探偵神宮寺三郎のエロパロないですか? 2
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久々に携帯アプリの神宮寺やったら、鬼姫伝の出だしが、自分の書いた洋子風俗編のプレストーリーに似ててびっくりしました。洋子の写真が出てくるとことか。
…盗用はしてません。よくある状況設定とはいえ、こんなこともあるんですねぇ。 神宮寺があまり動じてなかったのがかえって良かった>鬼姫序盤
二次なら見てて楽しいが、原作がそういう関係を前面に出しすぎると想像の幅が減るのよな… 前スレ597氏の今泉×洋子の続き投下させて頂きます。
前スレで投下した洋子×神宮寺とは色々差異がありますが、別話として見てもらえたら幸いです。 無機質な部屋の中。
目の前で立ち止まった今泉の顔を、洋子はただじっと見上げていた。
鷲のような眼。浅黒い肌に刻まれた細く鋭い傷痕。
口元には僅かに笑みが浮かんでいるのに、その奥の感情を読み取る事の叶わない、彫り深い男の相貌。
洗練された男らしい面差しは、どこか神宮寺と似たものを感じさせる。
だが、気配が違う。気性の荒い若衆達を従える極道の若頭に相応しい威圧感を、今この時も完全には打ち消せはしない。
これまで様々な男の相手をしてきたが、これほど存在感に満ちた男性はいただろうか、と洋子は自問する。
彼と同業らしき客は何人かいた。しかし、体の内側から滲み出ているようなこの覇気とは、おそらく比べようがない。
そんな男と今、洋子は二人きりで向き合っている。探偵助手と上司の知人という普段の間柄でなく、一人の男と一人の女として……
ぞくりと刹那、洋子の身に震えが走った。
畏怖からくるものだろうか。あるいは本能的な喜びによるものか。
「……今泉さん、は」
心中の疼くものに気付かれまいとするように、洋子は口を開いた。「どう思われましたか?」
「何をです?」
低く重い声が、洋子の耳に入る。問いかけの言葉ではあるが、答を分かりきっているかのような穏やかな声音だ。
「あの店での私の事を知って……」
決まり悪そうに語尾がよどむ。使い分けていた二つの顔を知る男を前にしているのだから、無理もない。
「……夜の仕事をしてる女は、この街には数え切れないほどいます」
洋子の問いから少し後、今泉は言いながら彼女の隣に腰を預けた。
風俗嬢とヤクザ。ベッドに並んで座る二人。
連想される事の中に綺麗なものなど微塵もないが、嫌悪や恐れを感じる事はない。
そのような清い心身でない事は、自分が一番よく分かっている。
一体いつから、この感覚に慣れてしまったのだろう。
自身を省みて苦く微笑む洋子の傍らで、今泉は言葉を続ける。
「抱える事情は様々でしょうが、自分の意思でやってる女が欲しがってるものは、大概決まってます。金か、男か、あるいは……」
今泉は顔を洋子の方へ向けた。目付きこそ鋭いが、眼光の強さはいくらか薄らいでいる。
「貴女もそいつらと同じ。ただそれだけの事です」 同じ──そう言う今泉の声に、侮蔑や同情の響きはない。
夜の世界や裏社会。真っ当に生きている人間には知り得ない世界の事をこの男は知り尽くし、おそらくそこに生きる者達の考えを尊重している。
故にそういった場所の住人をむやみに踏みにじったり、哀れんだりはしないのだろう。
「まあしかし」
洋子の顔にほのかな安堵の色が差したのを見計らったように、今泉は口を開いた。
「いつ、何がどう転がるか分からない世界だ。やはり、貴女のようなお人がいていい所じゃあない。もっと御自分を大事にしてやるべきです」
真剣な眼差しと言葉に諭され、胸の奥がじわりと熱くなる。
満たされない想いがあった。
それを忘れさせて欲しくて、風俗の仕事で自身を満たそうとした。
金を得る為だけの副業ならば、こんな仕事でなくても良かった。そんな事は最初から分かっていたのだ。
溜め込み続けてきた気持ちを紛らすには足る仕事だったが、渇きを癒やすには遠いものだった。
それもその筈。自分を偽って得るものに、心が満たされる訳がないのだから。
しかし今、洋子は胸中に染み入るような温もりを覚えていた。
誰かに、自分の事を思ってもらえる喜び──仮染めの娯楽と、どちらが本当に大切にするべきものなのか。答は分かりきっていた。
「……今泉さんのおっしゃる通りです」
洋子は姿勢を正すと、今泉に深く頭を垂れた。
「よく考えもしないで、ああいう仕事を選んだりして……軽率でした」
俯く彼女に、少しだけ柔らかめな声が届く。
「余計な世話かとも思いましたが……」
「そんな事はありません」
遠慮がちな言葉を、洋子は首を振ってさえぎる。
「こうして止めて頂いていなかったら、私……」
──今泉が危惧したような状況にまで、いずれは陥っていたかもしれない。
そればかりか、下手をすれば裏社会にも顔が知れている神宮寺にまで迷惑をかける事にもなりかねない。
副業自体は、確かに彼には関係のない事だ。
だが、だからと言ってそれを切り離した見方をしてくれる程、この街は甘くはない。
「店の方にはアタシから話をつけときます。もう顔を出さなくて良いですよ」
「え……でも」
今泉が既に店主と交渉済みである事を、洋子は知らない。戸惑う彼女に今泉は告げる。
「あの辺りもウチが面倒を見てる店が多いんでね。その方が手っ取り早いでしょう」
それでも洋子は逡巡している様子で、物言いたげに今泉の顔をじっと見つめる。
自分で決めて始めた事なのだからこれ以上気を遣わせたくない、という事なのだろう。
その頑なともとれる態度に、今泉の頬が僅かに動く。
気分を害した訳ではない。自分に食い下がる堅気の女など滅多にいないものだから、思わず笑ってしまいそうになったのだ。
そういえば、と彼女と出会って間もなかった頃の事を思い出す。
護衛役を頼まれた自分を怪我をしているのだからと怒って帰そうとしたり、あの神宮寺を反論も出来ぬ程の剣幕で叱りつけていたのが、今まさに目の前にいる女だった。
普段はあんなにもおとなしく、気の強さなどかけらも見当たらないというのに、全く女という生き物は分からない。
……ますます興味が湧いてくる。このたおやかな身の内側に、どんな艶姿を秘めているのか。
「……では、条件付きならいかがでしょう?」
男の内心を知らぬ洋子は、不意の提案に目を瞬かせる。
「条件……?」
意図が分からず問う洋子の顎を、男の無骨な指先がとらえた。軽く持ち上げ顔を上向かせ、互いの視線を重ねさせる。
「いっ……今泉さん」
あまりに突然すぎる行動に高い声を上げる洋子。
構わず顔の距離を縮める今泉の表情は変わらないが、目の輝きが少し強まっている。
「まだアタシの質問に答えてないじゃないですか……リョウコちゃんは、何がお好きなんです?」
「その呼び方、もう……」
「今夜はまだ何も仕事をしてないでしょう。物足りないんじゃあないですか?」
洋子の肩が強張る。
確かに今泉が言うように、今日はまだ誰の相手もしていない。
しかもこれで終わりにしようと決めたばかりだ。全く名残りがないと言えば嘘になる。
「アタシが最後の客じゃあ役者不足ですか?」
「そういう訳では……でも……」
心底困り果てた様子で眉根を寄せ、彼女は目を逸らした。「今泉さんからお代を頂くなんて……」
「条件付きで、と言ったでしょう」
言いつつ口端を歪ませ、にやりと笑った。普段彼女に向けていたそれとは異なる笑みだ。
「今夜一晩相手してもらえたら、金を払う代わりに店のモンと話をつけて差し上げる。そういう事です」
洋子の瞳が再び今泉に向けられ、ぱちぱちと瞬いた。
しばし固まったままだったその顔が、少しばかり不満げにしかめられる。
「……なんだか、一方的なご提案ですね」
洋子からしてみれば、そう考えるのも無理はない。
今泉も、それを承知の上で言っているようだ。変わらず落ち着いたままの態度を見れば分かる。
「でも、貴女は断らないでしょう?」
「どうして、そう思われるんです?」
顎を掴んでいる男の指が、そろりと肌を撫でた。
「夜の仕事はもう終い……だが、まだ貴女自身、満足出来てないからですよ」
反論の言葉は、頭の中のどこにもなかった。
隠し続けてきた自分を知られ、心根に潜む欲を刺激された今、自制など無意味に等しい。
思い悩んでいた事、今も抱えている気持ち……それら全てが、この男性には見透かされているような気がしていた。
だから、期待している。求めても満たされなかったものを、この男性なら与えてくれるのではないか、と。
洋子の手が上がり、その指が今泉の頬をすうっと撫でた。
指先は僅かに震えながらも頬骨の辺りを柔らかくなぞり、これより先の行為を厭わぬ事を示している。
「私こそ、今泉さんのお相手には不足かもしれませんけど……」
──その手の供給に事欠かない歓楽街の店舗のナンバーワンが、何を謙遜しているのか。
今泉は内心で笑ったが、洋子は本気でそう思っているらしく、やや緊張した面持ちで顔を彼の首元に寄せつつ、シャツのボタンを外していく。
厚い肌に唇ではむようなキスを何度か施していくが、赤みすら残らぬささやかなものだ。
遠慮がちな愛撫が露わになった胸板に行き着いたところで、今泉は苦笑混じりに告げた。
「アタシには特定の女とかはいませんから、そんな加減は無用ですよ」
返答代わりに薄く笑みを零し、洋子は指で男の硬く締まった胸を優しく撫でながら、乳首に甘く吸い付く。
唇と舌先を使って適度に刺激を与え、空いている方を愛撫する事も忘れない。大概の男は、これに気を良くしてだらしなく顔を緩めたものだ。
今前にしている男の反応は殆どないが、僅かに動く胸筋などを見るに、全く感じるものがないという訳ではないらしく、洋子は胸中で安堵の息をついた。
うなじに這う男の手の動きにこそばゆそうにしながら、洋子は頑強そうな肌に頬と掌で触れる。
不自然な膨らみや人肌のそれと違う感触の箇所に目を向けると、普通に生きていたなら目にする事すらないような傷痕が、いくつか刻まれていた。
堅気でない男の体も見てはきたが、取り分け物々しく映る。薄れているものばかりではあるものの、かつて幾度もの修羅場をくぐり抜けてきた事は明白だ。
初めて出会った日、自分を庇って銃弾を受けたその身で、一人で病院へ行ってしまった事もあった。
男の懐への愛撫を重ねながら過去の事を思い返し、洋子は改めて気付く。この人はやはり、様々な意味で普通の人間とは異なる人生を送ってきたのだと。
「ん………」
顔を上げると軽く頭を持ち上げられ、今泉の唇が洋子のそれに触れた。
応えるように温もりを押し付け、舌で乾いた唇をぬるりと湿らせる。
隙間に割り込ませて口内までなぞると、舌の表面に苦みを感じた。煙草の名残りだろう。
煙草混じりのキスの味にはもう慣れたが、それを味わう度に、神宮寺の事を考えている自分がいるのが分かる。
いつだったか、彼と同じ銘柄の煙草をよく吸うと言っていた客がいた時など、深い口付けを交わしながら想像していた。
彼の唇もこんな味がするのだろうか、と。
意識が過去へ飛んでぼんやりしかけていた事に気付き、ふと今泉の表情をうかがうと、じっと彼女の目を見つめていた。
唇を一時離し、問い掛けの念をこめて見つめ返すと、響く声音に僅かばかりの愉悦を含ませ、言った。
