり小柄ではあるが、充分成人している身体だ。
「…しいねちゃん…?どうしてここに…」
「君を探していたんですよ、お久しぶりお鈴ちゃん」
0129121です2007/12/01(土) 16:44:32ID:AjkWXi8T
普段修行をしている花畑から居住用の集落はかなり離れていた。
忍の里を発見されないようにする工夫なのだそうだ。
集落もどう見てもゴーストタウン。
人が住んでいるようには見えないし人の気配もない。
しかし忍者のお鈴ちゃん曰く、ここには200人余りの忍者が生活しているとのこと。
ひっそりと息をつめて生活し、万が一外部の人間が入り込んできても里とは気取られないように、
人が住んでいる気配を一切させずに里を守ってきたのだという。
僕は魔法で気配を消すことにした。
「どうしてここが分かったんですか?」
お茶を出しながら、お鈴ちゃんは僕に尋ねてきたが、僕はありのままを話した。そして、
「ぜひ、チャチャさんとリーヤの結婚式に招待したいと思うんです」
「そうですか、うれしいです!とうとう結婚なさるんですねぇ。
 私も修行中ですけど、数日ぐらいなら抜け出せるよう忍頭に相談してみます!」
「良かった、チャチャさんたちもお鈴ちゃんが来るのを楽しみにしているんですよ」
お鈴ちゃんは、満面の笑みで僕の正面に座った。
「今日ウェディングドレスの最後の試着をしてたんですけどね、
 本当にチャチャさん幸せそうで綺麗でしたよ」
「いいですね、私も早くチャチャさんの花嫁さん姿見たいです!」
本当にお鈴ちゃんもうれしそうだ。
やっこちゃんはここまで喜んではくれなかったし
マリンさんには殴られそうになったし(なんで僕が?)、
普通に喜んでくれる存在にホッとした。
0130121です2007/12/01(土) 16:45:21ID:AjkWXi8T
しばらく、学生時代の思い出話や卒業後の報告をしたりして大分時間が経ってしまった。
気がつくと家の中に赤い夕日が差し込んでいる。
ここのところ連絡係でバタバタしてたし、こんなにのんびりできたのは久しぶりだ。
「やぁ、もう夕方だ。長話してしまいましたね、すみません修行中なのに」
「いえこちらこそ、すみません引き止めてしまったみたいで」
相変わらず遠慮がちに物を言うお鈴ちゃん。
「ぜひきてくださいね、チャチャさんたちの結婚式」
「はい、もちろんです!」
「僕はまだまだ人集めですよ、とにかく僕ら知り合いが多くてなかなか大変なんです」
「そうですねぇ…」
少し、沈黙があった。
さっき話していたときから時たま互いに言葉を発しない時間がある。
居心地が悪いわけではないが、お鈴ちゃんが何か言いかけてやめたのかなと、少し気にかかる。
何か言ったほうがいいのかと言葉を探してしまう。
「…僕もたいがい健気なんですよ」
言って、しまった、と思った。
「……健気、ですか…?」
お鈴ちゃんの表情が曇る。
あぁ、言わなくてもいいことを言った。
「いえ、えぇ、まぁ、なんでもないですよ…
 ……ほら、僕昔チャチャさんのこと、まぁ、初恋の人というか…」
お鈴ちゃんの視線が痛い。バカなことを言った。
僕がしどろもどろになっているのと裏腹に、お鈴ちゃんはジッと僕を見ている。
この無言が痛いけど、なぜか思っていたことを言ってしまおうかと思った。
「…淋しくないといえば嘘ですけど、分かっていたことですから」
「…しいねちゃん…」
お鈴ちゃんを困らせてしまう、もう帰ろうか。
「しいねちゃん、昼間に夕ご飯の下ごしらえをしたんですけど材料切りすぎちゃって。
 …よろしければ召し上がっていきませんか?」
優しく笑うお鈴ちゃん。僕が何を喉の奥に閉じ込めてるのか、きっと知ってるんだ。
「ありがとう、お鈴ちゃん、いただきます。
 ……ごめんね…」
「…いいえ…少し待ってて下さいね、すぐ出来ますから」
赤い夕焼けはいつの間にか無くなり、宵の闇が近づいてきていた。
0131121です2007/12/01(土) 16:46:21ID:AjkWXi8T
お鈴ちゃんが作ってくれた簡単な鍋料理を前に、
僕はポツリポツリと話をした。
初めてチャチャさんとリーヤに出会って、2人が僕にとって最初の友達で、
僕はいつもチャチャさんたちについていこうと必死で、
それでも2人の間に入ってくことなんか到底不可能なことで、
チャチャさんの一番はいつもリーヤで、リーヤの一番はいつもチャチャさんで。
とりとめのないことを、とりとめもなく話した。
「…絶対に実ることが無いって分かってて、それでもついていくのに必死で、
 本当に滑稽だったと僕でも思いますよ」
「そんな、そんなことないと私は思います」
お鈴ちゃんは顔を真っ赤にして否定してくれる。
駄目だな、僕はちょっと今この子に甘えてる。
「しいねちゃんみたいに、好きな人が誰か自分じゃない人を好きで、
 それでも止められなくって…おかしくなんかないです!」
本当にいい子だ、お鈴ちゃんは。
「淋しく思うのも、愚痴言いたくなるのも、普通だと思います。
 好きな人が振り向いてくれなかったら…私だって…」
そこまで言ってお鈴ちゃんはハッとして口を噤んだ。
耳まで真っ赤になって俯いてしまった。
「…ごめんなさい、私、明日も修行があるので…」
「お鈴ちゃん…」
「ごめんなさい、もう、ごめんなさい…式には行きますから…」
無理矢理、グイ、と背中を押されてしまった。
0132121です2007/12/01(土) 16:47:33ID:AjkWXi8T
トボトボと箒を飛ばす。お鈴ちゃんには悪いことをした。
学生時代からお鈴ちゃんとはよく一緒にいたんだ、
僕だって本当は彼女の気持ちを知ってる。
知ってて、愚痴を言った。本当に悪いことをした。
…謝りたい。でも、何て?
僕の思い上がりじゃあないだろうか?
分からない。分からないけど。
“悪いことをした”って思った時点できっと僕は、彼女に甘えてた。
気持ちを踏みにじった。いい気になってた。
僕がそう思ったから謝るってのも思い上がりかもしれないけど、
僕の背中を押したお鈴ちゃんの表情が見えなかったんだ。
最後に何を思っていたか読み取れなかった。
悲しかったのか、悔しかったのか、恥ずかしかったのか。
僕ばっかりブッチャケて、お鈴ちゃんは独りで何を思う?
もう、ジッとしてられない。フヨフヨ家路についている場合じゃない。
踝を返して、僕は再びお鈴ちゃんの元へ向かった。
0133121です2007/12/01(土) 16:48:35ID:AjkWXi8T
もう一度、お鈴ちゃんの家(隠れ家?)を覗いてみた。
明かりは点いていない。人気もない。
気配を消しているだけなのだろうか、
そう考えながら魔法でランプを出し家に入ってみた。
さっきまで細々とついていたはずの囲炉裏の火も落ちている。
また外へ修行に出たのかもしれない。そうなるとどこへ行ったか全く分からないな。
少しだけ周囲を見回って帰ろう。また、明日こよう。
なんとなく、家の裏手へ回ってみた。
ゆっくり見渡してみると、うす汚れた薪の横にお鈴ちゃんがしゃがんでいた。
僕に背を向ける形で、小さな肩を丸めて、膝を抱いている。
大分肌寒い。僕は魔法で大きな毛布を出し、気配を消してお鈴ちゃんに近づいた。
「…お鈴ちゃん」
お鈴ちゃんがハッと僕を見上げる前に、僕はその横に腰を下ろして一緒に毛布に包まった。
「しいねちゃん、どうしたんですか?わ、忘れ物ですか?」
目が赤い。独りで泣いていたんですね。
「えぇ、忘れ物。お鈴ちゃんに『ありがとう』って言うのを忘れてました」
自分でも反吐が出るくらい気障なセリフ。
でもお鈴ちゃんに言ってあげるにはこれが何より自然な気がした。
意識せず、微笑みが自分の底から沸いてくる。
今すごくすごくお鈴ちゃんに優しく接したい気持ちが溢れてくる。
「お鈴ちゃん、泣いてたんですか?」
愚問だな、と自分でも思った。
けど、それを口に出して自分で認識しようと思った。
「…すみません…」
「お鈴ちゃんが謝ることないですよ。僕こそ、ごめんね」
「いいえ………」
虫の鳴き声が静かに胸に響いてくる。
0134121です2007/12/01(土) 16:50:42ID:AjkWXi8T
ゆっくり時間が流れる。
いま世界に僕とお鈴ちゃんしかいないかのような錯覚を起こしそうだ。
「…しいねちゃんは、その……」
「うん?」
チラリとお鈴ちゃん見ると目を逸らされてしまった。
まごまごと続きを言おうとしている。
「その、しいねちゃんは……泣かなかったんですか…?」
驚いた。
僕の淡い初恋を知っている人間はごまんといたし、
やっこちゃんやポピィくんや平八さんに慰められたりもしたけど、
そんなことを聞かれたのは初めてだ。
初恋は初恋で、いい思い出で、最初から覚悟はできてた。
チャチャさんたちの婚約宣言から全く暇なんてなかったし、
落ち着いて愚痴を言う時間すらなかったぐらいで。
「…ごめんなさい…!男の人にこんなこと言って、すみません」
また真っ赤になって遠慮しだす。
「お鈴ちゃんは、僕が泣いてると思ったんですか?」
「いえ、そんな…失礼なこと聞いてすみません」
「お鈴ちゃん、気遣ってくれてるんですね、ありがとう」
そっとお鈴ちゃんの片方の手を握った。少し熱い。
「泣く暇なんてなかったってのが正直なところ。
 こんなふうに落ち着けたのだって初めてなんですから。
 お鈴ちゃんのところに来て良かったって思いますよ」
「しいねちゃん…」
子どものころから僕はチャチャさんが大好きで大好きで、
お鈴ちゃんはみんな知ってて僕の気持ちを思いやってくれてて、
それに安心しきって甘えてしまう僕がいて。
そろそろ卒業しなきゃな。
僕が言う筋合いはないけど、お鈴ちゃんにも卒業してもらいたい。
自分の望みを声に出すってこと、してもいいんだよって気づいてほしい。
「…お鈴ちゃん、聞いてくれますか?」
「はい……」
僕は決意しなきゃ。
僕にとって大切なたくさんの人は、僕じゃない誰かと幸せになってく。
チャチャさんも、リーヤも、お師匠様も。
僕を一番に思ってくれる人はこの人たちじゃなかったんだ。
それでいいんだ。僕には、僕の人が他にいるんだよ。
「お鈴ちゃん、もう少しだけ、待っててください。
 あの2人の最高に幸せな姿を目に焼き付けることができたら
 僕は次のステップに進める気がするんです」
僕は、お鈴ちゃんの目をしっかり見ることができる。
お鈴ちゃんも僕を見てくれてる。
これが答え、そう言い切れるようになりたい。
魔法の箒をポンッと出し、お鈴ちゃんの頭上へ移動する。
「今夜はありがとう、お鈴ちゃん。お鍋もごちそうさま。
 チャチャさんたちの結婚式でまた会いましょうね!」
「しいねちゃん!」
毛布に包まってお鈴ちゃんは立ち上がった。でも僕を追ってはこない。
「…また、結婚式で!必ず伺いますと伝えてください!」
明るい笑顔だ、月明かりに映える。
僕は魔法で一輪の白いヒナギクを出してお鈴ちゃんの手元に放った。
花言葉は「無邪気」。
0135121です2007/12/01(土) 16:54:41ID:AjkWXi8T
「だいたいねぇ、段取りが悪いのよ、段取りが!」
恐ろしい剣幕でやっこちゃんは受付を仕切る。僕が担当だというのに。
準備もままならない状態で、ついに結婚式当日を迎えたのであった。
新郎リーヤはポピィくんと一緒に大量の招待客に挨拶し、
新婦チャチャさんはお師匠様の手によって花嫁衣裳に身を包んでいる。
セラヴィーさんは全員分の料理を作りながら式の段取りの最終チェック。
(セラヴィーさんには10本ぐらい手があるのではないだろうか?)
そして僕は受付を任されたのだが、やっこちゃんに役目を奪われそうだ。
とにかく滞りなく式を進めていかなくては。
2人が幸せに満たされて、夫婦として歩んでいくこの日を、なんとしても大成功裏に収める。
僕も変われるかもしれないこの日を、ずっと待っていたんだ。
「おぉ、しいねちゃんとやっこちゃんが受付とはなぁ!」
懐かしい顔が続々集まってくる。うらら学園の先生とみんなだ。
「ラスカル先生!みんな〜!!」
やっこちゃんは実際受付担当じゃないから気楽なものだ。
久しぶりに会えた人にフラフラ近寄って話していき、
満足するとまた受付を仕切り始める。
「やっこちゃん、すっかり大人の女じゃないか!」
「やだぁ、ラスカル先生ったら!当然じゃな〜い!」
「しいねちゃんもホントに大きくなりやがって、
 世界一の魔法使いになるのも時間の問題じゃないか?」
忙しく旧友たちの受付をする僕を、ラスカル先生はしっかり見つけてくれた。
「うらら学園のみんなで待ち合わせして来てくれたんですか?」
「おう、せっかくだからな!」
ひょいっとまやちょん先生がラスカル先生の横から身を乗り出す。
片手でラスカル先生似の男の子を引いている。
「あ!アメデオくん!大きくなりましたね!」
「来年幼稚園だからなぁ!そうだ、待ち合わせといえばな、1人連絡がつかん奴がいるんだ」
僕とやっこちゃんは顔を見合わせた。心当たりが一致したようだ。
「「…お鈴ちゃん?」」
と、2人声をそろえた次の瞬間、元クラスメイトの1人が叫んだ。
「あ!お鈴ちゃんだ!」
辺り中が一箇所に注目した。そこに彼女がいるんだ。
小柄な彼女はみんなに紛れてここから見えない。
「お鈴ちゃん!」
「うわぁ、久しぶり〜」
「すごい、こんなちっちゃかったのに、綺麗になったのね」
みんな大騒ぎだ。僕だけじゃなく、みんな彼女に会ってなかったんだな。
声が近づいてくる。受付しに来るんだ。
「受付?こっちだよ」
誰かが彼女のために道を空ける。やっと姿が見えた。
「…こんにちは、お鈴ちゃん。来てくれたんですね」
「もちろんです…!」
淡い黄色と桜色の振袖に、真っ白い帯。髪に白いヒナギクを挿してくれていた。
ごく薄く紅を注しているその控えめさに目を奪われそうになった。
丁寧に記帳する筆の運びからさえも目が離せない。
やっこちゃんが何か言いたそうだが、放っておこう。
0136121です(ID変わるかもですが)2007/12/01(土) 17:10:24ID:AjkWXi8T
またパソコンの調子が……。。。
家族のパソコンから投下します。
ID変わるかもですが121の続きです。


