Phantom 〜Requiem for the Phantom〜でエロパロ
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0001名無しさん@ピンキー2009/08/26(水) 22:01:04ID:QTxOiqL9
ニトロプラスの名作ファントムのエロパロです。
アニメ化されたことだしあってもいいんじゃないかと。

関連リンク
ニトロプラス(Nitro+)
http://www.nitroplus.co.jp/pc/
ファントムシリーズ ラインナップ
http://www.nitroplus.co.jp/pc/lineup/pro_01.html
TVアニメ ニトロプラス10周年記念プロジェクト「ファントム」公式サイト
http://www.phantom-r.jp/
0002名無しさん@ピンキー2009/08/26(水) 22:44:54ID:msY4jPpn
          _人人人人人人人人人人人人人人人_
         >      ごらんの有様だよ!!!  <
           ̄^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^
_______  _____  _______    ___  _____  _______
ヽ、     _,, '-´ ̄ ̄`-ゝ 、   ノ    | _,, '-´ ̄ ̄`-ゝ  、  |
  ヽ  r ´           ヽ、ノ     'r ´           ヽ、ノ
   ´/==─-      -─==ヽ   /==─-      -─==ヽ
   /   /   /! i、 iヽ、 ヽ  ヽ / / /,人|  iヽヽ、   ヽ,  、i
  ノ / /   /__,.!/ ヽ|、!__ヽ ヽヽ i ( ! / i ゝ、ヽ、! /_ルヽ、  、 ヽ
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 ̄/ /iヽ,! '"   ,___,  "' i ヽ|     /ii""  ,___,   "" レ\ ヽ ヽ、
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    '"  ''  `ー--一 ´'"  ''   ´    ル` ー--─ ´ レ" |
0007名無しさん@ピンキー2009/09/02(水) 06:29:20ID:VOdFDtvF
あげ
0008名無しさん@ピンキー2009/09/02(水) 21:26:31ID:nnhOKKcK
書くとしたら、アイン人形時代かクロウディアとツヴァイの絡みぐらいかなぁ
0009名無しさん@ピンキー2009/09/04(金) 02:07:15ID:Tb+vVhkI
あげ
0010名無しさん@ピンキー2009/09/04(金) 15:09:26ID:8ZtbwJ9z
てっぽーを解体整備している内にツヴァイのチンコを連想してしまい、銃口オナヌーに耽るアインに一票
0014名無しさん@ピンキー2009/09/07(月) 23:08:35ID:FcfHtj7g
そろそろ投下がないとまた即死する予感

原作もアニメも出来がいいから、そのうち神がくる…?
0016名無しさん@ピンキー2009/09/12(土) 07:26:58ID:oM2fFnTa
期待
0025名無しさん@ピンキー2009/09/27(日) 13:28:58ID:DnXMTwPM
保守
0028「約束」 ◆OIRRkd1FPU 2009/09/30(水) 18:41:16ID:6Yuj+hY1
エレン×玲二で投下します。アニメのED後、実は二人が生きていたという設定です。
アニメの雰囲気に合わせたのでエロはありません。元ネタは実は既に本スレに投下してます。一部原作のシーンが混じってます。



 故郷の地の空。
かつて夢に見たその光景を眺めながら、エレンは玲二と生きるこれからの人生に想いを馳せていた。
人を殺してまで得られる自由とは何なのか。これからの人生は、その答えを探すものになるだろう。
玲二と二人で、自分達なりの自由を見つける。それが彼女が心に描く、これからの人生の道筋だった。
(戻ろう。玲二の元へ)
 そう思って起き上がり、玲二の居た場所へと近付いていったエレンは、草原で倒れている玲二の姿に気がついた。
「どうしたの?」
「撃たれた」
「え!? 大丈夫なの?」
「ああ。ちょっと油断していたが、急所は外れてる。サイスといいあのスナイパーといい、どうしてこうちゃんと決められないやつばかりなのかな」
「……何にしても早く手当てしたほうが良いわね」
「君は何をしていたんだ?」
「気持ち良いからちょっと寝てたんだけど……ごめんなさい。あなたがそんなことになってるなんて気付かなくて」
「別に良いさ。結局こうして生きてるわけだしな。まだ悪運は尽きていないらしい。
……けど残念だな。ここにも長居は出来そうにない。せっかく君の故郷に戻ってこられたのに」
「良いの。私にはあなたにもらった名前がある。あなたと過ごした記憶がある。それだけで、もう十分」
「すまない、エレン。せめて君の本当の笑顔だけは、俺が必ず取り戻す。
これまでどんな約束も守れなかった俺だけど、その約束だけは守りたいんだ」
「そうね……いつかきっと、二人で本当に笑える日がくる。私も、そう信じるわ」
「ありがとう、エレン……」


 
 突然の襲撃には面食らったが、逃亡の手段はすでに用意してあった。
最近は異国の地に移る度に、すぐさま逃走ルートを確保するよう心掛けていたからだ。
準備には三日ほどかかるらしい。それまではなんとか持ちこたえる必要がある。
問題は……どこへ逃げるかだ。エレンと相談して決めた逃亡先は……アメリカだった。
本来なら、インフェルノの本部があるアメリカに逃げるのは自殺行為に等しいだろう。
だが、どこへ逃げたとしても必ずインフェルノは追ってくる。
それなら危険を冒してでも、ここでインフェルノと決着をつけたほうが良いという判断だった。


 出国までの三日間の間、多くの追っ手に襲われたものの、その全てを返り討ちにし、どうにか無事モンゴルを脱出することが出来た。
とはいえ、気の抜けない日々が続く。なにせここはアメリカ、インフェルノの影響力が最も強い地なのだ。
案の定、インフェルノはすぐに俺達を見つけた。だが、今回ばかりは好都合でもあった。
インフェルノはすでに本部を別の場所に移していたからだ。
本部を襲うのであれば、まず場所が分からなければ話にならない。
襲ってくる追っ手を締め上げて、本部の居場所を吐かせてやった。
インフェルノは確かに恐ろしい組織だが、意外と抜けているところもある。
案の定、追っ手が居場所をもらした本部に行ってみると、お世辞にも厳重な警備とは言いがたい状態だった。ファントム二人が同じ国にいるというのに、能天気なことだ。
攻め込むなら早いほうが良い。エレンと共に武器を揃え、襲撃の準備を整えた。
作戦決行は……明日。
0029「約束」 ◆OIRRkd1FPU 2009/09/30(水) 18:43:34ID:6Yuj+hY1


 作戦決行の日の夜、エレンは俺と初めて出会った時、俺はロスにいた頃の服装に身を包んでいた。
すなわち、かつてそれぞれがファントムとして生きていた頃の服装だ。今日の戦い、俺達は逃亡者ではない。インフェルノを襲撃する暗殺者だ。今日の戦いは、ファントムとして決着をつける。
その思いが、再び俺達を最強の暗殺者へと戻らせた。自然と面構えも当時のものに戻っていく。
考えてみれば、「ファントム」が二人で組んで戦うのはこれが初めてだ。
エレン、俺、キャル……かつてファントムと呼ばれた三人だが、実力が最高の状態で同時に組織にいたことはない。
リズィという相棒はもちろんいたが、本当に肩を並べて戦えるパートナーはいなかった。
ファントムは、常に孤独で戦うものだった。
けど今は違う。俺の横には初代のファントムがいる。
俺の殺しの師匠であり、俺と同等の実力を持つ、最強のパートナーが。
ここ何週間かは毎日のようにインフェルノの追っ手と戦っていた。戦いの勘は完全に戻っている。
ファントムとして生きていた頃と比べても、実力的には遜色ない。むしろその後の戦闘経験を考えれば、今までで最強の実力かもしれない。
「用意は良い?」
「ああ」
「インフェルノにもうマスターはいないから、それほど強い兵士は出てこないでしょうけど、
それでも厳しい戦いになるのは間違いないわ。気を引き締めていきましょう」
「そうだな。けど、不謹慎かもしれないが、俺はこの状況に少し高揚感を感じている。
かつて目標としていた、ファントムとしての君と共に戦えるんだからな」
「そう……。そういえば私も、ファントムとしてのあなたが本気で戦うところを見るのは今日が初めてだわ。
どれだけ成長したのか、見せてもらいましょうか」
「望むところさ」
 この戦いの間だけ、俺達は再びファントムに戻る。
かつて組織のトッブスナイパーだったころのアインとツヴァイに。
初代ファントムと二代目ファントム。初めての共闘だ。
教えてやろう、インフェルノ。お前達がかつてあごで使ってきたファントムが牙を向いたら、どれほど恐ろしいかを。
二人のファントムを敵にまわすことが、どれほど無謀なことかを。
俺と彼女の人生は、お前達インフェルノによって狂わされた。ファントムとしての生き方を強要され、ずっと振り回されてきた。
ここでそれを終わらせる。
これが俺達の、ファントムとしての最後の戦い。


 本部周辺の建物に潜伏し、様子を伺う。警戒は薄い。
本部を直接襲撃されるなど、夢にも思っていないという様子だ。
追うことばかり考えていて、自分達が狙われる可能性に思いが至らないらしい。
罠の可能性もなくはないが、今更どうでも良いことだ。
全盛期の力を取り戻した今の俺達を、小手先の罠で殺せると思っているならさすがに考えが甘すぎる。
ファントムの称号は、そんなに安いものじゃない。
俺とアインは襲撃のタイミングを待った。
狙いは、組織の人間が建物に入るため、パスワードつきの扉を開けた瞬間。
………………今だ!