「……誰の事を考えていたんです?」
──見通されている。
「神宮寺は関係ない」などと言っておきながら、今も彼の事を考えている事を。
しかし、洋子はもう戸惑いを覚えはしなかった。
先程感じていたように、この男はとうに分かっているのだ。彼女が風俗業などに手を出した理由を。
「……………」
今泉の肌の上を絶えず滑っていた洋子の手の動きが止み、その顔がゆっくりと俯いた。
やがて彼の胸に額が擦りつけられ、小さな吐息が漏れる。
「……よく、分からなくなってしまったんです」
ぽつりと零したその声は力無く、囁きのようであった。
「私が想っているだけで、分かってもらえなくてもかまわないと思っていたんです……なのに」
「踏ん切りがつかなくなった、と」
頭上から降る声は、思いのほか柔らかかった。洋子はこくりと頷く。
「とても優しいから……時々、勘違いしてしまいそうになって」
またひとつ、消え入りそうな溜め息が落ちた。
おそらく──と今泉は考える。
神宮寺の中で割り切れないでいるところがあるのだろう。
その為普段接している分にも煮え切らないし、はっきりと距離を置く事も出来ないでいる。
彼女もそんな半端な形で接されては、諦めきれない。
勘違いなどと言っているところを見るに、彼の気持ちに気付いてはいないのだろう。
代わりに伝えてやってもいいかとも思うが、そこまでお人好しではない。
何よりそれは、自分の役目ではないはずだ。
「違う名前を名乗って、違う自分を装って……忘れられたらいいと思っていたんですけど」
上手くいかなかった、と曖昧に洋子は笑う。
穴埋めの娯楽など、所詮は一時のごまかしにすぎない。それでも──
「慰めにはなっていたんでしょう……? だからやめられなかった」
洋子は俯いたまま答えなかったが、今泉は構わなかった。
──最後くらい、せめて気休めよりはマシな思いを。
そう心で呟くと、今泉は彼女の体を離し、ベッドに横たわらせた。
「あ……え、今泉さん?」
「攻められるばかりってのは性に合わないんでね。こっちも楽しませて下さいよ」
するすると脱がせたブラウスの内側から現れたのは、仕事用の黒いブラジャーだ。
反射的に隠そうと洋子は腕を動かしかけたが、動きはびくりと固まる。
──何を、今更。
心中で誰かが、乾いた笑いを零した。
今まで散々見ず知らずの男達に肌を晒してきたというのに、この期に及んで何を迷っているのか。
風俗の仕事も、最初こそ気の乗らぬ副業だったが、次第に愉悦さえ覚えていたというのに。
刹那強張った表情は落ち着きを取り戻し、持ち上がっていた洋子の腕が静かに降ろされる。
その変化を見ていた今泉が、手を止めて告げた。
「無理強いはしません。嫌ならすぐにでもやめます」
相変わらずの低い声だが、脅すような響きはない。拒めば彼は本当にやめてくれるだろうし、それを責めもしないだろう。 だが、洋子は薄笑みと共に答える。
「大丈夫です。脱がせられるの、慣れていなくて……」
少し驚いただけ、と言うと今泉に続きを促した。
「リョウコちゃんが? それは意外ですね」
源氏名で呼んでみせる辺り、彼女の本心は見通しているだろう。下着の黒によく映える白い肌に手を乗せつつも、それ以上はまだ動かさない。
それも分かった上で、洋子はにこりと微笑む。
「自分で脱いで見せるのも、お仕事でしたから」
彼女はブラジャーのホックを外し、そっとそれをずらした。その動作に躊躇いは見られない。
それを確認すると、今泉は徐々にその手の力を強め、女の肌を揉みほぐしていった。
乳房を掴んで捏ねる手は、強すぎない力で膨らみ全体に感触を刻む。
硬さを増した突起を弄る指先も、押し潰さぬ程度の細やかな動きでこりこりと擦り、刺激する。
これまで洋子が受けてきた、求め味わおうとするだけのものとは、明らかに異なる感覚だった。
優しいと表現するような愛撫とは違うが、欲望のままに押し付けるものからは程遠い。
五指の丹念な動きで反応が変わる部位を探り当て、感じやすいよう加減して撫で摩ってくる。
女を慰める事に慣れている男の手だ。
自分の方がこの人に相手をしてもらっているようだ、と洋子は心地よさに浸りながら思う。
あるいは、そもそも最初からそうだったのか。
今夜あの店に彼が訪れたのは、言うまでもなく洋子に風俗業から手を引かせる為だ。
相手をしてほしいなどというのは彼女の後始末を肩代わりする為の口実に過ぎないし、今泉なら女に不自由してもいないだろう。
……かなわない。
緩やかに身を包む官能に息を震わせながら、洋子はそう思った。
素肌が火照りによる赤みにいくらか染まると、今泉の手は彼女の胸から離れた。
そして今度は膝から腿へと掌でなぞり、スカートの内側に潜り込ませてくる。
内腿の柔らかい肉を指の腹でまさぐられ、時折洋子の体はぴくぴくと震える。
「触られるのも、慣れてないんですか?」
喉の奥から笑いを漏らしつつ、今泉が問うてきた。
ぼんやりしてきた頭ではどう答えて良いか分からず、洋子はゆるゆると首を振るだけだ。
もちろん慣れていない訳ではない。こんなにも心地のよい愛撫を、身に受けるのが久しかったのだ。
下着の布地までたどり着いた指先が、微かに湿った中心を割れ目に沿って何度か擦ってくる。
「んん……んっ……」
秘唇に隠されていた小さな突起まで指先で撫でられると、洋子は声を抑えきれなくなり、両足をもどかしそうに動かした。
指で触れ続けられていた部分の湿りがじわじわと増し、熱をくすぶらせて疼く。
布越しに指を咥えるように割れ目は動き、抑えきれぬ欲に洋子の顔が恥じらいの朱を浮かべる。
そのさまを見て今泉は口端を笑みに歪めはしたが、焦らすでもなく下着の中に手を入れた。
淡い茂みの下の陰唇は生温かい蜜を滲ませており、触れてくる男の指をぬめらせる。
軽く力をこめただけで、秘唇の中へと招き入れられてしまいそうだ。
「中に挿れても……?」
許可を求める今泉の問いに洋子は内心戸惑ったが、少しの間の後に頷いた。
仕事で触られた事があるのは外側だけで、中まで他人に触れさせた事はない。
それを厭わず受け入れられるのは、心許せる相手だからか。あるいは疼くその身が求めるからか。
入り込んできた指は硬く骨張っており、彼女の指よりも一回り太い。
狭く閉じていた粘膜を拡げ掻きほぐす動きもまた、女をよく知っている男のそれだった。
「く、ふっ……んん……」
きゅっと口を閉ざして堪える洋子の耳に入るのは、熱に溶けそうな自身の息遣いと、秘部から響く淫らな水音。
さらに空いている方の手に先程のように胸を弄られ、快感はとどまる事なく彼女の身体を昂ぶらせる。
「んぅっ……は、あぁ……」
吐息と共に零れる蕩けたような自分の声に、洋子は思わず顔を強張らせた。
達してしまいそうになった。想い人でもない男の手で。
秘所はこれまでの心の奥底の飢えを示すように愛液に濡れ光り、男の指に襞をまとわせている。
自分の意思に関係なしにひくひくと蠢くそこは、指では足りないと訴えているかのようだ。
後ろめたさを覚えてか唇を噛んで声を殺す洋子に気付き、今泉の愛撫の手が緩む。
「我慢する事はありませんよ。辛くなるだけでしょう」
見上げる洋子の目には、まだ迷いがうつろっている。それを拭おうと、彼は耳元で囁いた。
「どうせ今日で最後……でしょう?」
「……………」
洋子はじっと男の眼を見つめ返し、思案した。
やがて逸らされた目から迷いは失せていたが、彼女の表情はますます恥じらいに染まる。
「あの、じゃあ……私だけじゃなく、今泉さんも……」
どうやら、自分だけが満たされる事には抵抗があるようだ。
今泉に断る理由は全くないが、彼女の気持ちを知る分躊躇いはある。本当に良いのかと目で問い掛けると、洋子は小さく笑った。
「今日で最後……ですから」
ゴムに包まれた、指とは比べものにならない熱の塊を秘唇で受け止めて、洋子は喉を反らしてわなないた。
久方ぶりに男を受け入れたせいか、悦び震える身を抑えきれない。
硬くそそり立ったものを飲み込んでは貫かれ、火照った肉壁を擦られ、掻き回される。
体の内でざわめいていた熱を全て吐き出すように、彼女は唇から喘ぎを漏らしていた。
何かに縋りたくて両腕を宙に伸ばすと、逞しい腕に抱き返された。ぐっとしがみついて男の肩に顔を埋め、温もりに浸る。
耳に響く男の呼気はやや荒さを含んでおり、自身の呼吸と重なってますます昂ぶりは増していく。
自分が本当に望んでいたのは、こういう事だったのかもしれない──今更のように、洋子は思う。
自分を理解してくれている誰かと温もりを分け合い、感じ合うような繋がり。
洋子の脳裏に、再び神宮寺の姿が思い浮かぶ。
叶う事なら、あの人と求め合いたかった──
掴みどころのない、想い尽くしても届いているのかさえ分からない、あの男性。
偽りの名と、作り上げた自分。
神宮寺にだけは、知られたくないと思っていた筈なのに。
今ようやく自身の中の気持ちが見えた。本当は彼に、気付いてほしかったのだ。目の前の男性が分かってくれた事を、誰よりも先に。
探して、見つけて、連れ出してほしかった。抱く感情が軽蔑の類であったとしても。
こんなにも想い焦がれている自分がいるのだという事を、分かって欲しかったのだ。
一際激しく膣内を掻き乱されて頂きに押し上げられ、洋子は愛しい男を想いながら、思考を外へと手放していった。
* * * * *
ぱたり、と閉じたドアの音で、洋子の意識は眠りの中から引き上げられた。
目を開き、ぼやけた視界が鮮明になったところで、横たえていた身をゆっくりと起こす。
部屋の外へ続くドアの側に佇んでいる今泉は既に衣服に身を包んでおり、手にしていた携帯電話をポケットにしまっている。
ぼんやりと見つめていると視線に気付き、ああ、と声をかけてきた。
「起こしちまいましたか」
「いえ……お電話ですか?」
「ええ、まあ……」
少し語尾を濁したが、今泉は落ち着き払ってソファーに腰を沈める。
「店には連絡しておいたんで、その辺は全く問題ありません。いくらか名は知れてますから、しばらくはあの界隈には顔出さない方がいいでしょうがね」
「あ……すみません。本当に何から何まで……」
「ナンバーワンのリョウコちゃん相手に、好き放題やらせてもらいましたからね。これくらいの事は」
冗談めかした今泉の言葉に、洋子は頬を赤らめる。
傍らに簡単に畳んで置かれていたブラウスを羽織り、他の衣服を抱えてベッドを降りると、今泉に遠慮がちに尋ねてきた。
「あの……すみません。シャワーをお借りしてもよろしいでしょうか」
「どうぞ。そこのドアの先です」
礼を言って足早にバスルームへ向かう洋子。初々しささえうかがえるその様に、今泉は微かな笑みを浮かべた。
一服しながら今泉は再び携帯電話を取り出し、液晶を見つめる。
開いたのは発信履歴のページ。一番上には神宮寺の名が表示されていた。
発信時間は七時三十分。つい十分程前のものである。
日頃の疲れもあった為か、洋子はぐっすりと眠りこんでしまっていた。
起こすのも忍びないし、神宮寺にも断りは入れてある。
だが念の為にと連絡を入れてみたところ、起きぬけのような冴えない声で応答が返ってきた。