とりあえず、式は大成功だった、と言っておこう。
チャチャさんの箒の2人乗りで入場する演出で派手に壁に激突するとか、
乾杯の前にリーヤが料理を大半平らげてしまうとか、
呼んでない人も押し寄せて立ち見どころか箒で飛びながら空中で見ている人が出たりとか、
予想外のことは山のように起きたが、
予想通りに進むなんて誰も思っていなかったから、かえって予想通りだった。
ただ1つ本当に予想外のことは、
マリンさんが開会の時間直前にやってきて会場の端で式を眺め、
閉会直後に誰の目にも留まらないようにサッと帰ったということだった。
受付をしていた僕とやっこちゃんしか気付いていなかったろうけど。
チャチャさんは綺麗で、本当に綺麗で、今までで一番可愛いと思った。
式が終了して、2次会も済んでみんな帰って、さて片付けるかという時に、
チャチャさんとリーヤが準備から携わっていた僕らを集めた。
リーヤらしくもなく、きちんと僕らに御礼を言ってきた。
昨日チャチャさんと練習したのだろう。
「本当に、ありがとうなのだ。絶対チャチャを幸せにしますのだ!」
必死なリーヤと、それを温かく見守るチャチャさん。
「バァカ、『一緒に幸せになります』だろ?バカ犬」
僕がそう言うと、リーヤは顔を上げた。
あぁ、ここが僕の始まりだ。
「リーヤ、目ぇつむれよ」
ポピィくんがギョッとした目でこっちを見た。構うもんか。
リーヤも分かっているみたいだ。目をつむって歯を食いしばった。
思いっきりリーヤを殴る、つもりだった。
でもやめた。失恋だけど始まりなんだ。
僕は代わりにチャチャさんの手の甲にキスした。
「チャチャさん、たくさんたくさん幸せになってくださいね。
 あなた達の幸せを一番に願ってるのは僕だってこと、忘れないで」
チャチャさんはビックリしているけど、しっかり心に刻んでくれてるようだ。
チャチャさんだってもう子どもじゃないんだ、
僕の言いたいことも分かってくれているに違いない。
「皆さん、悪いですけど、僕これから用事があるんで。
 片付けのほうよろしくお願いしますね!」
僕は箒を出し浮かび上がった。
みんな目を丸くしているけど、もういいんだ。
がんばったね、卒業おめでとう、僕。
0137121です(ID変わらなかったわ)2007/12/01(土) 17:12:06ID:AjkWXi8T
僕は真っ直ぐお鈴ちゃんの忍の里へ向かった。
早くお鈴ちゃんに会いたい。声を聞きたい。
失恋した日だというのに、こんなに清々しい気持ちは初めてだ。
家が見えた。戸の前に降り立って、帽子を脱いで呼吸を整える。
「ごめんください」
戸を開けるとお鈴ちゃんは丁度着替えを終えた様子だった。
「しいねちゃん、こんにちは。お片づけは済んだんですか?」
陰ってきた日が優しくお鈴ちゃんの笑顔を照らす。
「みんなに押し付けてきちゃいました」
「えぇっ!?あの惨状を…」
「もういいんですよ、お鈴ちゃん」
靴を脱いでお鈴ちゃんの側に向かう。お鈴ちゃんは待っててくれる。
「いいんです…」
そう言いながら、僕はお鈴ちゃんを抱きしめた。
お鈴ちゃんも僕を抱き返してくれた。
「お鈴ちゃん、ありがとう…」
「…はい」
お鈴ちゃんの返事には、もう遠慮も否定も感じられなかった。
0138121です2007/12/01(土) 17:12:58ID:AjkWXi8T
お鈴ちゃんは夕飯に質素な煮魚とご飯・お味噌汁・お新香を2人分用意していた。
「…今日はしいねちゃんが来てくれるんじゃないかって思ってたんです」
少し照れた笑顔。また愛おしさが込み上げる。
身を乗り出してちゃぶ台の向こうにいるお鈴ちゃんの頭を撫でた。
「ヒナギク、髪に挿してきてくれてましたね」
「…はい」
俯いて、少しお鈴ちゃんは涙目になっているようだった。
「…ありがとうございます、しいねちゃん」
そのまま親指でお鈴ちゃんの目尻を拭う。やっぱり少し濡れていた。
お鈴ちゃんが僕を軽く見上げた。
赤らめた頬に、濡れた瞳で、僕に向かって微笑んでくれた。
チャチャさんがバカ犬を見つめていたのと同じ顔。
たまにお師匠様がセラヴィーさんを見るときと同じ顔だ。
もう、この子を僕の側から離しておきたくない、そう思った。
ずっと僕の隣でその笑顔を見せていて欲しい。
「…お鈴ちゃん、一緒にいましょうか。ずっと」
考える前に、スッとそんな言葉が出た。少し沈黙が流れる。
お鈴ちゃんの頬を包む僕の手をとって、お鈴ちゃんは小さくうなづいた。
こんな日が来るなんて夢にも思っていなかった。
チャチャさんはリーヤのものだって明らかになった日から、
お師匠様とセラヴィーさんが急に親密さを増した日から、
僕のことを一番に思ってくれる人はいないんじゃないかって思ってた。
でも、チャチャさんが僕の世界の中心からスルリと抜け出していってしまう悲しさで
全く周囲を見ていないだけだった。
チャチャさんたちは僕が2人の幸せを誰より願ってることを胸に刻んでくれて、
お師匠様は新しい命を育むことを身をもって教えてくれて、
そして僕にもそれらを一緒に大切に感じてくれる人が側にいる。
この手を離さないでいよう、守っていこう。
拗ねてないで、幸せになるために貪欲になろう、この小さな手と一緒に。
0139121です2007/12/01(土) 17:13:52ID:AjkWXi8T
「湯加減はいかがでしたか?しいねちゃん」
「えぇ、丁度良かったですよ、ありがとうございました。先にいただいてしまってすみません」
お互い何も言ってはいないが、これはこのままお鈴ちゃんの部屋に泊まる流れだ。
すでに焚いてあったお風呂をいただいた。
「いいえ、一番風呂は好みませんから。私も入ってきます」
寝巻きを片手に風呂場へお鈴ちゃんは移動した。無駄に緊張する。
正直、いきなりこんなつもりじゃあなかったから、何をどうすればいいのか分からない。
でもただ一緒にいたいって、それしか僕の頭にはない。
お鈴ちゃんがお湯を浴びる音が耳にこだまする。
何か鼻歌を歌っている。懐かしい旋律、子どもの頃どこかで聞いたような温かさを感じる。
カララッと小さな音をたててお鈴ちゃんがあがってきた。
「…いいお湯でしたか?冷めてませんでした?」
彼女のほうを振り返ってハッとした。
肌が赤く艶めいて、結った髪からお湯が滴り落ちて、
この世のものとは思えないぐらい綺麗だと思った。
「はい、まだ温かかったですよ、大丈夫です」
ほんのり微笑む。頭の芯がクラクラしてきた。
お勝手で何かこしらえているお鈴ちゃんのうなじに目が釘付けになる。
「しいねちゃん」
「は、はいっ!」
勢い良く振り返ったお鈴ちゃんにビックリしてしまった。
「…どうしたんですか?」
「な、なな、なんでも、ないです…はい…」
無防備すぎる笑顔に負けそうになる。
「…?…、しいねちゃん、甘酒飲みませんか?今日はお祝いですから」
しっかり2人分、二号徳利だ。前から用意してくれたんだろう。
この子は、僕が何考えてるのか分かってるのかな…
お酒出すなんて、もしかして分かっててやってるのかな…
1人で余計な邪推をしてる間に、テキパキとお鈴ちゃんは甘酒とアラレを用意してくれた。
0140121です2007/12/01(土) 17:15:50ID:AjkWXi8T