0030「約束」 ◆OIRRkd1FPU 2009/09/30(水) 18:45:23ID:6Yuj+hY1
 入口付近の護衛を射殺し、俺とアインは一気に建物に侵入した。
そして即座に用意していた爆弾を八方に投げ付ける。各所で爆炎が上がり、爆風に巻き込まれた者達が悲鳴をあげて絶命していく。
爆風から生き残った人間があわてて銃を取り出すが、皆銃を発砲する前に俺とアインによって撃ち殺された。とりあえず侵入は成功だ。だがもたもたはしていられない。異変を知らされた追っ手達が本部に戻ってくる可能性がある。
その前に決着をつけなくては。俺とアインはすぐさま二階へ続く階段に向かって走り出していた。
上にいた連中も異変に気付いたらしい。強面達が、続々と姿を現してくる。
銃を抜かれる前に何人か殺したが、やはり数が多過ぎる。一瞬にして室内に、マシンガンの銃声が鳴り響く。弾丸の嵐をかいくぐりながら射撃手達を撃ち殺していく。あまりに数が多過ぎるところには爆弾を投げ込んだ。
一歩間違えれば命を落とすギリギリの戦いが続く。
その時だった。
(後ろ?)
 背後にほんのわずかだが殺気を感じ、思わず横に飛びのく。
振り返り、銃を構えた時、すでに射撃手はアインに撃ち殺されていた。
これだけ激しい戦いのなかで、パートナーに向けられた殺気にすら気付けるとは……。
さすがは初代ファントムというべきか。


 ツヴァイを狙っていたスナイパーを撃ち殺した私は、すぐさま弾倉を入れ替え、銃撃戦を再開した。
瞬きする間もないほどの激しい戦いのなか、私は上にいたある男の妙な動きに気がついた。
(あれは……爆弾? しまった。こっちに投げようとしている。今からでは止められない。逃げるしか)
 そう思った瞬間、男の腕を一発の銃弾が撃ち抜いた。
握力を失った男の手から滑り落ちた爆弾は、持ち主の足下に落下して爆発した。
撃ったのはツヴァイ。これだけの銃弾が飛び交うなかで、私より先にあの男に気付き対処した。
これが……二代目ファントム……。


 永遠に続くかと思われた銃撃戦も終わり、なんとか目に見える範囲の敵は一掃することが出来た。
上層階へと続く階段をのぼりながら、アインは先程のツヴァイの戦いぶりを思い出していた。
ツヴァイ……かつて彼女が彼をその名で呼んでいた時、彼はまだまだ半人前だった。
驚くべきスピードで成長していたとはいえ、実戦経験が少ないこともあり、身のこなし、銃の扱い、判断力、全てが未熟で頼りなかった。
(それが今では、私と肩を並べるほどに……)
 今の彼は彼女が知る彼ではない。出会った当初の青臭さも、逃亡生活中の甘さもない。
初めて見る自分の後継者、二代目ファントムの実力。
彼の成長を見守り続けてきたアインには、自然と胸がつまるものがあった。
「成長したわね……ツヴァイ。本当に強くなった。私が知らない間に……本当に……強く」
 それが、彼女の偽らざる気持ちだった。
「ありがとう。アイン。君もさすがだ。やはり初代ファントムの名は伊達ではない。こんなに心強いパートナーは、君をおいて他にいない」
 何年ぶりになるだろうか、こうしてアインとツヴァイとして話すのは。
まるで久しぶりに再開した師匠と弟子のように、二人は語り合った。
かつては師弟関係だった二人。それが今では、対等のパートナーとなっている。
ファントムでいた頃、二人はずっと孤独だった。
一人で戦い抜ける力を持ちながらも、心のどこかで同等の力を持つ存在を求めていた。
心から信頼して、背中を預けられるパートナーを。
今ようやく、それを見つけることが出来た……。
「不思議な気持ち……あなたと二人なら、たとえどんな敵が相手でも勝てる気がする」
「当然さ。俺と君が組んで、勝てない相手なんていない。俺達は……無敵のファントムなんだから」
 互いに実力を確かめあった二人の表情は、自信に満ち溢れていた。
もはや、恐れるものなど何もない。
最強と謳われた二人のファントムが、手を組んだのだから。
「行こう、アイン」
「ええ……ツヴァイ」
0031「約束」 ◆OIRRkd1FPU 2009/09/30(水) 18:46:43ID:6Yuj+hY1


 警戒を強めながら、上層階へと上がっていくアインとツヴァイ。
そこに物陰から突然強烈な蹴りが襲いかかってきた。敵は二人。
身を伏せ、間一髪男の蹴りをかわすツヴァイ。
続けざまに飛んできた下段蹴りをバク転でかわし、すぐさま拳銃を撃ち鳴らす。
だが敵もそれを回避し、すぐさま壁の裏に避難する。どうやらただの雑魚ではないらしい。
自然と緊張が高まる。

 一方のアイン。
強烈な日本刀の抜刀をスウェイバックでかわし、相手の顔面に蹴りを放つ。
だがそれはかわされ、今度は振り上げられた刀が、一気にアインに向かって振り下ろされる。
それを横っ飛びで回避して左手一本で着地するアイン。その隙を逃さず一気に襲いかかろうとする男。
だがアインも右手でコンバットナイフを男に向かって投げ付け、一瞬の時間を稼ぐ。
男がナイフを日本刀ではじきとばしている間にアインは拳銃を抜き、体勢を立て直した。
これまでの相手とは明らかに違う敵の動きに、アインの集中力も一層の高まりを見せる。

 その頃ツヴァイは壁の裏に隠れた敵をあぶり出すため、爆弾を使うことを考えていた。
だがツヴァイが爆弾を手にした瞬間、男が突然顔を出し、コンバットナイフを投げ付けてきた。
体をひねってそれをかわし、爆弾を投げ付けるツヴァイ。
だが男はそれを回避しただけでなく、すさまじいスピードで間合いを詰めて来た。
ツヴァイはとっさに銃で応戦しようとするが、男に二本目のナイフを振り抜かれ、銃をはじかれてしまう。
(まずい)
 男が再びナイフで斬りかかってくるところを、とっさにコンバットナイフを取り出しガードするツヴァイ。
男は、右足で強烈な蹴りを放った。
ツヴァイが身を伏せてそれをかわしたところで左手のナイフを力強く押しつけツヴァイの体勢を崩す。
チャンスとばかりに再び右足で蹴りを放つ男。
だがこれはツヴァイの罠だった。この攻撃を誘うためにわざと体勢を崩していたのである。
男の蹴りをかわさずにコンバットナイフを盾にして待ち受けるツヴァイ。
強烈なキック力が裏目となり、右足から血を吹き出す男。
ツヴァイはさらに追い討ちとばかりに男の心臓めがけてナイフを振り下ろす。
しかし男も左足一本で後ろに飛び退きそれを回避する。

 その頃のアイン。
敵は刀でこちらは拳銃。出来れば間合いを取りたいところだが、敵もさる者。
すぐさま間合いを詰めてくる。敵の心臓を狙い、拳銃を撃つアイン。
だが銃口の向きから弾道を読んでいるのか、男はそれを巧みにかわし、一気に間合いに入り込んでくる。
高速の横なぎの斬撃がアインを襲う。アインはあえてそれをよけずに、銃身を盾にして斬撃を止めた。
まるでよけきれないと判断したため、仕方なくそうしたような、そんな止め方であった。
それを見て男は、アインはこの瞬間に反撃は出来ないと判断した。
しかしこれこそがアインの狙いであった。
ふさがっていない左手で二本目のコンバットナイフを取り出し、男の心臓めがけて投げ付けるアイン。
予想外の攻撃に驚く男。
左に飛んでかわそうとするが、間合いを詰め過ぎていたため回避しきれず、右胸にナイフが突き刺さる。
男が一瞬苦悶の表情を浮かべたのを見逃さず、すぐさま再び心臓に向けて拳銃を撃つアイン。
だがアインが再び心臓を狙うと読んでいたのか、男は刀身を盾にして弾丸を防ぐという神技を見せる。
しかしアインも男の刀を持つ手が衝撃で痺れているのを確認し、強烈な蹴りを胸部へと放つ。
男は左腕でガードしたものの、衝撃は防ぎきれず、後方に蹴り飛ばされ胸部にもダメージを受けた。



0032「約束」 ◆OIRRkd1FPU 2009/09/30(水) 18:48:02ID:6Yuj+hY1
 アインとツヴァイが激闘を続けるさなか、レイモンド=マグワイアは焦っていた。
インフェルノ本部が襲撃されることなど、前代未聞のことである。
先程まで激しい銃撃戦の音がしていたが、その音も今では止んでいる。
一体状況はどうなっているのか。
「マグワイア様!」
「どうした? 襲撃者は仕留められたのか?」
「いえ、それが……最初に迎え撃った者達は……全滅です」
「馬鹿な!? あれだけの人数が全滅? 敵はそれほどの大人数なのか?」
「いえ、今のところ確認されているのは二人だけです」
「二人!? 馬鹿な!!」
「監視カメラに映像が残っています。確認なさいますか?」
「ああ……そうさせてもらう」
 モニタールームに行き、監視ビデオの映像を確認するマグワイア。
そこに映っていた映像を見た時、彼は一気に自分の血の気が引いていくのが分かった。
「ファ……ファントム…………」 
 そう。そこに映っていたのは忘れもしない、かつての組織のトップスナイパー、ファントムであった。
それも一人ではなく二人である。
たった一人でも裏社会を恐怖に陥れたファントムが、二人で協力して襲ってくるとなればどれほどの脅威になるか分からない。
ファントム二人が組んだ時の実力は、インフェルノですら分かっていないのだ。
「と、とにかく兵力を総動員して迎撃に当たれ! 何としても仕留めるんだ!」
「はっ!!」
 そう指示すると、マグワイアは恐怖におののきながら最上階の自室へ戻っていった。
あのファントムに狙われる……。
かつて彼が殺してきた裏社会のライバル達が感じていた恐怖を、今彼自身が味わっていた。


 その頃、アインとツヴァイは考えていた。
ここまでの戦いぶりからみて、敵はかなりの実力者である。
勝てない相手ではないが、このまま戦いが長引き、敵側に増援が来た場合不利な状況になるのは否めない。どうするべきか……。
先に決断したのはアインだった。
手に持っていた拳銃で天井を撃ち抜く。
一見意味不明な行動だが、これはツヴァイに対する合図である。
ツヴァイとアイコンタクトを取った後、アインは3本目のナイフで男に斬りかかっていった。
もう一人の男に対する警戒を怠らず、アインの動きをうかがうツヴァイ。手には2丁目の拳銃が握られている。
アインのナイフと男の刀がぶつかりあい、一瞬二人の動きが止まる。
実はここまでのアインの動きは巧みに計算されたものだった。
今この瞬間、男とアインとツヴァイは一直線に並んでいる。後ろ手でツヴァイに合図を送るアイン。
合図を確認したツヴァイは、背後からアインに向けて拳銃を撃つ。その瞬間、横に飛び退くアイン。
アインが横に飛んだ瞬間突然やってきた弾丸に反応し切れず、男は絶命した。
これで2対1、少しは楽になるかと思った矢先、後方から武器を持った者達が迫ってきた。
もう猶予はない。
ツヴァイは手に持っていた拳銃で床を撃ち抜いた。アインに対する合図である。
合図を確認したアインはツヴァイとアイコンタクトを取ると、両腕で自らの視界をふさいだ。
その瞬間、ツヴァイの手から強烈な閃光が放たれる。
突然の強烈な光に視界を奪われた男の額を、アインは即座に拳銃で撃ち抜いていた。
そしてその時にはすでに、ツヴァイが後方に投げ付けた爆弾が後方から迫っていた敵の増援を一掃していた。
「これでこの階は終了かな」
「そうね……。急ぎましょう。最上階はもうすぐよ」
 迅速に動きつつも、時には互いに背中を合わせ、死角をカバーしあいながら進む。連係は完璧だった。
敵を攻撃する際の一瞬の隙も、二人は互いにフォローしあえる。
どちらか一方が守るのではなく、互いに守りあうことが出来る二人。
戦場でのパートナーとしては、この上ない組み合わせだった。
襲ってくる敵を殺し、武器を奪ってまた殺す。一体どれだけ繰り返しただろうか。
気付いた時、二人はついに最上階に到達していた。