一目置いている男の聞いた事のない声音に少々驚きつつも用件を話すと、曖昧な返答だけ聞いて通話を終えた。
これほどの効果をあげるとは思っていなかった。今泉は苦笑を浮かべる。
これから先どうしていくかは神宮寺の問題で、今後そこにまで踏み込む事はおそらくないだろう。
そしてそれは洋子にも言える事だ。風俗嬢を辞めた事で、行き場のない気持ちの矛先は失われた。
自分をおとしめるような行為にはもう走らないだろうが、想いを満たせた訳ではないだろう。
だがそれもやはり、彼女自身で向き合うべき問題でしかないのだ。
しばらくしてバスルームから出てきた洋子は既に衣服を纏っており、普段と変わらぬ笑みを今泉に向けてきた。
「ありがとうございました……ところで、今何時頃でしょう?」
「ああ……八時を過ぎましたね」
今泉が腕時計に目を向けて答えると、洋子の笑みが凍りつき、焦りの色を顔に浮かべた。
「大変……早く帰らないと」
「御苑さん?」
問い掛けると、今日は仕事なのだと言う。
今から自宅へ戻って事務所に出勤するとなると、遅刻は免れないだろう。
そう考えたからこそ、今泉は少し前に神宮寺と連絡をとったのだ。彼女は休むかもしれないと。
「今日は休ませてもらったらいかがですか?」
連絡済みだと言う訳にもいかず提案する今泉だが、そうはいかないと洋子は携帯電話を取り出す。
「書類がかなり溜まっているんです。遅れてでも行かないと……」
言いながら慌ただしくボタンを押し、電話を耳に当てる。
「あ、先生。おはようございます」
少し遅れそうだと申し訳なさそうに告げる洋子の表情は、やや気まずげにしかめられている。
真面目そうな彼女の事だから遅刻をした事などなかっただろうし、昨夜の件がやましいのだろう。
「……え? あの、でも……」
戸惑いの声を上げる洋子。焦りは失せたが、明らかな困惑の色が見える。
それから何言か言葉を交わして通話を終わらせた洋子だが、呆気にとられた表情で携帯電話を閉じる。
「何ですって?」
見当はついているが、あえて尋ねてみる。
「今日も休んでかまわないと……」
洋子を気遣ってか。あるいはまだ向き合うだけの覚悟が出来ていないのか。
いずれにせよ、想定通りの答だった。
「なら、ゆっくりしていったら良いでしょう。アタシも今日は大した用事もない」
ソファーにどかりともたれかかってくつろいで見せる今泉。
しかし洋子は頷かない。真剣な眼差しで携帯電話を見つめて、しばし佇んでいた。
ややあって後、洋子はすうっと顔を上げた。その瞳にはもう、惑いはない。
「……やっぱり、行きます」
そう言って改めて身の周りを整えると、今泉に深く頭を下げた。
「今泉さん。昨夜はお世話になりました……本当に」
「礼を言われる事はしちゃあいませんが……」
言葉を返しながら、煙草の火を揉み消す。
「大丈夫なんですか? 本当に」
「はい」
答えて洋子は、すっと背筋を伸ばす。
「先生の助手は、私一人ですから」
助手──そう言う洋子の声音に少しばかり無理を感じたが、今泉はもはや何も言いはしなかった。
「御苑さん」
立ち上がりながら、彼は何とは無しに口を開いていた。
「良ければまた、お相手願えますかね?」
洋子が目を見開いて、今泉を見つめる。
さほど間を置かずに、その目は細められた。
「もう、充分です。ありがとうございます」
気を遣って言っているものと思われたらしい。
その誤解に、今泉は軽く安堵していた。
「では、お邪魔しました」
「ああ、送りましょう」
「助かります」
部屋を出ていく洋子の顔は、迷いを吹っ切った女のそれとなっていた。
それを見届けると、今泉は口元に満足そうな笑みを零しつつ、部屋のドアに鍵をかけた。
終了です。
今泉が人のいいあんちゃんにしか見えない… >>199
ありがとうございます!念願の今泉エロ、感無量です。
心理描写に気を使われてるな〜と思いましたが、やはり通常では想定できない洋子×今泉ならではのご苦労でしょう。
また機会がありましたらぜひともお願いします! 店員さんの英会話のWEB版を無償公開してから死んでくれ。
俺はキャッシュで全部ひろったが。 「やれやれ、ジオスの話か?気にするな。誤爆くらい誰にでもあるさ。」
と神宮寺君が言っておったぞ。
ふもっ。 >>199
GJ。描写が細かくて読みごたえがあった。
>>203
熊さん乙。 >>199 乙です。
>今泉が人のいいあんちゃん
鬼畜な今泉と、それに溺れてしまう洋子が見たい気もする。 なんでか陵辱がすごく様になりそうな洋子
淫語とかは似合わなさそうなのにな 淫語てみさくらとかか?ギャグにしかならないだろそれw >>199
面白かったよ。今泉好きだから嬉しいというか。
また書いてくれたら嬉しい。
横浜港で考えてみた。
エバが行方不明になってから3日目。
神宮寺を手伝うため洋子(吉瀬美智子)がバラカ共和国領事館を訪ねると…
領事室にはやけに調子のいい男ことロバート・K・バスク(高田純次)が待っていた…。
だめだどう頑張ってもエロにならずセクハラになる。 純じいって時点でもう…w
追求は適当にかわしまくってそっち方面にばかり話持っていきそうだ。 横浜港ならむしろ青龍会の方がいけるような気が…
ケイコクが来るまでの話だが。 せっかくだから青狼会とロバートでエバとくんずほぐれつ
…日之出が発狂するなw >>179氏のネタをお借りして投下します。
・洋子凌辱もの
・洋子→神宮寺→洋子の順で視点変えて三回に分けて投下予定
・鬱エンド予定 ──ここは、何処だろう。
眠っていた意識が少しずつ自身の元に戻ってくるのを、洋子は感じていた。
靄がかった思考が晴れてきた時、自分が何処にいて、それまで何をしていたのか、うっすらと思い出す。
事務所で、書類の整理をしていたのだった。
神宮寺が調査に出て、自分は留守を預かって……いつもと変わらぬ流れの筈だった。
しかし今、彼女の体は冷たく薄汚れたコンクリートの上に横たえられていた。
空気と共に体内に入り込んでくるのは、埃っぽく澱んだ臭いだ。明らかに、居慣れた場所の空気ではない。
どうして自分は、こんな所で眠ってしまっていたのだろうか。
目を開いてみると、洋子は驚かずにはいられなかった。
視界に見えるのは目を閉じていた時と変わらない、真っ暗闇。まばたきしてみても、何一つ瞳に映らない。
目がおかしくなってしまったのか。あるいはまだ夢の中にいるのか。
困惑しながらも、彼女は別の答を見つけ出す。
両の眼を覆い隠すように顔に宛われている、厚い生地の感触。おそらく、目隠しだ。
取り払ってしまおうにも、両手は背に回され、固く縛られてしまっている。 後ろ手ながらも掌で床を探ってみるが、手を汚すばかりで何も得られなかった。
何故、自分が。どうして、こんな事に。
洋子が混乱する頭をなんとか働かせようとしている内に、声が聞こえてきた。
男の声。一つや二つではなく、いくつも。
その内の一つ──品なく嗤う野太い声は、聞き覚えのあるものだった。
神宮寺の留守中に訪ねてきた客だ。
それに気付くと、ぼんやりとしていた記憶が鮮明に浮かび上がり、意識を失う直前の光景が、洋子の脳裏によみがえってきた。
* * * * *
依頼をしたいと言って、その男は事務所に入ってきた。
シワのよった背広と派手なシャツをだらしなく身につけた姿に、ふてぶてしさを隠しもしない態度。
見るからに堅気の人間ではないと分かった。
しかし客を話も聞かずに帰す訳にもいかず、普段の来客時と同様に応接室へ通した。
男の舐めるような視線に不快感を覚えながらも、洋子は努めて丁寧な対応を試みようとしていた。
だが、茶を淹れようと男に背を向けた、その時。
後ろから、男の両腕が伸びてきた。
大きな図体からは考えられない程の速さで、右手は彼女の体を抱き竦め、左手は布きれをもって口を塞いだ。 思わず息を深く吸うと、甘い香りが鼻を通り、頭の中を白く塗り潰していった。
「……っ………、……」
声をあげる間もなく。
がくりと両膝が崩れ落ち、彼女の意識は眠りの泥沼の中に沈められていったのだ。
* * * * *
記憶は、そこまでで途切れていた。
数秒の回想の後、洋子の顔が色を失くし、零れる息が押し殺せぬ恐怖に震える。
──何という事だろう。こんなにもた易く、見ず知らずの者達に拉致されてしまうとは。
自分の無力さを深く嘆きながらも、息を潜めて耳をすまし、周囲の様子をうかがいながら、平静を欠いた頭で思考を巡らせる。
自分を拉致したあの男に、面識はなかった。
聞こえてくる他の声も、聞き覚えのないものだ。
事務所を訪れた事からも、この男達は神宮寺の事を知っていると考えて良いだろう。
彼には物々しい知り合いも少なからずいるが、単なる知人がこんな真似をする理由など思いつかない。
となると、ここにいる者達は神宮寺の敵か、味方か。
──考えるまでもなく、前者であろう。
「……………」
ごくり、と息を呑む。
自分がこんな状態であるという事は、神宮寺にも危害が及んでいるかもしれない。 あるいはこれから、彼女を人質として彼に接触しようとしているのか。
いずれにせよ、このままこうしている訳にはいかない。何か手だてを──
考えながら足をそっと動かした、その時だった。
靴の踵に硬いものが当たる感触と共に、大きな音が響いた。
金属音だ。空き缶か何かが床に倒れたような、甲高い音。
男達の声が、止んだ。
こつ、こつ、と低い靴音がいくつか近付いてくる。ゆっくりと、瞬きさえ出来ない程の恐れを、煽るように。
逃げるどころか、体は少しも動かぬのに、心臓は早鐘のように激しく音を立てる。
焦ってはいけない──言い聞かせる言葉も、気休めにすらなりはしない。
やがてまばらな足音は失せた。
背中に気配を感じる。無数の視線が、自分に向けられている。
「っ──!」
いきなり、縮こまっていた肩をぐいっと引かれ、仰向けにされた。
驚きと怯えに漏れてしまった細い声に、嘲笑の声が応える。
いけない。このままでは、いけない。
逃げなければ──
洋子が何かに弾かれたようにその身を捩じらせたのと同時に、男達の気配が一斉に動き出した。 勢い任せに両足を振るってじたばたと体を転がすが、複数の硬い腕に押さえ込まれ、身を持ち上げる事すら叶わなくなる。
髪を振り乱さんばかりに首を振って抗ったが、頭を掴まれしたたか床に叩きつけられる。ぐらりと意識が揺らぎ、眩暈を覚えた。
「くっ……うぅ……」
男の内の一人にのしかかられ、もう身動きがとれない。
荒く生温い息がうなじにかかり、洋子はぞくりと身震いする。
スカートの中にいくつかの手が伸びてきて、柔らかな腿を掌で撫で回してきた。
衣服の上や隙間から胸の膨らみや肌を滑る見えない掌達の感触は、不快を通り越したおぞましさを覚えさせるばかりだ。
暗闇の中にいる女に男達は囁き、笑いかける。
──無駄だ。
──逆らうな。
──たっぷり鳴いてくれよ。
身を取り巻く異様さに満ちた熱気と、それをもたらす獣のような荒々しい吐息。
全身を這いずるいくつもの手、震える喉をべろりと舐める生臭い舌、馬乗りになった男が動くたびにぐりぐりと腹に押し付けられる、硬く滾ったもの。
──い、や……いや……いやぁっ……!