僕はお酒は強いほうじゃない。
子どもの頃にお酒…妙な双子の魔法使いが作った魔法薬を飲んで以来、
トラウマになっててお酒は飲みつけていないというのが本当のところだが。
なのに、二号徳利の甘酒はものの30分で空になってしまった。
お鈴ちゃんは割と「イケルくち」だったんだ。
「もうなくなっちゃいましたね、しいねちゃん飲んでますか?」
「いえ、お鈴ちゃんが飲みたいだけ飲んでくれればいいですよ、温めてきましょうか?」
「ホントですか?ふふ、嬉しいです」
お酒が入って気が大きくなってるのか、普段のお鈴ちゃんなら僕をお勝手になんて立たせないだろうに。
しゃがみこんで一升瓶を持ち上げた。
「あ、お鈴ちゃん、少ししか残ってませんよ」
「えぇ?そんなー…」
背後からパタパタ近づいてきて、ヒョイッと僕の肩越しに瓶を見る。
甘い香りが僕の鼻をくすぐる。
チラッと横を見ると桃色に染まったお鈴ちゃんの顔があった。
フッと目が合う。
「…今晩の宴会はお開きですねぇ」
残念そうに、でもニッコリ微笑んで心底楽しそうにお鈴ちゃんは言った。
耳鳴りがする。
鼓動が速い、外に聞こえそうだ。
身体が熱いのは甘酒のせい?
「片付けましょっか」
そうつぶやきながら立ち上がったお鈴ちゃんの腕を掴んで引き寄せた。
よろけて尻もちをつきそうになったお鈴ちゃんを両腕で抱きとめる。
「…しいね、ちゃん…?」
骨が折れてしまうのではないかと思うぐらい、強くお鈴ちゃんを抱きしめる。
「…っ…し、ね…ちゃん…少し、緩め…」
「…ごめん…」
お鈴ちゃんの苦しそうな声を無視してさらに腕の力をこめる。
身体中の血液が沸騰しそうだ。
「…お鈴ちゃん…今夜、一緒にいましょう…」
今さらなことをわざわざ聞いた。お鈴ちゃんからの肯定が欲しくて。
お鈴ちゃんは無言で僕の背に手を回し、体重を僕の胸に預けてくれた。
小さい軽い身体を抱き上げて、奥の部屋を目指す。
囲炉裏の火は消えかかっていた。
0141121です2007/12/01(土) 17:16:37ID:AjkWXi8T
奥の部屋に小さな布団が一組、さらに奥の部屋に通常サイズの布団が一組敷いてあった。
「…向こうの、奥の部屋に行きましょうか、お鈴ちゃん」
お鈴ちゃんは僕にしがみついたまま無言で小さく頷いた。
一番奥の部屋の(おそらく僕のために敷かれた)布団にお鈴ちゃんを横たえる。
魔法で襖を閉めて行灯に灯を点けた。
「…しいねちゃん……」
不安がお鈴ちゃんの顔を支配している。
僕も、正直不安だ。
一体こういうときって何をどうすればいいのだろう。
自分の思うままに動けばいいのだろうか。
「お鈴ちゃん、キスしていいですか?」
言いながら、お鈴ちゃんの顔の横に手をついた。
みるみるうちに真っ赤になっていく。これ以上は、意地が悪いかな。
困った目で僕を見上げるお鈴ちゃんの頬を撫でて、もう片方の頬に軽くキスした。
「お鈴ちゃん、僕のお鈴ちゃんに、なってください…」
目を閉じて、桃色をしたお鈴ちゃんの唇に口づけた。
甘い。甘酒の香りにまた酔わされる。
もっと味わいたくて、お鈴ちゃんの肩と腰を抱いて深くキスする。
「ん…っ…」
「はぁ…っ、んんっ…」
僕ばかり貪ってるような気がして、でもお鈴ちゃんの身体のこわばりが解けてきた。
僕を受け入れてくれてる?
「…は、ん…」
そっとお鈴ちゃんの浴衣の帯を解いた。透き通る肌が僕の目の前に現れた。
首筋に、胸元に、たくさんキスをする。
「ん、んん、しいね、ちゃん…」
「…んっ…お鈴…ちゃん…」
胸元が肌蹴た浴衣を下まで開いていく。
「…あ…っ…」
小さく抵抗されたがもう止まらない。
自分自身の浴衣を脱ぎながら、片手で目の前のお鈴ちゃんの肌を露わにしてく。
0142121です2007/12/01(土) 17:18:30ID:AjkWXi8T
「やっ…見ないで…」
お鈴ちゃんは下に下着を着けてなかった。
「…お鈴…ちゃん…?」
「やっ…違うんです…!忍の、というか、こういった浴衣では…洋服のような下着は…」
驚いたが、聞いたことはある。和服って確か、そういうものだ。
「ごめんごめん、お鈴ちゃん。大丈夫ですよ、恥ずかしがらせてすみません」
気付いたらお鈴ちゃんばかりに恥ずかしい格好をさせていた。
僕も全部浴衣を脱いだ。
肌同士が吸い付くようだ。このまま溶けてしまいそう。
全身でお鈴ちゃんの体温を感じた。
とても落ち着くのと同時に身体中が脈打ってくる不思議な感覚に溺れる。
全身に指を這わせて、下腹部まで手をのばした。
「…っ!!待…って…ください、しいねちゃ…」
「…もう止めません」
「やぁ…っ…」
そこに指を這わせたけど、堅く閉ざされている。
ゆっくり、すべりこませる。かなりキツい。
「んっ…ぅん…」
「…痛いですか?」
「…少…し、すみま、せん…」
「謝らないで、ゆっくりしますから」
少しずつ、繰り返し、胸への刺激と一緒に指の動きを強めていく。
徐々に指が滑らかに動かせるようになってきた。
「お鈴ちゃん、少し濡れてきましたよ…」
「…や…恥ずかしいです…」
「でも、僕を受け入れてくれてる?」
聞いた僕はバカだと思った。でもやっぱり肯定が欲しい。
「……はい…」
蚊が鳴くような声。涙目で僕を見上げる。
一度深くキスして、熱い僕自身をお鈴ちゃんの中に埋めていった。
もう夢中だった。
0143121です2007/12/01(土) 17:19:18ID:AjkWXi8T
「はぁっ、ん、んん…っ…」
「あ、あん…しいね…ちゃ、ん、あくっ…」
「は、お鈴ちゃん…くっ…」
止まらない。悪いと思いながら、容赦なくお鈴ちゃんを求めた。
お鈴ちゃんは僕にしがみついて、必死についてきてくれる。
どれぐらい時が経ったか分からないが、もう制御が利かなくなってきた。
欲望のままに自身を打ちつけ続けて、あっという間に僕は果ててしまった。
「………」
「………」
しばらく抱き合っていたが、お鈴ちゃんが覆いかぶさる僕の頭を撫でてくれた。
「お鈴ちゃん、すみません…僕ばっかり…」
「いぃえ、嬉しいです…ありがとうございます…」
僕はお鈴ちゃんに何もしてないのに、お鈴ちゃんは笑ってくれる。
「…お鈴ちゃん、幸せにしますから…」
僕の側から離れていかないで。
それは言えない、けど、きっとずっと僕の奥底から消えることはないだろう。
僕の世界のど真ん中にいたチャチャさんたちが自分の人生を歩んでいって、
置いてけぼりにたってしまったような切なさは、
きっと消えないんだ。
お鈴ちゃんはずっと僕の頭を撫でてくれる。
「はい、私もずっと…しいねちゃんと一緒にいたいです…」
あぁ、僕の不安を、お鈴ちゃんは知ってくれてるんだな。
この子は手放したくないな、手放しちゃいけないな。つくづくそう思う。
あの幼かった日々を思い出にしていく手助けをお願いできるだろうか。
そしていつかみんなで笑い話ができる日がくるだろうか。
その時には、僕もこの子を連れて最高に幸せな姿をチャチャさんたちに見せたい。
何のわだかまりも身構えもなく笑える日がきっと来る、今日のこの日が始まりだ。
そっとお鈴ちゃんにキスして抱きしめる。
この青写真を遠くない未来に実現することを、この小さな小さな手に誓おう。