0033「約束」 ◆OIRRkd1FPU 2009/09/30(水) 18:49:39ID:6Yuj+hY1


 その頃、最上階ではいよいよ追い詰められたマグワイアが声を張り上げていた。
「どうした? まだ襲撃者は仕留められんのか?」
「はっ……。申し訳ありません」
(これがファントムの実力なのか……? ファントムに狙われるということは、これほど恐ろしいことなのか……?)
 そう思った矢先、廊下から銃声と男達の悲鳴が聞こえてきた。
「来たのか? 奴等が……」
「おそらく……。マグワイア様はここでお待ちを。我々が様子を見てきます」
 部下の護衛達が部屋を出ていくのを確認すると、自らも護身用の銃を手にし、身を隠せる場所を探す。
ちょうど良い場所が見つかったと思ったその瞬間。
一発の銃声と共にマグワイアの持っていた銃がはじかれる。
撃ったのはアイン。
すでに二人は護衛を片付け、マグワイアの自室に入って来ていたのだ。
「ここまでだ……レイモンド=マグワイア」
 ツヴァイはそう言うとマグワイアに対して銃をつきつけた。
「貴様ら……ファントム……」
「そう……ファントムだ。何者も逃さない、最強の暗殺者。たとえインフェルノでも、それは例外ではない」
 かつてインフェルノのスナイパーとして、その繁栄に貢献した初代と二代目のファントム。
元インフェルノお抱えの最強の暗殺者は、今度は最強の敵として、再びインフェルノに戻って来た。
「貴様ら……組織に置いてもらった恩を忘れて、組織を潰す気か?」
「恩? 勘違いしないで。私も彼も、あなた達に対する感情は、憎悪しかない」
 冷たくそう言い放ったのはアイン。
口調は静かで落ち着いていたが、その言葉には並々ならぬ感情がこもっていた。
アインもまた、マグワイアに銃を突き付ける。この男には、祈りの言葉さえ必要ない。
しばしの静寂の後、二人のファントムはゆっくりと引き金を引いた。
一発の銃声が鳴る。
その体に二発の弾丸を同時に受け、レイモンド=マグワイアは絶命した。
犯罪組織インフェルノが、その歴史に幕を閉じた瞬間だった。


「終わったわね……」
「ああ……」
 だが余韻に浸っている暇はなかった。まだ事後処理が残っている。
急いで全ての作業を完了し、本部を後にする。二人が建物を出た数秒後……。
巨大な爆発音と共にインフェルノの本部が炎に包まれていく。
インフェルノは崩壊した。
ファントムという亡霊によって発展し、栄華を極めた犯罪組織は、くしくもその亡霊の手によって歴史に幕を閉じたのだった。
「これで本当に終わった……。改めて礼を言うよ、アイン。君は本当に、俺の最高のパートナーだ」
「ありがとう、ツヴァイ。あなたも……私にとっては最高のパートナーよ。あなたと戦えて、本当に良かった」
 たった一日だったが、力を合わせて戦った二人のファントム。
きっとこれが、最初で最後の共闘になるだろう。明日からはもう、二人はファントムではなくなる。
再び元の、エレンと玲二に戻るのだ。
最強の暗殺者としての実力は、もはや必要ない。二人で逃げ延びられるだけの、力があれば良い。
「お疲れ……アイン」
「お疲れ……ツヴァイ」
 互いに労をねぎらい合う。そして、今まで共に生きてきた、もう一人の自分に別れを告げる。
ファントムとして生きる、最後の日が終わる……。
0034「約束」 ◆OIRRkd1FPU 2009/09/30(水) 18:50:54ID:6Yuj+hY1
 インフェルノは崩壊した。組織の残党達は、それぞれ新しい生き方を探しているらしい。
他の組織に合流する者、これを機に足を洗う者、さまざまだ。
俺達はというと、再びモンゴルに戻った。一度はインフェルノに邪魔されたが、今度こそエレンの故郷でゆっくり過ごしたかったからだ。
もうインフェルノの追っ手はいない。
なかには俺達に報復しようと考える奴もいるだろうが、組織の後ろ盾なしでは居場所を突き止めることさえ難しい。警戒は常に怠れないが、以前に比べればはるかに状況が楽になっているのも確かだ。
しばらくモンゴルで過ごした後、今度は再び日本に戻ってきた。
何も変わっていない。いつだってここは平和だ。
俺達は篠倉学園の礼拝堂に向かった。
以前のように、祈りを捧げるエレン。
そういえば、かつてここでエレンに問われたことがあったな……。
「人を殺してまで得られる自由とは何なのか」
俺達は、その答えを見つけられたのだろうか。
「ねえ玲二、覚えてる? 以前私がここで、人を殺してまで得られる自由は何か、って聞いたこと」
 エレン……君も同じことを……。
「ああ……覚えてるよ」
「私ね……。あの時からずっと考えてた。私達にも掴める自由って何なんだろうって。
でもね……結局分からなかったの。
どうして? やっぱり……それが、私達の運命なの? 
結局私達は、自由も幸せも掴めないの? 教えて……玲二」
「……俺も……答えは見つからなかった。
どれだけ逃げたところで、人殺しとしての業は、容易に俺達を解き放ってはくれない。
俺達が探していた自由なんて、結局まやかしだったかもしれない。
けど……だからといって、幸せになれないってことじゃない。
たとえ完全な自由は望めなくても、俺達なりの幸せの形があるはずなんだ」
「それは……何? 人を殺してまで得られる幸せって、一体何? 
私……それがずっと分からない……」
エレン……君は、ずっとそうやって思い悩んできたのか……。自らに掴める幸せを探し、見つけられずに絶望し、苦しみ続けていたのか……。
確かに……そう簡単に見つけられるものじゃないかもしれない。
けど俺達は、そんなに多くを望んでいるわけじゃない。
たとえちっぽけでも、俺達なりの幸せの形はあるはずなんだ。
君と二人でなら、それを見つけられるはずなんだ。


0035「約束」 ◆OIRRkd1FPU 2009/09/30(水) 18:52:08ID:6Yuj+hY1
 俺は決断した。
悲しみに暮れるエレンを胸に抱き締め、秘めていた想いを言葉に乗せた。
「結婚しよう。エレン」
「えっ? 今、何て言ったの?」
「結婚するんだ。俺と君で。君が自分の幸せを見つけられないというなら、俺が君を幸せにする。
君にとっての幸せの形を、俺が必ず見つけ出す」
「玲二……」
「祈ってくれ……エレン。立会人も、祝福する者もいない、二人だけの式だけど、ここで誓いを立てるんだ。
死が二人を分かつまで、二人は傍にいると」
その言葉を聞き、エレンはゆっくりと言葉を紡いでいった。
「……汝、病める時も健やかなる時も……この者を妻とし、生涯愛し続けることを誓いますか……」
「誓います」
「誓います……私も……」
 潤んだエレンの瞳から、ついに涙が溢れ出た。
「私は……あなたのものよ。私をエレンと呼んでくれるあなただけの……」
「エレン……愛してる……」
「私もよ……玲二……」
 互いに愛を確かめ合った……その時だった。
エレンが……笑ったのは……。
今までずっと俺が欲しかった、最高の笑顔で、笑ってくれたのは。
思わず涙がこぼれる。ようやく……ようやく俺は、一つ約束を守れた……。
間違いだらけで、どの約束も守れなかった俺の人生のなかで……ようやく一つ……。
「玲二?」
「やっと……笑ってくれた……」
「……そうね……。私、今まで生きてきて、今が一番幸せ……」
「俺もだよ、エレン」
 普通の人間から見れば、ちっぽけな幸せかもしれない。
けど俺にとっては、この笑顔はどんなものにも勝る価値がある。
たとえこの先、どれほどの苦難が待ち受けていたとしても、この笑顔を誇りに、俺は幸せに生きていくことが出来るだろう。


 そして……俺とエレンは口付けを交わした。互いに体を抱き締めあい、愛する者と唇を重ねる。
ようやく訪れた至福のなか、俺は固く心に誓った。
必ず約束は守ると。
今日ここで、俺には新しい約束が出来た。
生涯をかけて守るべき、かけがえのない約束……エレンを……幸せにするという、約束が……。


END
0039名無しさん@ピンキー2009/10/01(木) 21:33:31ID:ZiZIce4Q
GJ!
結婚式アニメでも見たかった
また玲二×エレンをお願いします
0045名無しさん@ピンキー2009/10/19(月) 13:48:13ID:OM+ysSzG
キャルもよろ
0058名無しさん@ピンキー2010/02/21(日) 23:45:15ID:vgSvva2F
後ろから3番目って凄いな
あげ
0059名無しさん@ピンキー2010/02/22(月) 02:07:39ID:UPzuT4WQ
スレあったんだね

俺がよく妄想してるのはキャルエンドとエレンエンドで日本脱出してからのセックス。
組織から追われてはいるがセックスする時間はあると思うんだ。
なんせ関係が関係だからエロエロセックスしてると思うんだよね。

あと小説エンドでキャルが玲ニとエレンに同行して3Pとかもよく妄想している。
0060名無しさん@ピンキー2010/02/22(月) 02:19:23ID:THoI0m67
>>59
早く脱稿しなさい
0063玲ニ×キャル2010/02/26(金) 00:08:01ID:2wbB3OQG
書いたお。疲れたお。

・原作プレイしてない人には「?」だお
・キャルルートにつきエレンの話は一切カットだお(葛藤とか入れると面倒くさいから)
・プレイ内容は完全に漏れの嗜好だお
・アナル舐め、口内射精ありだお
・その他適当な部分があるのは気にするなだお

それじゃあ投下するお( ´・ω・`)
0064玲ニ×キャル12010/02/26(金) 00:15:13ID:2wbB3OQG
あの日から少し経ち、玲ニとキャルは日本を脱出して、アメリカのとある町にいた。
宿泊先を探しながら玲ニが車を運転していると、キャルが指をさした。
「あそこにしようよ」
玲ニが目をやるとちょうど良さそうなモーテルがあった。
「ああ」
玲ニは短く返事をして車をパーキングへ入れた。
そしてニ人は車を出てホテルの中へ入った。
「選んでいいぞ」
「ん〜じゃあ‥あれ!‥あっ!やっぱあれ!」
キャルが選んだ部屋を見ると、少し遠い記憶だが、どこかキャルと過ごしていたアパートの部屋に似ていた。
少しばかり見入っていると、キャルが腕を引いた。
「早く行こ!」
そしてキャルに腕を引っ張られて、少しよろけながら部屋へと向かった。


―ガチャッ
ドアを開けて中へ入ると、キャルが部屋を見渡して口を開いた。
「きれいな部屋だね」
「まあホテルだからな」
そんな会話をしながら玲ニは荷物を置いて、ベッドへ腰掛けた。
キャルは窓の方へ行って外を眺めている。
「玲ニ先にシャワー浴びてきなよ」
キャルは目線をこちらに移してそう言うと、再び窓の外を眺め始めた。
「ああ」
キャルの後ろ姿を見ながら返事をすると玲ニはバスルームへ向かった。


―シャ―‥
シャワーを浴びながら玲ニはぼんやりと考え事をする。
(そういえばあの日以来キャルとしてないな‥‥日本に居た時はいつインフェルノに襲われてもおかしくなかったからな‥‥)
―そう、二人が日本に居たときもホテルには泊まっていたが、警戒心から行為は一度もしていなかったのだ。
(まあ今も完全に安全ではないがいくらか安心は出来るよな。‥‥しかしキャルも長旅で疲れているだろう‥今日は普通に寝るか。)
脳内議論に一つの結論を出してパンツ一丁でバスルームを出る。
部屋へ戻ると、キャルもシャワーを浴びる準備をしていた。
「いいぞ」
「うん。浴びてくるね。」
浴び終えた旨を伝えると、キャルはシャワーを浴びに行った。


ベッドに腰掛けながら部屋を見渡す。
やはりに似ている。あの燃えてしまったアパートに。
(ああ‥なんであの時キャルの安否を確認しなかったんだろう‥‥きちんと確認していれば彼女とすれ違うことなどなかったのに‥)
自分の浅はかさを悔い、思わず唇を噛みしめる。
(でも‥今こうしてキャルとニ人で居られるんだ‥‥それだけで幸せだ‥)
安堵してため息をついているとバスルームのドアが開く音がした。
―ガチャッ
0065玲ニ×キャル22010/02/26(金) 00:30:47ID:2wbB3OQG
ふと見るとキャルが立っている。‥バスタオル一枚で。
「あのさぁ‥玲ニ‥」
キャルはそう言うと目線をこちらから外してそわそわし出した。
「その‥‥ずっとしてないよね‥あの時から‥」
キャルは顔色を窺うようにこちらを一瞥するとまたすぐに目線を外した。
「玲ニも疲れてるのはわかってるけどさ‥‥‥だめ?」
キャルが物欲しそうな目でこちらを見る。
(キャルも同じ事を考えてたんだな‥‥それはそうと俺に願い事する時の挙動はあの時と変わらないな‥)
中身の変わらない彼女を見て安心したのか笑みがこぼれる。
「な‥なに?」
キャルが少し不安そうな顔をする。
玲ニはその顔を見てまた笑みをつくると言った。
「‥‥しよう‥キャル‥」
そして両手を広げて受け入れ態勢を作る。
それを見るなり、キャルは忽ち表情を晴れやかにして勢いよく玲ニの胸に飛び込んだ。
―ドサッ
キャルが玲ニを押し倒すと体を覆っていたバスタオルがはだけ、豊満な胸が露わになった。
玲ニは改めて間近でそれを見て思わず息を飲んだ。
「‥大きくなったでしょ?」
キャルが得意気に尋ねる。
「確かに、すごいな。」
玲ニがそう言とキャルは恥ずかしそうに照れ笑いをした。
そして玲ニが少しばかりに魅入っているとキャルが玲ニの手を掴んだ。
「触ってよ‥」
キャルはそう言うと玲ニの手を自分の胸に持って行った。
そして玲ニの手がキャルの胸に触れる。
―ムニュッ
「んっ」
久し振りの体の触れ合いにキャルが声を漏らす。
(柔らかい、あの頃にはなかった感触‥なにか彼女の思いに触れているようだ‥)
玲ニは感慨に耽りながらキャルの胸を蹂躙する。
「あっ‥‥ん‥」
キャルの顔がだんだんと紅潮してくる。
玲ニは充分に感触を楽しむと、体を捻ってキャルの上になった。
そしてお互いに見つ合い、唇を重ねた。
―ネチャッ‥チュパッ‥
端から聴けばあまり上品ではない音であろうが、2人にとっては最高の安らぎの音色が部屋に響く。
玲ニはキャルの歯茎をなぞり、舌を吸い、唾液の往来を存分に楽しむと、唇を離し、項に吸い付いた。
「うん‥そこ‥‥いい‥」
キャルの反応を確かめ、さらにねっとりと舐めあげる。
項から首筋、鎖骨を伝って、乳房、乳輪、そして乳房の頂上へと舌を這わせる。
「あっ‥」
キャルが少し大きな声を上げる。
そして玲ニはさらにそこに吸い付いた。
「んふ‥‥あ‥んっ‥」
口の中で突起がどんどん硬くなっていく。
0066玲ニ×キャル32010/02/26(金) 00:41:50ID:2wbB3OQG
玲ニは舌で突起を舐めあげながら、もう片方の突起を指で転がした。
「ん‥玲ニ‥‥」
キャルが瞳を潤ませる。
そして玲ニはキャルの瞳を確認すると、右手をキャルの内太腿へと伸ばした。
「っ!」
驚いたのか、キャルが体をビクンとしならせた。
そのまま指先でそっと撫でると、撫でる度にキャルの体がしなった。
「じ‥じらさないでよ‥」
キャルが泣きそうな声で懇願する。
玲ニはその様子を見て少し意地の悪そうに微笑むと、内太腿からキャルの秘部へと指を滑らせた。
「んあっ」
キャルが今までで一番大きな声を上げる。
玲ニはさらに秘部の突起を撫であげる。
「はぁ‥玲ニ‥」
突起から液が溢れ出す。
玲ニはその液を指でとって舐めると指で撫でるのを辞め、キャルの両足の間に座った。
そして玲ニがキャルの足をM字に広げると、キャルは恥ずかしそうに顔を背けた。
その様子を見ると玲ニは満足そうに微笑んで、キャルの秘部に舌を這わせた。
「っ〜!」
キャルが思わず声を殺す。
さらに玲ニの舌がねっとりと割れ目を這いずる。
「あっ‥あ〜っ‥んっ!」
キャルが玲ニの頭に手を置いて悶える。
「んぁっ!‥‥‥はぁ‥」
キャルは絶頂を迎えると暫しの間快感に浸り、そして笑みをこぼすと、起き上がって玲ニを押し倒した。
「今度は私が気持ちよくしてあげるね」
キャルはそう言って玲ニのパンツを剥ぎ取ると、いきなり袋の裏を舐め始めた。
「うっ!キャ‥キャル、いきなりすぎないか?」
玲ニが少し戸惑いながらキャルに問う。
「だって舐めたいだもん」
キャルは口を尖らせてそう言うと、吸ったり舐めりを繰り返す。
「うくっ‥‥」
玲ニも久し振りの快感に声を漏らす。
そしてキャルの舌はスジを上昇して溝の部分へとまとわりつく。
「うっ‥」
的確な舌使いに玲ニのモノはどんどん硬くなる。
そしてある程度の硬さになるとキャルは上からすっぽりとモノをくわえ、口でしごき始めた。
―ジュルッ‥ジュポッ‥ジュルル‥
「ああ‥‥気持ちいいよ‥キャル‥」
玲ニがそう言うとキャルは上目遣いで微笑み返した。
そして玲ニの我慢の分泌液を飲み干すと、モノから口を離した。
「玲ニ、もっとイイコトしてあげるから四つん這いになって」
「四つん這い?何をするんだ?」
「いいからいいから」
キャルはそう言うと玲ニを強引に裏返し、腰を持ち上げ、尻を突き出す体勢にした。
0067玲ニ×キャル42010/02/26(金) 00:52:34ID:2wbB3OQG
「お‥おい!キャ‥」
玲ニが何かを言い掛けたが、それより先にキャルが玲ニの菊を指で撫でた。
「っ!」
玲ニが思わず息を飲む。
「すごい敏感だね」
キャルはそう言うと玲ニの尻肉を両手で広げ、剥き出しになった菊に舌を這わせた。
―ネチャッ‥ニチャッ
「うぁっ‥はぁ‥あは‥」
玲ニが元一流殺し屋とは思えない情けない声を漏らす。
それを聞いてキャルは満足げに笑みを浮かべ、更に舌をねじ込み前後に動かす。
「うあぁっ‥‥キャル‥」
玲ニがどうしようもない快感に悶絶する。
そしてキャルは舌を動かしながら右手で玲ニのモノにそっと触れた。
「さっきよりすごく硬くなってるよ‥‥」
そう言うとキャルは舌を離し、玲ニの体を反転させ仰向けの状態にした。
「乗るよ‥」
そう言ってキャルが玲ニを跨ぐと玲ニはキャルの腰に両手を当てて促した。
―ネチャッ
淫らな音をたてて二人が一つになる。
そしてキャルが前後に腰を振りながら締め付ける―ズチュッニチャッ
「はぁ‥‥玲ニ‥」
幸せの表情を浮かべながらキャルが玲ニの胸になだれ込む。
玲ニも上下に腰を振りキャルを攻める。
―ズチャッズチャッ
そしてお互いに唇を重ねると、一つになったまま体を反転させた。
「はぁ‥‥キャル‥」
玲ニがキャルの胸に埋もれながら腰を振る。
「気持ちいいよ‥玲ニ‥」
キャルは玲ニの頭を抱きしめながら快感に喘いでいたが、玲ニの体を止めて口を開いた。
「ねえ‥‥後ろからもして‥」
キャルはそう言うと四つん這いになり尻を突き出した。
玲ニはキャルの尻肉を鷲掴みにして左右に広げ、モノを挿入し、腰を振る。
―ズチャッズチャッ
「あぁ‥んっ‥‥気持ちいい‥」
キャルが豊満な胸を揺らしながら喘ぐ。
(キャル‥綺麗だ‥)
玲ニはキャルの尻を揉みしだきながら思いのままに突く。
―ギシッ‥ギシッ‥
ベッドの軋む音がどんどん激しくなっていく。
「キャル‥そろそろ‥」
玲ニが一層息を荒げる。
「玲ニ‥‥口に出して‥」
キャルが少し低い声でぼそりと呟いた。
「‥‥いいのか?」
「うん‥玲ニの‥‥飲みたい‥」
「‥‥わかった」
玲ニはそう言うと再びキャルを仰向けにして、より激しく腰を振る。
0068玲ニ×キャル52010/02/26(金) 01:03:23ID:2wbB3OQG
―ズチャズチャッ
「ん〜あぁっ!‥‥‥ん‥」
キャルが一足先に絶頂へ達した。
「うくっ!!」
玲ニは絶頂の手前まで来ると、モノを抜き、キャルの口内へと押し込んだ。
「んむっ」
キャルが膨張しきったモノをくわえ込む。
「うっ‥」
玲ニが声をあげると同時に白濁液がキャルの口内に放出される。
「んふ‥‥む‥」
キャルは放出された液を頬に溜めながらモノに舌を這わせる。
「う‥はぁ‥」
玲ニのモノがビクンと波を打ち、残りの液が放出される。
そしてキャルは液を搾り終え、モノから口を離すと恍惚の表情を浮かべながら、液で満たされた口内を玲ニに見せた。
玲ニがそれを見てキャルの頭を撫でると、キャルは液を飲み干した。
―ゴクンッ
喉を通る音が玲ニの耳に届く。
「ん‥あんまり美味しくないね」
キャルが満面の笑みで感想を述べる。
「そうだろうな」
玲ニもそれに答えて笑みを返す。
「玲ニ‥私達‥今幸せだよね?」
キャルがしんみりと言うと玲ニがニヤリと笑って答えた。
「今だけじゃない‥これからもずっとだろ?」
玲ニがそう言うとキャルもニヤリと笑った。



風呂に入った後、お互いに抱き合い眠りにつく。
そして翡翠色の瞳が瞼に隠れると、玲ニはいつかと変わらぬその寝顔にそっとキスをした。
0069名無しさん@ピンキー2010/02/26(金) 01:08:51ID:2wbB3OQG
投下終了だお(´・ω・`)
キャルは素直だからラブラブ和みセックスになったお
0074名無しさん@ピンキー2010/03/07(日) 18:32:12ID:ngCpA/UK
GJうれしいお(^O^)
今見帰したら擬音はもう少しマシな表現になんなかったのかって思うお(´・ω・`)

エレンはキャルと違ってムッツリだから中々難しそうなんだお
でもちょっと書いてみるんだお(^ω^)
0075名無しさん@ピンキー2010/03/08(月) 00:04:07ID:P9H1ME5p
phantom of inferno xbox360 追加シナリオ END計画は無いんでしょうか??

END.11 終わりなき悪夢(帰国END)後 玲二X美緒 追加シナリオ END
END.6 逃亡者たち 2年後 キャル VS アイン 追加シナリオ END
0077名無しさん@ピンキー2010/04/04(日) 16:07:29ID:TodaVUN9
ホシュッシュ
0078名無しさん@ピンキー2010/04/04(日) 16:19:08ID:juT94tjM
みゆきちの声で喘ぐキャル……イイネ!
0081名無しさん@そうだ選挙に行こう2010/07/10(土) 17:50:51ID:cnsIMa+t
保守あげ
0083名無しさん@ピンキー2010/11/22(月) 01:47:31ID:+gf3cHUw
保守
0085名無しさん@ピンキー2011/02/27(日) 07:56:45.56ID:3kFknXfn
今度いつか出るゲームはキャルのルートが楽しみ
早く発売してくれー
0086名無しさん@ピンキー2011/04/04(月) 13:10:58.46ID:MPhyujGF
まだあったとは
0087名無しさん@ピンキー2011/04/16(土) 04:01:29.93ID:MxKrBU//
キャルage!
0089名無しさん@ピンキー2011/10/01(土) 14:37:01.66ID:7LcT2dEo
キャル愛してる
0091名無しさん@ピンキー2012/01/07(土) 01:37:50.22ID:DUglb5FM
キャル保守
0093名無しさん@ピンキー2012/02/07(火) 19:17:12.55ID:M3txeMXq
大人キャル保守
0096名無しさん@ピンキー2012/02/17(金) 15:59:41.54ID:1SJS5S9a
ワイズメル保守
0098名無しさん@ピンキー2012/05/23(水) 22:15:31.72ID:x9JDxIwu
低脳声優アンチキモ過ぎ
0101名無しさん@ピンキー2012/10/30(火) 22:00:31.43ID:M6Cxf651
数字姉妹こそ至高
0108名無しさん@ピンキー2014/06/13(金) 02:31:29.65ID:zeiH1+XS
ちょっと悲しい話だが漫画版を下地にしたので考えた物はある

キャルが玲二庇ったときに「生きて」と言い残して息を引き取る
ツァーレンシュベスタインのメンバーで物陰に隠れて「どうしたらいいのですか!?」と取り乱していた漫画版では黒髪で前髪ぱっつんなポニテといった風貌のゼクスと玲二が対峙
漫画版ではなんか情けない感じだったゼクスは玲二を前にして戦意喪失
ゼクスのみ意識を刈り取るに留めて命だけは見逃す

エレンはその間にサイス・マスターと相打ち、玲二が駆け付けたときには瀕死の状態でやっぱり「生きて」と伝えて息を引き取る

一人残った玲二は二人が残した遺言「生きて」を護る為に気を失っているゼクスを抱き上げて戦場を去る
組織から逃れながら空虚を紛らわせるためにゼクスを抱く
ゼクスも負けた以上組織に戻れないと玲二に付いていくしかない&逆らったら殺されるかも知れないと大人しく抱かれる
そこから始まる二人の日々みたいなの
0109名無しさん@ピンキー2014/06/14(土) 02:42:16.91ID:64HlTofm
Phantomの世界観にも合ってるし普通に読んでみたいな
0111玲二とゼクス12015/07/14(火) 21:13:35.25ID:fgu46GhM
漫画版設定
吾妻玲二×ゼクス


玲二とゼクス


“玲二のこと憎めないよ――”

二年ぶりとなる再開を果たしたキャルは……彼女は涙を流しながらそういっていた。

“私の事… 重かった?”

聞きたいことがあるという彼女の言葉。

自分がマフィアの金を持ち逃げしたから、あなたへと迷惑を掛けたから、あなたは私を置き去りにしていったのではないか?

向けられる疑念の言葉に断じて違うと伝えたかった。
あの日、俺は全力でキャルの待つアパートに向かっていたと。
お前を連れてどこまでも逃げてやると決意していたのだと。

しかし…。
それは、最早永劫に伝えることのできなくなってしまった後悔の言葉。


“レイジ…生きて……”


サイス・マスターによって呼び出された篠倉学園。そこで行われた奴の配下ツァーレンシュヴェスタンとの戦い。
自身やエレンと同じ様にサイスの手によって洗脳され、自分を失ってしまったこのファントム達との戦闘で、俺を庇ったキャルはその言葉を。
その言葉だけを残して――。

死んだ。

だが、皮肉なことに、キャルが遺したその言葉こそが、サイスの追催眠により銃の引き金を引けなくなっていた俺を蘇らせる。
ただ守られるばかりで彼女達の命を盾にして逃げ続けていた俺を、ファントムとしての非情なる俺へと――。


「知ってるんだぜ? アンタはマスターの追催眠ですっかり腑抜けにな――」
0112玲二とゼクス12015/07/14(火) 21:14:20.27ID:fgu46GhM
パァァンッ―――!

乾いた音が鳴り響く。
顔を近づけてきたノインという女が血しぶきを上げて倒れる。
今、再びファントムとなった俺の手により、その美しい顔に銃弾の穴を穿たれて。

「なんで!? こんなの聞いてな…!」

ノインの死に驚愕の声を上げたのは、彼女と共に俺を抹殺するために現れた三つ編みの女フェンフ。

「恨みたければ恨むが良い… これ以上俺自身の不甲斐なさで何かを失う苦しみを背負うくらいなら――」

幾らでも恨め。そしてその恨みを受けるこの俺は幾らでも殺してやる。
覚悟を決め非情な暗殺者へと戻った自分には、最早この冷たい引き金を引くことになんら躊躇いを感じることはないのだから。

“パァンッ!”

驚愕の声を上げつつ暗器であるナイフを構えたフェンフ。その眉間を、ただ何も言わずに撃ち抜き仕留める。

「……」

ぽっかりと空いた額の穴。
銃弾が貫通したことを示す様に後頭部から大量の血液と脳漿を飛び散らせながら彼女はその場に崩れ落ち、死んだ。
相手が女である事。彼女達もまた自分達と同じく洗脳されただけの暗殺者である事。
それを理解していながらも、ノインとフェンフ、襲い来た二人を俺は殺した。
そんな俺は、最早銃を持てない唯の吾妻玲二ではなくなってしまったのだろう。
今の俺は、相手が誰であれ、敵対する者にはすべからく死を与えるだけの、冷徹なる暗殺者。

それでいい。それでいいんだ。
大切な者を喪う悲しみを味わうくらいなら。
守るために、奪う道を、俺は選ぶ。
もう二度と、後悔という名の選択をしないためにも……。
0113玲二とゼクス12015/07/14(火) 21:15:08.91ID:fgu46GhM
「こんなの… こんなの予定と違うッ!!」

直ぐ近くの物陰から殺した二人とは別の女の声が聞こえた。

「私… どう動いたら…ッ!」

混乱し狼狽するその声は、たったいま永遠に喪ってしまった、大切な……いや、大切であった少女の物でも、もう一人の守るべき少女の物でもない。
ならば誰の物なのか? 答えなどただ一つだ。

銃を構え、その物陰の壁を撃つ。

「キャッ!!」

上がった悲鳴は一つ。
隠れているのは一人。

「お姉さま指示してください!! お姉さまが指示しないと私……!」

誰かに助けを求めて叫ぶ物陰に潜む女。

「おねぇさまぁ!!!」

その様子は一種の恐慌状態に陥っている。

「無駄だ」

間合いを詰め銃を構えて飛び出した先では、栗色の長い髪をポニーテールにしている女が目に涙を浮かべながら身体を震わせていた。

「ひッ…!」

女の服装は胸元が大きく開いた菱形ネックのデザインに、腰部まで深くスリットの入った身体のラインがよく表れている扇情的なもの。
同時に暗殺者向きとでも言うべき動きやすさを重視しているのであろう白いドレス。
疑うべくもない。サイス配下のファントム――ツァーレンシュヴェスタンのメンバーだった。

「い…いや…ッ!」

女はサイスの催眠を受けているというのに恐怖を感じている。

「いやぁッ……助けッ……、ころさ…ないで…ッ!」

想定外の事態における死の恐怖までは取り去ることが出来ていないのか、命乞いを始めた彼女は。
壁に背を押し付けたまま首を左右に振り、瞳に恐怖の色を滲ませながらただ涙を浮かべて殺さないでと壊れた人形のように繰り返している。

「……」
「いやッ……、いやぁ……ッ、おねぇさま助けてっ、おねえさまぁぁぁ!!」
0114玲二とゼクス12015/07/14(火) 21:16:13.62ID:fgu46GhM
俺はもう、殺しを躊躇わない。
目の前で命乞いを始めた恐怖に震える女であろうと、この銃の引き金を引きその命を奪うことに何ら良心の呵責など感じない。
何かを奪われるだけの現実が目の前に広がっている以上、この冷たい現実を受け入れ、ただ奪われないように奪う――それだけだ。
たとえ奪おうとしている者が俺やエレンやキャルと同じ境遇の女達であったとしても。
だが……だが俺は――。

「ころさ――」

右手に構えた銃の引き金を引くことはなかった。

引くのではなく、握り締める。
そして握り締めたその拳を振り抜き、女の腹部を強打。

「かはッ――?!」

命を奪うのではなく、ただ意識を刈り取るだけに留めた。
地面に崩れ落ちた女は目を閉じピクリともしなかったが命に別状はないだろう。

「……」

これ以上、失う苦しみを背負うくらいなら、いくらでも殺す。
女であろうと子どもであろうと老人であろうと関係無く、立ち塞がる全ての敵を。
しかし。

戦意を失った相手までを殺す必要は無い……。

立ち塞がり向かってくる者だけを殺せばいい。
人の心や運命。そしてなによりも己の目的の為だけに無為に命を奪い弄ぶサイスのような、下劣な男に成り下がるつもりもまた、ないのだから。
0115玲二とゼクス12015/07/14(火) 21:16:52.24ID:fgu46GhM
***


ノインとフェンフを殺し、戦意を喪失したポニーテールの女ゼクスの意識を刈り取った後、向かった先は銃声響き渡る礼拝堂。
エレンが戦っているであろうその場所へ、もう失うのは嫌だと唯ひたすらに掛け、辿り着いた。

そう、辿り着いたのだ。
しかし、其処に立っている人間は誰一人いない。

時既に遅く、総てはもう――終わっていたのだ。
礼拝堂で俺を迎えたのは、ただ倒れ伏すだけで動かない三つの人影だけであった。
倒れ伏す三つの人影は、皆己が自身の鮮血によってその身を真っ赤に染めている。
一人はシャンデリアに押し潰された状態で額を撃ち抜かれ絶命しているフィーアという名のツァーレンシュヴェスタン司令塔であった女。
憎しみの感情を浮かべながら見開かれたままとなっているその瞳はもう、二度と何かを映すことはない。
二人目は通路に倒れ血の海を作っている男――

「サイス……マスター……」

この戦いの元凶にして、俺達の総てを弄んだこの男も、フィーア同様に額を撃ち抜かれて事切れている。
エレンとキャルを操り。
キャルが死ぬ原因を作り。
幾多の運命と心を己が欲望のままに弄び続けた男の、実に。
実に呆気ない最後だった。

そして――

そして、それを作り出したであろう三人目……。

「エレ、ン、」

エレンは、俺のもう一人の大切な人は、礼拝堂の十字架の前に、一人倒れ伏していた。
篠倉学園の制服を、制服の胸元を、真っ赤に染めながら。
0116玲二とゼクス12015/07/14(火) 21:17:35.57ID:fgu46GhM
「エレンッッ!!」

掛け寄り抱き起こしたその華奢な身体には、もう、余り熱が残っていない。
冷えていく体温。
消えかかる灯火。
瞬時に理解できた。

最早……最早手遅れなのだと。

「れ、い……じ……」

小さな、小さな、掠れた声。
呟かれたのは俺の名。

「エレンッ……しっかり、しっかりしろッ…!」

呼び掛けに対し微かな微笑みを浮かべた彼女は、唯そっと手を伸ばして俺の頬に触れた。
冷たい手だ。温もりの喪われていく、鉄の引き金よりも尚冷たい手だった。

「死ぬなッ…、死ぬなエレンッ……!」

絞り出すような彼女の震える声からは余り時間が残されていない事が窺えた。
嫌でも、認めたくなくても、目を逸らしたくても、信じたくない現実でも。
これが、これこそが、彼女に訪れた救いのない現実なのだ。
エレンの死。
確実なるその未来が、もう目の前までやってきているという。

「死なないでくれ…ッッ!」

それでも俺は死ぬなと叫ぶ。
例えこれが意味を成さない行為であると分かっていても、こぼれ落ち失われ行く彼女の命をこの冷たい世界に留めていたいが為に。

「ごめん、なさい…、あなたを…、苦しめ…て、」
「なんで……、どうして謝るんだ……ッ!」

謝らなくていい……ッ、もっと苦しめてくれていいッ……!
だから…ッ、だから俺の傍に……、ただ俺の傍に居てくれ――ッ
0117玲二とゼクス12015/07/14(火) 21:18:31.98ID:fgu46GhM
何度も何度も引き留めた。
手の届かない世界に行かないでくれと。
俺を一人にしないでくれと。
だが、それは無理だと拒否されてしまった。
自分の事は……自分が一番分かっていると言って。

「エレ……ンッ」

エレンもまた暗殺者。自らの状態など言われずとも理解していた。
理解しているからこそ、ただ事実だけを伝えてくるのだろう。
俺に嘘を吐かないために。叶わぬ希望を持たせないために。
俺の聞きたくない、彼女という人間に訪れる死の運命を……。

「お願いが……あるの……」

最後の力を振り絞るように身体を動かし、俺の耳元に口を寄せてきたエレンは呟いた。
もう動くことは不可能だというのにも拘わらず、消え行く命の炎を、一際激しく燃え上がらせて。


“生きて……”


耳から入り、脳へと至るその言葉は、ただ俺に生きていて欲しいというエレンの願い。
たった今聞いたばかりの、キャルが遺していった物と寸分違わぬ、その言葉。
何も求めず、何も与えず、ただ生きろという……優しくも残酷なる。

「エレン……?」

ふっと彼女の身体から力が抜ける。震えていた微かな声も……もう、聞こえない。
閉じられた目。
穏やかな表情。
静かに眠るその様子は、身体を揺さぶれば直ぐにでも起き上がりそうな程に安らかで。


「エレ……ン………」


だから。
だから俺は――。


“おやすみ……エレン”


安らかな眠りに付いたエレンに、たった一言だけを呟き、その場を、後にすること以外……できなかった。
嘆き悲しみ、涙を流すことも。
彼女を想い叫ぶこともなく。
エレンとキャルが遺した。

“生きて”

優しくも残酷なその言葉を反芻しながら──。
0118玲二とゼクス2 終局迎えしその先で…。2015/07/22(水) 20:53:50.87ID:B+CocdMo
***



エレンが永遠の眠りに就いた礼拝堂を後にし、一人戦いの部隊となった篠倉学園をさまよい歩く。
エレンとキャル。二人を救うことが出来なかった俺の心に空いた穴には氷のように冷たい隙間風が吹き抜け、身体の奥底まで凍らせてしまうかの様な錯覚を覚えさせていた。
だが、彼女達が遺してくれた最後の願いまでは凍らず、俺の中で燃え盛っている。

「俺は――生きる」

生きなければならない。
この場を生き延び、これより先もずっと、ずっと生き続けなければならない。
大切な者達が遺していったこの願いだけは、護り通さなければならないのだ。
罰……、そう、これはある意味俺に課された罰なのだろう。
守りたかった者を喪い、この生きる意味を喪失してしまった世界でただ一人、孤独に生きていかなければならないのだから。

失われた命は二度と戻らない、それは残酷なる世界の法則。
生が始まりから終わりへ向う物ならば死は終わりから始まりへと向う物。
たとえ彼女達の後を追い、この命を絶ったところで、もう二度とは会えないだろう。
人生は、命とは、一方通行で進み行くただ一度きりの物なのだから。
もし輪廻転生のような物があるとしても、この広い世界で新たに生まれ変わった二人はもう、俺の知るエレンとキャルではないのだから。

終わりなのだ。
彼女達との日々は、彼女達と過ごした時間は、もう今のこの時すでに過去のものと成ってしまったのだ。
自身が非力であった為に、自分が弱かったが為に。

「それでも俺は――」

脚は自然と其処へ向かう。
インフェルノの手から逃れて生き続けるという、その第一歩を踏み出す為に。
0119玲二とゼクス2 終局迎えしその先で…。2015/07/22(水) 20:54:58.97ID:B+CocdMo
辿り着いたその場所には女が一人倒れていた。
栗色の長い髪をポニーテールに纏めている女。
サイスの洗脳を受けて命じられるままに戦い死んでいったツァーレンシュヴェスタンの唯一人の生き残り――ゼクス。
混乱の果て、戦う気力を喪失していたが故に唯一命を奪わなかった女。

「……」

俺は未だ気を失い倒れたままであった彼女を抱き上げる。殺すのではなく、このまま連れて行く為に。
この女を放置しておく事は出来ないからだ。自分の足跡や、今の自分が再び戦えるようになっていること等をインフェルノに知られないためにも。
抵抗しないのならば殺す理由は無いと命を奪うような事はしなかったが、
生きてという二人の願いを守る意味でも、このままこの女を組織に帰らせる事で発生するリスクは回避しておかなければならない。
だからこそこの女を組織に帰らせないよう逃亡の道連れとなって貰う。
死んでいった二人の願いを守る為にも。

「生き抜かなければならない」

ゼクスを抱き上げ一人静かに門を越えた俺は振り返らずに歩いた。
もう戻る事はない二人との、永遠の別れを惜しみ流れる一筋の涙。
それを最後の手向けとして。
0120玲二とゼクス2 終局迎えしその先で…。2015/07/22(水) 20:56:07.22ID:B+CocdMo
***




学園での戦い。
サイス・マスターと、奴が率いていたツァーレンシュヴェスタンとの死闘。
そして、守るべき大切な者達の喪失。

あの一夜にして一生分とも言える濃密な夜からもう一月が経つ。

全てが、一夜の夢のようにも感じる。
今の自分はただ逃れようとして囚われる結果と成ってしまった悪夢の中にいて、ほんの小さな切っ掛けさえあれば二人の居る優しい現実へと回帰できるような、そんな錯覚を覚えさせるのだ。
しかし、眼前で脅える女の存在が、俺を本当の現実へと引き戻す。腰部までの深いスリットが入った戦闘向きとも言えるだろう動きやすい白いドレスを着た女の存在。
彼女が此処に居るということその物が、逃避気味に想像した優しい現実が夢まぼろしの非現実であり、今この瞬間こそが真実の世界である事を否応なしに証明していた。

「静かなものだな」
「……」

此方の問い掛けに対し眼前の女は何も答えない。

「本当に静かだ……君もそう思うだろうゼクス」
「っ…!」

俺が生き抜くために必要であるが故に逃亡の道連れとしたこの女――ツァーレンシュヴェスタン唯一の生き残りゼクスは、こちらの動きに時折“びくり”と体を震わせるだけだ。
意識を取り戻したときより変わらずの態度。何も喋らず、ただ此方の動きを見ては脅えた瞳を向けてくる。
サイスの洗脳が解けていようがいまいが、ゼクスの心へ擦り込まれた“俺”という顕現した死の恐怖が、彼女を縛っているのだろう。
だが、それならそれで、下手に抵抗されるよりもずっといい。
無論、念のための措置として彼女の使用していた銃は取り上げてある。
抵抗心を喪っているとしても、そこはツァーレンシュヴェスタン。
つまり俺と同じくファントムの一人である彼女が暗殺者の中の暗殺者である事には違いないのだから。

そんな彼女との逃亡も早一月、当初は、そして本当ならば、エレンと向うはずだった此処――北海道は小樽の安宿に俺達は身を潜めていた。
普通の生活ではなく身を潜めている……それは何から?
決まっている、インフェルノの追っ手からだ。
しかし現状は物の見事に肩すかしを食らっている。
0121玲二とゼクス2 終局迎えしその先で…。2015/07/22(水) 20:56:57.78ID:B+CocdMo
「まるで追ってくる気配すらない」

自身が生きていると知っているからには当然追っ手を差し向けてくる物だとばかり思っていたが、未だその様子を見せないのだ。
危険な空気、肌で感じられる筈のそれを、この一月の間で一度でも感じた事があったかというと……ない、という結果へ行き当たる。
ではなぜ追っ手を差し向けてこないのか?
その要因として考えられるのは二つ。

(一つはあの場になかった俺以外のもう一人の死体)

つまり自分以外にゼクスも生きている、サイスの直属の部下だったゼクスが俺を追っていると判断し静観している。

(或いは二つ目……此方が本命か)

二つ目の事由、それは篠原学園での銃撃戦事件その物が、インフェルノの動きを封じる役割を果たしている可能性。

(日本という平和な国において外国人。それもマフィアの幹部とその部下および関係者が大勢殺されるといった大事件が広く知れ渡ってしまった為か?)

これは無論、『世間』にではない。裏側の社会に対し絶大な抑止力を持った、日本の誇る治安組織『公安』にだ。
インフェルノと梧桐組、両組織による合同の隠蔽工作により死体も全て運び出されて痕跡という痕跡は消された物の、あれだけの人死にを出し建築物の破壊まで行ってしまった以上、事件の全てを隠しおおせる訳がない。
ツァーレンシュヴェスタン・アハトの自爆によって出された被害はガス爆発を装っていたが、おそらく公安には梧桐組乃至インフェルノが関与した抗争か殺し合いであると見抜かれているだろう。
当然の事としてそれはこれ以上の下手な動きが両組織の打撃に繋がるという事を意味する。

「双方共に動くに動けないのかも知れないな」

まして合衆国とは違い、この国では裏社会の組織犯罪は特に目立つ。
インフェルノも、インフェルノと友好関係にある梧桐組も、あの事件を機にこれ以上公安の目が厳しくなる事で結果ビジネスに支障が出たりする事を良しとはしない筈だ。

“サイス・マスターの個人的な暴走”

これで双方の面子を保たせる策を講じるだろう。サイス一人に全ての責任を押し付けて。

「それならばそれで此方としても好都合だ。選択肢と時間に多少の余裕が生まれるからな」

そして俺自身はガス爆発事故を起こした学園の管理態勢に不満を持った両親によって妹、吾妻エレン共々転校させられるという形を取り逃亡先より書簡にて退学届けを提出していた。
エレンの死体もまたインフェルノの隠蔽工作によって発見されていない為、ショックを受けた妹エレンは一足先に両親の元へ帰ったという体を装いながら……。
俺もインフェルノや梧桐組と同様、事件に関わった証拠や痕跡は残していない。これでも元ファントム・ツヴァイ。それくらいの事ならばできる。
梧桐組とインフェルノが行ったであろう苦し紛れの工作も結果として此方を利する形に作用したのだ。
奴等があの学園自体を調査する手段も採っていない事から、インフェルノ側としては自らが事件より遠ざかる事で沈静化を目指しているのかも知れない。
0122玲二とゼクス2 終局迎えしその先で…。2015/07/22(水) 20:57:48.80ID:B+CocdMo
「いずれにしても、ある程度静かになった時を見計らって落ち着ける場所を見つけないと」

俺とゼクスがいま居る安宿、場末のビジネスホテルだが、逃亡生活を始めて以降廃ビルに泊まったり簡易宿泊所に泊まったり。
日本各地を転々としながら一所に留まることなく移動している為、疲労も溜まってきている。
無論、留まる事で生じるリスクの回避を計っての措置だが、いずれどこかに落ち着く場所を確保したいと考えていた。
小樽にも長居するつもりはない。念には念を入れて最低でもあと数回は拠点を移しながら、最終的な長期滞在の場所を探す必要があるだろう。
そう。あくまでも長期滞在の場であって永住の場ではない。
何故ならそこもまた情勢次第で引き払い、逃亡生活へと逆戻りしなければならないのだから。

(先々を考えれば考えるほどに憂鬱になってくる)

ふと、そこで一度思考を停止させた俺は、ベッドに腰掛けたまま不安と怯えの視線を此方へと送り続けているゼクスに目を移す。
本当ならあの学園で死んでいたはずの女、俺がこの手で殺していたはずだった女。
無抵抗であったが故に命だけは奪わずにおいた、俺と同じファントムの女。

「皮肉な物だ。助けを求める君を切り捨てたフィーアが死に、切り捨てられた君が生き延びる」

そこには自分が手加減をしたという要素もあったが、結果的に彼女は孤立無援となったからこそ恐怖に負けて抵抗心を失った事で命を失わずに済んだのだから。
下手に抵抗されていればためらいなく殺していたろうからな。

「わ……、私のことを……どうするつもり……」

俺の視線に耐えきれなくなったのか彼女の側から話し掛けてくる。
思えばこうしてゼクスの事をじっと見据えたのは始めてだった。
逃亡を共にする相手に気を配らなかった証拠であり、自分の今までの余裕の無さが伺い知れるというものだ。
エレンとキャルを喪った混乱、インフェルノに追われる緊張感、転々と移動する日々。諸々が重なり合えばそれは精神も磨り減ることだろう。
特にこのぽっかりと空いたような気がする心の空洞が生きる事以外の考えを抱かせないほど俺の精神を追い詰めているのかもしれない。

(いや……それは、この女も同じか)

信頼していた上司フィーアに見捨てられた絶望、俺という死神に命を奪われないかという恐怖。
これらの負の感情に苛まれる一月を送っていたであろう彼女もまた気が気ではなかったはずだ。
震える声は恐怖と不安の表れだろう。今までは無事生かされていたが、これから先はどうなるか分からないという。
仲間も上司も死に絶え、ただ一人恐怖の対象に連れ回されているのだから。
0123玲二とゼクス2 終局迎えしその先で…。2015/07/22(水) 20:58:34.33ID:B+CocdMo
「……そういえば、君の声を聴いたのは命乞いをされたとき以来だな」

椅子から立ち上がった俺は、そんな彼女の方へと歩みを進めた。
漸く自らの意思で発したその高くおとなしそうな声音に誘引されるように、一歩また一歩とベッドに腰掛け震える彼女の傍へ。

「え……?」

そして、眼前まで来ると震えるゼクスを見下ろしながら、その両肩を掴みグッと力を掛けてベッドへと押し倒した。

「キャッ――!」

シーツの上に手を投げ出し倒れた女。
彼女が着る白いドレス、そのロングドレスのスカートの腰部両側に入った深いスリットからは、大きく開かれた脚が覗き、
菱形に大きく開いた胸元では、豊かな二つの果実が男の欲望を掻き立てるかの如く実りを付けている。

「さっきの質問の答えだが、別にどうもしない」

両手で押さえていたゼクスの肩から右手だけを外して彼女の頭へと添え、ポニーテールにまとめられた栗色の長い髪を掴み、彼女の左肩から身体の前へ手繰り寄せる。

「君が抵抗さえしなければ」
「っ……、」

手繰り寄せたポニーテールを優しく撫でてあげながら、ここしばらく続く心の渇きに俺は思いを馳せた。
あの学園での戦いからずっと、満たされない渇きに身体を支配されていた。
以前、一度だけ経験した事があるその心の状態は、キャルが死んだと思い込んでいたあの頃と同じ物だ。
喪失感……というやつだろう。再び、そして永遠に喪ってしまった事に起因する。

時が来れば自然と和らぎ行く渇きはしかし、今ではもう癒せない事を知っていた。
0124玲二とゼクス2 終局迎えしその先で…。2015/07/22(水) 20:59:35.12ID:B+CocdMo
(いいや、それもまた現実の直視を忌避する今の心が出した勝手な結論、そして逃げなんだろうな)

人生という物には時に予想だにしない事が起きることがある。キャルを喪った俺が、喪失感に苛まれる中でエレンという支えを得た時のように。
不確定という未来において其処を考慮する余地が僅かなりともあるのならば、少なくとも“今はまだ”くらいには考えられるかも知れない。
ならば我慢すればいい。唯ひたすら我慢して、俺を生かそうとした彼女達の願いの通り生き続ければそれで。
そうしていつの日か、喪失感が和らぐ時が訪れるのを待てば……そう思っていた。

だが、事はどうやら思い通りに行かないようだ。
心の渇き……それは身体の渇きにも繋がっているようで、和らげられない渇きを少しでも満たせる方法を無意識の内に探させていたのだ。
そうして心の空洞とは別の、組織に追われる毎日のなかでふと生じた精神的余裕が今まで黙して語らずであったゼクスに話し掛けられた事で一つの解決策を提示してきた。

男は、時に女を抱くことで心を癒す。
他の動物の雄とは異なる人間の男にとって、女と肌を重ねるというのは生殖行為や愛情表現以外の要素も当然あるわけだ。

であるのならば、この女を抱く事で少しはこの心の渇きを癒せるのではないだろうか?
俺自身が深く考えてもいなかった及びも付かないその行為を、この身体は求めているのか?
自分の身体を動かすのはあくまでも俺自身の意思。
だが、心に従い身を任せようとしているのもまた俺自身の意思だった。

「俺は抵抗しない君を殺したりはしない」

押し倒したゼクスのポニーテールを撫で続けながら、俺は依然不安と脅えに揺らぐ彼女の瞳を見つめて言った。

「あの時、君の命を見逃したようにな……。そこは安心して良い」
「ほん、とうに……?」

まだ信じられないのか念を押しての質問を投げ掛けてくる彼女。

「私の、命を……」

俺は髪への愛撫をより優しい物へと変え安心させてあげるべく言葉を紡いでいく。

「約束する。それに君を殺すつもりならあの学園での戦いの時に殺していた。違うか?」
0125玲二とゼクス2 終局迎えしその先で…。2015/07/22(水) 21:00:27.54ID:B+CocdMo
しかし此方の思惑とは裏腹に事実を指摘するだけの言葉を受けた彼女の身体には一層の緊張が走る。

「……っ、ノインと…フェンフの様に……?」

思い出しているのだろう。仲間の死を。
俺に殺された仲間の女達の最後を。

「そういうことだ。ゼクス、俺が君を殺さなかったのはあくまでも君が戦意を喪失していたからに過ぎない。
 戦う気力を喪った者を殺す意味など無いからだ。君を連れてきた理由については今更説明しなくとも分かるだろう?」
「……私の口から、ツヴァイの生存と……、ツヴァイが戦えるようになった事を、組織に知られないため……」

しっかりと目を逸らさずに此方を見据えたままで慎重に言葉を選び答えようとするゼクスに、俺は一つ肯定の意を持つ頷きを返した。

「ただし、それは今も、そしてこれからも変わらないという事を覚えていて貰おうか」
「っ……!」
「この先、もしも君が抵抗するような事があったときは、俺は容赦なく君の額を撃ち抜いて殺す。君の仲間や、君の上司だったフィーアという女と同じ様に」
「お、お姉さまと、同じ様に……」
「フィーアという女を殺したのは厳密にはエレン……アインだったが、君は君の仲間の内二人を俺が殺した瞬間を間近に見ていた筈だ。君も彼女達のようにはなりたくないだろう」


「っ――!? いっ、いやッ!!」

俺の言葉を聞いて弾かれたように身体を起こそうとしたゼクスを、俺は彼女の肩を押さえている左手で押し止めて脅える彼女の瑞々しい唇を強引に奪った。

「んうう――ッ!?」

瞳を見開くゼクス。浮かぶのは驚愕の色。
まさか俺に口付けをされるとは思いも寄らない事だったのだろう。
かく言う俺も、彼女に口付ける事がこうして訪れるなんて、想像したこともなかったが。
だが、こうして強引に重ね合わせた彼女の唇は、困惑と驚愕に支配された彼女の硬直した身体とは違ってとても柔らかく甘い物だった。

「んッ…、くちゅ……はふっ……っ、っ……んむぅ……っ」

重ねたままの唇をこじ開けて彼女の口内へ舌を進入させる。
当然俺から逃げようとする彼女の舌を、俺は優しく絡め取ってあげた。

「んっ…、んちゅ…っ」

脅える必要は無い。抵抗さえしなければ別に痛い思いをさせたりするつもりなんてない。
それを教えようと、舌の裏側や甘い唾液に濡れた表面を丁寧に愛撫し唇を啄みつつ、混乱する彼女の口内へ自らの唾液を送り出して飲み下させた。
そうして唇を軽く味わいつつも深い口付けを送った後、俺はゆっくりと顔を離してあげた。

「んっ……、は…ぁ……っ」

透明の糸が伸びる。伸びて俺とゼクスの唇を間接的に繋いでいる。
言葉を発しようと口を開くとその糸は音もなく切れた。
だが、俺の、そして彼女の唇には、まだ混ざり合った粘液が表面を覆っている。

「そんなに、怖がらなくて良い」

彼女の頬は上気し、ほんのりと紅色に染まっていた。
まるで発熱したように息遣いも荒く、キスをされた事への驚きが見て取れる。
同時に硬直していた身体も徐々に弛緩していくのが分かった。
0126名無しさん@ピンキー2015/12/08(火) 12:36:57.24ID:flnkB7Nx
保守age
0127玲二とゼクス2 終局迎えしその先で…。2015/12/13(日) 16:03:56.20ID:K6PUpxfu
親愛や恋慕といった類の特別な感情こそ無い口付けながら、それでも久方ぶりとなる異性とのキスが、冷めた心へ一滴の雫を落とすが如き微かな波紋を広げていく。
男である以上、本能的に女を求めてしまうのは当然である。感情に引き摺られることの無い肉体の方はより顕著にゼクスを求めていた。
感情を介しない生物的な本能。理性で押し止めるにはあまりに多くを喪いすぎたがらんどうな心が、一部の遠慮もなく女への劣情のみを掻き立ててくる。

「はぁっ……、はぁっ……、」

口付けを受けさせたことで荒くなった呼吸。鬼灯のように赤らんだ頬。
力の抜けた身体に、依然恐怖を残したままながらも潤むその女の瞳と視線が合わさる。

(口付け一つでも、一口の水くらいにはなる……か)

眼前の女が示す雌の反応が、どうやらこの渇きに渇き、飢えに飢えた肉体を、僅かばかりでも潤しているようだ。
必要以上に本能が訴えかけてくる女への渇望は、今や砂漠と化した自分の心が、彷徨う先で見つけたオアシスの水を飲もうとしている表れなのかも知れない。
心が抱く感情が人間を人間らしくさせているのならば、感情を抱かない心は本能で動く獣その物。
感情を抜いた獣の心が肉体と共に生存本能を刺激しているのだ。

ならば、このままこの女の豊満なる肉体に己を挿れ、一つになり、思いのままに求めればいい。
渇いた喉を潤すように、生きる為にゼクスという水を飲み続ければ。

「さっきも言ったが――」

左の肩から胸の膨らみへと流れるゼクスのポニーテール。
先程彼女の背中より手繰り寄せていたその長い髪の毛の束を掴み、優しく撫でながら。
俺は静かに言い聞かせつつ、髪をこの手に絡めて口付ける。

「逃げようとしたり……、抵抗しようとしたりさえしなければ……、」

艶のある滑らかなその髪束へと口を付けたまま、栗色の毛髪の表面で静かに舌を這わせながら紡ぐ言葉は、警告とも安堵させようとするものとも、双方どちらにでも解釈できるもの。

「君のことを殺したりしないし――」

舌に触れ絡まり付着する髪は当然のこと無味。しかしながら鼻の最奥までもを擽る甘く香しいその芳香は、味覚と異なる部分で脳に刺激を与え、味ではなく舌触りを以て美味なものであると捉えさせる。
これもまた男が女に感じる獣としての本能なのだろう。

「傷付けるつもりもない」
「っ……」

髪の束に鼻を埋めて大きく息を吸い込み、甘い香りで鼻腔内を満たしながら。
手に捉えていた彼女の髪を解放した。

「だから」

手より離れたポニーテールの髪束は彼女の肩から胸元へと垂れ下がる形で流れる。
流れたその艶やかな髪に人差し指と中指を添え、そっとなぞり下ろしていく。

「できることならば大人しくしていてほしい」
0128玲二とゼクス2 終局迎えしその先で…。2015/12/13(日) 16:04:33.61ID:K6PUpxfu
大人しくしていろ――それはなにもいまこの時だけの姿勢を問う意味での言葉にあらず。
これより先、ずっと道連れになってもらわなければならない事に対する意味も含めての話だ。

「仮にも此処まで同道させてきた君のことを、今更俺に殺させるような行動だけはしないでくれると助かる」
「…っ、」

必要とあらば躊躇わないが、それでもゼクスのことを積極的に殺したいわけではない。
一ヶ月、たった一月の間だが、共に行動していれば多少の情も沸くものだ。
全く知らない他人よりは、険悪であっても毎日顔を付き合わせている他人の方が未だしも人間関係としては上になる。
それが敵であったとしても。

彼女の左肩より、大胆に開いたドレスの胸元へ指をなぞらせながら、胸へ垂れて掛かるポニーテールを手の甲でそっと横へやり、白いドレスの胸元。大きく開くその胸部に手の平を載せた。

「あっ――!」

身体の線が良く見えるドレスの胸元を盛り上げている果実は、かなり大きく張りがあり、力を加えると沈み込む指にその柔らかさと肌の温もりを伝えてきた。

「あ……ツヴァ、イ……っ、」

名を呼ぶゼクスの甘い声に誘われ、俺は服の上から触れている彼女の胸の膨らみへと沈み込ませた指に緩急付けた動作を加えつつ優しく揉みし抱いた。

「うっ…あっ!」
「痛いか?」
「っ、っっ……」

無言でふるふると振るう首の動きは否を示すもの。

「そうか」

ならばいい。自分自身の空虚と渇きを少しでも癒そうと動く本能のままに身を任せてはいたが、彼女に対し不必要な苦痛を与えよう等とする意図はない。
尤も、好意を抱かぬばかりか恐怖の対象である男に身体を触られる彼女にとっては、充分以上の苦痛に思えるだろう行為には違いないだろうが。

「んっ――」

そんなゼクスの意思を無視した独善的で独りよがりな思考を浮かべながら静かに彼女へと顔を寄せた俺は、再度その瑞々しい唇を奪った。
0129玲二とゼクス2 終局迎えしその先で…。2015/12/13(日) 16:05:16.92ID:K6PUpxfu
「ん…っ、んむぅっ…っ」

一度目と同じ様に舌を差し入れて唇を啄みながら、ゼクスの口を深く丁寧に味わう。

「ちゅっ……あむっ、んんっ……んっっ」

然れど一度目の口付けとは異なり、塞いだ彼女の唇からはキス以上のくぐもった声が漏れていた。
それは彼女の胸を揉む俺の手を感じ取ってのもの。
胸を揉まれる女の感覚など、男の俺には知る由もない事ながら、心地良さを感じていることは確かなのだろう。
塞がった唇、口内で絡め取り味わう彼女の舌から、俺の舌より逃れようとする意志が急速に失われていく。

そのまま彼女の胸を優しく揉みし抱きながらもそっと唇を離してみる。

「ん……」

先刻とは異なり脅えからの物だけではない潤みを持ち始めたゼクスの瞳を見つめ、紅く染まる頬を撫でてあげながら一言の注意を投げ掛けた。

「嫌なら抵抗してもいいんだ。たとえ今この時に俺を拒絶した処でこれが敵対意思ではない以上、俺も君の命を奪ったりしないからな」

好意を持たない男に身体を触られることを女は本能的に拒絶する。
ましてや俺という男は本来ならば敵であり、恐怖の対象とする相手。輪を掛けて忌避感を抱くだろう。
それを以て敵対行為と見なすほどに俺も自分勝手で我が儘な男ではない。
ただし、この身体と心の渇きが彼女の拒絶を是とするほど大人しい物ではない事もよく分かっていたが故に、俺も彼女を逃がすつもりはないが。
そう、口では彼女の抵抗を赦しながらも、こうして――

「んあっ――!」

彼女の白い首筋に顔を埋め唇を落としてしまう事からも分かるように、本能に任せるままの俺を、俺の心が是としてしまっている。
何をしているのだろうかと思えどもこの身体は止まらない。

「んっ、やっ…はあっ!」

空虚を埋めるため。生きる事を望むため。感情を除いた身体と心が、ゼクスという水を欲しているがために。
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