心はそれだけを叫ぶのに、言葉にならない。 がたがたと身をわななかせて怯えるばかりの獲物を見下ろす男達の顔に、僅かな哀れみも存在しない。獣欲にぎらついた眼と、嗜虐を待ち望む下卑た笑みばかりだ。
彼女の視界にそれは入らないが、気配で分かる。避けられない恐怖が、抗えない暴虐が、闇から迫ってくるのだ。
「ひ……っ……!」
いきなり胸に押し付けられた手が強く服を引っ張り、がばっと大きく前を開かれた。
慌ただしい動きで腕は肌着の中を這い回り、薄汚れた掌でべたべたと柔肌を揉む。
腕の数は徐々に増え、間もなく服は前を全開にされ、スカートも剥ぎ取られてしまった。
白磁の肌はこもった外気に晒され、臭いさえ嗅ぎ取れそうな程の淫欲に満ちた熱を感じて震えている。
着衣を乱される最中に腕の拘束は解かれたが、恐慌に判断力を奪われ、逃げようと思う事すら出来なかった。
「ん……っ!!」
呼吸もまともに落ち着かせられぬ内に、唇を生温かいものに塞がれた。
表面はがさついているが、肉の弾力がある。べちゃりと濡れた音を立てて口内に入り込もうとするぬめった感触は、まるでナメクジか何かのようだ。 両頬をしっかりと固定され、首を振って拒む事も出来ずに、洋子は顔も分からない男の口吻を受けていた。
それを彼女が理解した瞬間、頭の芯が、かっと熱くなった。
唇を奪われた事実がただただ悲しくて、目隠しの下で一筋涙が伝う。
この先、それ以上の行為が自分を待ち受けているのだと分かっていても、動揺は抑えられはしなかった。
きゅっと歯を噛み締めた女の唇を、男の汚れた舌がつうっとなぞる。
おぞましさに全身が鳥肌を立て、今度こそ悲鳴を上げてしまいそうだ。
彼女を脅かすものは、当然それだけではない。
残りの男の手や舌が、剥きだしの肌を掴み、捏ね、舐め回している。
内腿に熱く生臭い息が吐きかけられ、やがてそれが秘所を覆うショーツにたどり着く。
はぁ、はぁ、とわざと強く息を吹き掛けて布越しにむしゃぶりつかれ、洋子はとうとう声を張り上げた。
「やっ……いやぁっ!! やめてっ……やめ──んっ」
口付けをしていた男はこれを逃さなかった。
大きく開いた唇に指を挟み込んで閉ざせなくし、強引に舌を突っ込んで口内を掻き回す。 「ふ、んんぅっ……」
流れ込む他人の唾液に嘔吐き、ついには下着を剥がされて秘部や胸ををいじくり回されながら、洋子は眼からぽろぽろと熱い雫を落とす。
──どうして、こんな事をするの──
──どうして、こんな事になるの──
幾度言葉を頭に浮かべても、理不尽な暴力は止まらない。
茫然自失となった女にかまわず、男達は思うがままにみずみずしい肉体に群がっていった。
「んっ……く、ぅ……あぁ……」
男らが、愛撫と呼ぶにはあまりに身勝手な行為を重ね続ける内に、彼女の様子に明らかな変化が生じ始めていた。
荒い呼吸はそのままだが、時折零れる溜め息に気怠さがうかがえる。
疲労ゆえのものではないと分かるのは、吐息に多少ながら甘い声が混じっているからだ。
決して嫌悪が薄れた訳ではない。べたついた掌や舌で触れられ続ける間、喉の奥から込み上げてくる吐き気を必死で抑えこんでいるのだから。
しかし無為に抵抗をしないせいか、極端な痛みを伴うような乱暴をされる事はなく、いくらか緊張はやわらいでいる。
心でかたくなに拒んでいながらも、彼女の体は徐々に与えられ続ける仕打ちに慣れ始めてきていたのだ。 「こいつ、感じてやがる」
「いやらしい女だ……」
硬く張った乳首や潤い出した陰部を弄っている男らが、品なく笑いながら言う。
「っ……ぅ」
女体の本能的な反応にすぎなくとも、己の体がひどく淫らなものに思えて、洋子は悲しげに顔を背ける。
目隠しのおかげで男達の様子は分からないのだが、女の反応を見せるたびに胸を抉るような言葉ばかり投げつけられ、泣き叫んでしまいそうだった。
言葉と行為で執拗にいたぶられ、彼女自身限界を感じ始めていた頃。
「っ……!?」
室内に重苦しい音が響いた。数人の男の手が止まる。
重い金属を引きずったような低い音の後に、洋子を取り巻いている者とはまた別の複数の足音が立つ。
それから間もなく、同じく大きな金属音と共に、がしゃりと何かが閉じる音がした。 誰かが、この部屋に入ってきたのだろう。少ししてから彼女はそう理解した。
この状況から抜け出せるのではないか──そんな淡い期待は一瞬で打ち消された。
「上手くいったみたいだな」
「あぁ。運んで来るのは骨が折れたぜ」
迎え入れる男達に応える男の声が、打ち解けている者同士のそれだと分かったからだ。
その何者かが歩みを進める都度、ずりずりと何か重たいものを引きずるような音が聞こえる。
一体、何を運んで来たのだろう。
どさりと何かを放る音と共に、引きずる音は聞こえなくなった。
代わりに足音が、彼女の元へと近付いてくる。
「じゃあ、お楽しみといこうかね」
「おお、待ってたぜ……!」
四方から降ってくる、野卑な笑いと我先にと主張する声。
再びこの場の男達の視線が自分に向けられた気配を察し、洋子は身を竦ませた。 「あ、っ……!」
両足をぐいっと大きく開かれ、その間に男が一人体を割り込ませてきた。
開かせられた股間を真正面から見られてしまう体勢に、改めて羞恥心を濃くする洋子。だが、それ以上に恐怖の方が強い。
これまでは外側を弄り回されるだけだったが、その先まで行為が及ぼうとしている。
どんなに腕や足に力をこめても、何の助けにもならない。
何も、出来ない──
「いや………」
洋子が蚊の鳴くような声で拒絶の言葉を零すと、男が嗤ったような気がした。
微かに頭に届いたその声が、男の表情を連想させる。一片の慈悲もない、残酷な笑みだった。
秘唇に欲望の猛りの先端を押し付けられたその瞬間、洋子は無意識に誰かを呼んで助けを乞うていた。
それが誰だったかも分からぬ内に、彼女は見知らぬ男を受け入れ、何度目かの涙を流した。 一つ名前入れ忘れたorz
続きは一月後くらいにでも… 健気な洋子が可愛い&可愛いそう
&ヤクザ者もっとやれ&でも神宮寺先生早く助けてあげて!!
複雑ですw続きが楽しみ。職人様乙 >226
洋子さんは責められるている姿が美しいです。興奮します。
イッてしまうところが見たいですね。
いつでもいいので続き楽しみにしています。 >>80
超亀だが次の新作にDSiウェア分再録されるとさ。良かったな。 >>205
同意。
今泉のヤクザらしいダークサイドも見てみたい。
基本礼儀正しい、抑制された態度だからなー。
>>226
乙。続き待ってます。 >>214
なんとなく日ノ出って下手そうだよね
神宮寺先生もあまり上手そうなイメージがわかないw ひのでは早漏っぽい感じがするwいや、なんとなくだけど。
サブは遊び慣れてはいなさそうではあるな。 「ああ!エバー!」
「ダメヨ!ヒトシ マダダメ!」
こんな感じだろう >>233
禿同。サブは不器用だけど、勢いでカバーするタイプに思える。
今泉はややS寄りのテクニシャンかなw サブは体力寄りか…
今泉は仕事関係で磨かれた感じ? 仕事柄自然と上手くなっていった的なイメージがあるな>今泉
飲み込みも早そうだし。
>>235
イったらイったで「モウ、ヒトシッタラ…」とか言って照れてるエバの姿が目に浮かぶ…w
神宮寺って何気にアマンアマンバカップルいるな。正隆祥香とか。 >>216-226の続き投下します。
・神宮寺視点で>>225辺りから
・洋子凌辱もの
・ますます鬱 「……っ……」
身を打つ強い痛みに、神宮寺は安らげぬ眠りの中から叩き起こされた。
思わず呻きを漏らすが、何かで口を塞がれているらしく、まともに声を上げる事も叶わない。
ずきずきと響く激痛のせいで頭は上手く働かず、瞼をこじ開ける事さえ困難だ。彼は焦りに顔をしかめる。
それでも状況を把握しようと必死に思考を巡らせる内に、体の感覚が少しずつ戻って来ていた。
まず感じたのは、錆びた鉄の臭いと埃っぽい空気だった。
口を塞いでいる物の隙間からカビ臭く澱んだ空気が感じられる事からも、建物の中だという事は分かる。
そして耳に入ってくるのは、複数の男達の哄笑と荒い息遣い。話し声。
それと、途切れ途切れに届く蚊の鳴くような微かな声……これは、女のものだろうか。
神経を研ぎ澄ませて男らの会話の内容を聞き取ろうとするが、焼けつくような後頭部の鈍痛に阻まれ、思うようにいかない。
両手は後ろで縛られ、体は柱か何かにくくりつけられているらしく、全く身動きがとれなかった。
──何が、あった………何をされた……?