(終わり)
0144121です2007/12/01(土) 17:29:27ID:AjkWXi8T
長くてスマソ。
あとあんまりエロくなくてスマソ。。。
原作では切ないお鈴ちゃんが大好きだった…

セラどろも他カプも大好物です。
また神の降臨をお待ちしてます。

失礼しました!!
0145名無しさん@ピンキー2007/12/01(土) 21:26:17ID:r7F3LqvH
本当は完結しないんじゃないかとハラハラしながら、
めちゃめちゃ楽しみにしてました。そして予想以上に楽しめ(笑)ました。本っ当に幸せです。

勝手な解釈かもしれないんですが
しいねちゃんの「本当は寂しいから誰かにいて欲しいだけかも」感(←なんじゃそりゃ)やら前向きなんやら感のエロさが出てて、非常に素晴らしかったです。

先日、午前中にNHK教育TVにて、日高さんの姿を見かけ遅刻しかけたのもあり、非常にタイムリーでした。


他のキャラクターや、結婚式の様子の描写もとってもよかったです。すげー幸せです。
お疲れさま、そして、
ごちそうさまでした。<(_ _)>


0146名無しさん@ピンキー2007/12/02(日) 01:13:09ID:HCfEea16
>>118
素敵なセラどろをどうもありがとうございました☆
0147名無しさん@ピンキー2007/12/02(日) 01:17:50ID:HCfEea16
今度はあまりお見かけしないのですが、セラヴィーと成長したポピィ君とどろしーのどろっどろな三角関係モノを読んでみたいです!それはもう、昼ドラ並みにドロっドロのを(笑)お願いしますっ!
0148名無しさん@ピンキー2007/12/02(日) 02:31:59ID:NOsjkQYp
>121神さま
エロパロを…いや、SS…もとい、小説というものをこんなにじっくりと読み耽ったのは、何年ぶりだろう…マジでw
二人の健気さとひたむきさが、そして思い出から幸せへと歩みだす二人が…もう、もう!
このカップルを応援してた理由を再確認できました。そして遂に原作で叶わなかった妄想(おもいw)の昇華が…
145さんも言われてますが、すげー幸せです!ありがとうございました!
0149121です2007/12/02(日) 19:19:02ID:G1AqG3Ui
>>145
>>148

本当にありがとうございます!
自分の自己満的妄想文でそんな風に思って下さる方がいるなんて…
嬉しいです!励みになります!
読んで下さって本当にありがとうございました!!
0150名無しさん@ピンキー2007/12/03(月) 19:04:50ID:PblpJjrM
>121
よかったです!
しいねちゃん、お鈴ちゃん、幸せになって!
0151名無しさん@ピンキー2007/12/07(金) 20:53:20ID:Z2r4nU2o
ヤッベ
まじ泣き
(;_;)
0152名無しさん@ピンキー2007/12/08(土) 13:56:52ID:uwhm00Um
できればこの展開で
しいねお鈴ラブラブ編を続けてほしいのです…
0154名無しさん@ピンキー2007/12/12(水) 10:13:51ID:F0asHY1a
彩花みんタン 彩花みんタン 彩花みんタン
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彩花みんタン 彩花みんタン 彩花みんタン
彩花みんタン 彩花みんタン 彩花 //   /::::://O/,|      /
彩花みんタン 彩花みんタン 彩花/ |''''   |::::://O//|     /
彩花みんタン 彩花みんタン 彩花\ |‐┐ |::://O/ ノ   ヾ、/
彩花みんタン 彩花みんタン 彩花み..|__」 |/ヾ. /    /
彩花みんタン 彩花みんタン 彩花み..ヽ___ノ / . へ、,/
彩花みんタン 彩花みんタン 彩花みん/  { く  /
彩花みんタン 彩花みんタン 彩花み.. !、.ノ `ー''"
彩花みんタン 彩花みんタン 彩花み //  キュキュ
彩花みんタン 彩花みんタン  彩花み゙′
0155名無しさ@ピンキ―2007/12/12(水) 14:59:37ID:SD6XNnR5
ところで
セラどろ←ポピで、
30レスくらいのオリジナル要素入れすぎで、
弾かれそうなSSあるんだけど、とりあえず
投下していい?
0156名無しさん@ピンキー2007/12/12(水) 15:40:26ID:GvRXjW9W
個人的に当て馬要素のある小説は即スルーするのだが、スレの流れからして需要は確実にあるはずなので投下するべし
0159セラどろ←ポピ@前書き2007/12/12(水) 22:34:14ID:SD6XNnR5
前書き

・セラどろ←ポピ
・最終回からラスト四コマまでの間の、セラどろは恋人同士、セラヴィーが既に魔王で、平八が魔法の国国王になるまでの間のモノ
・勝手な設定多杉
・媚薬っぽい記述あり
苦手な方は遠慮なくスルーお願いします。


>>147様、これがいっぱいいっぱいでした。
0160セラどろ←ポピ@1/302007/12/12(水) 22:38:35ID:SD6XNnR5



12/23

「ポーちゃん、明日はクリスマスイヴだなぁ♪」
「そーだな(また多分ろくでも無いことを考えているな…)」
秘密基地の一室にて、平八とポピィは二人コーヒーを飲んでいた。平松は明日から、機械人形工学連盟のフェスタがあるから私は行かねばならない非常に残念だと、一週間の予定で外出していた。
「ポーちゃんそっけないなぁ。折角俺様がクリスマスプレゼントを用意したっていうのに」
「何を?」
ポピィはさっき以上に面倒臭気に答える。平八は構わず続けた。
「どろしーとのデート♪」
ぶっ…とポピィはコーヒーを吹き出してしまう。
「ゲホッゲホッ、平八冗談にも程があるぞ。だ、大体どろしーにはセラヴィーがいるし、何でオレが別に好きでもない人と…」
「好きでもない?」
「そ、そうだ。明らかにどろしーはずっと年上で、オレは子供みたいな…」
「ちっちっちっ、ポーちゃんよぉ、俺様が知らないと思ったら大間違いだぜ」
「なっ…何を」
「最近よく、どろしーの行きつけの店に、わざわざ介抱しに行っているだろう?」
「それは、なるとの事で世話になったから…」
0161セラどろ←ポピ@2/302007/12/12(水) 22:44:26ID:SD6XNnR5
「それに前々から思ってたけど、どろしーがいると明らかにぼーっとしてるじゃねぇか。まるで他のヤツがいないみたいに。寂しいんだぜぇ俺様♪。」
「それは平八の妄想だ。帰るぞ。」
「まぁ、待てよ。セラヴィーの兄貴にはた〜っぷり、魔王の仕事を押しつけてあるから、少なくとも年末年始は帰ってこれねぇよ。本人が帰ってきたくてもな。」
「お前…、一言忠告するが、アイツにそんな事して後でどうなっても知らんぞ」
「それが今回は望んで行っているみたいなんだよ。あの二人はポーちゃんもどろしーから聞いた通り、今喧嘩してお互い何だかんだ理由をつけて、距離を置きたいらしいよ〜。何も言わないけど解りやすいよなぁ、兄貴達は。」
「『蠱惑のステラ』の事か?」
「そう、それそれ。だから、コ・レ★」
そう言うと、平八はスキー場宿泊券を出した。
「残念ながら、俺様はバイトで行けないんだなぁ〜。どろしーは昨日会った時に、『しいねちゃん達もいないし、今年のX'masは寂しいものになりそう。』って言ってたぞ。誘って行ってこいよ。じゃ、俺は忙しいからこれで。」
「お、おいっ…」
言うが早いか平八は、マフラーを後ろに翻すとあっという間に窓から外へ飛び出して行った。
0162セラどろ←ポピ@3/302007/12/12(水) 22:49:47ID:SD6XNnR5
その前日、どろしーは仕事の依頼を受け、ある家を訪れていた。
「ここね…」
インターホンを鳴らすと、メイドがドアを開け、中に案内された。「お待ちしておりました。」
依頼人の中年の女はある部屋を案内した。開けて二人が入ると、扉が閉められる。
「(ひどいわね…)」
部屋のベッドでは、若い女が点滴をされながら、手を胸と股に置き、まさぐっていた。「はぁ…はぁ…ぁん」顔をわずかに赤らめ、目は半開きで朦朧と空を見つめている。
ここ数日、魔法の国や周辺の国々のスキー場で男女連れだけが何組も失踪する事件が続いており、この女性は失踪して唯一、生還したカップルの片割れであった。男性は病院に入院しているらしい。
「施術を始めますので、部屋の外に出て下さい。」
母親の中年女性が部屋を出たのを確認すると、内側から、魔法で鍵をかけた。そして、蠱惑解呪のあらゆる方法を試した。
「魔界のモノの仕業の様ね…」
解呪の手応えが得られず、どろしーはそっと右上腕の腕輪に手を添えた。
それは、初めて魔界に行った日、セラヴィーに危ないからと無理矢理手渡された、魔王一族に伝わる全ての魔法を受け付けない腕輪だった。
0163セラどろ←ポピ@4/302007/12/12(水) 23:00:18ID:SD6XNnR5
「折角だから、使わないとね…」
どろしーは腕輪を外そうと、袖を捲りあげた。