痛む頭を無理矢理働かせ、記憶の欠片を探り当てては繋げていく。 確か、昨日受けた依頼の調査をしていたのだった。
今回は危険を伴いそうな仕事ではないという事もあり、何事もなく順調に調査を進められていた。
しかし、三軒目の目的地での聞き込みを終えた頃だったろうか。次の行き先への道を外れ、神宮寺は入り組んだ路地に足を踏み入れた。
誰かに、後をつけられているような気がしたのだ。
何度か角を曲がって探りを入れてみると、歩数は二人分、いずれも男のそれであると分かった。
急を要する案件ではないが、仕事の邪魔をされては困る。
職業柄、厄介な輩の恨みを買う事は少なくない為、その手の者だろうという予感はあった。
撒いてしまう事も出来たのだが、あえてそれをしなかった。
相手の素性を知っておくべきと判断したのもそうだが、自分を付け回す者の顔も見ずに振り切るのは性に合わないというのが本音だった。
──懲らしめてやろうなどとは思わない。ただ、話をするだけだ。
そう心で呟くと、神宮寺は人気の少ない路地裏に向かって行ったのだった。
* * * * *
「……んの野郎っ……!!」
「……もう一度聞く。何故俺を付け回していた?」
人の気配が一切ない寂れた路地で、神宮寺は睨みつけてくる男二人と向き合っていた。
ここに辿り着いてすぐに放った同じ言葉に、男達は力任せの拳で答えた。
勢い込んだ攻撃を軽くかわし、振り返りざまに腹に拳を叩き込むと、図体だけの男共はた易くその場に膝をついた。
顔を確認してみると、見覚えのある者だとは分かったが、名前は出てこない。
少し前、ヤクザの幹部とその取り巻きに今のように調査の妨害をされた事があった。その時の連中だったろうか。
肩で息をしながらも、殺気立った視線の強さを緩めない男達。
冷めた目で見下ろしながら、神宮寺は軽く溜息をついた。
「こっちは暇じゃないんだ。用があるなら、さっさと済ませてくれないか」
数歩前に出て男の顔を覗き込む神宮寺。彼の眉が、微かに動く。
苦しげに歪んだ男の表情に、何故か笑みが浮かんだように見えたのだ。
「簡単にはいかねぇか……だが、すましてられんのも今の内だぜ?」
まだ懲りていないようだが、先程の手ごたえからして負け惜しみにしか聞こえない。 もう少しきつめに脅しつけたら良いだろうかと、神宮寺が口を開きかけた時だった。
「美人だよなぁ、てめぇんとこの助手」
──何故、彼女の話が出てくる。
あまりに唐突な言葉に、疑問符を浮かべる。
訝る神宮寺に向けられる男達の笑いは先程よりはっきりと目に映った。
「アポなしでわりぃが、仲間がてめぇの事務所に邪魔したそうだぜ。少し前によ」
固めかけていた拳が、ぴくりと震えた。
眼光を強めて男を見据えると、何が楽しいのか、口端をにぃっと緩める。
思うより先に、手が動いていた。男のシャツの襟をぐっと掴み、引き寄せる。
「……どういう事だ」
必要以上に低い声が口から漏れた。
冷静にならねばと言い聞かせても、抑えがきかない。
「今頃ウチの奴らとよろしくやってるところだろうさ……お、また殴んのか」
怒気をみなぎらせていたさっきまでとは打って変わって、落ち着いた様子で男は神宮寺を嘲る。
「知らねぇぞ? 下手に手ぇ出したら女がどうなるか……」
そこまで言った辺りで、男の目線が一瞬神宮寺の顔から逸れた。
彼の肩越しに何かを見やったようだった。まるで、誰かへの目配せのような── 「………───」
その時、背後に気配を感じて、神宮寺は振り向いた。
そこにあったのは、棒状の何かを振り上げる別の男の姿──。
気付くのが遅すぎた。もはや避ける事はかなわない。
「……っ……!」
かろうじて腕で防ぐと、焼けるような衝撃と痺れが走る。金属が打ち当たる鈍い音。振り下ろされたのは鉄パイプだった。
焦りは判断を鈍らせる。今は目の前の相手に集中しなければ。
痛みと動揺を強引に押し止め、再度パイプを振りかぶる男に神宮寺は向き合おうとした。二人の男に背を向ける形で──。
再びの強い衝撃と共に、視界が揺れた。
後頭部への打撃──気付いた時には、彼の体は地に伏していた。
ざまぁみろ。吐き捨てられた言葉と嘲笑。勝ち誇ったように見下ろしてくる複数の視線。
もう一度脳を揺さぶるような一撃を食らわされ、瞬く間に意識は散っていった。
* * * * *
こき使った頭が、締め付けられているかのようにぎりぎりと痛む。
怪我だけのせいではない。自身の油断に、憤らずにはいられなかったのだ。
だが、後悔ばかりに苛まれている場合ではない。あの男が言っていた事が事実なら……
『……仲間が……事務所に……』 ぐ、と拳に力がこもる。
一刻も早く、無事を確認しなければならない。出来る事なら、彼女に危害が及ぶその前に──
「ああぁぁっ!!」
不意に響いた鋭い悲鳴に、彼の思考は刹那止まった。
聞き覚えのある女の声。今まさに案じていた女性のそれだった。
思わず両目を見開くと頭の痛みは激しさを増し、目の奥がちりちりと瞬く。
それらを押さえ付けてぼやけていた焦点を合わせると、信じ難い光景が映りこんできた。
寂れた倉庫のような室内の中央に、十人くらいの男達が固まっていた。
一様に卑しい笑みを顔に浮かばせ、彼らの輪の中心にいる何者かを見下ろしている。何者か──
視線を床へ下ろす。
息を呑んだ。
下半身を丸出しにして、勢い込んで腰を前後に振る男と、その男に犯されて拒絶の声を上げている女がいた。
つい先程聞こえた悲鳴と同じ声。毎日のように顔を合わせ、共に仕事をしている助手、その人だった。
今朝、自分を事務所で送ってくれたその柔らかな声音は影もなく、身を脅かされる恐怖と苦痛に張り詰めている。
「───……!!」
何故、と考える間もなかった。
骨を折らんばかりの力をこめて身を捻り捩じらせ、後ろ手で固めた拳で柱を強く叩く。 ぐらぐらと意識を掻き乱さんとする頭痛にも構わず、頭を激しく振り、口を塞ぐ欝陶しい猿轡を外そうと試みる。
しかしその行為を嘲笑うかのように、彼を縛る荒縄はスーツ越しの身に食い込むばかりで、緩みもずれもしない。
物音に気付いた男が、暴れる神宮寺の元へ歩み寄ってきた。
ニタニタと癇にさわる笑みを向けてくる。食いしばった歯に、さらに力が入った。
「ようやくお目覚めか、探偵さんよ」
射抜かんばかりの強い眼光で睨む彼を、小馬鹿にしたように見下ろして男が口を開いた。
「そちらの別嬪さん、ちょっと味見させてもらってるぜぇ」
男が指し示す先で、彼女が辱められている。
ブラウスは開かされて下は全て剥ぎ取られた姿を、何人もの男達の前に晒され、そんな中で犯されて、泣いている。
「俺ら全員の気が済んだら解いてやっから、まぁ、しばらく黙って見とけや」
──出来る訳がない。
男の言葉など聞こえていないかのように、神宮寺は必死に体を揺さぶり続ける。
縄は硬い上に何周にも渡って巻かれており、引きちぎる事など到底不可能だ。
彼にもそれは分かっている。無駄だという事くらい、分かっている。 それでも、黙って放っておけるような光景ではない。
何かせずにはいられない。
そんな神宮寺を鼻で笑うと、
「くたばらねぇ程度にしといてくれよ。観客が眠りこけちまったらつまらねぇからよ」
それだけ言って、男は神宮寺に背を向けた。
男が歩いていく先では、洋子が今も秘所を突かれて苦しげに喘いでいた。
目隠しで表情は分からないが、時々唇をぎゅっと噛み締め、いやいやと首を振って男を拒んでいる。
「や、あっ、いやっ……! ぬい、て……抜いてっ……!」
ぱん、ぱんと腰を叩きつけられ男根で膣を抉られるたびに、開ききったすらりとした両足がひくひくと震えている。
投げつけられる下劣な笑いと言葉の合間に響く悲壮な声が、聞き遂げられる筈のない懇願の言葉を紡いでいる。
汚い床に腕を押さえ付けられてもがく細い指が、訪れぬ助けを求めて目一杯伸ばされている。
酷く哀れな有様の彼女が、今目の前にいるというのに。
成す術もなく、ただ見ている事しか出来ない。
惨めな自分や彼女を嘲笑う男達に、呪う言葉一つさえ吐けない。
噛まされた猿轡の隙間に、血の味が滲むのが分かった。 神宮寺が無為に体力を消費し続ける間にも、洋子を犯す男の律動の動きは速まっていく。
味わう為のものから、達する為のものへと。
出る──男の声から察した彼女の唇が、より濃い恐れを訴えて引きつる。
「ひっ、ぃっ……! いや、やめて、やめっ」
願いが届く事もなく。
ばんっ、と一際強く腰を打ち付けた体勢で、男の動きは止まった。
彼女の唇が、悲鳴をあげていた形のままで震える。
情けない呻き声とだらしのない男の顔のおかげで、何が起きているのかよく分かる。
周りの男達が嗤う声が、いやに遠くから聞こえてくる気がした。
ふぅー、と心底すっきりした様子で溜息をつき、男は洋子の中から出ていった。
啜り泣く彼女に休む間も与えず、別の男が股の間に割り込んで一物を突っ込む。
口元を押さえて鳴咽を漏らすのを愉快そうに笑いながら、取り巻いていた男の一人が彼女の手を掴み、自身のペニスを握らせた。
「っ……うっ、あ、いやっ……」
感触で察してしまったのだろう、洋子は顔をそれとは逆の方へ背ける。
それでも構わず男は女の指を絡め、上下にしごかせつつ柔らかそうな頬にぐりぐりと擦りつける。
くぐもった泣き声が、ますます止まらなくなった。 喉の奥が、焼けるように熱い。
彼女の掠れた悲鳴も。男らの耳障りな声も。
眼前で汚されていく女の身体も。肌で感じ取れる程に濃い性の臭いも。
殺意と違わないくらいの激しい憎悪を、より深く煮立たせ、心中に凝り固めていく。
──だが、もしそれだけならば。
強い激情の中に一つ、異物のような自問が浮かぶ。
──何故、目を背けないのか。
彼女や自分にとってこの上なく残酷なこの光景に、憎しみしか覚えないのなら。
どうして自分は、直視せずにはいられないのか──
「くっ……あ、うぅ……」
その答が形になる前に、洋子に覆いかぶさっていた男が半萎えになったものを引き抜いた。
早過ぎだ、とはやし立てる取り巻きは、まるで遊んででもいるかのように愉しそうにしている。
彼らが時折投げかけてくる侮蔑の視線と相まって、荒んだ心をさらに逆撫でしてくる。
忌々しい──胸中で毒づくも、舌打ちさえ出来ないこの身こそ、何より腹立たしかった。
どれだけ苛立ちをつのらせても、彼女への仕打ちは収まらない。
次に洋子に近付いた男は、仰向けに横たえられていた彼女の体を俯せにひっくり返した。 「っ……! うっ……く……」
両手を床について上半身を起こす洋子。その体が、少しずつ前へと進もうとする。
掌や膝を汚しながら、ずりずりと音をたてて必死に逃れようとする彼女を見て、男達はやはり馬鹿みたいに笑っている。
視界を閉ざされて弄ばれている彼女の姿は、あまりにも哀れで、孤独だ。
手を伸ばしてやれたなら、声をかけてやれたなら、どんなに良かっただろう──
そんな風に思いながら、結局逃れられずに腰を掴まれ後ろから挿入される洋子の姿を見ていた。
彼女はまた苦しそうに眉を寄せ、声をあげる。
「ひぁっ……もう、いやっ……! いやぁっ……!」
ああ、だが、気のせいだろうか。
絶えぬ拒絶の言葉の中に、甘い響きが感じられる。
男が乱暴に腰を叩きつける時に漏れる短い吐息に、熱い何かを感じる。
考えたくなかった。その正体が、何なのかなど。
そんな彼女を目にして込み上げつつある熱が、何なのかなど。
そうして頑なに押さえ込もうとする神宮寺だが、昂ぶるものをとどまらせる事が出来ない。
それは彼女もまた、同様であるようだった。
「んあぁ……あっ……こ、こんな……」
戸惑い呟く声に含まれているのは、明らかな艶。 うっすら紅色に染まった頬は悲しみの涙に濡れているのに、その顔は女の表情を浮かべているように見えた。
抜き差しにつられて前後にふらりと揺れる彼女の腰の動きが、まるで男を煽っているように映る。
──自分は、なんという目で彼女を見ているのだろう。
「は……あぁ……んふ……」
気の抜けた声と共に洋子の腕が曲がり、支えられていた上半身がぐったりと倒れた。
頬を床につけたまま動こうとしない。抵抗も出来ない程疲れてしまったのか。心も、体も。
そこから先は、語り尽くせぬ程に生々しい交わりが目の前で行われていった。
一人ずつ相手をさせるのでは飽き足らなくなったのか、複数の男が同時に洋子の身体をいたぶりはじめた。
ある男は、叫ぶ事もなくなった彼女の唇に男根を押し込んで。
別の男は絹糸のような彼女の黒髪を汚い一物に絡ませて。
あるいは横から手を出して、手触りの良さそうな乳房や素肌を撫で回して……
生臭い息を吹き掛けながら程よく柔らかい女の体を貪るさまは、餌に群がる獣となんら変わりのないものだった。
卑しく、見苦しく、そして汚らわしい牡の集団。
だが、それ以上に許しがたいのは── 群れの中から一息つこうと離れた男が、神宮寺の方へ近付いてきた。
悔しかろう、とでも言いたげな勝ち誇った目付きに、思いつく限りの罵倒の言葉と憎しみを込めて睨みつける。
例えようのない怒りに浸り続けていた身はわなわなと震え、茹だっているかのような強い熱を帯びていた。
そしてそれとは別に、昂ぶっている箇所がもう一つ。
「……………」
それに気付いた男の笑みが、一層深まった。
神宮寺は耐えきれず目を逸らす。
股の中心でズボンを押し上げ、張り出しているもの。
胡座の体勢で両足首を縛られていたので、隠しようがなかった。
こんなにも彼女がいたぶられて苦しんでいる状況で、男の反応をする自身こそ、もっとも許しがたいものだった。
「楽にしてやろうか?」
顔を覗き込んで問い掛けてくる男の声は、意味深に潜められている。
何かを企んでいるのは見え透いていた。
分かっていても、逃れられない。それもまた自明だった。
返事を返せる筈もない神宮寺の元を離れた男は、今だ女を蹂躙し続ける者達に声をかける。
動きを止め、耳を傾ける男達。
何を話しているのかまでは、聞き取る事が出来ない。 嫌な予感がする。
今まで以上の屈辱などというものがあるのかと、考えたくもなかったが。
やがてこちらを振り返った彼らの顔は、一様に不快感を高まらせる笑みを浮かべていた。
吐き気がする程の悪意に満ちた、目障りな事この上ない表情だ。
歩み寄ってくる数人の後ろから、洋子が四つん這いの体勢で連れて来られる。
疲れきった緩慢な動作で。くしゃりと乱れた髪を引っ張られながら。
真正面から見た彼女の無残な姿に、思考が止まった。
直後、脳内を熱が狂ったように駆け巡り、全身をがたがたとわななかせた。
美しかった黒髪は汗に濡れて顔にはりつき、所々白く濁った液が付着している。
上気した頬を伝うものは、汗と涙が混じって判別がつかない。
弱々しくも熱っぽい吐息を零す唇の端にも汚液はこびりつき、顎を伝って垂れかけている。
かろうじてまとわり付いているブラウスもじっとりと湿っており、はだけて見える胸は熱く火照って先端を硬くしている。
身を支えるだけの力もほとんど残っていないのであろう震える細腕の間から、彼女の秘所が僅かに見えた。
何度男を受け入れたのか、溢れる白濁を幾筋も腿に垂らしていた。 何もかもがさらけ出されているその中で、唯一彼女の眼だけが見えない。
見たくなかった。今だけは。
「ぅ……っ……あぁ……」
ぐっと前髪を掴まれて神宮寺のすぐ前まで引きずられ、洋子はくたりとその場に座り込む。
次は何をさせるつもりか──怒りで働かない頭で考えようとする前に、彼の表情は凍りついた。
複数の男の手。それが伸ばされたのは彼女ではなく、彼の方だったのだ。
そう、昂ぶっている彼の股間に──
「……っ………っ!?」
拘束されたままの足を懸命に動かすも、通用しない。
ベルトを緩められ、ファスナーを開けられ、中から引っ張り出されたものは、熱く硬くそそり立っていた。
男達の笑いと声なき侮辱が、荒みきった心をさらに揺さぶる。
これだけでも十分な辱めと思われたが、彼らはそれだけでは終わらせない。
半ば放心状態の洋子の体を持ち上げ、あろう事か、神宮寺の脚の上へと跨がらせる。
力無くしなだれかかってくる彼女の体はしっとりと汗ばみ、男を煽る臭いを染み付かせていた。
ここまできて、何をさせようとしているのか分からぬ筈もない。
だが、下手に暴れて密着した洋子の体をはねのける事も出来なかった。 不意に身じろいだ彼女の秘部が神宮寺のものに触れた。
感触で察したらしく、ぶるりと一つ大きく震える彼女の耳元で、男が言った。
──自分で挿れて、動けと。
口端を引きつらせ、小さく首を振る洋子。
それを見越していたようで、男はもう一言、何かを囁く。声が小さすぎて、聞き取れない。
「……っ………」
ぴく、と唇を震わせて、洋子は息を止めた。
やがて吐き出された息は諦めを含んだもののように、儚げだった。
神宮寺の両腿の上にあった洋子の尻が、ゆっくりと浮いた。
割れ目が棹を伝って先端に近付くにつれて、ねっとりとした体液がまとわり付いてくる。
その熱に息を漏らしながら、神宮寺は胸中と視線で強く訴える。
──やめろ。
──頼むから、やめてくれ、と。
願いも虚しく、蕩けきった秘唇は屹立したものの先をぬぷりと飲み込み、そして……
「ぁ、っ……!」
根元まで、その内側に包み込んだ。
肉杭全体が一気に熱にまとわれ、神宮寺は切れ切れの息を吐く。
膣内にあった別の男らのザーメンが漏れ出し、彼のものと下着を汚した。
「は……あぁぁ……」
気怠い声と共に洋子はまたゆっくり腰を上げ、ずるずると秘所から男根を抜いていく。 完全に抜け落ちてしまう前に再度腰を落とし、ぎゅっと中を収縮させる。
そうして何度も上下に腰を振り、彼を達させようとしている。
彼女自身すら、望まない形で。
──なんと、残酷な光景だろう。
体は互いに悲しみに震えていた。
これが夢だったら、どんなにか良かっただろう。
心は苦しい事この上ない状況でありながら、肉体は確かに快感を覚えている。
抗いがたい本能に急かされ、達する時を待ち望んでいる。
彼女も同じだった。
自分で動き、締め付ける事で自身を刺激して快楽を求めている。
喘ぐ唇を辛そうに歪ませ、目隠しの下からは涙の筋をいくつも零して。
彼女は恐らく、自身が今、誰と繋がっているのかすら気付いていないだろう。
視界がきかない今の彼女にとって、神宮寺は他の男達と同じ存在でしかない。
それは救いと言えるのかどうか分からない。
ただ、気付かれないままで済めば良いと思った。
せめて、この悪夢のような時間が終わる頃までは── 洋子の動きは次第に激しさを増してきていた。
上下するだけでなく、時に中を掻き回すようにぐるりと腰で輪を描き、襞をペニスの側面に擦りつけてくる。
早く終わらせてしまいたいが為のものか、女の体がそうさせるのかは分からない。
いずれにせよ、限界が近付いていた。
駄目だ、耐えろと何度となく自身を叱咤していた神宮寺だが、散々焦らされてから女を与えられた身は、理性で抑えきれる範疇を越えていた。
眼前の女の唇からは、甘く間延びした声音。
頂きを間近にした、悦びの色がうつろう。
楽になりたい。
そんな言葉が、頭に浮かんで消えた。
「はぁっ、ん、んっ、あぁぁー……っ!」
「っ……!! ──っ、っ………」
喉を反らして上擦った嬌声をあげながら、彼女は咥えこんだものをきゅうっと締め上げた。
精を搾り取らんとするような圧力に促され、声なき呻きと共に欲を放っていく。
視界は白く焼け、思考は失せ、ただただ痛いくらいの開放感に身を浸らせる。
その瞬間だけは、煩わしい事柄を全て忘れ去れるような気がした。 絶頂の余韻が失せていくと同時に、体の感覚が戻ってきた。
全身が痛みと疲労感を訴えてくる。
そして耳に入ってくるのは、今までずっと自分達を見ていたのであろう何人もの男達の罵声、哄笑。
最悪だった。
荒い息をつきながら、神宮寺はうっすらと目を開いた。
疲れ果てたのだろう、洋子の体はぐったりと神宮寺の肩にもたれかかっている。
呼吸はだんだん穏やかなものに戻っていき、落ち着いたところで、彼女はゆっくりと顔を上げた。
洋子の顔が視界に入ったその途端、神宮寺の顔は強張った。
覚めやらぬ快感の熱に浮かされて、潤んだ瞳。
つい先程まで隠されていたもの。
目隠しが、無くなっている。
「……ぁ……」
虚ろだった眼が焦点を結び、唇が微かな声を漏らした。
みるみるうちに表情が消え、目が大きく見開かれる。
まだ繋がっている目の前の男だけに向けられている眼差し。
そこに宿っているものはもはや、絶望だけだった。
「あ、あ、あぁぁ……」
小さく、しかし何度も首を振る女の、空虚な声。
それが嘆きの悲鳴に変わるまで、さほど時間はかからなかった。 今日はここまでで。
次でおしまいです。また来月にでも。 サブの視点だと余計にいたたまれないな…続きが気になる。 「先生。今日は八月一日ですね」
「ん?ああ、そうだな」
「何か思い当たる事とかありません?」
「ベルリンオリンピックの開幕日だったかな、確か」
「……他には、何か?」
「………?(何かあっただろうか……)スイスの建国記念日 とかかな」
「……………」
「阿久悠が亡くなったのもこの日だったか……」
「もう少し身近な事で何かあると思うんですけど」
「(洋子君の顔がどこかひきつっているように見える……) 新五百円玉が発行された……とか……」
「……………」
「……………」
「先生」
「なんだい、洋子君」