『蠱惑のステラ』とは魔族の一人で、とある辺境を治めているが、他国と組み、反乱を繰り返しているため、セラヴィーは魔王軍を率いて平定しに行っていた。
『蠱惑のステラ』の使う術は非常に厄介な誘惑の術で、防ぐには魔王一族の宝をもってするしかないといわれており、平定はしたが、セラヴィーは何故かステラをとり逃していた。
彼は何も言わないが、誘惑されての事だろうと誰もが思っており、偶然にそれとなく平八から聞いたどろしーは、本人には聞かず、傷つき
腕輪を受けとった自分を責め続けていた。

どろしーは腕輪を外し、行為に夢中になっている女性の腕にそっとはめた。するとその女性を包む様に白く薄い輝きがあらわれた。
女性の目は大きく見開かれたと思うと、体全体が硬直し、次の瞬間気絶したようになった。
「終わったわね…」
どろしーは女性から腕輪を外し自分につけなおすと、
部屋を開け、もう大丈夫と告げて足早に屋敷を去り、片割れの男性のいる例の病院へ向かった。
0164セラどろ←ポピ@5/302007/12/12(水) 23:12:10ID:SD6XNnR5
券を受けとったポピィは、しばらく迷っていたが、秘密基地の戸締まりをすると、意を決して、どろしーの家へ向かった。


「いたら…、福引でもらったんだけど〜と言おう。…いたら、…言おう。」

「あら、ポピィ君。今日は仕事はお休みなの?」
少し、下から凛とした恋い焦がれるその人の声がした。突然のことにしどろもどろになるポピィ。
「ど、どろしー。き 今日というかしばらくは休みなんだ。去年も一昨年も仕事ばっかだったから、今年は休みを入れたんだ。」
「あら、よかったわね。なると君にもよろしく。はい、これ。」
どろしーは、ショルダーバックから小さな包みを二つ取り出し、ポピィに手渡した。
「中身は帰ってからのお・楽・し・み★」
「あ、ありがとう、どろしー」
「それじゃあ、私はこれで♪」
「ま、待ってくれっ」
自然に声が出た。けれど、それだけで心臓が高鳴って、次が続かない。
「なあに、ポピィ君。」
そんなこと言われてもと平八を恨みながら、ありったけの勇気を振り絞って言う。
「す、スキー場の券が手に入ったんだ。よかったら一緒に行かないか?」
0165セラどろ←ポピ@6/302007/12/12(水) 23:16:21ID:SD6XNnR5


(うわっ、不自然だ。これだと普通に誘っているみたいだっ)
言ってみて猛烈に後悔するポピィ。
「どれどれ…」
どろしーは券を覗き込み、場所を見た。それは昨日の依頼人の娘が発見されたスキー場だった。
「行くわ、ポピィ君。私もちょうど暇だし」
「え、本当に?いやでもセラ…」
どろしーはポピィの唇に人差し指と中指を当てて言った。
「セラヴィーは忙しそうだから い い の よ♪…明日のいつ頃待ち合わせがいい?」
こうして、ポピィとどろしーは次の日スキー場に行く事になった。
0166セラどろ←ポピ@7/302007/12/12(水) 23:18:55ID:SD6XNnR5
「いやっ…、いませんっけどっ」
ただでさえ隣にどろしーがいてポピィが背が高くなった分どろしーの顔が近かった。本人は年を気にしているらしいが、あの頃と変わらず本当に綺麗で、鼻を刺す様な冷気にまじる微かな香に心臓をバクバクさせながら、どろしーが呑気に話すのをポピィは聞いていた。

頂上が近づくと、どろしーは、上で手を振る2人に気がついた。
「あら、しいねちゃんの同期の人魚達だわ」「人魚って…まさか。」
ポピィの不安にどろしーが気づく間もなく、感高い声がした。
「ポピィせんぱーい!ナミでーす!」
「あんたうるさいのよ。リーヤ君はリーヤ君っ」
どろしー達がリフトを降りると、ナミとマリンが駆け寄ってきた。「ポピィ先輩、お久しぶりです。休みの日に先輩に会えるなんて…」
それをマリンが遮る。
「ちょっとぉ、なんでリーヤ君がいないのよお。あんたエガオンなんでしょ。何とかしなさいよ」
「お姉ちゃん、ポピィ君がエガオンなのは皆にひみつ…」
「そんなんバレバレでしょっ」
きっぱりと言うマリン。
「ごめんなさい。ポピィ先輩。」
「…、いいよ(汗)」
ポピィは顔の隣で力無く手を振った。
0167セラどろ←ポピ@6.5/302007/12/12(水) 23:23:30ID:SD6XNnR5
12/24

良く晴れて、雪もたくさん積もっており、絶好のスキー日和であった。例の事件があったスキー場だが、割と賑わっている。
ポピィとどろしーは、着替えを済ませ、リフトに向かった。
「行きましょ♪」
と、どろしーがポピィの手を取って歩きだすので、慌てて歩きだす。
「(どろしーも元気だし、来てよかった。)」
そんなことを思いながら、ポピィはリフトでどろしーの隣に座った。リフトはぐんぐん登っていく。

「それにしても ポピィ君、本当に背が伸びたわね。大人っぽくもなったし。好きな人でもできたでしょ?」
0168セラどろ←ポピ@8/302007/12/12(水) 23:39:47ID:SD6XNnR5
>>166>>167は逆です。すみません。失敗しました。以下続き。




「…ポピィ君。折角だからナミちゃん達と滑りなさいな♪。わたしは用を思いだしたから行くわ。また夕方ね♪」
「は?え?」
ポピィは驚いて振り向いたが、
「じゃあ、あたしはこれでっ」
どろしーはポピィの肩をポンっと押すと、勢い良く滑り始めた。
薄いピンクのスキーウェアに一瞬、流れる様な黒い髪が映えて揺れたが、すぐに見えなくなった。
「しいねちゃんの師匠、うまいじゃなーい」「ほんとだー」
「(あぁ、結局こうなってしまうのか。)」
ポピィはただ一人、天を呪った。


ある程度滑り下りると、箒に乗り換えて、低空飛行で別の方向に進む。しばらくすると『立入禁止』と黄色いテープが幾重にも張られたところに辿り着いた。
「ここか…」
微かに、魔界独特の匂いを感じて、どろしーは口を手で覆った。
テープの下を潜り、雪を慎重に踏む。辺りに人の気配は無く、自分自身の呼吸の音しか聞こえない。どろしーは慎重に違和感の元を探した。
「男女二人連れでないと、術は発動しない様ね…」
0169セラどろ←ポピ@9/302007/12/12(水) 23:44:29ID:SD6XNnR5
しばらくすると、どろしーはわずかに空気が揺れているところを見つけた。微かだか其処だけ魔界の匂いを強く感じる。
「見つけたわよ。さーて何かしらね。」
どろしーは静かに魔法のステッキを向けた。


「どろしー、何やってんだ?危ないんじゃないか?」
理由をつけてナミ達を振りきったポピィ君が黄色いテープを上げて入って来た。
「ポピィ君、来ちゃ駄目っ!」
どろしーは振り向いて駆け寄るが、術が低い唸りを上げて発動した。
「うわぁ――っ」
「きゃ―――っ」

気がつくと、ただっ広い氷の空間にいた。どこかの洞窟のようだ。
「いたっ…」
立とうとすると透明な天井に頭をぶつけた。ポピィはまだ、気を失って倒れていた。
「ポピィ君、ポピィ君。」どろしーはポピィの肩を揺すって呼びかけた。
「ど どろしー、ここは…」
「どこかの洞窟の様だけど、バリアが邪魔でわからないわ。怪我はない?ポピィ君。…巻き込んでしまってごめんね。」
「いや、オレこそ、…ごめん」

辺りをよく見回すと、あちこちに男女二人ずつ絡むようにしているのが見える。
「あの人達は…」
0170セラどろ←ポピ@10/302007/12/13(木) 00:06:32ID:SD6XNnR5
「多分、今まで拐(さら)われた人達だと思うわ。さあ早く、ここから脱出して、魔物を早く倒さないと。」
そう言うとどろしーはポケットからナイフと口紅を取り出し、口紅でナイフに魔法文字を書き始めた。
「この手のモノは、外側からなら指先一つで、壊せるんだけど。内側からは少し時間がかかるのよ。」
計5本のナイフに解除呪文を込めながら、ゆっくり、魔法文字を書きこんでいく。

しばらくすると、ポピィはめまいがして、体が熱くなるのを感じ、バリアにもたれかかった。
「おかしい…」
思わず目を閉じようと思ったが、滑らかに口紅を操る白い手から、目が離せない。
改めて目の前のどろしーを見た。
初恋のあの頃と変わらない、あの人がいた。
強くて優しい人。今も変わってない。意地っ張りで、うるさいけど、皆を一番、自分自身よりも愛してる。
いつだって、オレを守ろうとしてくれる。セラヴィーはわかってない。そんなどろしーがどんなに愛してるか知らない。
オレの方が寧ろよく解ってる。こんなに解ってるのにどうして――

その切那、無意識にポピィはどろしーを組み敷いていた。5本目のナイフと口紅は地面に無造作に転がった。

【続く】
0172名無しさん@ピンキー2007/12/14(金) 05:15:23ID:iJydRDJ8
>>171
こ、こんな細かい投下予告初めてみた。
律儀な神に感謝を〜。
続き待ってます。
0173名無しさん@ピンキー2007/12/14(金) 22:50:03ID:I8Zdkp2a
「@○/30」ってことは既に書き上がってるんだよな?
なんでわざわざ分けてんの?
0174セラどろ←ポピィ@レス中2007/12/15(土) 04:50:03ID:Vjhas/L2
>>156
当て馬……う〜ん。とりあえず、投下してみます。

>>157
ワッフル美味しいですね(違)

>>158
アワワワワワワ(°Д°)…………(ry


>>172
アワワワワワワ(°Д°)

それはさておき、書き手さんのスレにて、投下時期をうpした方が、他の方が投下しやすいらしいです。
うpしないと、途中で区切ってしまうからと、他の職人様達が投下しにくいからとか…。

>>173様 同じく、書き手さんのスレ(板名わかりませんorz)にて、長いモノは10レスくらいで区切って、一週間くらいあけて、投下するほうが、投下そのものが荒らし化するのを防ぐ…?らしいです。
あとは、布団の中で携帯から打ち込んでいるので、息が続か…(ry
0177名無しさん@ピンキー2007/12/17(月) 00:55:36ID:fy+H0crc
空気を読まず小ネタ投下、↓注意

○ナミ一人えっちネタ
○何故か「ですます調」
○何故か「ちゃん」付け
○妄想の相手は先輩
○時期および身体のサイズは番外編(なるとが幼稚園児のとき)くらいで
0178名無しさん@ピンキー2007/12/17(月) 00:57:41ID:fy+H0crc
ナミちゃんは今夜一人でお留守番をします。
お姉さんのマリンたちは明日まで帰ってこないのです。
一人でいることも、もうナミちゃんは怖くなんてありませんでした。
むしろ、おませなナミちゃんは、普段は家族がいるのでできない「あること」ができるので嬉しくってしかたありません。
お風呂から出て、身体や髪の毛を乾かしたナミちゃんは自分の部屋に入ります。
ツインテールを解いたその姿は、やっぱりマリンにそっくりです。
ベッドに上がれば、「あること」の始まりです。

まずはパジャマのボタンを一つずつ、丁寧に外していきます。
ここ三年ほどで、ナミちゃんの身体は急に大きくなりました。
ナミちゃんはまだうらら学園を卒業していません。
でも、背はお姉さんのマリンが同じ年だった頃よりずっと高いのです。
パジャマを脱ぎ、膨らみはじめた胸が露出します。
淡いピンク色をした乳首は、まだ幼さを十分に残しています。
続いて、ズボンを脱ぎ、パンツに手をかけました。
一瞬手が止まりましたが、やがて足先からスルリと外れました。
これでナミちゃんの身体を隠すものは何一つなくなったのです。

ナミちゃんは目を瞑りました。
想像の中で、逞しい身体をした大好きな人の姿が浮かびます。
「ポピィ先輩…」
想像の中では、彼も裸でした。
優しい顔をして、その大きな手でナミちゃんの胸に触れます。
「あ、先輩、やめてください…」
口では拒否するものの、実際にナミちゃんの胸を触るのはナミちゃんの掌です。
両手でそのまだ熟れ切れてない胸をやわやわと揉みしだきます。
先輩に裸を見られ、胸を揉まれる恥ずかしさで、彼女の顔は少しずつ紅潮していきます。
0179名無しさん@ピンキー2007/12/17(月) 00:59:49ID:fy+H0crc
つん、と勃った乳首を軽くつまむと、ナミちゃんの口から、あぁ…と声が漏れてしまいました。
左手で胸を弄り続けながら、右手は下腹部の方へ伸びていきます。
ナミちゃんはゆっくり、しかし大きく足を開きました。
想像の中の先輩は、ナミちゃんの一番恥ずかしいところを何も言わずに見ています。
既に彼女の敏感なクリトリスは、興奮で充血しています。
ナミちゃんは、まるで許して欲しいかのように先輩に聞きました。
「ポピィ先輩、私変態ですよね?いやらしいことなのに…こんなに興奮しちゃってるんです…」
ナミちゃんは涙目になって先輩に訴えます。
すると先輩は少しだけ困ったような顔をして、でもまた微笑みました。
『誰だってそういうもんだろ』
そして彼女のクリトリスを強めに撫でました。
「ああっ!」
刺激が強すぎて、ナミちゃんはぶるっと震えます。
それからしばらくの間、左手で乳首を、右手でクリトリスを触り快楽を貪り続けました。

ナミちゃんの右手が、「あること」のためにいつもは隠してある小さなローターを掴みました。
想像の中で、ついに先輩が彼女の中に入るときがきたのです。
『挿れるぞ』
「は、はい…」
ナミちゃんはゆっくりとローターを挿入しますが、いつも先っぽまでで終わってしまいます。
でもそれ以上は痛いし、本当の「初めて」はポピィ先輩と、と決めているのでそれで良かったのでした。
ナミちゃんの部屋に無機質な振動音が響きます。
「いやぁっ、あぁん…」
ナミちゃんは、身体を捩らせ自分で挿入したローターに抵抗しますが、快楽に溺れた身体はいうことを聞かず、ナミちゃんをいじめ続けます。
ローターを入れた身体で、ナミちゃんは自分の両胸をまさぐりました。
「あんっ…!」
ナミちゃんが絶頂を迎えそのままベッドに倒れ込むと、はずみでローターも外れました。
ささっていた場所だけが、濡れててらてらと光っています。
ぼんやりとした眼差しで、ナミちゃんは屋根の照明を見つめます。
「こんなことしてるって知られたら、ポピィ先輩に嫌われちゃうわよね…」
「あのこと」が終わると、いつもこんな自己嫌悪にかられてしまうのです。
ナミちゃんは、それでもやめることができないのでした。
0180147です2007/12/17(月) 18:27:07ID:lNpd3qNv
>>171様!
@素晴らしいお話をどうもありがとうございますっ!147ですが早く続きが読みたくて夜も眠れない程です!ポピどろはあまり見かけないから楽しみです!細かい丁寧な描写は神だと思いました!
0181147です2007/12/17(月) 18:28:13ID:lNpd3qNv
>>171
Aあぁー!早く続きを読ませてもらいたいですっ!どうか宜しくお願い致します!嫉妬に狂うセラの反応も楽しみです!本当に待ってた甲斐がありました!
0182セラどろ←ポピ@11/302007/12/18(火) 21:55:07ID:IDKnnPZp
諸事情にて、ラストまで投下。



「ポピィ君…?」
「胸が苦しくて…体が熱いんだ…助けて」
「まさか…この香にやられてっ…」
初めはそっと、してからは強く、ポピィはかきまわす様に口づけた。もう自分で自分を止められなかった。
「(まいったわね…もう少し大丈夫かなと思ったのだけど…完璧に魔物の香にやられてるわね)」
両腕を押さえつけられており、腕輪は外せそうにない。何とかナイフに届かないかと手を動かす。5本のナイフはそろっている。後はバリアに打ち付けるだけだ。子供相手に余り手荒な事はしたくない。
「どろしー…」
ポピィの方は香のせいなのかそうでないのかはもう、わからなくなっていた。
「前からずっと、好きだったんだ…」
「ポピィ君…」
「胸が苦しいくらい、ずっと好きだった。助けてくれ…もう…どうすればいいかわからない」

『助けてくれ…』それを聞いたどろしーは、もう抵抗するのを止めて、腕の力を抜いた。
ポピィはどろしーの顔を両手で包むと、改めて深いキスをし、どろしーはそれに答えた。 唾液の絡む音だけが、暫く続いて音が二人を次第に狂わせていく。ポピィはキスの雨を降らせながら、スキーウェアのチャックに手を掛けた。
0183セラどろ←ポピ@12/302007/12/18(火) 22:02:07ID:IDKnnPZp
その12


それを止めようと、反射的に胸元に来たどろしーの両手を両腕で抑えると、チャックはひとりでに降りていった。
「超能力って便利ね」
「そうか?」

そう言いながら、ポピィは下腹部の布の繋ぎ目を静電気で焼き切った。胸元から足の先まで、全身が現れる。
どろしーはウェアの下には薄手のボディスーツしか着ておらず、体のラインが露わになり、胸の先はすでに真上を向いていた。そこを指先で軽く撫で回す。
「ぁ…」
軽い電気が走り、どろしーは自分でもっと触りたい衝動にかられるが、それを察知したポピィに素早く両腕を押さえつけられた。
真剣さに気負されて戸惑う中、甘い刺激がどろしーを蕩かしていく。
なおも、ポピィは胸を揉みしだきながら、胸先を撫でまわした。その間にもう片方の手は下腹部の下のほうに伸び、黒い茂みを撫でながら、もう一つの突起を探していた。
どろしーはそれを止める事なく、思考が緩やかに霞んでいくのを感じながらまだ迷っていた。今はまた離れているが、最近ようやく恋人同士になれたセラヴィーの事が何度も頭をよぎった。
0184セラどろ←ポピ@13/302007/12/18(火) 22:07:42ID:IDKnnPZp
ただ、ポピィの様子が何となく、本当はセラヴィーを求めて苦しむ自分と似ている様に感じ、放っておけず受け入れてしまい、頭の中が白く霞んでいく。
早くポピィ君をこの香の毒から解放する為…といい聞かし、どろしーはポピィのスキーウェアを脱がし、胸板に手を触れた。お互いの甘美な刺激に二人の視線が合い、どちらからともなく舌を絡め、互いを昇りつめらせていく。
ポピィの余った手はどろしーの下腹部の泉が潤っているのを確かめ、襞を軽く撫で回す様に指の出し入れを繰り返した。
「…ポピィ君。来て…」
そう言いながら、どろしーは硬く反り立った棒を導き、自分自身に沈めた。
初めての感触に気が狂いながら、ポピィは恋い焦がれた愛しい人の名前を呼ぶ。
「どろしー…」
体が勝手に動き、注挿を繰り返すと、どろしーの顔も上気し、薄い桃色に染まる。

「どろしー…どろしー!」
「ポピィく…ん!」
「どろし―――」
二人が高みに達するその切那、
0185セラどろ←ポピ@14/302007/12/18(火) 22:12:46ID:IDKnnPZp
ザシュッ ―――

どろしーは素早く左手にナイフを握り、ポピィに近づいた触手を突き刺した。触手は大きくくねると消え、バリアが壊れた。それに気づく間もなく、ポピィはどろしーの中で果てた。
「ど どろしー、何を…」
「エクスタシーの極みのエネルギーでも、取りに来た魔物を刺したの。まだ生きてるわ」
「エクスタシー…?
って、わあぁあぁあ」
ポピィは我にかえって混乱した。

「気持よかったわ。いつまでも子供の様に思ってたけど、そうじゃないのね。」
そう言って、どろしーはポピィに軽く口づけた。そして、二人の服を素早く魔法で直した。
「(魔物のせいか…)」

結局、殆ど自分の気持が伝わってないことに、ポピィはほっとするとともに、胸の奥底で、見えない傷が痛んだ気がした。

どろしーがナイフを刺した事でついた、魔法文字を辿り、ポピィとどろしーは魔物を倒す事に成功した。魔物は大樹の様ないでたちをしており、自分を守る為にセラヴィーに似た人型を形作ろうとした為か、最後はどろしーに躊躇いもなく破壊された。

拐われた人達は、地上に戻り、ポピィが連絡した警察に無事救助された。後始末を切り上げた頃、日は落ち、ポピィ達はスキー宿泊場にとりあへず戻った。
0186セラどろ←ポピ@15/302007/12/18(火) 22:17:15ID:IDKnnPZp
「ポピィ君、どこ行ってたのよ!おかげで探すって聞かないナミに連れ回されて散々だったわ!どうしてくれるのよ!」
「姉さんやめて。ポピィ先輩だって大変だったんだから」
スキー宿泊場に戻るとナミやマリンと合流し、何だかんだと騒騒しい夕食になった。結局風呂も4人で行き、二人が部屋に帰る為、廊下を歩く頃は夜中になっていた。
ポピィはどろしーの方を向く度、浴衣の隙間から白い艶めかしい肌がちらつき、その度に、その肌に触れた事を思いだしてしまい困惑していた。どろしーが、あの絶頂の時、冷静に行動していたことが、よりポピィを苦しめた。
「どろしー、今日は仕事の邪魔してその上あんなこと…」
「謝るのは私よ。ポピィ君に何も言わずに、調査に行ってしまって。あんなことに巻き込んでしまって…。好きでもない上に知り合いの、しかも私となんて…辛かったでしょ?」
「そんなことないっ」
ポピィは強く反論した。どろしーは一瞬、驚いた様な顔をしたが、
「優しいのね、ポピィ君は。ありがとう、お休み」
と答え、微笑んだ。

そしてどろしーは部屋に入り扉を閉めた。
0187セラどろ←ポピ@16/302007/12/18(火) 22:22:02ID:IDKnnPZp
そこで初めて、窓の側に立っている誰かに気がつき、凍りついた。
「セラヴィー、どうしてここに…」
「少し時間が出来たので、久しぶりに来てみました。もしかして今、一番会いたくない人ですか?」
そう言うとセラヴィーはゆっくり、どろしーに歩み寄った。
どろしーは後退りをするが、すぐにドアに阻まれ動けなくなった。
ドアに背を貼りつかせて、わずかに震えるどろしーの顎を上げて、セラヴィーは無理矢理キスをした。「っ…やめてよっ」
どろしーの抵抗に、セラヴィーはあっさりと体を離した。
「誰もいませんし、どうして…、拒絶するんです?」
「拒絶なんてしてないわ。ただ突然だったから…」
そう答えて、少し顔を背けると、セラヴィーはどろしーの顔の両側に手をついた。
その衝撃だけでよろけそうになった体は、セラヴィーに両手で支えられ、どろしーは思わずセラヴィーを仰ぎ見た。エメラルド色の眼が真っ直ぐ、どろしーを射抜く様に見つめている。
「『拒絶なんてしてない』?おかしいですね。君がそんな事を言うなんて。いつも最初は拒否してばかりじゃないですか(笑)。本当は、どうしてですか?」
0188セラどろ←ポピ@17/302007/12/18(火) 22:26:49ID:IDKnnPZp
多分今まで言われたこともない『君』という言い方に、どろしーは声を失い、セラヴィーの視線から、目を離せなくなっていた。
震える声でどろしーは話す。
「…ポピィ君とスキーに来ただけよ。でもほとんどはは仕事だったわ…それだけよ。」
「それだけ?」
「それだけ。」
「じゃあ、仕事中、どろしーちゃんはポピィ君と何をしてたんですか。どうして相手がどろしーちゃんで謝らないといけないんですか?」
セラヴィーの口調が、思いもよらず強くなる。
「セラヴィ、…違うの。」
「何が?」
セラヴィーは片肘だけ壁につけると、少しずつ顔を近づけて、
「ポピィ君とこんなことでもしてたんですか?」
と、耳朶を甘噛みしながら囁いた。
どろしーはその度に噛みちぎられそうな恐怖に襲われながら、じっと耐えた。
「そこまではっ、してない…っ」
いつもなら、もの凄い反撃に遭ったものだが、今のどろしーは弱々しく、為されるまま。その様のどろしーにいつもと違うどうしようもない愛くるしさを感じて、セラヴィーのトーンが少し落ちた。これはこれで楽しいかなと思う。
でも、追求は緩めない。
0189セラどろ←ポピ@18/302007/12/18(火) 22:32:04ID:IDKnnPZp
「どこまで…したんですか?」
「……。」
答えることが出来ず、どろしーの顔が赤くなったり青くなったりする。
「セラヴィーのせいよ。あんな魔物捕り逃がすからこんなことになったんじゃない。」
「…でないと私がポピィ君と何かある訳が」
そう言いかけて、少し胸が痛んだ。ポピィ君の気持ちを知らない訳じゃない。
ただ私の心にはずっとセラヴィーがいて、本当は彼以外と付き合うことなんか全然考えられないほどセラヴィーの事が好きで、ポピィ君の気持ちは年が離れていたから知ってて知らないふりをしてただけだ。
自分の気持ちは既に知られている上でないがしろにされて傷ついているくせに、私はポピィ君の気持ちを知りながら、子供扱いしてないがしろにしている――。
そう気づいて何も話せないどろしーに、セラヴィーは幾らか気が晴れて、
「そうですね…。本当にどろしーちゃんは鈍感ですねー。鈍感で無神経なのに、どうしてこう、僕を惹きつけてやまないんでしょうね。」
と、クスッと笑った。セラヴィーが微笑ったのに、どろしーはほっとしたがすぐに反論した。
0190セラどろ←ポピ@19/302007/12/18(火) 22:35:18ID:IDKnnPZp
「何が鈍感よ!恋人同士なのに、魔界がどうとか言って私の事はほったらかしで、魔物とまでイチャついた噂まで流れて、挙句の果てに危ない時には助けに来ないで、全部終わってから会いに来るなんて。そんな人に言われたくないわよっ」
「あぁ、財政難で、裏で売る薬の開発の為に生かしてたけど逃がしてしまった『蠱惑のステラ』」
「『あぁ』じゃない!」
「実験中うっかり魔界の穴に逃がしてしまったんですが、魔界植物なので、こっちのしかも冬だと生きていられないから大丈夫か。と思って平八に連絡だけいれたのですが、いやまさか、意外な方法で生き延びていたものですね」
「おかげで魔法の国や他の国の人は散々な目にあったのよ!」
「僕も長年想い続けて最近やっとつき合いはじめた恋人を寝とられる散っ々な目に遭いました。」
「…恋人って誰よ。」
上目使いで聞くどろしー。膨れっ顔があまりにも可愛いらしくて、セラヴィはキスを浴びせながら囁く様に答えた。
「…どろしーちゃんですよ。」
「どう…だ……か」
自分の狂わすところを余すことなく犯すキスに、全身に微量の電気が走り下半身が熱くなった。
0191セラどろ←ポピ@20/302007/12/18(火) 22:40:06ID:IDKnnPZp
いつかまた遠ざかって自分が傷つくのが怖くて、感じているなんて知られたくないのに、体はどろしーの意思をあっさり裏切ってどんどん蕩けていく。
セラヴィーは滑らかな首筋から細くて白い肩、そして一番感じる鎖骨の間に、舌を這わせ、赤い印をつけていった。
「つけるのは…やめ…」
「別にいいじゃないですか。その方が気持ちいいでしょう?」
鎖骨の間に何かする度にどろしーの声が漏れた。
「ヒャン…だめ…」
その度に体が軽く痺れて力が抜けて、立っていられなくなる。そんなどろしーを全身でドアに固定して、胸をそっと触れる程度に包むとその先端だけ何度も擦りはじめた。
はじめは微量の電流に耐えていたどろしーだが堪えきれず、声がもれ、股の間から透明な液体が流れだして身をよじろうとした。
それはすぐに脚の間に片足をいれられ阻まれた。
「流れてますね」
「やめて…」
「いやです」
セラヴィーはそのまま手でClitorisを擦り当てると、ゆっくり丁寧に皮を剥いていった。
「んっ…なん…」
声が微妙に高くて甘い。暫く首筋に舌を這わせてClitorisを擦りながら、反応を楽しんでいた。
0192セラどろ←ポピ@21/302007/12/18(火) 22:44:09ID:IDKnnPZp
「どろしーちゃん、もっと力を抜いてくれないと入りませんよ。」
「え…」
「立ってシたことは誰ともないでしょう?だ か ら ね♪」
何がだ か ら ね♪なんだろうと思ったがその疑問は言葉にして紡がれることはなかった。
セラヴィーは弾むようなお尻を軽く円を描く様に撫で回しながら、再び口の中を犯していった。度重なる絶調で張りつめていた体が、それとはまた別格の快感で再び蕩けていく。
「ふぁら…」
豊かに濡れたそこは痛みを全く伴うことなく、セラヴィーを深く受け入れた。
「んぅ…」
それだけで軽く息がもれる。その吐息はセラヴィーの冷静さを痺れさせるほど艶めかしいものだった。
もう殆ど、目の前の彼女と全てを繋ぎたい想いで限界になりながら、どろしーを突き上げていった。
「はぁ…どろしーちゃん…」
「セ…ラ…ヴィー…」甘く朧げに自分の名前を呼ぶどろしーの様子に、
本当にこの人にだけは、この先もずっと愛しくて狂わせられるんだなと、セラヴィーは、心のどこかで苦笑いをした。
0193セラどろ←ポピ@22/302007/12/18(火) 22:48:32ID:IDKnnPZp
けれど、ずっと離さず傍にいようと、強く想った。
セラヴィーの息が上がり、動きが激しくなるのを感じ、快感で薄れている意識のなかで少し優越感を感じてしまうどろしーだったが、同時にこの男でないと自分はダメなんだろうと心も体も降参していた。そのまま流されるままに溢れるままに男の名前を呼んで――