「からかってらっしゃるんですか?」
「いや、そんな事はない」
「ちゃんと考えてください……ほら、誰かの誕生日とか……」
「誕生日……」
「………!そうか、そういえば……」
「!(先生……)」
「今日はきんさんぎんさんの誕生日じゃないか」
「わ た し は ば く は つ し た」 岩本兄の愛人ってようするにセフレのことなんだろうか。
そんなん会ったばかりの他人に言うことじゃないよなw >>259
乙。サブちゃんと洋子の心中察します…。
>>262
箸休めサンクスw 続き置いてきます。
・輪姦で寝取られ(前のもの寝取られて書くの忘れてたサーセン)
・洋子視点
・神宮寺視点>>245辺りから。 「ああぁぁっ!!」
秘所を貫く痛みと熱に、洋子は苦悶の声をあげた。
中はほぐされ濡れてはいるが、いきなり勢い任せに打ち付けられては苦痛ばかりが先に立つ。
捕らえられた手足を何度もばたつかせ、首を激しく振って拒絶の意思を示す。
逃れられないとは分かっている。
それでも、ただ黙って受け入れる事が出来ない。
数知れぬ男達の気配。いくつもの腕。荒々しい吐息と、嗤う声。
次に何をされるか分からない不安と、今自分に向けられている明確な暴力。
閉ざされた視界の外から襲い来るあらゆるものが、息も整える事の叶わない恐慌ばかりを促すのだ。
「や、あっ、いやっ……! ぬい、て……抜いてっ……!」
助けを乞うように伸ばされた腕は、手首を掴まれてしまってもう動かせない。
石の床を引っ掻く指に痛みが走り、僅かな湿りが指先に滲んだ。
それさえ気にも留めず、ただただ恐れおののく心にまかせて洋子はもがいていた。
彼女が僅か程も意味を成さない抵抗を続ける内に、凌辱者の腰の動きは激しさを増してきていた。
肉と肉が擦れ合って生じる熱と、息をつく暇も与えぬ律動が、より強い圧力を秘所に加える。 出る──荒々しい呼吸と獣じみた呻きの合間に聞こえた声が、彼女の脳内にはっきりと響いた。
考えるより速く、唇が鋭い声を発する。
「ひっ、ぃっ……! いや、やめて、やめっ」
じわりと、熱が奥で滲んだ。
口も閉じられないままで、洋子はその感触を膣内に刻み込まれた。
中で何度か震える肉棒から放たれる、生温い液体。
奥へゆっくりと流れていく、おぞましい感覚。
何か取り返しのつかないものを奪われたかのような虚無感が、体の芯からぞわりと込み上げてくる。
堪えきれぬ悲しみに押されて鳴咽を漏らすばかりの彼女に構う事なく、欲まかせの暴力は続く。
一番手が抜け出ると間を置かず次の男根が入ってきた。
またしても力まかせの挿入をされるが、痛みはいくらかやわらいでいる。
摩擦によるそれも、始めの比ではない。行為に慣れてきているのか。
それは彼女にとって、救いとは言い難かった。
体が痛みに順応しても、心がそれに従わなければ苦しい事には変わりない。
徐々に意思とずれ始める体の感覚に困惑する洋子を揺さぶるように激しい抜き差しは続き、やがてまた膣奥に熱が広がる。 涙ながらにしゃくり上げる声の中に、いや、と消え入りそうな言葉が混じる。
もう何度零したか分からない、拒絶の言葉。
行為に対するものか、自身の体に対してのものなのか、分からなくなりつつある。
達した男が離れると、強引に体を転がされた。顔や胸を硬い床に押し付けられ、洋子の表情が苦しげに歪む。
俯せの体勢にされた身を少し浮かせると、いくつもの痛みが走る。
それでもここから逃れたくて、彼女は手足に思いきり力をこめた。
「っ……! うっ……く……」
疲労で重い身体を持ち上げて、四つん這いになる。
そして擦り傷だらけの両手足を動かして、前へ、前へ。
笑い声がそこかしこから聞こえてくる。何処へ逃げたら良いのか、分からない。
目隠しが邪魔なのだ。
動転していて今更のように気付いた洋子が片手を顔に伸ばそうとしたが、遅かった。
真後ろに迫っていた男が彼女の腰を両手で掴み、後背位で挿入してきたのだ。
熱の冷めきらぬ秘唇に打ち付けられるものの猛々しさに震え、洋子は嘆きの悲鳴を上げる。
「ひぁっ……もう、いやっ……! いやぁっ……!」
非力な女の抵抗を嘲笑いながら、男はピストンを繰り返した。 棹に絡み付く襞を突き放すように引き抜いては、閉じかける穴を抉るように貫く。
最奥まで突き込むたびに、ぱん、ぱん、と洋子の尻に男の下腹部が叩きつけられる。
相手の事などまるで省みない、一方的な挿入だというのに。
「んあぁ……あっ……こ、こんな……」
女の肉体は、男を拒まない。
乱暴に掻き回されて、喜んでいるかのようにうねりペニスを締め付ける自身に、洋子は上擦った声をあげた。
駄目、駄目と頭の中で自分を責めるのに、身体は信じられない程に彼女を裏切る。
男の動きに応えて細い腰は揺れ、唇からは媚びるような甘い息が零れる。
劣情が、拭えぬはずの嫌悪感を上回っていた。
「は……あぁ……んふ……」
上半身を必死に支えていた腕ががくりと曲がり、洋子の頬が再び石の床に押し付けられた。
暴力にも、快感にも、抗えるだけの気力はもうない。
一度諦めが心にさすと、脳内を性感だけが支配しはじめる。
もう、どうだっていい。ぽつりと、そんな言葉だけが浮かんだ。
「は……あ……」
男の動きが止み、腹の奥がじわりと熱くなった。 また、中で射精されている。
虚ろな思考がそこに行き着くと、恐れや絶望だけでない、奇妙な感覚に背がわなないた。
そんな自分を哀れむ暇もなく萎えきらぬものは抜け出て、すぐにがちがちに勃起したものが洋子の膣をこじ開ける。
腰の動きや息遣いから別の男だと分かるが、もう厭いの声は上げない。どうせ受け入れる事しか出来ないのだ。
よほど待ちわびていたらしく、抜き差しされる肉棒の摩擦は激しい。根元まで嵌め込まれると入り口から体液が飛び散り、床にびちゃりと零れる。
内腿に幾筋も伝う、ぬるい混合液の感触。耳に入ってくる、顔も分からぬ男の荒い呼吸と卑猥きわまりない交わりの音。
興奮をかきたてる要素ばかりを与えられた身は熱に浮かされ、持ち上げられた尻はねだるように男の腹に擦り付けられた。
女が抵抗を諦めた事を悟ったのか、数人の男が嗤う。
そして中を貫く者とは異なる気配が、洋子の傍まで歩み寄ってくる。
不意に、弾力のある何かで頬をぺちりと叩かれた。
牡の臭いを放つ生温かいそれは、うっすら開いた彼女の唇に押し付けられる。
「歯ぁ立てんなよ」
そう告げて指で唇をさらに開かせ、男は中に昂ぶったものを押し込んだ。 噛もうとはしないが、自ら舌を絡めようともしない。
ささやかな抵抗……という訳ではない。ただ億劫なだけだった。
男がくたりと垂れていた洋子の頭を髪ごとわし掴みにし、前後に振ってペニスを出し入れする。
「ふぐっ……んむぅ……」
苦しげに顔を歪める洋子だが、やはり拒まない。されるがままに口淫を受け入れている。
先端で喉奥を容赦なく突かれて嘔吐き、口内に滲む先走りの苦みに涙を落とす。
鼻から吸い込む空気は濃密な性臭を体内に送り込み、言い知れぬ不快感を染み渡らせた。
見も知らぬ男達から、こんなにも酷い辱めを受けているというのに。
男根を包み込むように口内に唾液が溢れ、出し入れされて鈍い水音が立つ。
秘唇は喜んでいるかのようにぐずぐずに潤み、膣壁は吐精を乞うて肉棒に吸い付き、締め上げる。
べたついた指にいたぶられた乳首は硬くしこり、膨らみを撫で回されれば甘く間延びした息が漏れる。
女の本能は、蹂躙行為を求めてさえいた。
「んうぅっ……ん、ふ、ふっ、んぷっ」
口の中いっぱいに広がる生臭い白濁を無理矢理飲み下させられながら、洋子は堕ちきらぬ心でただただ早くこの悪夢が終わればいいと願っていた。
「はぁー……はぁー……はあぁ……」
どれだけの時が過ぎただろうか。
ぐったりと上半身を横たえたままの姿勢で、洋子は背後から秘所を突かれていた。
男が前後に勢いよく腰を振るたびに、結合部からぐちゅりぐちゅりと泥を掻き混ぜるような音が響く。
何度も男根を受け入れた秘所はすっかりほぐれきっており、白黄混ざった粘液に塗れた陰唇は熱く蕩けていた。
精液に紛れて区別はつかないが、彼女自身から漏れ出た愛液の量も相当なものであった。
最初こそ秘所を傷つけぬ為の潤滑液程度のものだったが、もはやその比ではない。
どんなに頭で否定しても、本能的な快感を立て続けに与えられた秘部は悦び、ますます涎をたらすのだ。
「ひあぁ……あっ、はあ、あうぅん……」
黒いアイマスクの下で、洋子の瞳は恍惚に潤む。
無為な抗いをやめた体は波のように押し寄せる暴虐をあるがまま受け止め、生じる淫悦に溺れていた。
行為に慣れてしまうと、視界を閉ざされて感じていた恐れも、刺激を引き立てる要素にとって変わっていく。
汗と唾液と精液とが混じり合って放つ臭いは感覚の麻痺した鼻腔に染み付き、異常なまでの興奮を促す媚薬と化していた。 開いた口から舌をのぞかせ、はっ、はっ、とせわしなく呼吸をする洋子。
羞恥に嘆く理性の声に、応える事はもう出来そうにない。
目に映らぬところで男達のいくつもの手が、陰茎が、身体中を犯していた。
律動に揺れる乳房をぐにぐにと揉みしだかれて。
際限ない快楽に震えの止まらない腰や足を撫で回されて。
滑らかな頬や艶やかな髪に一物を擦りつけられて。
男の臭いと感触を全身にまとわされ、思考は瞬く間に遠ざかっていく。
「ああぁぁ……」
低い呻きと共に胎内にザーメンを注がれて、洋子は気怠い声を上げた。
汚されるのに慣れた身とはいえ、哀しみは消えない。新たに流れた涙が、視界を遮ったままの厚布を濡らす。
用を済ませたものがずるずると外へ出ていった後、開いたままの入り口はひくひくと震えていた。
何回分の射精を受けたのか。黄ばんだ精液に満ちた秘部は、中が空くとぐぷりと濁った音を立てて外へ漏れ出し、尻や足を汚した。
しかしその開放感もつかの間のものに過ぎず、すぐまた違うペニスに穴を塞がれる。
腰を掴まれ激しく揺さぶられ、中を抉られ掻き回される。その繰り返し。 だが、しばらくしてそれが前触れもなく収まった。
絶えず秘所を埋めていたものがなくなって、冷えた空気がそこに触れる。
使われ続けていた秘部は状況についていけていないらしく、まだ時々花弁を震わせては中を収縮させている。
しかし休息を与えられた事に安堵した為か、体のあちこちが疲労や痛みを訴えてきた。
持ち上げられていた腰を落とし、気怠げに身を寝かせる。
──終わったのだろうか。
どんより靄のかかった頭で、そんな事を思う。
しかし、やはりそのような事はなく、頬をぺしぺしと叩かれた。
「おい、起きろ」
どこか楽しげな男の声。まだ、あれが続くのだろうか。
うずくまったまま身を縮こまらせ、洋子は起き上がろうとしない。