気がつくとどろしーは座りこんでいて、同じく座りこんでいるセラヴィーに抱き締められていた。しばらくは互いに無言でいたが、もちなおして、どろしーは立とうとした。
「あれ…立てない…」
「そうですか?」
クスクス吹き出しながら、セラヴィーは言って、ひょいとそのままお姫様抱っこで抱き上げるとベッドにどろしーを運んで、自分もその中に潜りこんだ。
「まさか、まだスルつもりなの?」
「当たり前じゃあないですか♪♪他の男に二度と目もくれない様にね♪」
「なんっ…」
それは、色々違うっという抗議は唇に塞がれ官能の波に流れてしまい、その後意識を手放して深い眠りについた。セラヴィーは、どろしーを腕の中に抱いてずっと離さなかった。
そして、夜が明けた。
0194セラどろ←ポピ@23/302007/12/18(火) 22:51:49ID:IDKnnPZp
12/25

朝食の迎えに行ったポピィはどろしーの部屋でメッセージを発見した。
『用が出来たので、先に帰ります。後のことは大丈夫です。ポピィ君は皆と休日を楽しんでね』

筆跡が少し違う様な気がしたが、ナミ達に連れていかれ、そのまま、スキー(スノボー)をして過ごした。
ナミ達とランチを食べていると、平八が現れた。
「ポーちゃん、悪いがすぐに魔界に来てくれ。サンダル兄貴が呼んでるんだ」
平八の真剣な様子とどろしーがいない事にただならない気配を感じたポピィはすぐさま平八の城にテレポートし、魔界の城に入った。
魔界の城は、所々渦々しく、退廃的だったが、全体的に繊細で、優美、そして果てしなく広大だった。

「前に見た印象とは違う様な気がする。見る角度によって違うのか?平八?」
「いや、サンダルの兄貴が真面目に魔王の仕事をするもんだから、城もそれらしくって事で、タワシの兄貴が造り変えたんだ。結構スゲーだろ」
「あぁ、凄いな」
そう言いながら、ポピィはどろしーの姿を無意識に探した。
0195セラどろ←ポピ@24/302007/12/18(火) 22:56:32ID:IDKnnPZp
平八はある部屋に入ると、ポピィに黒と灰色で主に配色された礼装を渡した。
「急いでこれ着て議事堂に行かないといけねーんだ」
「疑わしいから、お前のを着る」
とポピィは平八が着ようとしていた礼装を取り上げて着た。
「まぁ、着てくれたからいいけどな。議事堂は安全の為に異界のものは、溶けてなくなっちまうからな。」
「そんな危ないとこなのかっ」
「それ着てたら大丈夫だから。じゃあ、急いで行くぞっ」
平八の後を追って中身は古今東西異界の様式がいりまじった迷路の様な城を走り回り、ある扉の前に着いた。
優雅で巨大な扉を開けると、
そこは広大で長い教会の様な吹き抜け構造になっており、その奥の奥、そびえ立つ様な講壇の傍らに、密かな想い人が立っているのが見えた。そしてその隣には…その人を求めて止まないもう一人の存在があった。
「…どうしてポピィ君まで来ているのよ?」
「あぁ、言い忘れてましたけど、ポピィ君にも用があるのです。」
そう言うとセラヴィーは二人に向かって歩きだした。

「あのさ、ポーちゃん。兄貴がさっきからずっとこっちを睨んでて怖いんだけど。もしかしてどろしーと、何かあったのか?」
0196セラどろ←ポピ@25/302007/12/18(火) 23:00:21ID:IDKnnPZp
「あぁ…。」
「(おいおい…結局誘えないに市松と賭けてたのにマジかよっ…)」
いつの間にかポピィが先頭を歩いていた。構わず、どんどん歩いていくポピィの後を平八は仕方なくついて行った。


「ポピィ君、平八、お久しぶりですね。」

「何でどろしーがここにいるんだ」


空気が一気に凍る。
セラヴィーが一瞬、殺気を含んだ眼で睨んだが、すぐ抑えた。
「私もセラヴィーに呼ばれて来たのよ。先に帰ってごめんね」
どろしーが口を挟むが、セラヴィーは更にそれを遮る様に話す。

「先日の事件では、迷惑かけましたね。ポピィ君」

ほぼ棒読みの話し方で。

「よりによってあんなメチャクチャなヤツ逃がすなんて、天才完璧主義者セラヴィーも失敗するんだな。」


二人に緊張感が走り、その瞬間、平八はポピィを擁い、どろしーはセラヴィーの僅かに光を帯びた右腕を止めた。

「――っ」

魔法弾一歩手前の状態に触れた為、どろしーの手袋と袖が弾け飛んだ。手と腕は無事で服と手袋もすぐ再生したが、一瞬 それ以前につけられた赤い斑点が何個も見えた。
「まさか、人間界の冬の時期に生き延びるとは思わなかったんですよ。平八にも捕獲する様に連絡を入れましたし。」
0197セラどろ←ポピ@26/302007/12/18(火) 23:03:10ID:IDKnnPZp
「えぇっ、オレ様??………あっ、今月初めの電話?」
「そうですよ。12/1にこっちの植物がそっちに逃げましたから、氷漬けにして捕まえてくださいねって」
「エガオンスペシャルで妖精の国に連れていかれていた頃か……あぁ、そういえばわざわざ連れてきた魔物の上で電話かけながら言ってたな。
『――(中略)――ふーん。そうなのか。よし、それはオレにまかせとけっ。じゃな』って…」

あの後打ち上げだかバイトだかで城も壊れてなかったことから、すっかり忘れてしまっていたことを思い出し、平八は思わず後ずさりした。

すると、すぐ後ろにセラヴィーによく似た女性が気配を全くみせずに現れた。
「はじめまして。この国の王太后です。本当に久しぶりね平八。大体のことは今聞いたわ」
「……」
平八の顔が本気で青くなる。
「平八。『自分の方が人間に似てるから、兄貴達に代わって、世界征服をしてやる』って言ってたわよね。だから魔法の国担当にしたのにこの為体(テイタラク)、どうしようかしら。」
母親の性格はわかっている(顔は忘れてたが)。この場合、どうするかなんてとっくの昔に決めている。
「…ど う す る ん で す か…?」
と平八は震えて聞いた。
0198セラどろ←ポピ@27/302007/12/18(火) 23:11:18ID:IDKnnPZp
「中途半端で関係ない事ばっかりして。本当なら弾劾裁判ものだけど、魔法の国に溶け込む事だけは成功している様だから、チャンスをあげるわ。
魔法の国で選挙が行われるよう仕向けたから、それに何が何でも当選しなさい。負けたら魔界に戻します。そして魔法の国どころか異界へ行く事を禁止します。」
「じゃあ立候補は代わりにポーちゃんが。」
「平八が立候補するように手を回してあるから、頑張ってね。」

「はぁ…orz」
平八はガックリ肩をおとした。
「で、オレは何で呼ばれたんだ?」
「貴方にも迷惑かけたし、平八と仲がいいから、平八が魔法の国の国王になったら傍で仕事ができるようにするわ」
「それはお断りします。」
「でも、仕事がないと困るでしょう?」
そう言って微笑む顔は、セラヴィーに本当によく似ていて、空恐ろしく感じた。
「ああそれと、そこの魔女」
「私?」
「そう。魔王がどうしても結婚したいっていうヒト」
「結婚?!別に付き合ってるってだけで別にまだ…結…婚っていうわけじゃ…」
『結婚』の二文字に、慌てふためくどろしーに、セラヴィーは呆れかえりながら思う。
「(『付き合っている』って認識ができているだけでもまだましですかね…)」
019928/302007/12/18(火) 23:12:48ID:IDKnnPZp
「そう。まあいいわ。嫁候補って前に貴女が見た他にも、他国の姫などたくさんいてね、彼女達を差し置いて、いきなり人間の貴女が王妃になると、色々面倒なのよ。個人的にはそれらを娶った後で、貴女も加える方が安全だし、2,3カ国滅ぼさずに済んだのに…」
「前にも何度も言いましたけど、僕の結婚相手はどろしーちゃんしかいませんっ。」
「なのよ。だから貴女を魔王と私専用の秘書として雇うわ。それだと一緒にいられるし、実力もつくだろうし。色々覚える事があるから、頑張ってね。よろしく」
「待って。魔法の国へは」
「帰りたい時に帰っていいわよ。私も初めはしょっちゅう帰ってたわ。まだ仕事があるから、これで戻るわね」
そう言うとセラヴィーそっくりの黒髪の女性は講壇に向かって歩いていき、最後には壁に吸い込まれるようにして消えた。















「いや、魔法の国国王になった方がましだぁっ!帰るぞ、ポーちゃん魔法の国へ!」
平八はガバッと起き上がり、ポピィの手を取って走り出した。ポピィも一緒に引っ張られながら走り出す。
0200セラどろ←ポピ@29/302007/12/18(火) 23:16:31ID:IDKnnPZp
どろしーの腕や手の赤い斑点。あれは昨日の夜、セラヴィーが来たんだ。そして何があったかもわかっている。
酒場で酔い潰れながら、アイツの名前を呼んでた事も知っているし、二人の間には何人たりとも割り入ることは出来ないのも、好きになった時には既にわかってた。
でも好きだった。どうしようもなくそれでも大好きだった。今別れたらしばらくは絶対に会えない。それどころか二度と会えないかもしれない――。
そう思うと、無意識に手を振り払い、立ち止まって振り返った。色々ありそうだけど、幸せそうな彼女の姿が目に入った。

「どろしー、セラヴィーと仲直り出来て良かったな。頑張れよーっ」

と、声だけ明るく叫ぶ。

「待って」

どろしーが駆け寄ってきた。でも、今の顔を見られたくなくて、踵を返して走り出した。

かつっ―――

その手は捕られ、振り返ると背伸びして両手を回され抱きつかれた。
「っ――、」
「ポピィ君、私を好きになってくれてありがとう。本当に嬉しかった。ごめんね。セラヴィーの事が好きなの。だから」
「ずっと前から皆知ってます」
少し笑って、誰にも今の顔が見えない様にどろしーの小さな肩に顔を埋めて答えた。
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