疲弊した体はこれ以上の酷使を望んではおらず、脱力したまま石床から離れない。
動かずにいる彼女の耳に舌打ちの音が聞こえたのと同時に、髪をぐいっと掴まれた。
「っ……ぅ……」
「いい事を教えてやる。あんたんトコの所長さんな、今俺らが預かってんだよ」
所長という単語に、洋子の唇がひくっと震える。
「まだたいした事はしちゃあいないが……後はあんた次第だな」 男の言葉の一つ一つが、鈍った頭の中に毒のようにじわじわと染み込んでくる。
試すような物言いだったが、選択の余地などありはしなかった。
洋子がのろのろ体を上げると、男の手は行き先を示すように髪を強く引っ張る。
それに従って四つん這いで進む彼女だが、動きはおぼつかない。彼女の体力は、もう限界なのだ。
そんな事には構いもせずに、男は彼女の髪を引いて歩き、やがてぱっとその手を離した。
「ぅ……っ……あぁ……」
へたりこむ洋子の四方から、また何人かの含み笑いが聞こえる。
何度聞いても慣れない、悪意に満ちた声だった。
不意に両脇に誰かの腕が入り込み、体を持ち上げられた。
逆らう動作も出来ぬままに降ろされた先は、冷たい床ではなかった。
剥き出しの肌に触れる布のような感触と、その下から感じられる温もり。
そして間近に感じるくぐもった呼吸音から、何者かの体と密着しているのだと気付く。
胸の辺りにもたれかかるような体勢にされた事に戸惑って腰をずらすと、秘所に何かが触れた。
柔らかくも、弾力のある触れ心地。熱く滾った、棒のような形のもの。
頭で察する前に、背筋がぞくりと震えた。 暴行の続きに対する恐れと無意識の部分の疼きが、洋子の中に再び湧きあがってくる。
後ろから耳元にぬるい息を吹きかけながら、男が何事かを囁く。
思考が一瞬停止した。告げられた言葉を反芻し、数秒かけてその意味を理解する。
自分で挿れて、動け。
男はそう言ったのだ。
出来ない──その意を首を小さく、しかし何度も横に振って彼女が示すと、また男が毒を吹き込んでくる。
「"先生"がどうなっても知らねぇぞ?」
「……っ………」
従うしか、ない。
零れ落ちた微かな吐息は、深い諦めに満ちていた。
正面の男の胸から身を少し離し、両手に力を入れて、腰をゆっくりと持ち上げる。
濡れそぼった割れ目にそそり立ったものが時々触れて、僅かばかりの刺激が生じる。
その度に反応しそうになる身を抑えながら、片手を男のものに添え、先端を膣口にあてがった。
びんと張り詰めた男根に触れながら、自分は今、何人目の男のものを受け入れようとしているのだろう、と考える。
粘液に塗れていないそれは、今まで彼女の中に入り込んできた男のものとは異なると分かる。
周囲からは無数の野次と嘲笑の声。何人いるのかなど分からないし、数える気も起きなかった 考えるだけ辛くなる疑問を頭の片隅に放り、洋子は腰を落とし始めた。
顔も分からぬ男に犯される為に。
熱液でとろとろにほぐれた女陰が、だんだんと肉棒を飲み込んでいく。
中に湛えていた濁液をほんの僅かな隙間から零しながら。張り出た箇所で襞を押し広げられながら。
「ぁ、っ……!」
奥に亀頭がぶつかったところで、洋子は喉を反らして息をつまらせた。
自重を支える腕に力が入らず下半身を下まで落とし込んでしまうと、根元までずっぽりと嵌まってしまい、行き止まりの部分にぐりぐりと押し当たる。
深い場所から痛みを感じるが、それをも越える快感が腹の底から込み上げてくる。
飲まれてはいけない。
自我を保ってなけなしの力を体にこめるも、芯から滲み出る熱に何もかも奪われてしまいそうになる。
男の方は荒い呼気を漏らすだけで、彼女を急かす真似はしてこない。自分から動こうともしない。
欲望そのものを叩きつける行為のような恐怖はないが、また別の忌避感を感じずにはいられなかった。
この男を満たすまで、彼女は望んでもいない性奉仕をし続けなければならないのだ。
はしたなく腰を使って……男性器を包み、締め付け、それを何度も繰り返して…… そんな自分の有様を思い描きながら、洋子は体を上げていく。
「は……あぁぁ……」
潤んだ内壁を屹立に擦られ、甘い喘ぎを零してしまう。
自分の意思ではないのだと、頭でどんなに言い繕っても抑えきれない。
腰を落としては上げ、男を柔らかく迎え入れては締め上げ、どろりと粘った潤滑液で汚れきった互いを擦り合わせる。
次第に高まる勢いが、熱量が、理性と体を切り離して忘我の心地へと持っていこうとしている。
周りからは蔑みの声と笑いが絶え間なく投げつけられる。
男の上で浅ましく腰を振り、熱っぽい声をあげて悶える自分は、どんなにいやらしく映るのだろう。
他の者達と違い、目前の男は何も声をかけてはこない。
時折身じろぎするものの、求めるような動きとはどこか違う。
だが、きっと嘲笑っているのだろう。周りの男達と同じように、乱れきった姿の自分を。
快楽を引き出す為に動いているのは彼女だけ。男達は今は皆、傍観者でしかない。
ただそこにいるだけの男を、自分が、犯しているのだ──
「……っ……!!」
噛み締めた歯がかたかたと震え、涸れた筈の涙がまた流れ落ちた。
ぐすぐすと啜り泣きながら激しく下半身を揺らし、振り、中の柔肉を男根に押し付けてゆさぶる。
終わりたい。終わらせたい。ただそれだけを希って。
ぐちゃぐちゃという水音と自分の上擦った声を耳に入れたくなくて、一心不乱に身を上下し続けた。
役に立たない両目をぎゅっと閉じてしまうと、熱気とこもった臭いが肌に伝わってくる。
自身と、何人もの男が分泌したさまざまな液の臭い。
そして、その中に違和感のあるものがひとつ。
それは、嗅ぎ慣れた、あの人の──
「はぁっ、ん、んっ、あぁぁー……っ!」
それと理解しきるより早く、女の限界は訪れた。
身体を固くこわばらせ、喉を震わせて絶頂の声を放つ洋子。
きゅうっと収縮させた膣の奥で、熱がじわりと広がっていくのをかろうじて残った思考のかけらで悟った。
数度震えるものに欲を放たれ、安堵と哀しさが交ざった感情が空虚な心を覆っていく。 体も心も擦り減らして、もう疲れきってしまった。
今度こそ終わったのだと、思わせてほしい。
怠さにまかせて男の肩にもたれかかった体勢で荒い息をつきながら、洋子はどこか懐かしさを感じさせる温もりに無意識に頬を寄せていた。
「……………」
どれくらいの間、そうしていたのだろうか。
誰かの気配が後ろから近付いてきた事に気付いて、洋子は我を取り戻した。
太い指が耳の辺りを掠め、何かを外している。
呼吸を落ち着かせたところでそっと目を開くと、ぼやけた視界に暗闇以外のものが映った。
ようやく目隠しが外されたらしい。
これでおしまいなのだ──そう考え至り、ほっと息を吐く。
まばたきをして目をこらすと、不鮮明だった像がだんだん輪郭を成していく。
男物のスーツの生地と、その下で汗に湿っているシャツ。
すっかりよれてしまっている、落ち着いた色合いのネクタイ。 全て、見覚えのあるものだ。それも、ごく最近に。
状況が掴めないまま、洋子はぼんやりとした眼を上へと向ける。
緩んだ襟元から覗く汗ばんだ喉元、頤、そして……
慕ってやまない男性の顔が、真正面から映り込む──
「……ぁ……」
眼を、大きく見開いた。
燻っていた熱の名残りが失せ、頭の中が急速に冷えていく。
猿轡をかまされ、手足の自由を奪われ、彼女に身を寄せられている男。
疲労の色を濃く浮かばせている顔を強張らせ、交わった視線を離せずにいる男。
繋がり合ったままの互いの秘部。
その感触と、彼の苦渋に満ちた表情と、自分達を包み込む嗤いと罵声から、ようやく全てを──理解した。
「あ、あ、あぁぁ……」
横に何度も首を振り、目の前の事実を弱々しく拒む。
その無意味さを分かりきっている心が、音を立てて軋む。
押し潰されて、わなないて、そして──
「──……っ、───!!」
割れんばかりの叫び声をあげた。
どんな言葉を、どんな意味を込めて発したのかすら、彼女自身分からなかった。
両の掌で泣き濡れた顔を覆い、髪を振り乱し、彼の傍から逃げるように身を離してうずくまる。 ぼろぼろになったブラウスで汚された身を庇い、彼の目にとまらぬように背を向ける洋子。
だが、もう、手遅れだった。
男達が口々に罵っている。
今更何を隠すのか。
あの男は犯されているお前をずっと見ていた。
助ける事も目を逸らす事も出来ずに、ただ見ているだけだった。そして──
よがり狂っているお前を見て、昂ぶっていたのだ、と。
うちひしがれた女にこれ以上ない程の駄目押しをして満足したのか、男らは束縛されたままの彼を振り返る。
感情全てを抜き取ってしまったかのような彼女の表情とは対称的に、あらゆる負の念だけをかき集めた、憎しみそのものを湛えた眼をしていた。
しかし男達は動じず、小馬鹿にした笑みを消さない。檻に捕われた獣同然の今の彼は、見せ物に過ぎなかった。
茫然として俯いたままの洋子の耳に、いくつかの音が入っては通り過ぎていく。
彼への男達の思い思いの罵声と、数発の殴打の音。
最後に足音だけがエコーがかったように響き、やがて消えていった。
静寂だけが残った空間で自失している事、しばし。
男達の気配が完全に無くなった事に気付いて、洋子はすうっと顔を上げた。 遅々とした動作で後ろを振り向くと、荒く息をついている彼の姿が目に留まる。
さっきよりも服が汚れ乱れている。
去り際の暴行のせいだろうか。
さほど手酷い仕打ちではなかったらしく、痛みを堪えている様子は見られない。
それだけは、ささやかな救いだった。
殆ど這うような状態で近付いていく洋子。彼の顔は見ようとせず、俯き続けている。
目前まで辿り着くと、出されたままの彼のものが視界に映った。
液に濡れてべたついたそれを見て、彼女の心が再びずきりと疼く──自分が汚したのだ、と。 放り捨てられていたスカートのポケットからハンカチを取り出し、そっと汚れを拭き取る。
やめろ、とでも言うように足を動かしてきたが、止めなかった。
そうせずにはいられなかったのだ。
拭ったものをズボンの中にしまうと、縛られたままの彼の両手に手をかける。
力の入らない指を懸命に動かし、固く結ばれた縄をほどいていく。
そうして彼女の指先が血に赤く滲み出した頃、男の腕に自由が戻り、そして──
彼女の体が、強い力で引き寄せられた。
長時間荒縄と苦闘し続けて赤黒くなった両腕で、きつくきつく抱き締める。
「───………」
言葉もなく。
残された二人は、互いの苦しみと嘆きを、時の許すまで噛み締めていた。 終了です。
…ちょっと神宮寺スペシャルくらってきます。 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています