アンパンマンでエロパロ
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>>5
いや、俺もお前さんも修行が足りないんだと思う メロンパンナちゃんはサキュバスなんだ
メロメロパンチがその証拠 >>14
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n: / R /\
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f「| |^ト | / /=ヽ \ |
|: :: ! } |/ (゚) (゚) \|
ヽ ,イ \── ゝ── ノ
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頼む。ドキンちゃんが食パンマン様の目の前でカバ夫に処女喪失+中だし食らうやつ。
頼む。 板チだけど…
. ∩_∩
ウサ子より / \ /\
____ よく締まるなぁ | (゚)=(゚) |
. / \|. ._.._ | ●_● |
( | _,..(::::::) んん? / ヽ
\ /=ヽ | ____,;-'”´;.''"’ | 〃 ------ ヾ | ブォンブォン
. | (゚) (゚) |.. .::-'''"::::::::::: `''-く,, \__二__ノ
| ○ | |○ | /:::::::::::::::::::_;::::::::::、:::::`i;, . /´ ヽ
|. 凵 ..│ /:::::::::::::::::::::/ ::::::::'i, _,..-ー- 、-ー …ー- 、 /
| A .| . /. ヽ:::::::::::/ i::::::::::'i ノ _ _ ,.ヽー'´ / |
|____∪___| /:: ヽ::::/ |::::::::::| / _,.、‐'´ _/ |
/ ̄ ̄ | : ::::::::::| |:: V / ノ:::::::::::|_,_,_,_,、‐' `ー''フ /i |
/ i `ー-(二つ 'i:::> ○ ≠─― く:::::::::::.ノ /.,イ , / l |
{ ミi (二⊃ 'i:i. -─‐ァ 'i::::::ノ ./.ノノ.ノi j' |. |ヽ
l ミii ト、二) \ / xx ノ:::/ r'_,、‐'´イ_r ''´ |. |ヽ.ヽ
| ミソ :..`ト-' \ xxx o // ノ¨´ .| |. | ヽ.ヽ
| ミ{ :.:.:..:| `:.ーr:'―-―*イ たすけて食パンマンさん! >>19
食パンマンの顔w
>>17さん頑張って! ばいきんまん×しらたまさん書いたよ。いやな人はレス3つぶんスルーしてね!
「おーい、ばいきんまーん!」
ばいきんまんを呼ぶ声が森の中にひびきわたった。
「ゲゲ! あの声はしらたまさん!」
ばいきんまんはUFOをUターンさせてバイキン城へ引きかえすことにした。
ドキンちゃんにおいしいデザートを持ってくるように言われていたのだが、仕方がない。
「おかしいな、ばいきんまんがここにいるような気がしたんだが」
しらたまさんは辺りをきょろきょろと見回した。
「せっかくお芝居の稽古に付き合ってもらおうと思ったのに……」
しらたまさんは、ばいきんまんはいつも悪者の演技をしているのだと思いこんでいる。
ばいきんまんは、そんなしらたまさんを苦手に感じているのだ。
「んん? クンクン……」
バイキン城へもどる途中、ばいきんまんはおいしそうなくだものの匂いをかいだ。
「しめた! これでドキンちゃんにデザートを持って帰れるぞ!」
ばいきんまんはUFOから降りて、匂いのする方へ向かった。
「むっ。これはフルーツ白玉!」
フルーツ白玉は、しらたまさんのとくい料理だ。
「ということは、もしかして近くに……」
「白、それは白玉の色♪」
しらたまさんが歌いながらさっそうと現れた。
「おお!ばいきんまん! こんなところで会うとはなんて運がいいんだ!」
しらたまさんは感激してばいきんまんの手をとった。
「うへぇ……」
ばいきんまんはこっそりため息をついた。その様子をまったく気にせず、しらたまさんは
真剣な顔つきでばいきんまんを見つめた。
「実は、今度のお芝居で、わたしは悪者に犯される騎士の役をやることになったのだ。
しかし、犯される演技というのがどうしてもうまくいかない。そこで、ばいきんまん!
きみにわたしを襲ってもらいたいんだ!」
「な、なにぃ〜!?」
ばいきんまんは青い舌をまいてびっくり仰天した。
「そんなこと、出来るかー!」
ばいきんまんはしらたまさんの手をふりほどき、逃げだした。
「ああ! 待ちたまえ!」
しらたまさんはばいきんまんを追いかけた。
「なぜばいきんまんは逃げるのだろう……。ああ、そうか! 襲われそうになったら、
まず相手から逃げる演技をするのだと、そう身をもって教えてくれようとしているのだな!
すばらしい!!」
勘違いしたしらたまさんは、さらにスピードを上げてばいきんまんを追った。 「ハァ、ハァ……。おれさま、もうヘトヘト……」
走りつかれたばいきんまんはその場に座りこんでしまった。とたん、肩をぐっとつかまれた。
「!?」
おそるおそるふり返ると、そこにはしらたまさんがいた。
「やっとつかまえたぞ! さあ、わたしを犯してもらおうか!」
「イヤだー! 離せ!」
ばいきんまんは必死にもがいた。
「なるほど、こうやって抵抗の演技をするのだな……。ああっ」
暴れるばいきんまんの手がひっかかり、しらたまさんのスーツがはだけてしまった。
二つの白玉のような胸がこぼれる。
「ひゃあ!」
しらたまさんはあわてて胸を隠した。
「おお!?」
ばいきんまんの目が、しらたまさんの胸にクギ付けになる。
「あ、あまり見ないでくれ!」
いつになく恥らうしらたまさんの頬は、走ってきたせいかほのかに上気していた。
「ふむ……ウシシシシ」
しらたまさんの様子にいたずら心を刺激されたばいきんまんは、しらたまさんの胸を
わしづかみにした。
「ふあ!や、やめ……、いや、もっとしてくれ……! はぁ、はぁはぁ……」
「そうか、ヒャハハハハ! この!このこのこの!」
ばいきんまんは乱暴にしらたまさんの胸をこねくり回した。
「あぁっ、ばいきんまん! んんっ……」
しらたまさんは演技では出せないような、色つやのある声を出し始めた。
「おお、これは……」
ばいきんまんの陰茎がむくむくと立ち上がった。
「ばいきんまん、それを……い、挿れてくれ……」
「フッフーン、どうしようかなー?」
「頼む……っ」
哀願するしらたまさんの瞳はすっかりうるんでいた。
「……じゃあ、お望みどおり、ぶちこんでやるー!」
「ああああーッ!」
蜜のあふれ出すしらたまさんの秘所に、ばいきんまんの陰茎が突きささった。
「あっ、ああっ、ばいきんまん……!」
「くっ……そーれそれ、イってしまえー!」
「あ、ああああ! すご、い……、うああああああ!!」
ひときわ大きな声をあげて、しらたまさんは絶頂をむかえた。ばいきんまんの毒液が
しらたまさんの中に大量にそそぎこまれた。 「何をしているんだ、ばいきんまん!」
そこへ二人を見つけたアンパンマンが飛んできた。
「げぇっ、おじゃま虫!」
ばいきんまんはあわてて逃げだした。
「バイバイキーン!」
アンパンマンはしらたまさんの元に降りたった。
「大丈夫ですか、しらたまさん!」
「はぁ、はぁ……、大丈夫だ、ばいきんまんにお芝居の稽古をつけてもらっていたんだ……」
「そ、そうなんですか……」
アンパンマンは首をかしげながらも、その言葉に納得することにした。
「そう……、今のはお芝居だったんだ」
しらたまさんはうつむいて、ひそかにばいきんまんのことを考えた。
(ばいきんまん、今回もきみの演技はすばらしかった。しかし、だからこそわたしは、
本気できみのことを想ってしまいそうだよ……)と。
(おわり) キターーッ最高や!GJですありがとう!
ちょっと切ないような?終わりがまた良い! おまえらのような変態ばかりなら日本も安泰だな
娘と一緒にアンパンマンを見ては、ドキンちゃんを犯す妄想を繰り返している 「やめなさあーい。助けてえ!」
どこまでも続く画一的な森で、どこか間延びした甲高い声が響き渡る。
声の主は街の小学校教員のうさみだった。
突然UFOのようなものが追いかけてきたのだ。逃げ続けるうさみの久しぶりの全力疾走が長くは続かなかった。
少し開けた場所で大きな木を見つけ、やっとの思いで身体を隠す。
(呼吸を整えて…縁付眼鏡のズレを治して…深呼吸…深呼吸…)
うさみは森に響く様に、相手に届く様に叫んだ。
「こんなイタズラはやめなさあい!」
まるで子供を叱るように凜とした表情で睨みつけたうさみだったが
身体を木に隠しただけで何となしに安心し始めていた自身の置かれている状況を次第に理解し始めたのか、
細めの地味な淡い水色のスーツを抱き締めるように、その細く長身な身体を守るように、震えだした。
「ハッヒフッヘホ-!カッコつけたって俺様やめないもんねェ!!」
UFOの様な乗り物から降りた軽い口調のダミ声の持ち主は異形と形容するに十分だった。
漆黒の身体、顔の半分以上ある大きな口と鋭い歯。
背中には蟲を思わせる羽、
そして頭頂部に生える二本の生殖器。
その姿を改めて正面から直視したうさみは声をだせない。先ほどからの震えがピタリと止んだ替わりに呼吸の仕方が分からなくなっていたからだ。
(だめ…怖くて声がでない…)
「こんな人気のないところを1人で歩いているのが悪いのだー」
目玉の黒目の形がニヤリと変化する。
「ドキンちゃんにスイーツを持って行く俺様の為にご褒美をよこすのだ!」
「ご褒美とは言っても、お前も気持ち良いから安心しろお!ハッヒフッヘホ-!」
(そ…そんな…)
「何も言わないって事は、良いって事かな?やあっと俺様の魅力に時代が追い付いたな!ナハハハ!」
その大きな口が開いた瞬間、紫色の長い舌がうさみを巻き取る様に捕らえた。
べちゃっとした生暖かい感触がスーツ越しに伝わってくる。
身体から血の気が引いていき、今から我が身に起こる事は恐怖で全く想像ができなかった。
現実離れした恐怖と不快感の中で、1mほど浮いたままのうさみは
二本の生殖器がてらてらと鈍く光る液体を滴らせていたのを見た。
「…ヒッ…!」
ポタ ポタタタタタ ボタボタボタボタァ
(…もう嫌…もう嫌あ…)
うさみは羞恥を感じることもできず、青い顔で激しく失禁してしまった。
「オエ!ぺっぺっ!急に何するんだあ!」
(…怖いけど…今しかない!)
「…たっ、助けてえ!!アンパンマーン!!」
※オープニングテーマ流れる
続く ねね
男の子「セックスしたいよ〜〜」
お満子ちゃん「じゃあわたしのおまんこ使いなよ!」
って感じのアニメってない? >>31
過去スレにあった鬼畜食パンマンがドキンちゃんをソフトに調教していくシリーズは秀逸。 >>38
食パンマンがかなり黒いヤツなw
あのシリーズまた見たい 保守がわりに一個落としていきます。
しょくぱんまん×ドキンちゃんで、先日放送のドキドキクレヨン姫の話の
続きのつもりで書きました。
かつぶしまんとマキちゃんじゃなくてごめんなさい。
もしも放送してない地域の人がいたら、さらにごめんなさい。 色とりどりの風船に吊り上げられて、しょくぱんまん号は大空の下をただよっていた。
(どこに隠れているのかな。この辺だと思うのだけれど)
運転席の窓から地上を見下ろしていた瞳が、助手席へと向けられた。
座席の上には、細身の赤いハイヒールがひと揃い転がっている。
車の天井にくくりつけられた数多くの風船も、この靴も、
元はといえばクレヨンで描かれたものにすぎない。
それがこうして実体をともなって存在しているというのは、
幾度体験しても不思議なものだが、虚構なのか現実なのか――
心許なささえ覚える曖昧さが、今の自分にはとても気軽で心地が良い。
空にはイワシ雲が広がり、時折吹き抜ける乾いた風とあいまって、
辺りはすっかり秋の風情だ。
日も短くなった。
先ほどクレヨン王国を後にしてからまだいくらもたっていないというのに、
西の空は赤みを増し、太陽がその身を重そうに山並へ飲み込ませようとしている。
探し物は日の暮れる前に済ませておきたかったが、さして気の急くこともなかった。
まるでシンデレラさながらに、しょくぱんまんの元に靴を残して逃げ去った少女は、
いつも決まって見晴らしの良い場所で道草をくっているのだ。
やがて、さまよっていた視線が地上の一点で定まると、しょくぱんまんの口元がふっと緩んだ。
(ほらね、もう見つかった)
かくれんぼはおしまいだ。
まだ明るさを保っている湖のほとりに、やけに目を引く赤い機体が鎮座している。
風船は、役目を終えて一本ずつ空へと解き放たれた。
音もなく、しょくぱんまん号が徐々に高度を落としていく。
湖の淵にしゃがみこみ、一心に湖面を見つめる少女の背後にワゴン車の四角い影が
大きさを増していき――数秒後、大きな音を響かせ、墜落した。
飛び上がって振り向いた少女の眼前に、降って湧いたしょくぱんまん号が
草地にタイヤをめり込ませていた。
したたかに腰を打った。
罵り言葉を短くこぼし、しょくぱんまんはドアを開けてよろめき出た。
目を見張り立ちすくむ少女と視線が交わる。
「残念。着地は失敗」
おどけた様子で肩をすくめると、少女は息をのんで駆け寄ってきた。 「お怪我は……?」
「大丈夫」
しょくぱんまんの二歩手前で立ち止まった少女の顔が青い。
「ごめんね、驚かせちゃったみたいだ」
こわばっていた少女の肩からわずかに力が抜け、彼女は首を振った。
「しょくぱんまんさまったら、突然現れるんですもの。びっくりしちゃった」
「本当はもっとスマートにお迎えにあがりたかったのだけれどね」
「迎え?」
小首を傾げる少女の、赤い髪が揺れた。
「そう。ドキンちゃん、靴を忘れていったでしょう。――知ってた?
靴を残された人間はね、何としてもその持ち主を探し当てて正体を見抜かなくてはならないんだ」
徐々に色濃く染まる夕景に彩られて、彼女は息をのんだ。
「しょくぱんまんさま、クレヨン姫があたしだってわかったの?」
「もちろん」
日中触れた、クレヨン製のドレスの感触が指先に蘇る。
「一緒に踊ったでしょう。君に触れて、僕が気がつかないとでも思ったの?」
しょくぱんまんは一歩だけ距離を詰め、ドキンの髪に顔を寄せた。
「それにほら、先ほどのお姫様と同じ匂いがする」
微かな桃の香りが鼻孔をくすぐる。
顔を離すと、彼女の頬まで桃色に染まっているのに気がついた。
「そ、それで、わざわざ靴を届けに来てくれたの?」
見ると、一部布地の裂けたワンピースの裾から、小さな素足が覗いていた。
「裸足じゃないか」
考えてみれば、当然のことかもしれなかった。
しょくぱんまんは有無を言わせずドキンを担ぎ上げると、開け放しになっていた
車の運転席に腰かけさせた。
身を乗り出して靴を手に取り、何をか動揺している彼女と向き合った。
「靴、履かせるよ。足を出して」
「いえあの、自分でできます」
慌てる少女の抗議の声は受け流し、しょくぱんまんは膝をつくとドキンのかかとを手に取った」
はっとするほど凍えている。 「こんなに冷えて、風邪をひいたら困るじゃないか。どうしてまっすぐ家に戻らなかったの」
「えっ、あの……ええとそれは」
「もしかして、僕に会えやしないかと期待してた?」
冗談めかしてそう言いつつ、靴を片方ずつ手早く履かせる。
「いえ、そうじゃなくて」
うつむくドキンの視線が泳ぐ。
「あたし、余韻にひたりたくて。だって今日、とても素敵な一日だったから、
家に帰って終わりにしたくなかったの」
「余韻?」
「ええ。しょくぱんまんさまと踊れたのだもの。あたし嬉しくて」
「ふうん、たったあれだけのダンスで満足できるの?ずいぶんと慎ましやかなんだね」
少しすねたようにドキンが唇を尖らせた。
「しょくぱんまんさまにはわからないわ」
そうとも、わかるはずもない。
いつだって、彼女の言動は謎に包まれている。
そもそも、余韻にひたっていて一体何が楽しいというのか。
「僕なら余韻にひたるより、もっといいものに溺れたいね。君もそうしたら?」
「え……」
言いざまに上体を伸ばし、唇を奪った。
ああほら、血色の良い顔も、その実ひんやり冷えている。
だが柔らかく息づく唇は温かく、指先を滑らせた先にある首筋は異常なまでに熱を秘めていた。
驚きにこわばっていた背中をトントンと叩いてやると、
何の抵抗もなく少女はしょくぱんまんを受け入れた。
舌先が伸びて吐息がからまる。
「っん……」
微かに漏れた少女の呻きに、身体中を巡る飢えを実感させられた。
少女の口内は潤いに満ちているのに、いくらすすっても喉の渇きが癒されない。
軽く舌に噛みついた。
腕の中で、ドキンの身体がふるっと震える。
(――まだだ。全然足りない)
彼女の何がそれほど自分を煽るのか。
気づけば、息をつく間も許さないほど夢中になって貪っていた。
苦しそうに、ドキンの拳が胸を叩く。
仕様がなしに解放してやると、大きく胸を上下させ、切なげな眼差しを向けてくる。
思わず顔がほころんだ。――にやけていると言った方が正しいだろうか。
「僕は、君のそういう顔が好きだ」
物欲しげで、自らの欲求に正直で。
「素敵だね。もっと見せてごらん」
当然――ドキンはこくりと頷いた。 夕暮れ時の風が冷たくて、しょくぱんまんはドキンと共に
しょくぱんまん号に乗り込んだ。
「もう秋というより初冬だね」
外気に晒されていた両耳が冷たく痺れている一方で、
全身には熱い血が巡っているのを感じる。
「寒いでしょう。どこか暖かい場所に移動しようか」
車内暖房のスイッチを入れ、助手席でへたりこむドキンに伺いをたてる。
なるべく愛想の良い笑顔に見えるように表情を取り繕ってはみたものの、
彼女がNOと答えるだろうというのは予想の内だ。
案の定、ドキンはかぶりを振ってしょくぱんまんを見据えた。
「あたし……このまま一緒にここにいたい」
濡れて光る唇が、薄く開いたまま震えている。
もう一度そこに深く口づけたい衝動をねじ伏せて、首を傾げた。
「いいけど、一度ちゃんと温まった方がいいんじゃないの」
「しょくぱんまんさまがいてくれたら、寒くないもの」
「そうかなあ」
手だけを伸ばし、少女のこめかみからおとがいまでをそっとなぞる。
柔らかな頬も、小さく尖った顎先も、滑らかで無抵抗だ。
「上着も着ないで外にいたりするから。こんなに冷たい」
ドキンの手が、きゅっとしょくぱんまんの袖口を引いた」
「だったら……お願い。しょくぱんまんさまが温めて」
訴えるような切実な眼差しに、自尊心が満たされる。
(そうこなくっちゃ、お互いに困るよね)
身を乗り出し、前髪をかき上げて、額に優しく口づけた。
「僕が欲しいの?今ここで?」
「うん。すごく欲しい」
どこか幼さの残る緑の瞳が、熱にうかされたかのように潤んでけぶる。
この瞳がいつも自分だけを映していればいいと、強く願う。
(でも)
「んー、そうだね。だったら、何か僕を喜ばせるようなことを言ってみてよ」
「喜ばせること?」
「そう。僕がその気になるような、いやらしいことを言ってごらん」 ドキンが困惑をあらわに、頬を朱に染める。
「ええと、あのう」
「うん?どんな言葉が頭をよぎった?」
「んんん……」
顔を覗き込むと、ぎゅっと目を閉じ、うつむいてしまう。
「困った子だね。言えないの?」
「だって」
「じゃあさ、今、どんな気持ち?」
「しょくぱんまんさまの意地悪」
ためらいのないドキンの口調に、つい吹き出した。
くすくす笑うしょくぱんまんに、ドキンが言いつのる。
「あたしが我慢できないの知ってて焦らすんだもの。ひどいよ」
「我慢できないの?」
「できるわけ、ないじゃない。こんなに近くにいて、触ったら熱いって知っているのに」
(……そうかもしれないね)
右の手の平で、頭をまあるく撫でてみた。
赤く流れる髪の間に、白い耳が形を覗かせている。
指を止めてつまんでみると、むにっと伸びた耳たぶが、ほんのり色づいていることに気づく。
指で複雑な耳の形状をなぞる。
感触を確かめたくて揉みしだく度、冷たかった肌に体温が戻る。
「……好きなの」
ささやくようにドキンが告げた。
「知ってる」
それで?と促すように視線を向ける。
「耳だけじゃ嫌。もっと全部触って」
「いいよ」
頭から首、肩へ――確かめるように、身体の輪郭を手で辿る。
「触るだけでも嫌。たくさん舐めて」
「わかった」
「それから――」
「うん」
「あたしを丸ごと飲み込んで。満たして欲しいの」
僕を飲み込むのは君の方だろうと、胸の内でつぶやいた。
ドキンの両手がしょくぱんまんの頭をかき抱き、請われるままに口づけた。 一度たがが外れると止まらなかった。
彼女の望むままに、背中に手を回し、ワンピースのファスナーを腰まで下ろす。
唇は重ねたまま、髪に指を絡めると、少女の素肌も髪も、
非常にさらさらとした心地よさを伝えてくる。
絡めた舌をきつく吸う度、少しずつ息があがる。
ドキンの手が緩んだのを機に、しょくぱんまんは唇を離し、
顎の輪郭をなぞるように下から上へと舐めあげた。
白い首筋にかかる赤毛を払いのけると、無防備な喉元があらわになり、
じわりと食欲が刺激される。
喉が鳴った。
大きく口を開けてかぶりつく。
歯と舌で溢れる唾液をなすりつけ、同時にワンピースをウエストまで脱がす。
細くて丸っこい肩は硬くてひんやりしているのに、
そのすぐ下の二の腕は柔らかくて熱い。
喉にくまなく大きく舌をこすりつける度、ドキンの手がぎゅっと
しょくぱんまんの肩をつかむ。
その仕草がかわいくて、唇をすぼめ、首筋を幾度もついばんだ。
こらえきれずにこぼれる吐息が耳をくすぐる。
頭をもたげて見つめあい、全身でのしかかってきつく抱いた。
幸福をかみしめるかのような、甘い声が漏れた。
身を寄せた時にだけ気づく、桃の匂いがたちこめる。
耳にも、髪にも、こめかみにも唇を落として、身体を離した。
「ちょっとごめんね」
シートのリクライニングを半分倒し、残りの服も剥ぎ取った。
淡い紫のブラのホックをはずす。
花の刺繍がしてあって、かわいいけれど色気はない。
どこまで脱がすか一瞬悩んだけれど、結局裸体が見たくなり、
ショーツにも靴にもご退場願った。 「寒い?」
「ううん、大丈夫」
「手を、上げてくれる?」
「手?」
とまどうドキンの手首をとり、頭のさらに上へと導く。
「両手をここ。肘を曲げてね」
そうしてドキンのワンピースからウエストマークのリボンを抜き取ると、
両の手首と座席のヘッドレストとをリボンで結んで固定した。
わずかにドキンが身じろぎをする。
「ほら、よく似合う」
嘘じゃなかった。
夕焼けの空の色がいつしか車内をも満たし、ドキンの全身を
ほのかに赤く染めあげている。
滑らかな素肌が複雑な色を帯びて、まるで一個の贈り物のように、腕の中にある。
「ドキンちゃん、縛られるの好きでしょう」
ドキンが言葉につまった様子で見上げてくる。
「だってすごく嬉しそうだよ。肌が震えて――瞳も濡れてる」
真夏の海の色の瞳が、羞恥と期待の色を濃く宿す。
「自由を奪われるのがいいの?わくわくする?」
「ん……ムズムズする」
「どこが?」
「お腹が」
「お腹ね」
身をかがめて、おへその周りをぐるりと舐める。
身体をさすりながら、訊いてみた。
「やっぱり縛られてるときはいたぶられたいもの?僕はいじめたくなるな。
無理矢理してもいい?それとも――優しくされたいのかな」
「あたし……」
ドキンの瞳が泣きそうに歪められる。
薄い乳房に指を這わせた。
焼きたての食パンと同じ触感。ふくよかで魅惑的な。
彼女はか細い声でとつとつと答えた。 「あたし、しょくぱんまんさまといるとおかしいの。頭も身体も溶けて、
あなたが欲しくてたまらなくなる。声も身体も体温も全部欲しい。
だからお願い――あふれるくらいいっぱいにして」
しょくぱんまんがにっと笑った。
「いい答えだ」
しょくぱんまんはドキンの両膝を持ち上げて立たせると、
脚の間に頭を寄せて、内腿に舌を這わせた。
膝をさすりながら、唇で筋肉をなぞり、キスをして何度も辿る。
桃の香りに混じって、奥深さを秘めた蜜の香りが鼻をくすぐる。
片手を伸ばして脇腹をくすぐり、爪を立てると、組み敷いた身体がぴくんと跳ねる。
――車内の湿度が急激に増した。
ついに陽も落ちたのか、ぐっと薄闇が忍び寄ってきていた。
少女の身体から切なげな息が漏れる。
腿の内側を執拗にねぶり、見た目よりも豊かに実る尻肉を揉みしだく。
つるんとしていた肌が変質し、汗ばんで湿り気を帯び、物欲しそうにしきりとうごめく。
脚の付け根に歯を立てた。
「んんっ」
高い声が響き、荒い息づかいがそれに続く。
膝が頭部を締め付ける。
太腿をわしづかみ、強く吸った。
ひときわ大きな声を共に、腿がひくひく痙攣を起こした。
見ると、ひくついているのは脚ばかりではないようだ。
目と鼻の先に迫った花芯は潤いに満ち、欲求もあらわに花開いている。
そっと鼻先でかすめてみると、もはや快感を隠そうともしなくなったドキンが
身をよじって声をあげた。
「あ、ん、そこ、すごく熱い」
赤く熟れた果実のようだ。
実を割って喰らいつくしたい気持ちがぐっと高まる。
欲望がたぎり、苦笑にも似た笑みが浮かぶ。
「そんなに慌てないでよ。じっくり味わいたいんだ」 淡い茂みをかきわけ、優しく指でなぞる。
その表面がはじけそうに重たくぬめる。
触覚にも聴覚にも、彼女が息をのむのが伝わってくる。
左右の肉を指で寄せ、互いをこすりつけるように揉んでやると、
少女は耳に心地よい悲鳴をあげた。
指でつまんで裂け目をなぞり、小豆のように膨らんだ突起を
かすめるようにくるりとなでる。
彼女の歓喜が肌に伝わる。
同時に、ひどく焦れているのも容易に見てとれる。
より強い刺激を求めて、こんなに涙を流している。
かわいそうに、さぞかし慰めてほしいのだろう。
やわやわと指の腹で押しつぶし、息を吹きかけることで、彼女の限界を探る。
「すごいね、もうこんなにして。まだろくに触れてもいないっていうのに。
君はよくよく淫らだねえ」
ドキンは鼻をすすり上げ、低くうめいた。
「いじわるはやめて。だめ、待てないの」
「女の子は天邪鬼だよね。どう見ても君、もっといじめてほしそうに見えるよ」
顔を上げて覗き込むと、ドキンは目に涙を浮かべて弱々しくかぶりを振った。
「焦らさないで。お願い、あたし耐えられない……」
眉根を寄せてすがりつく表情に、どうにも心を揺さぶられる。
思った通り――自分を飲み込もうとしてるのは彼女の方だった。
魅せられて、抗えない。
しょくぱんまんは少女の身体の中心に尖らせた舌を挿し込み、肉の狭間でうねらせた。
「ふぅ……んん」
声も身体も甘くとろける。
「もっと、奥までいっぱい欲しいの」
しょくぱんまんの喉からくぐもった笑い声が漏れる。
「じゃあ、素直にねだった子にはごほうびをあげようか」
先端を舌でなぶりながら、貪欲な花の実に指をなかほどまで突き入れた。
よほど飢えていたのだろう。両壁が迫り、きつく自身を圧迫する。
差し入れしつつ、ぐにぐにと動かしてやる度に、喘ぎ声が差し迫った響きを帯びる。
「奥まで欲しいって言ったのに……やだ、足りないよ。もっと……んっ」
「簡単に満たされたらつまらないでしょう」
「いや……いや、いじわる」
しょくぱんまんは面を上げてくっくっと笑った。
「そうやって懇願する姿がかわいいのがいけないんだよ。
それに君は……なぶられるのも好きでしょう」 指にからみつく腰が大きくうねった。どくんと蜜が溢れだす。
「あ……助けて」
「名前を呼んでごらん」
「お願い、許して。助けて――しょくぱんまんさま」
「君の頼みなら、もちろんいいよ」
言うが早いか、二本の指を根元まで一気に突き刺す。
「ああああ……ぁっ」
ドキンの喉が喜びに震えた。
水音が溢れ、少女の身体が波打った。
よがる彼女に、ついからかいの言葉をかける。
「ねえ、君だけそんなに気持ちよくて、ずるいんじゃないの」
「あん、すごくいい……けど」
「けど?」
「やっぱり指だけじゃ足りない。しょくぱんまんさまのが欲しいよ」
「もうちょっとしたらあげるよ」
「だめ。今すぐ欲しいの」
ドキンが口早にせがんだ。
「どうしても?」
ドキンがこくりと頷いた。
「どうしても……すごく欲しい」
かすれた声に、背中を突き動かされた。
「困った子だね。本当にせっかちなんだから」
しょくぱんまんはため息をつくと、指を引き抜き、息をつめてベルトをはずした。
くつろげた衣服の裾から、熱くたぎるあからさまな意志が頭をもたげた。
はちきれそうにひくついているのは――言ってしまえばどちらもいい勝負だ。
「もう少し脚を上げてね」
苦しげに息をつく少女の脚を持ち上げて、身を乗り出すと――
しょくぱんまんは今度ばかりは焦らすのも忘れて、その身に身体を沈めていった。 一瞬、官能が互いに共通の幻を見せた気がした。
身を焦がす波に襲われ、たまらずきつく目を閉じた。
「っ――」
喉を鳴らして目を開けると、とろけそうな眼差しで静かに微笑む彼女が見えた。
うわごとのように自分の名前を呼んでいる。
負けたくない。――そう思った。
「大好き……好きなの」
「そうみたいだね。ねえでもこれ、もう少し緩められない?締め付けすぎだよ」
「うぅっん、無理。止まらないの」
どれほど求め、求められているのかは、言葉にするまでもなかった。
しょくぱんまんはドキンの膝を抱えたまま、彼女の上にぴったりとかぶさった。
互いの鼓動をリアルに感じる。
愛の言葉は欲しくなかった。
ただ腕の中に彼女がいればいい。
流れる汗が混じりあい、重ねた唇から焼け付く本能が絡み合う。
互いに満たされる瞬間を待っている。
ドキンが喉をそらせて大きくあえいだ。
「いい顔だ」
「しょくぱんまん――さま」
エネルギーの塊が背中を突き上げる。
腕の中で、彼女は恍惚の表情を浮かべた。
幾度でも、繰り返し見たい表情だった。 重なった身体の下で、熱は静まり、徐々に呼吸が整っていった。
狭い車内で無理をしたから、節々が微妙に痛い。
頬を寄せる少女は穏やかな顔で目を閉じ、その胸は緩やかに上下している。
事後の余韻も濃密な車内で、しょくぱんまんはそうっと身体を起こした。
はっとドキンが目を開く。
衣服を正して微笑みかけると、安堵した様子で身体から力が抜けた。
「寝ちゃうところだったみたい」
恥ずかしそうにそうつぶやく。
「眠ってもいいけれど、その前にこれを解こうか」
シートにくくりつけられたままの戒めをようやくほどく。
力なく垂れた手首に色濃く残る跡を見て、胸の内に微かな罪悪感が芽生えた。
(……やりすぎたかな)
そんな気持ちをごまかしたくて、腕をなでさすり、手首をぺろりと舐めてみた。
「痛む?跡になってる。もっと早くほどいてあげればよかったね」
しかしドキンは頓着しない様子で首を振り、
「少し痺れてるけど大丈夫」
と、はにかむような笑顔を見せる。
「もう、まっくらなのね」
彼女の視線を追って、窓の外に目を向ける。
すっかり曇ったガラス越しでも、既にとっぷりと日の暮れているのがわかる。
「これからどうする?お腹がすかない?」
ドキンの腕が伸び、彼女の衣服をつかむと、恥ずかしそうにその身を隠した。
「ええ。本当をいうと、もうぺこぺこなの」
「身体がつらくなかったら、何か食べに行こうか」
何気ない気持ちでそう告げると、ドキンはぱっと上体を起こし、目を見開いて叫んだ。 「え……え?一緒に?いいの!?」
先ほどとはまるで違った期待と喜びに上気する顔を見て、面食らう。
そしてふいに腑に落ちた。
「まいったな。それってそんなに特別なことかい」
否が自分にあるのは明らかだった。
(釣った魚に餌はやらないってやつだよね)
思い返してみれば、外食どころか二人で外出した記憶すらろくにない。
いかにもそういうデートまがいのことを好みそうな彼女が、
思い出に飢えていても無理はなかった。
しょくぱんまんは手を伸ばし、少女の頭を優しくなでた。
「たまにはね、ごちそうするよ。日没が早いぶん夜は長いから、
きっとゆっくりできるよね」
そのとき少女が浮かべた笑みは、まさに花のほころぶようで――
こんな気まぐれも悪くはないかと思わせるのに十分なものだった。
「ありがとうしょくぱんまんさま」
「お礼を言うのはまだ早いよ」
ドキンは首を振った。
「ううん、すごく嬉しい。ありがとう」
喜ばしいような後ろめたいような、くすぐったい気持ちになって、
軽くついばむようなキスをした。
まあ、自分の不甲斐なさを身につまされたとしても、笑ってくれるなら別にいい。
「何が食べたいですか。お姫様」
そう言って、しょくぱんまんはそっとドキンの手をとった。
END >>56
GJ いつかあなたみたいな文章を書いてみたい ばいきんまん×メロンパンナ 投下
エロと呼ぶには申し訳ないくらい大したことないエロ
遠くまで連なっている山々の割れ目へと、太陽がじわじわと沈んでいく。
日の入りを迎えた街は段々と薄暗くなっていった。
はちみつを垂らしたような色の空が、東の空から真上の空へと徐々に広がるように緑や紫がかってくる。
「んお?」
くらやみ谷に生えている薬草を採りにいって、バイキン城に帰る途中だったばいきんまんは、
ぽっかりと開けた原っぱにひとつの影を見つけてUFOを止める。
ハッチを開けて身を乗り出す。
一本だけ生えている寂しい木の幹によりかかって、メロンパンナが空をぼんやりと見上げていた。
その木の斜め後ろに位置し、更に空中にいるばいきんまんにメロンパンナは気付かないようで、彼女は空を見続ける。
しかし一番星を探しているわけでも、どこからか姉が飛んでくるのを待っているわけでもなく、
彼女の様子からは期待や不安が全く見られない。ただぼんやりとしているだけだ。
(……なんだ?)
らしくない様子にばいきんまんは訝しんだが、メロンパンナは憎き宿敵、アンパンマンの仲間である。
(おれさまには関係ないし)
ハッチを閉め、レバーを引いて帰路を進む。
が、数メートル進むごとにメロンパンナを見下ろし、
全く動く様子がない彼女の姿に閉口して、どうしてだかいらいらした。
「……だあもう!」
ばいきんまんの頭上で一番星がはっきりと輝きだした頃、
5回目にしてやっとばいきんまんは前の4回とは違って、
首だけで振り返るだけでなくUFOごとターンする。
ぐんぐん高度を下げていって、メロンパンナに近寄る。
「やいメロンパンナ!」
斜め後ろから声を掛けられたメロンパンナは、突然の声にも驚かず、
頭を上げるのと同じタイミングに声がかったから、そのついでにとでもいうように振り返った。
「? ……あ、ばいきんまん」
「『なーんだ』とはなんだ!」
「そんなこと言ってないもん」
「顔が言ってたの!」
ぽかんともせず、かといってがっかりした顔でもなかったが、
メロンパンナの表情はばいきんまんにそう言わせるのに十分だった。
けれども、一人でぷんすか怒っているばいきんまんにも彼女は臆さない。
「今日はアンパンマンと一緒じゃないよ」
「見ればわかる、おれさまはお前に話しかけたんだ」
ぱちくりと瞬き、メロンパンナは返事に困ったように体育座りの姿勢を取り直した。
黙る彼女の傍らには膨らんだピンクのリュックサックが放り投げてあった。
「どうしたのだ。家出か?」
「ばいきんまんじゃあるまいし」
「何をぉ!」
実際に、ドキンちゃんと喧嘩をする度に高確率で自分が自分の城から
出ていかされているばいきんまんは、つのをぴょんと立てて怒鳴る。
「ウサ子ちゃんのお家にお泊まりする予定だったんだけどね、
ウサ子ちゃんのお家の用事で駄目になっちゃったんだぁ」
それもさらりと流し、メロンパンナはそう告げる。
ばいきんまんもメロンパンナのペースに乗せられ、流されたものを一々掘り返さなかった。
「ふーん。じゃあ寄り道してないでさっさと帰れば」
「うん」
「ジャムも心配してるぞ」
「ジャムおじさんにはまだお泊まりが中止になったって言ってないの」
「でも帰らないわけにはいかないのだ。日が沈んだらすぐ暗くなるし」
「ねぇばいきんまん、何か企んでる?」
「なんで」
「なんだか優しいから」
「ばか言うな!」 失礼な! と叫ぶのではないのだ。ばいきんまんが、ドキンちゃんにはともかく他の奴ら、
それもヒーローに優しいなんてことは絶対にあってはいけないのだから。
「ふん、おれさま帰る。お前もとっとと帰るんだな」
へそを曲げ、エンジンを噴かせてばいきんまんは飛び立つ。
離れ離れの姉を想って、約束もないのにあそこに留まっているのでもなければ、
パン工場の誰かと喧嘩をして出てきたのでもない。
いいや、彼女にどんな事情があったとしても、ばいきんまんがそれに関わる必要は全くない。
どんどん小さくなっていくバイキンUFOを見送って、メロンパンナはふうと息を吐く。
お泊りが中止になった以上、パン工場に帰らなくてはいけない。
帰りたくないのではないのだが、歩くのも飛ぶのもなんだか億劫で、
ちょっと休憩するつもりが思ったより長くなってしまっているだけだ。
今日はウサ子ちゃんとネコ美ちゃんと一緒に、可愛いパジャマを着て、
眠ってしまうまでお喋りするつもりだったのにな。
メロンパンナは目を閉じた。もう夕暮れだから、薄いまぶたを透かして太陽の光が入ってくることもない。
……。
………。
「……今日はドキンちゃんがデザートにプリンをつくるって張り切ってるのだ」
まぶたを押し上げると、バイキンUFOがすぐそばに浮いていた。
「晩ごはんはホラーマンがビーフシチューをつくるって」
きょとんとするメロンパンナに、ばいきんまんは操縦パネルに肘をついてそっぽを向く。
「ふたりとも作りすぎて余らせる天才だから、お前が来ればちょうどいいのかもな」
ぱちぱちと何回か瞬いて、それからゆっくりとメロンパンナの大きな目がひっくり返した三日月をかたどった。
ふんわりと浮いて、バイキンUFOと並ぶ。
「はーん、勘違いするなよ。おれさまひとりで余り物食べたくないだけだ!」
まだ何も言っていないのに言い訳をするばいきんまんに頷いて見せ、
メロンパンナはガラスのハッチに取り付けられた2本のつのの間に座る。
SLマンのように出発進行!とも言わず、鳴らす汽笛もないから、ばいきんまんは黙ってレバーを押す。
「わあ。こうやって飛ぶのもマントと違って楽しい」
ハッチの天辺に座ったメロンパンナがぱたぱたと足を交互に動かす度に、こつんこつんとガラスを叩いた。
絶壁の崖の上に建つバイキン城の、大きく開かれた口からばいきんUFOは城の中に入る。
「お邪魔しまーす」
ハッチから飛び降り、きょろきょろと周りを見回すメロンパンナを、
この城では聞きなれない声を聞きつけてやってきたドキンちゃんが見つけ、ぎょっとしてこんな声をあげた。
「わっ、メロンパンナじゃない! どうしたのよばいきんまん」
「どうもしないのだ。おれさま忙しいからご飯出来たら呼んでね」
ドキンちゃんに問い詰められる前に、ホラーマンがメロンパンナを見つける前にと、
ばいきんまんは急いでラボに引っ込む。
ばいきんまんを招き入れ、ラボの自動ドアが閉まった。と思えば、またすぐに開き、
「メロンパンナ、ドキンちゃんに迷惑かけるんじゃないぞ!」
メロンパンナにそう言いつけた。
「はーい」
ミミ先生に言われたように、メロンパンナは元気良く手を挙げる。
「なぁに考えてんだか。囮にしてロールパンナでも焚きつけるつもりかしら」
誰にも聞こえない小ささで、ドキンちゃんが呟いた。
ふよふよと宙に浮いてあちこちを探索していると、ひときわ大きな扉で行き止まりになっていた。
わくわくしながらメロンパンナがドアの前に立つと、取っ手を探すよりも先に、するりと勝手に扉が開いてしまう。
何もかもがメルヘンとアナログでできている町とは違って、このお城はどこもかしこもメカメカしい。
部屋の中に足を踏み入れる。随分と埃っぽくて、そのくせ湿っぽくて、メロンパンナには適さない環境だった。
「すごい……」
しかし、それも一瞬で吹き飛んでしまうほどだった。
どうやらここは図書室のようで、壁一面に高い高い天井まで届く本棚が並べられている。
そこにはぎちぎちに本が押し込まれていて、それだけでなく床にも何百冊もの本が堆く積まれていた。
いつかメロンパンナが見つけた、バッドエンドで終わっているだけでなく、
その後ろにもずうっと白紙のページが続いているシンデレラの絵本がしまってあった
図書館にも引けをとらないほどの規模だ。 「えーっと、バイキン星の歴史、なんとか……なんとか学。なんて読むのかなぁ」
背表紙を眺めるだけでも楽しい。学校の図書室にはない本ばかりだ。
「うわっ」
床に積まれた本につまづき、メロンパンナは本の山に突っ込む。
「いたた……」
体の上に被さった本をばらまきながら起き上がり、メロンパンナはぷるぷると首を振った。
そして目にとまった、何冊も重なった本の上、滑り落ちそうになっている一冊のノートを手に取る。
表紙はぼろぼろで、捲っていない状態でも中の紙も黄ばんでしまっているのが見える。
本はともかく、ノートは勝手に見ては悪いと思い、メロンパンナはそれを元あった本の山の天辺に置いた。
しかし、表紙同士が上手く引っかからずに滑り落ちてしまった。
ひっついて固まってしまっているページだらけの中、何度も開かれて癖がついたページがばさりと上を向く。
アンパンマン
肩をびくつかせてメロンパンナは弾かれたように飛び上がり、入り口まですっ飛び、急いで両手でドアを押した。
しかしドアはピクリともしない。はっとして、浮かせていた体を床に引かれたマットにつける。
それでようやく自動ドアが開き始めるが、メロンパンナは最後まで待たずに、
まだ狭い隙間を無理やり通って部屋から転がり出た。
ぞうっとして、寒気を抱えながらメロンパンナは図書室から離れる。
アンパンマン……と彼の名前だけ書かれていたあのページ、
ばいきんまんはどんな顔で、どういう経緯で書いたのだろう。
ペンを握る手はどうだったんだろう。生き生きとしていた? それとも震えていた?
あのページの後のページには、何が書かれてあるんだろう。彼を倒す研究か、彼の分析か。
ひょっとしたら何も書かれていないのかもしれない。捨ててしまうつもりだったのかも。
通路を歩いて、最初に見つけた角を曲がると、メロンパンナの小さな鼻を良い匂いがくすぐった。
こっそり覗こうとしたのだが、ドアはメロンパンナを感知してさっさと開いてしまった。
ここのシステムには慣れそうにない。
「もうちょっとでできますよ〜……ホラぁ! メロンパンナちゃんじゃありませんか」
エプロンを身につけてキッチンに立っていたホラーマンが音と気配に振り返り、彼女を見て頭蓋骨を飛び跳ねさせた。
そのままぽんぽんとこちらに跳ねてくるホラーマンの頭を受け止め、メロンパンナはにっこり笑う。
「こんにちはホラーマン。お邪魔してまーす」
「一体どうしてここに?」
「ばいきんまんが連れて来てくれたの」
「そうですか。ホラーマン、お客さんは誰でも大歓迎ですよ。ホラホラ、ホラホラ」
ホラーマンはあっさりとメロンパンナを迎え入れた。
敵も味方も関係のない彼がいるのは、メロンパンナにとって安心できる重要なポイントだった。
ホラーマンがビーフシチューをつくっているのに並び、調味料を渡したりお皿を用意してお手伝いしていると、
ドキンちゃんがやってきた。
「プリンつくりに来たわ。固める時間が必要だし」
ホラーマンの隣のメロンパンナをちらっと見てから、
ドキンちゃんは冷蔵庫から卵や牛乳、棚からボウルや銀色のカップを取り出す。
材料と調理器具をキッチンテーブルに並べ、彼女は可愛らしいふりふりのエプロンを身につけた。
レシピを片手に、ドキンちゃんはプリンづくりを進めていく。
溶いた卵に牛乳を注ごうとすると、脇から声がかかった。
「あ、ドキンちゃん、牛乳は温めてから混ぜないと」
そう言ったのはシチューで手が塞がっているホラーマンではない。メロンパンナだ。
「あんたつくりかた知ってるの?」
「うん」
「そう。じゃあ教えなさい」
「ふふふ、いいよ」
いつもの態度に、メロンパンナは思わず笑う。
「ドキンちゃん、その牛乳、砂糖入れた?」
「まだ」
瓶から砂糖をさじで掬い、メロンパンナはドキンちゃんの持つカップに入れた。
「はい。これでおっけー」
その後もメロンパンナは、牛乳と卵を容器に注ぐ前に「ざるでこさないとね」と教えたり、
ドキンちゃんが参考にしていたレシピに更に細かい手順を書きこんだり、最後まで彼女のプリンづくりを手伝っていた。
ドキンちゃんのプリンよりも先にシチューをつくり終えていたホラーマンは、
彼女が自分を頼って来るのを期待していたのだが、しかしそれはそれ。
メロンパンナに教えられてプリンが完成に近付くにつれ、笑顔が増えていくドキンちゃんを微笑んで見守っていた。 「さて、じゃあばいきんまんを呼んで来てくれますか?」
冷蔵庫の前に椅子を置いて、うきうきとしているドキンちゃんには頼めないホラーマンは、
後片付けをしようとしていたメロンパンナにそうお願いする。
「あ…ごめんね、あたしどこにばいきんまんがいるのかわかんないや」
ばいきんまんと聞いて、先程のノートを思い出し、メロンパンナは咄嗟にそう言った。
本当はばいきんまんが入っていくのを見たから、彼が今籠っているラボの場所は解っている。
「ホラッ、そうでした。じゃあわたしが呼んできます」
ホラーマンのビーフシチューは、バタコさんやジャムおじさんがつくったものとはまた違って美味しかった。
交わされた会話は、しょくぱんまんについて、ドキンちゃんがメロンパンナに熱心に語り、
聞きたがり、シチューを口に運ぶ合間合間にメロンパンナがそれに答えるのが主で、
そこにたまにホラーマンが口を挟んだりしていた。
食事中、ばいきんまんは一言も喋らず、食べ終わったらすぐにまたラボへと向かった。
冷蔵庫に入れてからそう経っていないプリンは十分に固まっていなくて、結局明日の朝に食べることになった。
かびるんるんややみるんるんも眠りについた真夜中、
ドキンちゃんの部屋のソファーで眠っていたメロンパンナは、
寝返りを打ったドキンちゃんが壁を蹴った音に目が覚めてしまった。
眠り易い体勢を取り直して、再び寝ようとするけれど、まぶたを閉じても眠気がやってこない。
しばらくもぞもぞとしていたが、背もたれに座らされていたしょくぱんまん人形が顔に降ってきたのを境に諦めた。
ぐっすりと眠っているドキンちゃんを、メロンパンナは起こさないように抜き足差し足で部屋を出る。
ばいきんまんのラボの前を通りかかると、扉のごく狭い隙間から通路へと一筋の光が漏れていた。
近寄り、開いたドアからラボへと一歩踏みいる。
静かに扉が閉まる音がしても、ばいきんまんはこちらを振り向かない。
かちゃかちゃとガラス棒でビーカーの中身をかき混ぜ、試験管を傾けてカラフルな液体を注ぐ。
デスクの上のガラスケースには、バイキン城に来るまでのUFOの操縦席にのっていた薬草がしまわれていた。
一呼吸置いて、メロンパンナはばいきんまんの白衣の背中に問いかける。
「何してるの?」
「アンパンマンを倒――」
「ばいきんまん!」
メロンパンナの声と共に、けたたましい音が響く。
冷たい床を蹴って一息に飛び立ったメロンパンナが回り込み、ばいきんまんの両肩を掴んで押し倒したのだ。
したたかに頭を打ったばいきんまんは、メロンパンナを鋭く睨みつけて怒鳴る。
「何すんだ!!」
「そんなことよりあたしともっと面白い遊びしよう! ね?」
ばいきんまんの腿を挟むように床に膝をつき、メロンパンナは彼の胸に手を置いて、ぐっと体を倒す。
ちょうど新しい薬品を注ごうと手にしていた空の試験管が、ばいきんまんの手を離れ冷たい床を転がっていく。
肘をついて起き上がろうとするばいきんまんは、必然的に彼からもメロンパンナに顔を近づけ、至近距離で吐き捨てた。
「おれさまはアンパンマンを倒すために生まれてきたのだ。そのための発明が一番面白い!
大体、お前の言う面白いことなんて、どーせつまんないことばっかりに決まってる」
「そんなことないもん。パンづくりとか、クッキー焼いたりとか、お絵かきしたりとか、面白いこといっぱい知ってるわ!
つまんなくない!」
負けじと言い返すメロンパンナだったが、ばいきんまんはそれを聞いてますます顔を歪めた。
「げぇ、お菓子作りにお絵かき? おれさま食べるの好きだけど作るの大嫌い!」
大きく口を開いて反論しようとするが、それよりも早くばいきんまんはメロンパンナの額を片手で強く押した。
「いつまで乗っかってるんだ、どけ!!」
よろけて、メロンパンナは床に転がった。
ぺたんと座りこんだメロンパンナが、立ちあがったばいきんまんをきつい目つきで見上げる。
「どれもこれも夜中にすることじゃないのだ。虫歯になっちゃうぞ」
ばいきんが言う台詞ではない。それも正義のヒーローに。
「いい子はとっとと寝るんだな」
向けられた背中はこれでお終いだと語っていた。
でも、メロンパンナは立ち去らない。
もう一度、今度はデスクの上に立って、出来る限り高圧的な態度を作ってばいきんまんを見下ろす。
「ばいきんまんが止めてくれたら寝る」
「やぁーなこった」 「じゃあ寝ない。メロンパンナ、いい子じゃなくていい」
「それはおれさまひとりで十分」
「ほんとはいいとこもあるくせに」
「ふーんだ! お前に何が解る。ロールパンナがパン工場でお前と暮らせない理由、よーく思い出してみろ」
「もちろんおねえちゃんのことはあたし、ばいきんまんを許さない。絶対に絶対に許さない」
沈黙が、広いラボの狭い空間を埋めた。
その沈黙に身を沈めるように、ばいきんまんはしばらくぴくりとも動かないで、
メロンパンナを座った目で見て、それからやっと口を開く。
「どけ」
「いや」
「どーけ!」
「いーや!」
「どけどけどけどけどけどけ!」
「いやいやいやいやいやいや!」
「どけって言ってるだろー! いい加減にしないと、きっつーいばいきんキックをお見舞い――」
「メロンパンナの! メロメロパーンチ!」
きゅんわん!
ぴょろろろろろろ〜ん
聞きなれたあの効果音と、弾けたハートがそこらじゅうを飛び交ってラボをいっぱいにする。
「はぁあん オレサマなんだか……メ・ロ・メ・ロ〜ン」
目をハートにして、くなくなと体を左右にくねらせるばいきんまんに、
メロンパンナはデスクで仁王立ちをしたまま、今度は腰にメロメロパンチを放った後の拳を当ててポーズをとった。
「ばいきんまん」
「はぁ〜い……」
「ベッドに行きなさい」
「はあぁ〜いん……」
ふらふらとおぼつかない足取りで、ばいきんまんはラボを出ていく。メロンパンナもそれに続く。
彼の部屋のベッドにばいきんまんが入るのを見て、
「うんっ、よろしい!」
とメロンパンナは機嫌良く頷く。
ばいきんまんが完全に眠ってしまうまで見張ろうと、メロンパンナは何歩か離れたところに陣取る。のだが。
ごろん。ふにゃふにゃになっているから体が落ち着かないのか、ばいきんまんがベッドから転がり落ちた。
「あっ、もう」
メロメロ〜……と言い続けるばいきんまんを、メロンパンナはうんうん唸ってもう一度ベッドの上に押し上げる。
しかし、せっかく戻してあげたというのに、一分も経たない内にばいきんまんはまたベッドから滑り落ちてしまった。
「しょうがないなぁ、ばいきんまんは」
やれやれと首を振り、またばいきんまんをベッドで寝かせて、
メロンパンナはすかさず自分自身を押し込むように布団の中に潜りこんだ。
ばいきんまんに体を押しつけるようにして並ぶ。これでそう簡単には落ちないだろう。
「変な顔〜……」
つやつやしたハート型の目と、とろけきった顔を改めて間近で見て、メロンパンナは他人事のように呟いた。
「どぅはっ!?」
目覚めた瞬間、ばいきんまんはメロメロパンチを食らう直前までの記憶を吹き出すように思い出して、
それで嫌な汗をかき、更に傍らにいるものに対しておかしな声を上げた。
「あ、効き目切れた」
ばいきんまんの隣にちょこんと、しかししっかりと自分のスペースをとって
横たわって見張っていたメロンパンナが、抜けた声を出す。
ばいきんまんはベッドから飛び上がり、すぐ後ろの壁に背中を激突させる。
「ぎゃああっ! メロンパンナ!! どうしてここに!」
「だってばいきんまん、ふにゃふにゃ寝返り打って何回もベッドから落ちるんだもん。大変だったんだから」
「お前のせいだろ!」
けろりとしているメロンパンナを押し退け、ばいきんまんはベッドから抜け出す。
ご丁寧に壁にかけられた白衣をハンガーからむしり、羽織りながら扉へと向かう。
「どこいくの?」
「研究の続き」
「だめって言ってるでしょ!」 空を切り、メロンパンナはばいきんまんとの前に立った。両手をいっぱい広げてとうせんぼうする。
その脇をすり抜けようとするばいきんまんを通さないように、
彼の動きに合わせてちょこまかと動いていたメロンパンナだったが、埒が明かないと両手を振り上げた。
「そんなことより、メロンパンナと遊ぶ方がぜーったいに楽しいんだから! えーい!」
上げた手を振り下ろし、ばいきんまんの肩を掴んで勢いづけて押し倒す。
「……なんだぁ?」
研究を止めるために切羽詰まっていた先程の彼女ならいざ知らず、
確かにさっき「遊ぶ」と言ったメロンパンナが今取ったこの行動はずれている。
遊ぶって、まさかパンチ合戦のことじゃないだろうな。
再び痛めた背中に顔を顰めていると、腹に乗り上がってきたメロンパンナは、
決心した表情でばいきんまんを見下ろし、宣言した。
「メロメロパンチなしでばいきんまんをメロメロにしてあげる!」
パジャマのボタンを外し、脱いでしまって脇に放る。しかし中はいつもの、代わり映えのしないヒーロースーツだ。
「アンパンマンのことなんてちっとも考えられないようにしちゃうんだからね」
羽織っていただけで前をとめていなかった白衣を、メロンパンナは更にかき分け、
足にかかっていたばいきんまんの白衣を足で撫でて床に落とす。
「えーっと」
しかし、そこからのメロンパンナは、ばいきんまんの胸やら腹やら、時には顔面やらをぺたぺたと両手で触れるだけだ。
正直、ヒーローに好き勝手にされるのは気分が悪かったが、
こんなに短時間で二回もメロメロパンチを貰いたくないので、
ばいきんまんは抵抗らしい抵抗をせずにいた。
体はぴくりとも動かさないが、ばいきんまんは代わりに口を動かす。
「何がしたいんだ」
「学校の本で読んだの。『こうして裸で抱き合うと気持ち良くなって、大人はとても安心するのです』って」
「おれさまもともと裸なのだ」
「それにね、大人が裸で抱き合うと、弟や妹ができて、あたし達にプレゼントしてくれるんだって」
「お前達はそうやって生まれたんじゃないだろ」
「うん、ジャムおじさんが作ってくれたの」
ぽんぽんと答えを返しながら、メロンパンナはばいきんまんの脇腹に手を這わせる。
「確か服を脱がせて、こうやって…」
「だから一体どうしたいん………!?」
「こちょこちょこちょこちょ」
「どわっ、おいメロン…」
「こしょこしょこしょこしょ」
「ぶっ、ふふ……!」
「このこのこのこの」
「ぐふふ」
「うりゃうりゃうりゃうりゃ」
「だはははは! あはははははははは!
って、そうじゃないっ!」
一頻り大笑いして、そのせいで涙ぐみながら、ばいきんまんはメロンパンナの肩を、
その上にかかったマントと一緒に掴んで止めさせる。
「え、くすぐるんでしょ?」
「ぜんぜんちがーう! ちょっとおれさまに貸してみろ」
「はい」
「枕をじゃない!」
ぼすっ。メロンパンナが寄こしてきた枕を、彼女の顔を目がけて投げる。
それを避けられず、顔面でそれを受け止めてしまったメロンパンナはそのまま後ろにぱったりと倒れた。
「うう、ばいきんまんひどい、いじわる」
「そんなに褒められたらぼくちゃん照れちゃうな」
「褒めてないってば」
マントをばさりと払いのけ、ばいきんまんはメロンパンナの胸のmの上に手を置く。
「なんかこんな感じだった気がするのだ。良くわかんないけど」
ドキンちゃんがばいきんせんにんの魔法の筆を借りたいと言い出し、
その自宅を訪ねた際に、彼の部屋に置いてあった巻物。
アンパンマンを倒せるような強力な術を盗んでやろうとしていたばいきんまんは、
ドキンちゃんとせんにんが早速外で筆を試している間に、こっそりとそれを盗み見た。
長い長いその巻物に描かれていたのは、強くなる術ではなかった。
メロンパンナが学校の図書室で読んだという、その内容をもう少し、
ばいきんせんにん好みにしたものだったのだ。 それを思い出し、それに倣ってメロンパンナの体を撫でてやるのだが、
ばいきんまんの手つきは幼すぎるし、それよりも幼い彼女はそこから「いいもの」を拾えるわけがない。
体を撫でられるにつれ、メロンパンナは顔を徐々に赤らめていって、
声が漏れそうになるのを懸命に堪えるのだが、
「やっ」
がくんと、ばいきんまんが跨って押さえている足が跳ねる。
慌ててメロンパンナはぱちんと口を両手で覆った。
「ばいきんまん、ひゃめて」
「やーだよ」
一時的に片手を離し、人差し指で目尻を下げてあっかんべーをする。
それにメロンパンナはむっとした表情をつくり、何か言おうとするが、
言葉が発せられる前にばいきんまんの手が胸元を滑り、ぐっと唇を噛みしめた。
けれど、メロンパンナの甘い声はどんどん声が溢れるように発せられ、ついには、
「あっ…ひ」
と短く漏らした。
それを聞いて、ばいきんまんがより素早く手を動かすと、
くにゃくにゃと体を床に擦りつけるようにくねらせ、じたばたと足をばたつかせる。
そしてとうとう我慢しきれずに、
「あはははは! やだくすぐったい!」
両手を離してめいっぱい笑い始めた。体を反り返し、
ずうっと我慢していた分をいっぺんに吐き出すように笑い声を弾ませる。
けらけらと笑い続けるメロンパンナに「ざまみろ」な気分で、
つまりはにっくきヒーローに気持ち良く勝って清々しくしているばいきんまんは、
せんにんの巻物の内容になんてもうとっくにこだわっていなかった。
「へへーん、どうだ! 今回ばかりはおれさまのだーいしょうり!」
「うあん、負けちゃったよう」
えへんと胸を張るばいきんまんの足元に、メロンパンナが崩れる。
そのしおらしいまま、すごすごと部屋に戻っていくのかと思っていたら、
「お返し!」
いきなり跳ね起き、メロンパンナはばいきんまんを突き飛ばした。
「いっ!」
叩きつけられるように強く尻もちをつき、
走る痛みにばいきんまんはメロンパンナを怒鳴ろうとする。
しかしそれよりも、勢いづいたメロンパンナがばいきんまんのしっぽを握るのが先だった。
「おわ」
間抜けな声が漏れる。いきなりのことに足が跳ねあがり、
慌てて逃げようとするが、強く握られていてそれも叶わない。
「ずうっとさわってみたかったの、これ」
まるで楽しいおもちゃを貰った子どものように、メロンパンナはばいきんまんのしっぽを引っ張る。
「ドキンちゃんに触らせてもらえ」
「怒られそうなんだもん」
「おれさまだって怒るぞ!」
握った拳を肩まで上げて脅かすが、メロンパンナは聞いちゃいない。
「いいなあ、あたしもしっぽ欲しい」
「ぐう……、やめろ、メロンパンナ」
ぎゅっと強く握られたり、かと思えば優しくなでられたりと、
小さな手の中で遊ばれる内に、ばいきんまんのしっぽはぴくぴくと震えていった。
くすぐられていた時に感じた、単純なくすぐったさとはまた違ったものがしっぽのさきから付け根を通り、
背中を走ってつのへと抜けていく。
「わあ。見てばいきんまん、しっぽぷるぷるしてる。どうして?」
「知るもんか」
「自分のなのにー?」
良く見ようと、メロンパンナはばいきんまんのしっぽを握ったまま、それに顔を近づけるために屈みこむ。
その弾みでメロンパンナはそれをより一層強く握ってしまい、一段と大きくしっぽと体が揺れた。
ずたたたんっ
「ふわぁ………顔が濡れて力が出ない」 あのSEと共に、メロンパンナの目がばってんになる。
メロンパンナの顔を駄目にしたのは、いつもの泥でもなければ水でも、かびるんるんでもなかった。
生卵の白身をもっと粘っこく、もっと白くしたようなどろどろだ。
薄いクリーム色の顔、オレンジ色のほっぺ、目元に入ったチェックの柄にまだらにかかってしまっている。
「やったやったー! ついにメロンパンナを倒したぞー!」
それがどこから出てきたのか、そもそもなにが起きたのか良く解らない。
ただしっぽが変にすうすうとしていて、しかし何故だか熱を持っているのが解るだけ。
が、それでも反射のようにばいきんまんはお馴染みの台詞を改変して口走る。
「うう……。ばいきんまん、ジャムおじさんに知らせて…」
「任せろ! ジャムおじさ〜ん!」
震える声で助けを求めるメロンパンナ。
それに答えてどんと胸を叩き、ばいきんまんはパン職人の名を呼びながら、
部屋の片隅にごちゃごちゃと転がるがらくたの小山に手を突っ込む。
「メロンパンナちゃん、新しい顔よ! そーれ!」
床に倒れているメロンパンナの顔の前まで滑り、探し出したドライヤーのスイッチをオンにする。
熱い風が吹き出され、火傷をしない距離ぎりぎりまで、それをメロンパンナの汚れた顔に持っていく。
熱風が良く当たる、鼻の周りからどんどんとどろどろが乾いていき、乾いた面積が広くなるにつれ、
メロンパンナの目はばってんからまんまるに、いつもの緑色を取り戻していった。
あらかた乾いたのでスイッチを切り、ぱりぱりになってしまった白いものを、
ばいきんまんは手でこすってやる。
ぽろぽろと剥がれて落ちるそれに、研究価値はあるのか首を傾げて考えていると、
完全にぱっちりした目に戻ったメロンパンナが立ち上がった。
「可愛さ100倍、メロンパンナ!」
「げえぇっ!」
「もう許さないわよ、ばいきんまん!」
「何をぉ〜、生意気な! 食らえぇ、ばいきんパーン」
「メローンパーンチ!」
「ばいばいき〜ん!」
メロメロパンチではないパンチを食らって、ばいきんまんは大袈裟に吹っ飛び、
がらくたの山に頭から突っ込む。
「ごめんばいきんまん。やりすぎちゃった」
がらくたから飛び出す2本の足がひくひくしているのを見て、
メロンパンナはそこに駆け寄り、足を引っ張った。
がらくたをまぜっ返しながら救助されたばいきんまんは、
メロンパンナに引っくり返されて床に足をつけた途端、彼女の手を振りほどく。
くしゃくしゃになってしまった白衣を脱ぎ、放り投げる。一つ、大きなあくびが口をついて出てきた。。
なんだか体がだるい。打倒アンパンマンのトレーニングをした後よりも、
アンパンマンにバイキン城まで吹っ飛ばされた後よりもだ。
「くだらない、付き合ってられるか。おれさまもう寝る」
「研究は?」
「中止だ中止」
伸びをしながらベッドに向かって歩いていたばいきんまんはそう言ってから、
ぎくりと歩みを止めたがもう遅い。
そろー…と振り返ると、予想通り、目をきらきらさせたメロンパンナが自分を見つめていた。
「今日だけ、今日だけだからな!」
真っ直ぐな視線にやられて慌てて両手を振り上げ、じだんだを踏んで強調するばいきんまんだったが、
「ありがとう、ばいきんまん」
とメロンパンナに微笑まれ、手を下ろしてしまった。
何故礼を言うのか。ばいきんまんにはそれがさっぱり解らないし、ちっとも解りたいと思わない。 「お前も早く寝ろ」
ベッドに飛び乗り、ばいきんまんは通路へと出る扉を指差す。
「うん。でも、ソファーって寝にくくって。しょくぱんまんの人形に押しつぶされちゃいそう」
「………」
言っていることとは裏腹に、メロンパンナはにこにこと笑っている。
布団に潜りながらもばいきんまんは目線をメロンパンナから外さず、
メロンパンナはメロンパンナでじと目で見てくるばいきんまんの視線を真正面から受け止めた。
ばいきんまんが折れるのは早かった。一分も持たずに、ばいきんまんは布団の端っこをぺらりとめくった。
「おら、寒いから早くしろ!」
「えへ、お邪魔しまーす!」
ぴょんと爪先で跳ねて、メロンパンナはそのままベッドへと飛んでいく。
頭がすっぽり隠れるまで潜って、メロンパンナは顔を外に出す。
「あったかーい。ふふ、お休みばいきんまん」
「ふん」
挨拶は返さない。それだけでなく、
ばいきんまんはメロンパンナの方ではない、壁に向かい合ってまぶたを下ろした。
眼球が休まる心地よい感覚に比べて、
すぐ隣から伝わる微弱な熱と気配はとんでもなく居心地が悪かった。
疲れていたのにろくに眠れなかったばいきんまんは、
甘ったるい香りで目覚め、微かに痛む頭を押さえながら朝食の席に向かった。
オーブンの前に立ち、鼻歌を歌っていたメロンパンナは
ばいきんまんの足音を敏感に聞きつけ、彼がキッチンの自動ドアを開けちょうどその時に振り返った。
「おそよう。ねぼすけさん」
それには返さず、ばいきんまんは寝不足でつのとしっぽをだらりとさせながら、匂いの元に近寄る。
彼の歩みに合わせたように、ちんと可愛らしいベルが鳴り、メロンパンナはオーブンの蓋を開ける。
鉄板には、いびつな形のパンがいくつも並べられていた。
「なんだこれ」
「メロンパンよ」
「へったくそ」
いつもの意地悪ではない、いいや、寝不足の原因であった彼女に対する
意地悪な部分もそりゃああったけれど、それを差し引いても美味しそうな出来栄えではなかった。
しかし、
「ふわぁあ……んー、いい匂い。なに?」
起きぬけのドキンちゃんを引き寄せたくらい、匂いはとても優しく、魅力的なものだった。
「おはようドキンちゃん。メロンパンナ特性メロンパンだよ」
ところどころ焦げてしまっているが、それも真っ黒ではなく
微かに色づいているという程度で、却ってそれが香ばしい匂いを放っている。
くんくんと鼻を近づけて香りを楽しんでから、ドキンちゃんはメロンパンナを見上げる。
「見た目は可愛くないけど、おいしそうな匂いね。
あら、メロンパンナ、なんか顔が汚れてるわよ?」
ところどころ、白くて細かい、ぱりぱりしたものが顔に貼りついているのを見つけ、
ドキンちゃんは目を丸くした。
「ちょっとパン生地をつくる時に顔に跳ねちゃって。
帰ったらジャムおじさんに新しいのを焼いてもらおうっと」
おでこをこつんと叩いて、メロンパンナはちょこっと舌を見せる。
その会話を背後に置き去りにして、ばいきんまんは足早に洗面所へと駆けていった。
結局、朝食の席にばいきんまんは来なかった。
「どうせ部屋で二度寝しちゃってるのよ」
ドキンちゃんはそう言って、食後のレモンティーに口をつける。
「ばいきんまんらしいですねぇ」
ホラーマンにメロンパンを褒めてもらってご機嫌だったメロンパンナは、
ふたりの会話に一瞬だけ顔を曇らせた。
情けない表情が濃い飴色をしたレモンティーの水面に映る。
それを飲み込むようにメロンパンナはカップを傾けた。 そんなメロンパンナの落ち込んだ気分を上向きにし、彼女を喜ばせたのは、
デザートのプリン…もとい、ドキンちゃんちゃんだった。
プリンは四つ。ばいきんまん曰く、つくり過ぎて余らせる天才だそうだが、
今回はその才能は発揮されなかったようだ。
先日、プリン用のカップの数を数えた時点で、ドキンちゃんとばいきんまんとホラーマンと、
最後の一つは言わずもがな……と予想をつけていたメロンパンナは、
差し出されたプリンにひゅっと目を見開いた。
「しょくぱんまんにじゃないの?」
「そのつもりだったけど、いいわよ、あんた食べなさい」
ぶっきらぼうに言い放ち、ドキンちゃんはスプーンで大きくプリンを掬う。
そんな彼女をまじまじと見つめて、焼きたての時のようにほかほかするほっぺたを押さえ、
メロンパンナはスプーンを手に取った。
「ありがとう、ドキンちゃん」
「ふん。ホラーマンの分を無しにするから平気よ」
「そんなぁ!」
シンプルで、でもちゃんと甘くて、舌触りのいいプリンだった。
デザートも食べ終わり、朝の時間も過ぎたので、
メロンパンナはリュックを背負って出口の手前に立つ。
バイキン城の開かれた口から見上げる空は、黒くて分厚い雲がいくつにも重なっていて、
なかなか太陽の光が差し込まない。
いつでも日光に恵まれているところに住んでいるメロンパンナは、
ばいきんまんたちのこの空が自分たちの空と同じだとは知っていても、ぴんとはこなかった。
「また来なさいね」
「いつでもお待ちしてるんですねぇ」
「ありがと。とっても楽しかったわ」
「ホラ、ばいきんまんは何をしてるんでしょ。ちょっと呼んで…」
「ううん、いいの」
ホラーマンの言葉を遮り、メロンパンナは宙に浮かびあがる。
「じゃあまたね、さよならぁ」
ドキンちゃんとホラーマンに見送られ、
手を振ってメロンパンナはバイキン城の舌から外へと飛び立っていった。
「もう、ばいきんまん、見送りくらいしなさいよね」
メロンパンナが見えなくなるまで手を振っていたドキンちゃんが、
ホラーマンと共にキッチンに戻って、そこにどっかりと座っているばいきんまんに向かって唇を尖らせた。
入れ替わりでここにきたらしい。
「別にいいの。どうせ今度会ったら敵なんだし」
つまらない小石を蹴るようにそう言って、ばいきんまんはいびつな形のメロンパンを口に放り込む。
表面のビスケット皮がぱりぱりと小気味良い音を立て、微かに焦げた苦味を口内に残しながら飲み込まれていった。
終わり。ありがとうございました。
メロンパンナを脱がす勇気も、ばいきんまんに生やす勇気もなかった、すまん。 賑やかしになればいいな。
メロンパンナ×ばいきんまん投下します。
おひさまがぽかぽか暖かい日でした。
今日もまたばいきんまんは、ドキンちゃんのわがまま…もとい、お願いを叶えるために
バイキンUFOに乗っておいしいものを探していました。
「メロンパンナちゃんは〜ふんわ〜りよ メロンのかおりがほんの〜りよ」
そこへ、歌いながらパトロールをしていたメロンパンナが飛んできます。
ばいきんまんはさっと雲の中に隠れました。
メロンパンナはアンパンマンの仲間ですから、
ここで上手くやればアンパンマンをピンチに陥れることができるかもしれません。
メロンパンナが大きな雲の下を通りかかった時、タイミングを見計らっていたばいきんまんは、
えいやっとバイキンハンドを繰り出しました。
大きな手がメロンパンナの小さな体を捕まえます。
「うきゃあっ!」
ぐわっしと体を握られたメロンパンナは、驚いて素っ頓狂な声を上げました。
「はっひふっへほー!」
「ばいきんまん!」
雲の中から飛び出してきたバイキンUFO。キャノピーを開けて身を乗り出した
ばいきんまんのお決まりの挨拶を聞いて、メロンパンナはばいきんまんを見上げます。
「運が悪かったなメロンパンナ! はははのはー!」
「どうするつもり!?」
「今考えてるとこー。さぁーて、どうやって使ってやろうかな〜」
るんるんとしっぽとつのを揺らし、ばいきんまんはこの後のことを考えます。
アンパンマンはもちろん、カレーパンマンとしょくぱんまんをおびき出すのに利用してやってもいいでしょうし、
この子を隠してロールパンナを大暴れさせるのもなかなか楽しそうです。
けれど、どうするにしてもこのままでは小回りが利かないし、とても目立ってしまうので、
もっとコンパクトにしてやろうと、ばいきんまんは縄を取り出しました。
バイキンハンドをもう一本出して、片手でメロンパンナを押さえつけ、
その間にもう片方で彼女を縛ってしまいます。手慣れたもので、あっという間のことでした。
メロンパンナをぐるぐるに縛った縄の端をバイキンハンドでつまんで、
ばいきんまんは自分の目線まで彼女を引き上げます。
「離しなさい、ばいきんまん!」
メロンパンナは懸命にもばいきんまんを睨みました。しかし、ばいきんまんはそれくらいではびくともしません。
むしろ、意地悪な笑みを顔いっぱいに広げて、
「かわいそうなメロンパンナちゃん! ぐふふふふ」
遠慮せずに声まで立てて笑います。
「やい、アンパンマンはどこにいる」
「知らないわ、そんなの」
「ふうーん……」
ばいきんまんは信じませんでした。嘘をついているに決まっています。
「いよーし、まずはパン工場に向かうのだ!」
無理やり吐かせても良いのですが、それは今は置いておいて、
とにかく一刻も早くアンパンマンを倒したいばいきんまんは彼らの住まいに向かいます。
さて、ばいきんまんはすっかり忘れてしまっているようですが、
メロンパンナは意外と…いいえ、メロンパンナに限らず、
アンパンマン達は可愛らしい見かけとは裏腹に、とっても力持ちです。
バイキンハンドに鷲掴みされても、檻に入れられても、
うんしょとまるで針金でも曲げるようにして壊し、そこから脱出してしまいます。
ぶちぶちぶち。
あんまり良くない音にばいきんまんが振り返ると、
メロンパンナがまるで糸こんにゃくを千切るように縄を引き千切っていました。
メロンパンナを捕まえていたバイキンハンドは、今やぼろぼろになった一本の縄をつまんでいるだけになっていました。
「ばぁーいきーんまぁーん」
バイキンハンドを蹴って、メロンパンナはキャノピーが開け放されたUFOの操縦席まで飛んできます。 それはさておき、罪を憎んで人を憎まずというイディオムは、
誂えられたようにアンパンマン達にぴったりと当て嵌まります。
ばいきんまんが作った薬、スーパーゴミハートを飲まされたせいで
海底に独りで住まなくてはならなくなってしまったゴミラも、
呪われた体質に寂しい想いをしながらも、原因であるばいきんまんを恨んではいません。
アンパンマンだって、ばいきんまんがいたずらをするから懲らしめなくてはいけないのであって、
たまに彼がとてもいいことをしているのを見た際には、手放しでばいきんまんを褒めるのです。
それと同じで、ロールパンナが悪い心を持って生まれ、そのせいでメロンパンナ達と暮らせずに、
くらやみ谷に独りで住まなくてはいけなくなってしまった原因……
それはばいきんまんがバイキン草のエキスを彼女の生地に織り込んだからに他ならないのですが、
それでもメロンパンナはこれまで、その罪を憎むことすら滅多になく、
ばいきんまん本人を憎んだことに至っては一度もありませんでした。
ですが、今日はちょっと違います。
実はこの日、ばいきんまんに捕まえられる前に、メロンパンナはロールパンナと会っていました。
そこへたまたまアンパンマンが通りかかって、
ブラックロールパンナになって彼を傷つけるのを嫌がったロールパンナは、
メロンパンナへの別れの挨拶もそこそこに、さっと飛び立ってしまったのでした。
つまりばいきんまんは間の悪いことに、沈んだ気分を無理に盛り上げるために歌いながら
パトロールをしていたメロンパンナを捕まえたのです。
「はひ…」
彼らが思ったよりも怪力であることを今更思いだしたばいきんまんは、
狭い操縦席の中で後ずさりしました。
いつもならここでメロメロパンチを一発貰って、その間にメロンパンナは逃げるのですが……。
ぽか。
今回貰ったのは普通のパンチでした。
しかしそれでも結構な力で、ばいきんまんは思わず頭を抱えてしゃがみ込みました。
その間に、メロンパンナはマントの下から黄色いリボンを取り出します。
慌てて飛んでいってしまったロールパンナが忘れたロールリボン。
パトロールが終わったら、姉を探して返そうと持って帰っていたのでした。
「よいしょ、よーいしょ」
太いリボンをばいきんまんの体に巻きつけます。
ばいきんまんと違って、誰かを縛ったことなんて一度もないメロンパンナは、
あんまり上手にできません。
ばいきんまんがやるように、痛くないように、かつ逃げられないようにするのなんて土台むりな話なのです。
ですので、メロンパンナは手加減せずに、ぎゅうぎゅうとばいきんまんを縛ってしまいます。
「おわわ!」
バランスを崩したばいきんまんが操縦席の床に転がってしまいます。
ちょうどいいと思ったメロンパンナは、ばいきんまんの背中を片足で踏みつけて支え、
リボンを手前に引っ張りました。
「あいだだだだだだだ!!!!」
後手でまとめられたばいきんまんの手が跳ねあがります。
仕上げに、メロンパンナはリボンをびぃんと突っ張らせ、
その端っこでばいきんまんの両足をまとめて結びました。
弓のようにしなった極端な体勢で、ばいきんまんは床に転がされてしまいます。
「なっ、なにすんだ!」
「とりあえずこれでおあいこ」
「おい! 早くほどけ!」
「だぁめ。しばらく反省して」
メロンパンナはUFOの操縦パネルに腰かけ、足をぶらぶらさせます。
「アンパンチで吹っ飛ばされるされるわけでも、メロメロパンチで混乱されるわけでもないんだから、
これくらいで済んで良かったね。ばいきんまん」
床に顔を擦りつけざるを得ないでいるばいきんまんにはその表情は見えませんでした。
が、メロンパンナからは変わった様子は見られませんでした。
いつもはメロメロパンチでお仕置きするところを、ちょっと手段を変えただけ。
メロンパンナにとってはたったそれだけのことです。
「こ、こぉーらぁ! さっさとこれほどけ、ばか!」
しかしばいきんまんにしてみればこれはとんでもない屈辱で、
自業自得だと最もなことを言われようが黙って受け入れるわけにはいきません。 「あーっ、ばかって言った! ばかって言った方がばかなのよ」
メロンパンナはぷんすか怒って、ばいきんまんに背中を向けて、操縦席に下ろしていた足を外に垂らします。
これまでがこれまでなので、ばいきんまんの言うことなんて聞いてあげません。
バイキンUFOは優秀で、誰もレバーを握っていないのに墜落することもなく、気ままに空を遊泳し続けます。
やがて、ばいきんまんの額にじわりと汗が滲んできました。
体全体をぎちぎちに縛られ、手足をまとめられているせいなのですが、
痛む全身とは別に、リボンが食い込んだ足の付け根あたりが他の所以上にひりひりするのです。
「おい、メロンパンナ……」
さっきまでの乱暴で威勢のいい声でなく、掠れるような小さな声を聞いたメロンパンナは、
体ごとUFOに向けました。
背中が反る形で無茶苦茶に縛られているのに、ばいきんまんのその背中は小さく丸まっているようでした。
慌ててメロンパンナはレバーを引きます。けれど、それだけではUFOは止まってくれません。
さっさと諦めて、メロンパンナはばいきんまんを抱えてUFOから飛び立ち、雲の上に降りました。
ふわふわのわたのような雲に埋もれ、痛めつけられていたばいきんまんは、
それにくすぐられてますます苦しそうな声を上げます。
メロンパンナは大急ぎでリボンをほどこうとしますが、
がっちりときつく結んでしまっていたせいでびくともしませんでした。
こうなっては仕方ありません。
「ごめんね」
一言謝ってから、メロンパンナは手をきつく握りました。
「メロンパンナの! めろめろぱんっ…ち!」
ちょこん、とばいきんまんにげんこつをぶつけます。
「ふにゃあぁあ〜……」
途端にめろめろのふにゃふにゃになったばいきんまん。
緩みきった体とリボンの間にできた隙間に手を差し入れ、メロンパンナは一か所だけリボンを千切りました。
それを手繰り、雲の上でばいきんまんを転がしながらリボンをほどきます。
やっと解放されたばいきんまんは、ぐったりした体をうつ伏せにして雲に預けました。
しんしんと痛む体を、柔らかい真綿が包みます。
「痛いの?」
放っておいてくれればいいものを、近寄って来たメロンパンナは
ばいきんまんの傍らにしゃがんでそう尋ねました。
いつもは元気良くぴんと立っているしっぽとつのが、へにゃりと垂れ下がってしまっています。
返事をするのも億劫なばいきんまんは、黙ったままで相手をしません。
しかしメロンパンナは諦めずに、ばいきんまんの体と雲の間に手を差し込んで、
ばいきんまんを半回転させました。
肩で息をしていたばいきんまんは、面倒くさそうに薄く目を開けてメロンパンナを見上げます。
じっと目を合わせ、それからばいきんまんの体へと、メロンパンナは視線をずらします。
黒い体なので見つけにくいのですが、それでも良く見ればところどころ赤くなっていているのが解りました。
かわいそうなことしちゃったな、とメロンパンナは反省して、ばいきんまんの体にそうっと触れました。
「ぎっ…」
なでなでしてあげようとしていたのに、途端にばいきんまんは大袈裟に跳ねあがります。
慌ててメロンパンナから距離を取ろうとしますが、立ち上がることすらもままならず、仕方がないのでそのまま
ずりずりとおしりを使って後ずさりしました。
しかし、どれほどばいきんまんが逃げようとしても、
メロンパンナはあっという間に距離を縮めてしまいます。
後ろに手をつき、足を投げ出しているばいきんまんの前にしゃがんで、
メロンパンナはばいきんまんの体に刻まれたリボンの跡をなでました。
労わるような優しい手つきで、メロンパンナはそのまあるい手でばいきんまんの足首の色の境目を撫でます。
すると、ばいきんまんの体は面白いくらいに跳ねあがりました。
「こら、さわるな! やめろ!」
「でもすっごく痛そう」
「お前には関係ない、ほっとけ!」
ばいきんまんはぷんとそっぽを向きますが、縛ったのはメロンパンナなので、
関係ないと言われても早々簡単には引き下がれません。
「いたいのいたいの…」
メロンパンナは手を伸ばし、他よりも一層赤くなってしまっているところに手を添え、丁寧になでました。
「とんでけーっ」
股です。
「とん、とんでけじゃない、いいから手を退けろ!!」
離した手を高々と空に向け、もう一度そこに触れたメロンパンナにばいきんまんは焦って、大声で怒鳴りました。 せっかく痛いのを撫でてあげているのに、どうしてばいきんまんが怒るのか、
さっぱりなメロンパンナでしたが、こうされるのをひどく嫌がっているのは解ったので、
そこに手を置いたまま動かしません。
「反省した? もう意地悪しない?」
「した! しない!」
「どっち?」
「いいからはやく!」
「もう、しょうがないなぁばいきんまんは」
ぷうとほっぺたを膨らませて、メロンパンナはばいきんまんから手を離しました。
素早くメロンパンナから距離を取って、ぶつぶつ文句を言いながら、
ばいきんまんはぴりぴりと痛む腕を冷ますためにふーふーと息を吹きかけます。
「………あ?」
ふと体に影が落ちて、ばいきんまんは顔を上げました。
すると、目の前にはこちらを見下ろしているメロンパンナがいました。
ばいきんまんが腕に息をかけているのを見たメロンパンナは、腕や足はともかく、
お腹辺りは自分では冷やせないだろうなあ、と心配し、ばいきんまんのお手伝いしてあげようと思ったのでした。
雲に膝をついて屈み、メロンパンナはばいきんまんのそこにふうっと息を吹きかけます。
「ぎぎゅ……!!」
おかしな悲鳴をあげるばいきんまんに、中途半端な手当では却って痛めつけてしまうのかも、
とメロンパンナは止めるどころか、ますます顔を下ろしていきます。
ぺろ。
まるでミルクを舐める子猫のように、メロンパンナはばいきんまんのそこを舌でなぞりました。
怪我なんて舐めときゃ治る、とはカレーパンマンの教えで、メロンパンナはそれを実践したのです。
「ば……っか!」
堪らなくなって、ばいきんまんは振り上げた手をメロンパンナの肩に押し当て、
力いっぱいに退かします。
それでも今のばいきんまんではごく弱い力にしかならなかったのですか、
ばいきんまんがこうされるのをとにかく拒否したがっているのを察したメロンパンナは、
不思議に思いながらもされるがままに離れました。
ずきずきするそこを歯を食いしばって耐え、ばいきんまんは這いつくばるようにして移動し、
雲の端から下りようとします。いつまでもここにいては、メロンパンナの善意に手酷く虐められかねません。
自動操作に切り替わっていたバイキンUFOがちょうど雲の下を通りかかっていたのを見つけ、
ばいきんまんは飛びおりました。
メロンパンナが雲の縁に手をかけ、身を乗り出してばいきんまんの姿を目で追うと、
ばいきんまんは使い慣れない小さな羽をせわしなくはためかせているところでした。
それでも、飛ぶというよりは落下速度をちょっと緩めるくらいにしかなりません。
バイキンUFOに近づく頃にはすっかり疲れて、最後には落ちるようになってしまいます。
すっぽりとはまり込むようにバイキンUFOに飛び込んだばいきんまんは、
がくがく震える足を叱咤して立ち上がりました。
「覚えてろよ!」
こちらを見下ろしているメロンパンナに向かって、捨て台詞を吐きます。
メロンパンナはきょとんとしましたが、すぐに明るい笑顔になって、
「うん、忘れないように日記に書いとくね!」
ばいきんまんに手を振りました。
あまりに能天気なメロンパンナに、ばいきんまんはぎぎぎぎぎと歯ぎしりして、
力任せに操縦パネルを叩きつけます。
キャノピーが閉まり、物凄く早いスピードでUFOは空の彼方へと飛んでいきました。
「またねー!」
ばいばいきんと締めくくる余裕すらばいきんまんに与えなかったメロンパンナは、
遠ざかっていくUFOにそうやってとどめを刺しました。 パン工場に帰って来たメロンパンナは、バタコさんに裁縫箱を借りてお部屋でそれを広げました。
千切ってしまった部分をちくちくと縫い合わせます。
さらにそれをお風呂場で洗い、お庭で他の洗濯物と一緒に干し、夕方に取り込みました。
「うーん……」
両手に握った黄色いリボンをぴんと張り、元通りきれいになったのを確かめましたが、
ちょっと考えてからメロンパンナはそれを自分の机の引き出しの中にしまいました。
「……やっぱり、ロールパンナお姉ちゃんには新しいリボンをプレゼントしよう」
そう決めて引き出しを閉めたメロンパンナは、椅子の上でうーんと背伸びをします。
いつものようにアンパンマンを呼ばずに、今日はメロンパンナひとりでばいきんまんと対峙したので、
ちょっと疲れてしまったのです。
おつかれさま、メロンパンナちゃん。
終わり。失礼いたしました。
エロなくてすみません。 いきなりスマソ
小ネタエロナシ
スルー可
「あ〜ん、お〜いしい!」
バナナを食べていたドキンちゃん
「あっ!しょくぱんまんさま〜」
しょくぱんまんを見つけたドキンちゃんは声をかけました
「やぁ、こんにちは(!?)」
しょくぱんまんは驚きました
バナナを食べていたからです
更にしょくぱんまんに逢えたお陰か頬が紅潮していてなんとも淫らに見えました
(バナナの食べ方がなってません・・・)
「ハァ・・・ドキンちゃん」
「何ですか?食パンまん様」
「バナナはこうして食べるんですよ」
と
バナナの上ぞりになっている方を外に向けたではないか!
「食べにくいよ〜しょくぱんまんさま〜」
「お行儀が悪いですよ」
「うう〜っ」
とそこへばいきんまんが・・・
「ドキンちゃあん・・・てああ!」
「むぐむぐ」
「ドキンちゃん!なんて食べ方してるの!」「むぐ・・・だってしょくぱんまんさまにお行儀が悪いからって直されたのよ?何か文句ある?」
「くっ食パンまんめ!わかっててやがったのか〜!」
(クスッ・・・あのブラコンばい菌め・・・)
食パンまんは黒い笑顔を張り付けていました
「おっ!」
カレーパンマンがやって来ました
そして・・・
モグッモグッ
「あ〜!?カレーパンマン!」
「へへっモタモタしてんのが悪いんだよ」
(今の間接キスだよな・・・カレーパンマン・・・覚悟しておきなさいフフフ)
「ドキンちゃんの間接キス・・・
カレーパンマンの奴ううう
(オレサマだってまだなのに・・・)」
「あ〜美味かった!何だよ?バナナならオレがやるよ!」
「カレーパンマン!キッサマ〜!」
「ドキンちゃん・・・」
「はい?(グスン)」
「バナナなら僕も在りますから差し上げますよ(ニコリ)」
「えっ!」
「さあ、僕の家に在りますから」
「はいっ!(わぁ〜♪しょくぱんまんさまのおうち・・・)」
「とその前に僕はやらないと行けないことがあるので待ってて下さいね(ニタリ)」
3分後
ドキンちゃんは
゙しょくぱんまんの゙
バナナをもらえに行きましたとさ
オマケ
「イテテテ」
「ハーヒフヘホゥ!ドキンちゃんに何てことを・・・」
「わぁ!食パンまんからパンチ食らってんだ!やっ止めてくれ!」カレーパンマンは思いっきりヒドいめにあってたとさ
オシマイ
長くなった
orz
逝ってくる 誰が一番もてるだろな
1鉄火のまき
2メロンパンナ
3バタコさん
か? 今日見て
カレーコキン
ツララ釜飯
をwktkした
ktkr おむすびまんとバタコさんすげー好きなのに、最近やなせたかしもアニメスタッフも忘れてるだろ。
仲のいい男女多いから組み合わせし放題だよなこの作品。 >>91
忘れてるというか、なかったことにしてるような気がしてならない。私も凄い好きなんだが
とりあえず保守あげ >>92
やっぱりなかった事になってるの?
アニメや原作の公式カップルみんな好きだけど、
和風は和風とかで固まってるから珍しい組み合わせでよかったのに。
ハンバーガーキッドとタンポポちゃんに凄まじいエロスを感じた…。DVDまだかな。 ほしゅage
アンパンマン×キララ姫がすごく好きだ ミントちゃんスカート短いからよくパンチラしそう。
それで風が吹いてスカートがめくれても「爽やかな風〜」って言うだけで押さえなさそう。 ええいアンパンマンとロールパンナの同士はおらんのか! ええいノリヘイといくら丼ちゃんの同士はおらんのか! >>100
ここにいるぞ。
というかロールパンナ関係じゃ一番人気じゃないか?
ダテマキとさくらもちねえさんとか、やきそばとマーガレット姫とかもっと評価されるべき。 >>100
アンパンとロールなら食てきにも合うよな
アンロールパンマン・・・なんて考えたのは自分だけ アンロール好きだよ
でも文才がないからssとか書けん
しらたきひめとしゅんぎくの関係性もなかなかいいな
>>102
マーガレット姫ってアンパンマンのこと好きなんじゃなかったっけ ミントちゃんのラブジュースをのんで爽やかになりたい しらたき姫としゅんぎくさんは公式だな!
なんか自然に仲睦まじい夫婦っぷり醸し出してるだろ。
>>106
05'10巻 やきそばパンマンとマーガレット姫
を見れば多分わかる。
アンパンマンが好きだったマーガレット姫がやきそばパンマンにツンデレしながら惹かれてく過程が描かれてる。 そうなんだ、なんかにわかな知識ですまん
>>109
わざわざありがとう、面白そうだから今度借りてみてみるわ にわかがなんだ!萌えろ!萌え尽きろ!!
なんかアンパンマンのNLスレがあってもいいような気がする エロは書けないがNLならいくらでも書くんだがなぁ…
でも語れるのここしかないし、といって新しく立てても過疎る気がする。
まぁ立ててみてもいいがどこの板にするんだ? >>114
アニキャラ総合だな。
過疎る可能性大だが、要望があれば絵板も作るぞ。
>>115
エロパロ板だからなあ。
エロなし投下は気が引ける。 この流れが嬉しくて盛り上がってまいりました!とかいって腕振り上げたら充電器ふっとんだ
どうしてくれる よし、じゃあ立てられそうなら今夜立てるよ。
何にしろ絵板は作る予定、擬人化有り無しはどうする?
多分数が数だけに混同した方がいいかな。
多分自分だけ描き込むことになっても気にしないぞww 遅くなってすまん。
ttp://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1276695158/
立てれたぞー。 ミントちゃんを押し倒したらどうなるかな?
さすがに怒るかな? ミント「わかりました>>124さん、一緒に踊りたいんですね」
でジャイアントスイングされて>>124は重傷 前のエロパロ見てきたけど面白かった
一番人気はドキンちゃんか ブラックロールパンナがアンパンマンを逆レイプするのなら頑張れそうな気がする アンロールも良いが倉庫にあるあんぱんばいきん♀もひさしぶりに見たいな
食ドキ保守! べろべろまんって名前の時点でエロ生命体だと思うのは俺だけだろうか… ごめん、エロはない。保守代わりに
迫り出た岩を削るように、水流が崖下へと落ちていく。
凄まじい勢いで水を流し続ける滝には直接触れず、鉄火のマキはたゆたう水に足をつけた。
流浪の旅だ、風呂に入れないことなんてざらにある。マキは額に流れる汗を拭い、帯に手をかけた。
ここで水浴びを済ませてしまうのがいいだろう。
強い日差しが湖面に反射し、マキの白い肌を一層明るく照らす。
雫が小さな玉を作り、マキの体をなぞって落ちていく。
じりじりと身を焦がすように熱された岩に腰かけ、マキは荷物をほどく。
手ぬぐいで体を拭いていると、ふと思うことがあって、手を止めた。
(最後に会ったのはいつだったかな)
彼女自慢の、銀シャリのように白い肌に触れる日焼けした手。
なだらかな曲線を描くマキの体をなぞる切れ長の目。
そこまで思い出して…次に連想されるであろう彼の姿が、今、
野外であるというのに裸でいる自分にはあまりに毒だと寸で気付き、マキは眉間に皺を寄せて打ち消した。
身なりを整えて、マキは滝を後にする。
初夏に差しかかっている陽射しは強く、鋭く、焙られているようにすら感じるほどだ。
鮮度が命の自分とは違って、彼はこの日光でも気持ち良く過ごしているのだろう。
鼻歌でも歌いながら、自分の進む道とは遠く離れたどこかの道を闊歩する彼の姿を描くと、
気前のいい彼女には似合わないことに、なんだか妙にささくれだってしまう。
お互い根無し草の旅人だ、そうしょっちゅう会える訳ではい。
だからこそ、今度会ったら、会ったら、………どうしてくれよう。
小石を蹴りながら、マキはその時を想像する。
次の町までの道中を並んで歩く間、出会った人々、
新しくできた友人たち、そこで起きた珍妙な出来事を聞かせてやるのだ。
そして今度は彼が、最後に会ってから今までのことを聞かせてくれる。
こうした想像の中ではふたりは饒舌なのだが、実際に会うとさっぱりした薄味の性格からか、
旅路を共にしても実に口数が少ない。
しかしそれはそれで、お喋りに長けているわけではないマキにとっては心地良い。彼もそうであることを願う。
名もなき花が風に揺れる姿や、知らない小鳥の囀りに気を取られながら道ならぬ道を歩いている。 と、向こう側に、すらりした長身の侍 の姿が見えた。
薄く色のついた着流し、帯に挿した刀。笠を目深に被っていて顔は見えない、が。
徐々にそれは大きくなっていって、やがてマキはその侍と出会う。
「やあ、かつぶしまんじゃないか」
「おお、マキちゃん」
いつもならそんな風に声をかけるところから始まる。なのだが、今回は例外だった。
笠を押し上げ、かつぶしまんはマキを見下ろした。その目はマキの常とは違う様子を良く見ていた。
熱が籠っているとも、反対に冷え切っているともとれるその瞳に焦らされたように、
マキはかつぶしまんの腕を掴んだ。心得たように、
かつぶしまんは驚くこともなくマキの好きなようにさせた。
藪をかき分け、ある程度進んだところでマキは振り返る。それと同時に彼に唇をぶつけた。
小鳥のようなと形容するには荒々しい口づけを交わし、舌と舌で溶けあうように混ざり合う。
気のすむまで互いの口内を味わったふたりは、ようやく互いを離す。
離しざま、くはっとマキは大きく息を吸った。
「息継ぎが下手なのは変わらぬな」
「………」
にやりとほんのちょっぴに意地悪げに笑うかつぶしまんに、マキはぷいとそっぽを向く。
負けじと、しかし口づけの際の息継ぎ云々に関しては負けているのは覆しようのない事実なので、
マキは舌をべっと出して、自分が勝てる話題にしてしまう。
「相変わらずそばばっかり食べてるんだろう。麺つゆの味がする」
「マキちゃんこそ、お昼時でもないのに鉄火巻きを召されたな。わさびが効いてるでござる」
きょと…と目を丸くして、一拍置いてからマキはゆうるりと舌を引っ込めた。喜色満面を彩るどころか、
彼女の真っ白な頬はほんのりと赤くなる。
勝つつもりで振ったわけなのだが、今度もあっさりとマキはかつぶしまんに負けたのだ。
おわり。 かつまきは萌えるなあ…
いいカップルだと思う。
原作(絵本)で公式なんだっけ。 アンパンマン×サラダ姫
アンパンマン×ミントちゃん
アンパンマン×あざみちゃん
アンパンマン×キララ姫
誰か書いてくれー だれかpixivにミントちゃんのエロ画像投稿してくれないかな 気がついたら規制解除されてたんで
※注意
・しょくぱんまん+カレーパンマン×ロールパンナ
・レイプ 今日は一度も行ったことのない花畑に来ていた。
ロールパンナがその場に舞い降りる。
光はあまり差さない湿ったような場所だが一面に広がる花は見たこともない花ばかりだった。
メロンパンナに見せてやりたいがやはり必要以上に会わない方がいいだろう
また今度会った時に教えてあげればいい。
そんなことを考えながら花を見ていると深い桃色の美しい花が目に入った。
思わず見とれて近寄ると甘い香りがする。
「・・・っ・・・」
匂いを嗅いでいると最初はそんなにでもなかったが次第に気分がおかしくなりそうになった。
ここは危険だと悟りこの場を離れようとしたが先に身体がだるくなり膝をついて倒れてしまった。
引きずってでも移動しようにもそんなに力が入らない・・・
こんな無防備な姿を見られたらあっという間に攻撃され無様に倒されてしまう、
幸い人目につかない場所だったのがせめてのも救いだった。
「う・・・はぁ、はぁ・・・」
急に呼吸が荒くなり苦しくなったので口元の布を顎の下までずらして酸素の通りを楽にさせた。
それだけではなく状態が悪化して身体が熱くなるのを感じる。
何かの病気かなんかにかかってしまったのだろうか、
落ち着くまで大人しくしようと思っていたがそんなわけにもいかなくなった。
「ロールパンナちゃんじゃないですか」
上から名前を呼ばれ慌ててずらした布を戻して口元を隠し、元通りにした。
声がした方に視線を向けるとしょくぱんまんとカレーパンマンが不思議そうにこちらを見て空から降りてき
た。
「どうしたんだ?こんなところで寝て」
「具合でも悪いんじゃ・・・・・・ん?」
ロールパンナを抱き起こしたしょくぱんまんが強い香りを漂わせている花に気がつきすぐにロールパンナを抱き上げて立ち上がると花畑から離れた。
あっけにとられたカレーパンマンは「急にどうしたんだよー」と言いながら後を追う
一番驚いたロールパンナは抵抗しようと身体をよじる。
だが力が入らず結局目を合わせないように運ばれるしかなかった。
「あの花は『快楽の花』と呼ばれていて匂いを嗅いでしまうと媚薬を飲んだときのような症状に陥ってしま
うんですよ」
花畑から離れた森の中に入るとしょくぱんまんは説明をしながらロールパンナを木にもたれ掛かるように降
ろした。
「そういやあの甘い匂いを嗅いだらなんか体が熱いような気がするな」
「少しなら大丈夫ですがロールパンナちゃんは結構吸ったみたいですね」
「・・・・・・・・・」
そんなに吸った覚えは無いが無自覚にたくさん嗅いでしまったのだろうか
それともまごころ草やバイキン草に左右されやすい体質なのでそういった類の物には弱いのかもしれない。
どちらにせよ自らの不注意が原因でなってしまったことだ。
ブラック化した時にもこの二人には迷惑を掛けている。
そして今度は無様な姿を見せただけでなく助けられるとはどうしよもない罪悪感にさいなまれる。
「大丈夫ですか?」
「・・・あり・・・がと・・・っ・・・」
しゃがんで心配をするしょくぱんまんに礼を言おうとするが呼吸が乱れているので上手く伝えられなかった。
変な声が出そうになるので手で口元を押さえて声が漏れないようにする。
念のために顔を見られないように横を向いて目を閉じた。
助けてもらってなんだが正直こんな状態なのであまり側にいてほしくない、
こんな気持ちで逃げ出したくなるのは初めてだ。
「アハハ・・・えっと無理すんなよ!」
・
気まずくなったカレーパンマンは照れ隠しをしながら無理に笑った。
「・・・・・・・・・」
だが黙って見ていたしょくぱんまんがいきなりロールパンナの肩を抱いてきた。
逃れようにも今の状態では力負けしてしまう。
「は、はな・・・せ・・・っ」
「お、おい、今はそっとしといてやれよ。そのうち治まるんだしこの辺人いないから大丈夫だろ?」
カレーパンマンの制止を気にも止めずにしょくぱんまんはロールパンナを自分の方へ引き寄せると後ろから
彼女の両胸を服の上から掴んだ。
「・・・!?や、やめ・・・」
しょくぱんまんの指が巧みにロールパンナの柔な胸を撫でるように揉むと通常よりも感じやすい身体反応し
て甘い声が漏れる。
「だって可哀想じゃないですか」
「は?」
しょくぱんまんはカレーパンマンに言い聞かせながらロールパンナの胸を攻め続けた。
上から手を被せて引き離そうとしても無駄な努力に終わる。
「このまま放っておいたらロールパンナちゃんがしばらく苦しむだろうし一人で寂しくこんな場所で一人で
自慰をしちゃいますよ」
「そ・・・んなことしな、ああっ・・・!」
反論するがの秘部を服の上からなぞられロールパンナはまた声を上げてしまった。
「ほら、ここなんかもう湿ってます」
「・・・・・・・・・」
「だから僕は早く彼女を楽にして救ってあげたいんです」
「・・・・・・・・・」
「別にカレーパンマンは先に帰ってもいいですよ?」
「お前も帰れ・・・!」
「ダメですよロールパンナちゃん、早く治したいのなら僕に任せてください」
「ん、や、やぁ・・・」 ロールパンナに睨みつけられるとしょくぱんまんは服の上から乳首のある場所を見つけ出し、
そこを指でグリグリと押してやるとあっけなく彼女はいつもは想像できないような甘い声で喘いだ。
荒々しい呼吸に小さな喘ぎ声が混ざり、いやらしく性欲をかき立たせる。
カレーパンマンは生唾を飲み込むと近寄り、しゃがむとロールパンナの足を無理やり開かせ股の間に入った。
「お、俺も手伝ってやるよ」
そう言ってカレーパンマンはロールパンナのベルトを外し、ゆっくり下着ごとズボンを脱がせた。
秘部を晒され羞恥心が更に彼女を無意識に興奮させる。
ベルトが外れたのでしょくぱんまんは服の中に手を滑り込ませ直接ロールパンナの胸を掴んで揉みしだく。
触った感じではちょうど手に収まるぐらいの大きさである。
「乳首が硬くなってますね」
「う・・・くっ・・・」
必死に声をするがこの先の展開を想像するときっとそれは無駄な抵抗になるだろう。
「へぇ、ロールパンナちゃんのここってこうなっているのかぁ、綺麗だけど使い込んでいる感じだな」
ロールパンナのアソコを覗き込むとカレーパンマンは感想を漏らす。
気まずそうに目を伏せるとまた快楽が彼女を襲いビクンと肩を震わせる。
カレーパンマンの指が何本か膣の中に入り、バラバラに動かされているのだ。
すでに濡れていたのであんがいすんなり入ってしまう。
「ん・・・んっ・・・も、もうやめ・・・ろ・・・ああっ!」
胸と秘部を同時に攻められ、そして一番敏感な所をを指先で弄られると体が跳ね上がった。
雫がたくさん流れ、ひくひく言わせている。
カレーパンマンが両足を押さえながらそのまま下半身に顔を埋めて一番過敏な部分を舌で舐めあげた。
足を閉じようとしても手を使って力任せに阻止され、
熱い舌でそこを舐めたまま入り口を割って指が入って刺激を与える。
「いや・・・いやだ・・・」
訴えなどお構いなしにそこをこじ開けるように指を出し入れする。
指を更に増やされ入り口をどんどん開いていく
やがてカレーパンマンは顔を上げ指だけでいやらしい水音を立てロールパンナの反応を楽しんだ。
カレーパンマンが自分の立ち上がったものをアソコに滑るように擦りつけただけで酷く感じてしまう。
「もっと気持ちいい方がいいだろ?」
カレーパンマンが立ち上がった自分の分身を見せながら尋ねるとロールパンナは荒い息をしながらそっぽを
向いた。
「我慢強いんですね」
手を止めたしょくぱんまんが口元の布をずらして口の中に無理やり自分のものを入れた。
「んんっ・・・!?」
嫌々と逃れようとしても頭をがっちり押さえられて離すことができない。
「二人だけ気持ちよくなってずりぃ!俺ももう入れるからな!」
本当は入れてくれと懇願されるようになるまで追い詰めるつもりだったがカレーパンマンの方が早く我慢で
きなった。
そして入り口の表面を何度か擦り、遠慮なく一気に突き上げた。
「んぅ!」
「ろ、ロールパンナちゃん歯を立てないでください、痛いんですから」
中に打ち込まれた衝撃で声をあげる代わりにほんの少し口の中のものに歯を突き立ててしまったのだ。
「十分濡れてるからあんまり痛い目合わずに済んだな」
そんな様子は気にせずにカレーパンマンはロールパンナの足を抱えながら腰を動かし中を行き来していた。
一方こちらの口に咥えさせられているものを処理をしない限り息苦しさから開放されないだろう。
開き直って舌を使って先端を舐めようとするが下の口も犯されて感じてしまうため集中することができずに
なかなか思うように上手くいかない。
「・・・ん・・・ん・・・ふぅ・・・」
あれから必死に奉仕を続けていたがしょくぱんまんはなかなか達しようとはしない。
その代わり先にロールパンナはカレーパンマンのものによって二回ほどイってしまっていた。
お陰で中は蜜で溢れ返っていてずいぶんと滑りが良くなっている。
「・・・ん・・・ちゅ・・・」
先端の穴を舐めて吸うと口の中でまた大きくなってどくんと脈を打った。
「う・・・そろそろイきますよ・・・薬だと思って飲んでください」
しょくぱんまんは頭を押さえつけて奥の方に押し入れると熱い液体を口の中に出した。
口の中に出されたものをゴクッと音を立てて飲んだが全部飲むことができずに口の端から僅かに溢してしま
った。
とりあえず飲み干したことを確認するとしょくぱんまんはロールパンナを開放した。
そして笑って「よくできましたね」と褒めて垂れた精液を拭いてやる。
「くぅ、俺もそろそろイくからな」
カレーパンマンにも限界がきたらしくスパートをかける。
腰を動かし熱くて太いものが中を駆け抜けると先ほどまで塞がっていた口から我慢できずに喘ぎ声を上げる。
「うああっ・・・!」
内側からを突く快楽にどんどん思考がおかしくなる。
止めてほしいと願っていたものがもっと溺れさせてほしいと懇願していた。
ロールパンナの腰はカレーパンマンと繋がった部分で浮き上がり大きく揺れた。
体を密着させるのと同時にズンっと奥の方に打ち付けられ体内に熱いものが流れる。
カレーパンマンから出た精液はもう中では収まりきらなくなり、溢れ出し地面を湿らせた。
「ふー」
満足したのかカレーパンマンは自分のものを抜いた。
だが、あれだけ出したのにも関わらずまだ衰えてはいないようだ。
体の熱が引くどころか悪化したロールパンナをしょくぱんまんが持ちあげると胡坐をかいて座り、体を向か
い合わせ、そのまま立った自分のものに腰を落とさせた。
「んああっ!」
一気に体の中に杭のように打ち込まれ悲鳴を上げるロールパンナのことはお構いなしにしょくぱんまんは自
慢の力で上下に体を動かした。
「う、ううっ・・・ん・・・」
奥を突くものとロールパンナの中で絡み合い、さらに強い波となって体の内側から押し寄せる。
すると後ろからカレーパンマンが尻を撫でながらもう一つの穴に割って入ろうとしていた。
「や・・・やぁ、―――っっ!!」
慣らしていないのにギリギリと無理やり挿入され、痛みで一気に現実に引き戻された。
抜いてくれと言わんばかりにしょくぱんまんの肩を掴んで逃れようとするが二人に押さえつけられそれは叶
わない。
「すぐ楽になるから」
そう言うとカレーパンマンは後ろから胸を快楽で痛みを和らげながら腰を動かしてロールパンナの中を行き
来した。
前から、後ろか同時に内側を擦られると次第に痛みに慣れてきたのであった。
「んあ・・・はあっ・・・」
二人のもの完全に身体は受け入れまた体内で大きくなっていくのがわかる。
それにじわじわと犯される度に身体がどうしようもなく欲しがっている。
「・・・・・・え・・・」
突然カレーパンマンとしょくぱんまんがズルリと自分のものを抜いた。
あともう少しでイけそうだったのに中途半端に終わらせるのだろうか?
「そんなもの欲しそうな顔しなくても大丈夫だって」
「一気に終わらせましょう」
二人は抜いたものをそのまま元の場所に収めるように勢いよく中に差し込んだ。
「あ、ああっ―――!」
一番気持いい奥まで届きそこに温かくてとろりとしたミルクを同時に流し込んだ。
中に納まりきらずに繋がっている所からたくさんミルクが溢れ出していた。
―――まだまだ熱は治まりそうにもない―――
おしまい ビクビクちゃん・・・女の子だよな?
ビクビクか・・・感度もビクビ(ry 笑いがとまらないスレだなwwwwwwwwww
でもロールパンナちゃんはかわいいしエロいねw GJ!! . ,ノヽ、
iー‐--、 i' !. ,;;-‐‐'i
. :、 `: :、 C ノ / ,!
.. ヽ、 C,゙-―''゙:::::::::"''ー-"、C _ノ
、- ‐-、 ゙フ":::*:::::::::::::::::::::::*:::゙ヾ ,;-‐‐-,
゙、 Y:::::::@;;::::::;;ノ|ヽ、:::::;;9::::::゙Y /
.. ヽ Ci::::@;;ノ`''´@' `''"ヽ;;9::::iC ノ
. `ー'|:::;;ノ',二` '二`ヽ、::::|ー'´ はいっ、変態さん、さわやかミントティーをどうぞ
. i'^Y´ミ;'(゚・)゙ヽ /(゚・)ヾ彡Y^.!
ヽ:  ̄ 、__ ^ __, . ̄ !ノ
. ゙:、○ ゙、 ̄ノ ○ ./ ∬
ヽ、 `´ / ((| ̄|
`゙''ー‐--;--、‐‐'''"´ ノ゙-└┘
/i::、7:iヽ /r‐-‐" >>167
こらこら、こんなとこにいると変なおじさんがいるから危ないよ
とりあえずお兄さんについておいで バイキン仙人×ドキンちゃん
バイキン仙人×コキンちゃん
援交 ばいきんまんとドキンちゃんはセフレなの?
兄妹でもないのに何もないってありえないだろ 確かにな。それはジャムおじさんとバタコさんにも言えるな >>171
援交といってもドキンちゃんに何かメリットあるかなぁと考えてみた
大抵のことはバイキンマンがやってくれるし
仙人が諸々のアイテムをあまりにもあっさりバイキンマンに持ち去られたり
要所要所で支援(最終的には役立ってなくても)したりするのは
実はドキンちゃんの献身が見返りとなっていたからだ、とかだと一気に昭和の青年漫画風に
この場合、バイキンマンは真相に気づかず
勝負に躍起になる男の気持ちを女の子ってのは理解できないんだよな〜と悪さに専念しており
一方ドキンもそんな取引をしていると知られたくないからわざとツンツンわがまま娘ぶりを強調して、と
何かちょっとしたきっかけがあれば一気に崩れ去りそうなバランスを保ってる感じがいいな >>173
ジャムおじさんとバタ子は祖父と孫だと思ってた
つか赤の他人だとするとなんかいやらしいカンジがするよな
子供向けなら祖父・孫かおじ・めいにしたほうがいいのに・・・ じゃあ保守がてらアンパンマンでセックスしたいキャラ挙げていこう。
しらたまさん ばいきんまんは自分で発明および製作した
アダルトグッズを売って金儲けしている
バイキンメカの部品代はその儲けから捻出している
ちなみにドキンちゃんで実験している
というわけでドキンちゃん 氷の女王と薔薇の女王とジャムおじさんの3Pが見たいです。 何日か前に見た夢の話。
マキちゃんとキスして、次の手順に進もうとしたら、
寝ぼけた娘(2歳)から裏拳を喰らって目が覚めた。
翌日、夢の続きは見られませんでした。
とーちゃん、いろいろダメだ。 >>184
父ちゃんwww
メロンパンナちゃんがいい ドリアン王女「くるしゅうない、わらわが気持ち良くしてあげるぞよ」 鉄火のマキちゃん
鉄火巻作ってくれるし何だかんだで優しそう
いい嫁になりそうだ ミントちゃんだな
仕事から疲れて帰ったときにどんな時でも笑顔で迎えてくれそう
そして、ストレスと疲れもミントティーで回復させてくれる
葬式には連れていけなそうだが… なでしこさんだな
というかおむすびまんとなでしこさんがいい夫婦過ぎた ホットサンドちゃんのビキニを剥いでみたい
サラダ姫の着替えをのぞいてみたい しらたまさんが嫁だったら…
しらたま「ああ…風よ、雲よ、太陽よ、知っているなら教えてくれ、私にふさわしい新しいお芝居を!」
俺「ただいま…」
しらたま「おかえり、俺!…ん?どうしたんだ?そんなくらい顔して」
俺「しらたま…俺…実は借金作っちまったんだ…」
しらたま「……」
俺「……」
しらたま「これだ!!」
俺「?」
しらたま「借金地獄をお芝居にすれば、きっと感動の荒らしが巻き起こるぞ!」
俺「…」
しらたま「さぁ、俺!早速お芝居の稽古を始めるぞ!」
俺「あの…そんな気分じゃないんですけど…」 嫁にするなら、やっぱバタコじゃね?
俺はドキンちゃんの方が好きだけどw バタコさんはジャムおじさんのメス奴隷だろ。
あるいはカバオあたりに獣姦されてるかも。 ローラはロールパンナとレズ関係だから無理だろ。ローラの裸見てたし、身体流してたし。 ミントちゃんが輪姦されます。
マイナーキャラなので知らない方もいると思いますが、
少しでも楽しんでいただければ幸いです。
「ミントミント〜♪ミントティーはいかが〜♪」
「わぁ〜、ミントちゃんだ」
「ミントティーください!」
「俺も!」
「私も!」
「ボクも!」
「は〜い、どうぞ♪ミントミント〜♪」
(ゴク、ゴク…)
『さわやかぁ〜』
「ウフフフ♪ミントミント〜♪」
ミントちゃんは今日も沢山の人にミントティーを振る舞っている。
ミントちゃんのミントティーはとても爽やかな気分になれるので町の人達にとても人気だ。
ただ、少し中毒性があるようで何杯も飲む人もいるようだ…
「すみません、おかわりください」
「おかわり!」
「もっと飲みた〜い」
「おかわり!」
「は〜い、どうぞ♪」
(ゴク、ゴク…)
『さわやかぁ〜』
「みんな爽やか♪ミントミント〜♪」
『ミントミント〜♪』
ミントティーを飲んだ人達はみんな幸せそうに踊っている。
「今日も平和な1日だ」
パトロールで通りかかったアンパンマンがそう呟く。
そして夕方… ミントちゃんはすっかりミントティーのミントを使い切ってしまったようだ。
「今日も沢山の人が爽やかになってくれたわ♪明日も沢山ミントティーを飲んでもらぉ♪」
そこへ、ミントちゃんの服を着た男達がやってきた
(とても映像ではお見せできない)
どうやら、すっかりミント中毒になってしまったようだ。
「ミントミント♪」
「ミントミント♪」
「ミントティ-クレー」
「ミントチャンオネガイ」
「ミントティ-ノミタイ」
まるで麻薬中毒者のようだ…
「ごめんなさい、ミントの葉っぱを切らしちゃったんです。また明日飲んでくださいね♪」
「イヤダ、イマノマセロ」
「イマノミタイ」
「オレモ」
「ハヤクノマナキャシンジャウ」
「ほ、本当にごめんなさい、明日にはちゃんと用意しますので…」
『ミントティーヨコセェェー!!!!』
「きゃあああぁぁぁ!!」 >>204
自分の萌えを語るのは構わないが他人の萌えを否定するのはどうかとおもうよ
盲信的で気持ち悪い 男達はミントちゃんに襲い掛かり、羽交い締めにした
「きゃあっ、何するんですか…離してください…」
ミントちゃんの笑顔はいつの間にか恐怖に怯える顔になっていた
「ミントティガナイナラミントチャンヲイタダクトスルカ」
男達はミントちゃんを押し倒し、ミントちゃんの肌を、
1人は耳、1人は指、1人は脇、1人は足を貪る様に舐め始めた
「いゃっ…やめてください…」
「ミントチャンオイシイヨ」
「ヤッパリミントノアジダ」
(このままじゃ…助けをよばないと…)
「爽やかえがお…んんっっ?!!」
ミントちゃんは呪文を唱えようとしたが、口を塞がれてしまった
「オット、ヘンナマネスルトアタマノハッパチョンギッチャウヨ?」
「いやっ…それだけは…」
男の1人がミントちゃんに口づけた
「んっ…んーっ…」
「ミントチャンノダエキ、サッパリシテオイシイヨ」
男はミントちゃんの口の中を音を立てて吸いまくった
ミントちゃんは恐怖のあまり目に涙を浮かべている
「ソウダ…ココカラミントティーデテクルカモ」
男の1人がミントちゃんの服をビリビリと音を立てて破いた
「いやあぁぁっ!!」
男が服を破くと、ミントちゃんの華奢な上半身があらわになった
新鮮なミントの葉のようなみずみずしい肌で、発育途中の胸は張りがあり、
体を舐められて感じてしまったのか、うすピンク色の乳首が自己主張している
「ソウカ…ココナラ…」
男達はミントちゃんの小さい胸に赤ん坊のようにむしゃぶりつき、
チュパチュパ音を立てて吸っている
「やっ…そんなとこ吸っても…ミントティー出ませんよぉ…」
「オイシイオイシイ…、ダケドミントティーデテコナイ…」
「いたっ!…もうやめてください…」
男達はミントちゃんの胸をあとが突くぐらい強く吸った
男達は、今後はミントちゃんの長く、白い綺麗な脚を舐め始めた
「きゃあっ、ちょっと!?…」
男はミントちゃんのスカートを捲り上げ、白い下着が濡れているのをまじまじと見つめる
「ミントノイイニオイガスゴイスル…」
男がミントちゃんの下着を剥ぎ取ろうと手をかけた
「いやっ…お願い…やめて…」
ミントちゃんが男の手を振り払おうとしたが、1人の男がミントちゃんの頭葉っぱにはさみを突き付けた
「うぅっ……」
男がミントちゃんの下着を剥ぎ取ると、ミントちゃんの秘部があらわになった
愛液が流れており、そこからはミントの強い香りが広がっている
男達は、ミントちゃんの秘部に群がり、音を立てて吸い始めた
「ウマイウマイ…サワヤカー」
「ドケ!オレニモノマセロ」
男達は、ミントちゃんの秘部を無我夢中で吸っている
「いやっ…そんなに…吸われたら…もれちゃう…」
ミントちゃんの秘部から黄金水が吹き出した
「いやああぁぁぁっ!」
男たちはミントちゃんの尿と愛液を飲み、ようやく満足したようだ
「「サワヤカー」」
「ううっ…うっ……」
ミントちゃんの綺麗な顔は涙でぐしゃぐしゃになっている
一方、上空では
「ぐふふ、これでミントはもうこの町にはこないのだ」
「この催眠メカを作ったおれさまは、なんて天才なんでしょー」
なんと、男たちはばいきんまんに操られていたのだ
「そういうことだったのか…なんて酷いことをするんだ!」
「げぇっ!?アンパンマン!?」
「アーンパーンチ!」
「バイバイキーン…」
「あれ、俺達何やってたんだろ…」
「さぁ…」
正気に戻った男たちはその場を立ち去った
倒れているミントちゃんには気付いていない様子だ
「ミントちゃん、もう大丈夫だよ、一緒にパン工場に行こう」
ミントちゃんの体は男の唾液まみれで、吸われたあとが無数にある
アンパンマンはミントちゃんをマントで巻いてあけた
「ううっ…ひっく…大丈夫…です…わた、わたしの力で…ひっく…心も体も…爽やかに…戻せます…」
「でも…」
「さわやか…えがおで…ミントミント〜」
ミントちゃんが光で覆われ、本当に服も、汚された体も、そして笑顔もなにもかも元通りに戻った
「ご心配かけました♪明日も皆さんにミントティーを飲んでいただいたいので今日はもう帰ります♪」
「そう…また何かあったら呼んでね」
「さようなら〜♪ミントミント〜♪」
ミントちゃんは何事もなかったかのように去って行った
END もっと書きたかったけど今回はこの辺にしておきます
気が向いたらまた書くかも? バイキンマンが風俗で性病移されました
「やっぱりアレはバイキンマンコだったんだ」 最近このスレ見つけて、過去のものも含めて一気に読みました。
すごく良作ばかりで楽しめました!
つーか、萌!ショクドキいい!!萌えすぎてたまらんのですが!!!
職人さんまた来られないかのう…
でも最後の投下が二年前辺りだから、もう無理かのう…
ショクドキじゃなくても、あの職人さんの文章が読みてえよー
新しい世界をありがとう。
毎回アンパンマン見るのが楽しくなった!
最初遊びで手出した黒食パンがいつのまにかドキンに本気になっちゃうんだよなぁ
ドキンちゃんすげぇや魔性だな バイキンマンが好きだが女性キャラを絡ませるイメージが浮かばなかった。
(ちなみにドキンちゃんは仲の良い妹的な印象で、性行為させる気にならなかった)
今さっき、
常日頃からの迷惑行為にキレたバタコさんがバイキンマンを逆レイプして
「こうなったらこの私が体で、酷い目に合わされた人達の痛みを教えてあげるわ!!」
と束縛SMプレイを実行する様子が頭に浮かんだw
その後に泣いて帰ったバイキンマンを見て怒り狂ったドキンちゃんがバタコさんを強制連行、
バイキン城で復讐の3Pプレイが今始まる……
と言う妄想をしてしまったw
しかし小説なんか書けねぇ、自分は負け組(泣
それと全国のバタコさんファンの人ごめんなさい。 保守ついでにage
アンロール考えてると逆レイプが一番しっくりくる。
アンはセックス中は目を合わせなさそうだ。 アンロールで書いていいでしょうか?
無駄に長くと思いますし、その割にエロも大したことないでしょうけど。 >>231の者ですが、小説のデータの入った携帯が故障しました。
修理に一月ほどかかるので、投稿も一月後になります。
待っている方がいるか分かりませんが、一応ご連絡させていただきます。 年単位でも待つこのスレの住人なら一ヶ月ぐらいどうという事はない アンロールはどんなシチュでも萌えるけど
上にもあるリボン拘束逆レイプが一番好き
あー文才が欲しいな・・・ 黒おねえちゃんが嫌がるアンパンマンを逆レイプですな うおお書いてください!
アンロール希望したいけどこの際なんでもいい! マキちゃんとロールパンナで一本書いたが消えた ちょっと泣いた
どこへ行ったんだろう >>244
ありがとう…情弱機械オンチなりに頑張ったんだが見つからない
けどなんか滾ってきたから今細部を変えてもっかい書いてるよー ロール姉さんは非処女で悪い心が働いてリボンで拘束してアンパンマンを逆レイプ
アンパンマンは逆レイプが似合いすぎる・・・ 女性器の幼児語として『ワレメちゃん』って言葉考えたのはやなせたかし先生らしいな。 ばいきんまんが「言うこと聞かないとメロンパンナを殺す」的な脅しでロールをレイプ
それを目撃したメロンが誤解して、花を渡そうとするロールに「汚い!やめて!」と言ってしまう
それでブラック化したロールがパン工場を襲って、メロンは「お姉ちゃんなんて生まれてこなきゃよかったのよ!」と言ってしまう
二つのハートが砕け散ったロールは自殺しようとしてクリームパンダに助けられ、メロンは真実を知って激しく後悔…
という鬼畜話を昔考えてました
誰か適当に使っていいです。ついでにあげ 毎度ばいきんまんを振り回すマダムナンに激昂したばいきんまん、マダムナンに襲いかかる
しかし「ばいきんまんさんは私に女の悦びを教えてくださろうとしているのね!なんてテクニシャン!ああ〜優しい心の持ち主〜♪」 アンパンマンでも食パンマンでもモブおじでも何でもいいから誰か(ブラック)ロールパンナのレイプもの書いてください…… 戸と云ふ戸は、彼女が手をふれると忽ちに開くのである。 門口でわしは、前にわしの護衛兵だつた、あの黒人の扈従のマルゲリトンを見た。 三頭共、わしをあの城へ伴れて行つた馬のやうに黒い。 一頭はわしの為、一頭は彼の為、一頭はクラリモンドの為である。 是等の馬は、西風の神の胎をうけた牝馬が生んだと云ふ西班牙馬に相違ない。 門を出る時に丁度東に上つて路上のわし達を照した明月は戦車から外れた車輪のやうに、空中を転げまはつて、右の方、梢から梢へ飛び移りながら、息を切らしてわし達に伴いて来る。 其処には四頭の大きな馬に曳かせた馬車が一台一叢の木蔭に待つてゐる。 で、それへ乗り移ると今度は馭者が気違ひのやうに馬を走らせる。 わしは片手をクラリモンドの肩にまはして、彼女の片手をわしの手に執つてゐた、彼女の頭はわしの肩に靠れて、わしは半ば露した彼女の胸が軽く、わしの腕を圧するのを感じるのである。 わしが僧侶だつたと云ふ事を覚えてゐるのも、わしが母の腹の中にゐた事を覚えてゐるのと同じ程にしか考へられなかつた。 此悪魔がわしの上にかけた蠱惑は、是程大きかつたのである。 其夜からわしの性質は、或意味に於て二等分されたやうに思はれる。 云はゞわしの内に二人の人がゐて、それが互に知らずにゐるのである。 或時はわしは自分が夜になると紳士になつた夢を見る僧侶だと思ふが、又或時には、僧侶になつた夢を見てゐる紳士だと思ふ事もある。 わしは夢と現実とを分つ事も出来なければ、何処に現実が始まり、何処に夢が定るかさへも見出す事が出来なかつた。 貴公子の道楽者は僧侶を馬鹿にするし、僧侶は、貴公子の放埒を罵るのである。 互にもつれ合ひながら、しかも互に触れる事のない二つの螺線は、わしの此二面の生活を、遺憾なく示してゐる。 しかしわしは、此状態が此様な不思議な性質を持つてゐるにも拘らず、一分でも気違ひになる気などは起らなかつた。 わしは常に、思切つて溌剌とした心で、わしの二つの生活を気長く観照してゐたのである。 が、唯一つ、わしにも説明の出来ない妙な事があつた―― 即ちそれは同じ個人性の意識が、全く性格の背反した二人の人間の中に存在してゐたと云ふ事である。 の寒村の牧師補と思つたか、クラリモンドの肩書附きの恋人、ロムアルドオ閣下と思つたか、どうか―― わしが此幻怪な事実の中にどれ程の幻想と印象とが含まれてゐるかを正確に発見するのは到底不可能である。 わし達は、カナレイオの辺の、壁画と石像との沢山ある、大きな宮殿に住んでゐた、それは一国の王宮にしても恥しくないやうな宮殿で、わし達は各々ゴンドラの制服を着たバルカロリも、音楽室も、御抱への詩人も持つてゐた。 殊にクラリモンドは、大規模な生活を恣にするのが常であつた。 彼女の性格にはクレオパトラに似た何物かが潜んでゐるのである。 わしはと云ふと又王子のやうな宮臣の一列を従へて、常に大国の四福音宣伝師か十二使徒の一人と一家ででもあるやうな、畏敬を以て迎へられてゐた。 わしは大統領を通すのでさへ、道を譲らうとはしなかつた。 魔王が天国から堕落して以来、わしより傲慢不遜な人間が此世にゐたとは信じられぬ。 わしは又、リドットにも行つて、地獄のものとしか思はれぬ運をさへ弄んだ。 没落した家の子供達とか女役者とか奸黠な悪人とか佞人とか空威張をする人間とか―― そして此様な生活に沈湎しながらも、わしは常にクラリモンドを忘れなかつた。 一人のクラリモンドを持つのは、二十人の情婦を持つのにも均しい。 彼女は其一身に、無数の容貌の変化と無数の清新な嬌艶とを蔵してゐる―― 彼女自身によつて目醒まされた、清浄な青春の愛である。 しかも其愛は最初の、又最後の情熱でなければならない。 唯、不幸なのは、毎夜必ず魘される時だけで、其の時はわしが貧しい田舎の牧師補になつた夢を見ながら、昼間の淫楽を悔いて、贖罪と苦行とに一身を捧げてゐるのである。 わしは、常は彼女と親しんでゐられるのに安んじて、わしがクラリモンドと知るやうになつた不思議な関係を此上考へて見ようとはしなかつた。 併し彼女に関する僧院長セラピオンの言は、屡々わしの記憶に現れて、わしの心に不安を与へずにはゐなかつた。 其内に暫くの間クラリモンドの健康が平素のやうにすぐれなかつた。 医師を呼んで診せても、病気の質がわからないので、どう治療していゝか見当が附かない。 彼等は皆、役にも立たぬ処方箋を書いて、二度目からは来なくなつてしまふのである。 けれ共彼女の顔色は、著しく青ざめて、一日は一日と冷くなる。 そして遂には殆どあの不思議な城の記憶すべき夜のやうに、白く、血の気もなくなつてしまつた。 わしは此様に徐々と死んでゆく彼女を見るに堪へないで、云ふ可からざる苦痛に苛まれたが、わしの苦悶に動かされたのであらう、彼女は、丁度死なねばならぬ事を知つた者の末期の微笑のやうに、悲しく又やさしく、わしの顔を見てほゝ笑んだ。 或朝、わしは彼女の寝床の傍に坐つて、直側に置いてある小さな食卓で朝飯を認めてゐた。 それはわしが一分でも彼女の側を離れたくないと思つたからである。 で、或る果物を切らうとした所が、わしは誤つて稍々深くわしの指を傷けた。 すると血がすぐに小さな鮮紅の玉になつて流れ出したが、其滴が二滴三滴、クラリモンドにかゝつたと思ふと彼女の眼は忽ちに輝いて、其顔にも亦、わしが嘗て見た事の無いやうな、荒々しい、恐しい喜びの表情が現れた。 わしの傷口に飛びつくと、云ひ難い愉快を感じるやうに、わしの血をすゝり始めた。 しかも彼女は静かに注意しつゝ、恰も鑑定上手が、セレスやシラキュウズの酒を味ふやうに、其小さな口に何杯となく啜つて飽かないのである。 と、次第に彼女の瞼は垂れ、緑色の眼の瞳は円いと云ふよりも、寧ろ楕円になつた。 そしてわしの手に接吻しようとしては、口を離すかと思ふと、又更に幾滴かの紅い滴を吸ひ出さうとして、わしの傷口に其唇をあてるのであつた。 血がもう出ないのを見ると、彼女は瑞々した、光のある眼を輝かしながら、五月の朝よりも薔薇色に若やいで、身を起した。 顔はつや/\と肉附いて、手も温かにしめつてゐる―― 常よりも一層美しく、健康も今は全く恢復してゐるのである。 悦びに半ば狂したやうにわしの首に縋りつきながら、彼女はかう叫んだ。 貴方の豊な貴い血の滴が、世界中のどの不死の薬よりも得難い、力のつく薬なの。 そしてクラリモンドに対する不思議な疑惑をわしに起させた。 丁度其の夜、睡がわしを牧師館に移した時に、わしは僧院長セラピオンが平素よりは一層真面目な、一層気づかはしさうな顔をしてゐるのを見た。 彼はぢつとわしを見つめてゐたが、悲しげに叫んで云ふには「お前は霊魂を失ふ丈では飽足りなくて、肉体をも失はうとするのかの。 見下げ果てた奴め、何と云ふ恐しい目にあふものぢや。」 が、此記憶の鮮かなのにも拘らず、其印象さへ間も無く消えてしまつて、数知れぬ外の心配がわしの心からそれを移してしまつた。 遂にある夜わしはクラリモンドが、食事の後で日頃わしにすゝめるを常とした香味入りの酒の杯へ、何やら粉薬を入れるのを見てとつた。 それは彼女がさうとは気が附かずに立てゝ置いた鏡に映つて見えたのである。 わしは杯をとり上げて、口へ持つてゆく真似をして、それから、後で飲むつもりのやうに手近にあつた家具の上へのせて置いた。 で、彼女が後を向いた隙を窺つて、中の酒を卓の下へあけると、其儘、わしの閨へ退いて床の上に横になつた。 わしは少しも眠らずに、此神秘から何が起るか気を附けて見出さうと決心したのである。 待つ間もなく、クラリモンドは、寝衣を着てはひつて来た。 彼女はわしが睡つてゐるのを確めると、わしの腕をまくつて、髪から金の留針をぬきながら、低い声でかう呟き始めた。 「一滴、たつた一滴、私の針の先へ紅宝玉をたつた一滴…… 貴方はまだ私を愛してゐるのですから、私はまだ死なれません…… あゝ可哀さうに、私は美しい血を、まつ赤な血を飲まなければならないのね、お休みなさい、私のたつた一の宝物、お眠みなさい、私の神、私の子供、私は貴方に害をしようと思つてはゐなくつてよ。 私は唯、貴方の命から、私の命が永久に亡びてしまはない丈の物を頂くのだわ。 私は貴方を愛してゐるのでせう、だから私は外に恋人を拵へて、其人の血管を吸ひ干す事にした方がいゝのだわ。 けれど貴方を知つてから、私、外の男は皆厭になつてしまつたのですもの…… まあ美しい腕ね、何と云ふ円いのだらう、何と云ふ白いのだらう、どうして私は此様な青い血管を傷ける事が出来るのだらう。」 其時わしは、彼女がわしの腕を執りながら、其上に落す涙を感じたのであつた。 彼女はほんの五六滴しか飲まなかつたが、わしの眼を醒ますのを怖れたので、丁寧に小さな布でわしの腕を括つてくれた。 それから後で又傷を膏薬でこすつてくれたので、傷は直に癒つてしまつた。 が、此積極的な知識があるにも拘らず、わしはクラリモンドを愛するのを禁ずる事が出来なかつた。 そして喜んで其人工の生命を与へるに足る丈の血潮を、自ら進んで与へようと思つた。 わしはわしの血を一滴づつ取引するよりも、わしの腕の血管を自ら剖いて、彼女にかう云つてやりたかつた。 「お飲み、さうしてわしの愛をわしの血潮と一しよに、お前の体に滲透らせておくれ。」 わしは、彼女がわしに拵へてくれた魔酔の酒の事や、あの留針の出来事には、気をつけて一言もそれに及ばないやうにした。 そしてわし達は最も円満な調和を楽しんでゆく事が出来たのである。 けれ共、わしの沙門らしい優柔は、常よりも一層、わしを苛み始めた。 そしてわしは、わしの肉を苦しめ制する為に、何か新しい贖罪を発明するのさへ、想像するに苦しむやうになつた。 是等の幻は無意志的なもので、わしは実際それに関する何事にも与らなかつたがそれでも猶、わしは事実にせよ夢幻にせよ、此様な淫楽に汚れた心と不浄な手とを以てしては、到底基督の体に触れる事が出来なかつた。 わしは此懶い幻惑の力に圧へられるのを免れようとして、先づ眠に陥るのを防がうと努力した。 そこでわしは指で瞼を開いてゐたり、数時間も真直に壁に倚り懸てゐたりして、全力を振つて眠と戦つて見たのである。 けれ共睡魔は絶えずわしの眼を襲つて、凡ての抵抗が無駄になつたと思ふと、わしは極度の疲労に堪へずして、両腕を力なく下げたまゝ、再び睡の潮流に楽慾の彼岸に運ばれて了ふ。 セラピオンは、峻烈を極めた訓戒を加へて、厳しくわしの意気地の無いのと、勇猛心の不足なのとを責めたが、遂に或日、わしが平素より一層心を苦しめてゐると、わしにかう云つてくれた。 「此不断の呵責を免れることの出来るのは、唯、一策がある許りぢや。 尤も非常に出た策だと云ふ嫌はあるが役には立つに相違ない。 わしはクラリモンドの埋められた処を知つてゐるし、それにはあの女の屍を発いて、お前の恋する女がどのやうな憐な姿になつてゐるかを見なければならぬ。 さうすればお前も、蛆に食はれた、塵になるばかりの屍の為に、霊魂を失ふやうな迷には陥らぬやうにならう。 わしは此二重生活に困憊してゐたので、貴公子か僧侶かどちらが幻惑の犠牲だかを確め度いばかりに直に之を快諾した。 わしは全くわしの心の中にゐる二人の男の一人を、もう一人の利益の為に殺すか、又は二人共殺すか、どちらか一つにする決心でゐた。 それは此様な怖しい存在は続けられる事も、堪へられる事も出来なかつたからである。 そこで僧院長セラピオンは鶴嘴と挺と角燈とを整へて、わし達二人は真夜中に場所も位置も彼のよく知つてゐる―― 暗い角燈の光を五六の墓石の碑銘に向けた後に、わし達は遂に、半大きな雑草に掩はれて、其上又苔と寄生植物とに侵された大きな板石の前に出た。 そして其上に、わし達は下のやうな墓碑銘の首句を探り読む事が出来たのである。 そして角燈を地上に置くと、石の端の下へ挺の先を押入れて、其石を擡げ始めた。 石が自由になると彼は更に寄生植物を取除けにかゝつた。 わしは夜よりも暗く、夜よりも更に語なく、傍に立つて、ぢつと彼のする事を見戍つた。 其間に彼は其凄惨な労働に腰をかゞめて、汗にぬれながら喘いでゐる。 わしには彼の苦しさうに吐く息が、末期の痰のつまる音のやうな調子を持つてゐるかと疑はれた。 外から誰でもわし達を見る人があつたなら、其人はわし達を神の僧侶と思ふよりは寧ろ涜神の痴者が経帷子を盗む者と思つたに相違ない。 セラピオンの熱心には、執拗な酷烈な何物かがあつて、それが彼に天使とか使徒とか云ふものよりも却つて邪鬼の形相を与へてゐた。 其大きな、鷲のやうな顔は、角燈の光で、鋭い浮彫りを刻んでゐる。 峻厳な目鼻立ちと共に、不快な空想を誘ふやうな、恐る可き何物かを有してゐるのである。 わしは氷のやうな汗が大きな粒になつてわしの顔に湧いて来たのを感じた。 わしの心の底では、辛辣なセラピオンの行が、憎むべき神聖冒涜の如く感じてゐる。 わしは、頭上に油然と流れてゐる黒雲の内臓から、火の三戟刑具が迸り出でて、彼を焦土とするやうに祈祷しようかとさへ思つてゐた。 糸杉に宿つてゐた梟は、角燈の光に驚いて、時々それに飛んで来る。 しかも其度に灰色の翼で角燈の硝子を打つては悲しい慟哭の叫び声を揚げるのである。 野狐は遠い闇の中に鳴き、数千の不吉な物の響は、沈黙の中から自ら生れて来る。 其板に触れた響は、深い高い音を、打たれた時に「無」 わしは其時クラリモンドが大理石像のやうに青白く、両手を組んでゐるのを見た。 彼女の白い経帷子は、頭から足迄たゞ一つの襞を造つてゐる。 しかも彼女の色褪せた唇の一角には、露の滴つたやうに、小さな真紅の滴がきらめいてゐるのである。 「あゝ、此処に居つたな、悪魔めが、不浄な売婦めが、黄金と血とを吸ふ奴めが。」 彼は聖水を屍と柩の上に注ぎかけて、其上に水刷毛で十字を切つた。 憐む可きクラリモンドは、聖水がかゝると共に、美しい肉体も忽ち塵土となつて、唯、形もない、恐しい灰燼の一塊と、半ば爛壊した腐骨の一堆とが残つた。 決然として僧院長は此悲しい残骸を指さしながら、叫んだ。 「是でもお前は、お前の恋人と一しよに、リドオやフシナを散歩しようと云ふ気になるかの。」 わしは、無限の破滅がわしにふりかゝつた様に、両手で顔を隠した。 クラリモンドの恋人ロミュアル卿も、今は長い間不思議な交際を続けてゐた、憐れな僧侶から離れてしまつたのである。 が、唯一度、其次の夜にわしはクラリモンドに逢つた。 彼女は、教会の玄関で始めてわしに逢つた時にさう云つたやうに「不仕合せな方ね、何をなすつた?」 「何故、あの愚かな牧師の云ふ事をおきゝなすつたの? それだのに貴方は私の墓を発いて、私の何もないみじめさを人目にお曝しなすつたのね。 私たちの、霊魂と肉体との交通はもう永久に破られてしまつたのよ。 わしの霊魂の平和は、高い代価を払つて始めて贖ふ事が出来たのである。 神の愛は彼女のやうな愛を償つて余りある程大きなものではない。 そして外へ出る時には、何時でも視線を地におとして歩くがいゝ。 何故と云へば、如何に信心ぶかい、慎みぶかい人間でも、一瞬間の誤が、永遠を失はせるのは容易だからである。 暑いフロックを夏の背廣に着換へて外の連中と一しよに上甲板へ出てゐると、年の若い機關少尉が三人やつて來て、いろんな話をしてくれた。 僕は新米だから三人とも初對面だが、外の連中は皆、教室で一度は講義を聞かせた事のある間柄である。 だから、僕は圈外に立つておとなしく諸君子の話を聞いてゐた。 すると其少尉の一人が横須賀でSとSの細君と二人で散歩してゐるのに遇つたら、よくよく中てられたと見えて、其晩から腹が下つたと云ふ話をした。 外の連中はそれを聞くと、あははと大きな聲を出した。 唯新婚後間のないSだけはその仲間にはいらなかつた。 自分は、夕日の光を一ぱいに浴びた軍港を眺めながら、新らしい細君を家に殘して來たSに對して憐憫に近い同情を感じた。 さうしたら、何故か急に旅らしい心細い氣もちになつた。 標的を曳いてゐる艦は、さつきから二隻の小蒸汽に艦尾を曳かれて、方向を右に轉じようとしてゐる。 素人眼には、小蒸汽の艫に推進機が起してゐる、白い泡を見ても、どれほどその爲にこの二萬九千噸の巡洋艦が動いてゐるかわからない。 先に錨をあげた榛名は既に煙を吐き乍ら徐に港口を西に向つて、離れようとしてゐる。 それがまた、梅雨晴れの空の下に起伏してゐる山々の鮮な緑と、眩ゆく日の光を反射してゐる水銀のやうな海面とを背景にして、美しいパノラミックな景色をつくつてゐる。 この光景を眺めた僕には、金剛の容易に出航しさうもないのが聊かもどかしく思はれた。 そこで、又外の連中の話に加はつて、このもどかしさを紛らせようとした。 すると、すぐ側のハツチの下でぢやんぢやんと、夕飯を知らせる銅鑼の音がした。 その音は軍艦の中とは思はれない程、古めかしいものであつた。 僕はそれを聞くと同時に長谷にある古道具屋を思ひ出した。 そこには朱塗の棒と一緒に、怪しげな銅鑼が一つ、萬年青の鉢か何かの上にぶら下つてゐる。 僕は急に軍艦の銅鑼が見たくなつたから、ほかの連中より先にハツチを下りて、それを叩いて行く水兵に追ひついた。 所が追ひついて見るとぢやんぢやんの正體は銅鑼と云ふ名を與へるのが僭越な程、平凡なうすべつたい、けちな金盥にすぎなかつた。 僕は滑稽な失望を感じて、すごすご士官室の海老茶色のカアテンをくぐつた。 士官室では大きな扇風器が幾つも頭の上でまはつてゐた。 その下に白いテーブル掛をかけた長い食卓が二側にならんで、つきあたりの、鏡を入れた大きなカツプボオドには、銀の花瓶が二つ置いてあつた。 食卓につくと、すぐにボイが食事を持つて來てくれる。 僕は生鮭の皿を突つきながら、Sに「軍艦のボイは氣が利いてますね」 事によると、これは軍艦のボイより、細君の方が氣が利いてゐると思つたからかも知れない。 外の連中は皆同じ食卓についた八田機關長を相手にして、小林法雲の氣合術の事なんぞを話してゐた。 元來この士官室なるものへは、副長以下大尉以上の將校が皆な來て、飯を食ふ。 さうしてそれと同時にシイメンの顏には、一種のタイプがある事を發見した。 夕飯をしまつた後で、上甲板から最上甲板へ上ると、どこかから男ぶりの好い少尉が一人やつて來て、僕たちを前部艦橋へつれて行つてくれた。 軍艦の中で艦首から艦尾を一目に見渡す所と云ふと、先づここの外にない。 僕たちは司令塔の外に立つて何時か航行を始め出した艦の前後に眼を落した。 眼分量にして、凡そ十五六呎の高さにゐるのだから、甲板の上にゐる水兵や將校も、可成小さく見える。 僕にはその小さな水兵の一人が、測鉛臺の上に立つて青い海に向ひながら、長い綱の先につけた分銅を、水の中へ投げこんでゐるのが殊に面白かつた。 投げこんでゐると云ふだけでは、甚だ振はないが、實はまるで昔の武藝者が鎖鎌でも使ふやうな調子で、その分銅のついた長い綱をびゆうびゆう頭の上でふりしながら、艦の進むのに從つて出來る丈け遠くへ勢ひよく抛りこむのである。 上から見てゐると、抛りこむ度にその細い綱が生きもののやうに海の上でうねくつた。 その先につけてある分銅が、まだ殘つてゐる日脚に光つて、魚の跳ねるやうに白く見えた。 僕はへえ危いねと思ひながら、暫の間は感心して、そればかり眺めてゐた。 それから司令塔の内部や海圖室を見て、又中甲板へひき返した。 すると、狹い通路にはもうハムモツクを釣つて、眠つてゐる水兵が大勢ある。 中にはその中で、うす暗い電燈の光をたよりに、本を讀んでゐるものも二三人あつた。 僕たちは皆な背をかがめてそのハムモツクの下を這ふやうにして歩いた。 これはペンキの臭ひでもなければ、炊事場の流しの臭ひでもない。 さうかと云つて又機械の油の臭ひでもなければ、人間の汗の臭ひでもない。 こんな事を考へながらふと頭をあげると、一人の水兵の讀んでゐる本の表紙が、突然僕の鼻の先へ出た。 それでもハムモツクの下を通りぬけたあとで、バスにはいつたら、生れかはつたやうな氣になつた。 それが白い陶器の湯槽の中で、明礬のやうに青く見えた。 Tの語を借りると、「躯が染まりさうな氣がする位青い。」 僕は湯槽の中で手足をのばしながら、Tに京都の湯屋の講釋を聞いた。 それからこつちでは淺草の蛇骨湯の話をしてやつた。―― それ程僕たちのバスのはいり心は泰平なものだつたのである。 湯から上ると副長の巡見がすんでゐたから、浴衣に着かへて、又士官室へ行つた。 すると僕の隣へ來て、「二十年前の日本と今日の日本とは非常な相違です」 その人はシイメンのタイプに屬さない、甚だ感じの好い顏をしてゐた。 と、その人は、醉はない者にはわからない熱心さを以て、僕の杯と自分の杯とに代る代る酒をつぎながら、大分獨りで氣焔をあげた。 が、生憎僕もさつきから、醉はない者には解らない眠氣に襲はれてゐた所だから、聞いてゐる中にだんだん返事も怪しくなつて來た。 それがどうにか、かうにか、會話らしい體裁を備へて進行したのは、全く僕がイエスともノオともつかない返事をして、巧に先方の耳目を瞞著したおかげである。 その瞞著した相手の憂國家が、山本大尉とわかつた今になつて見ると、默つてゐるのも可笑しいから、白状してしまふが、僕には、二十年以前の日本と今日の日本と、何がどうちがふんだか、實は少しも分らなかつた。 尤もこれは山本大尉自身も醉がさめた後になつて見ると、あんまりよくは分らなかつたかも知れない。 そこで好い加減に話を切りあげて、僕は外の連中と一しよに、士官室をひき上げた。 外では暗い空と海との間に榛名の探照燈が彗星のやうな光芒をうす白く流してゐる。 僕はハンドレエルにつかまつて、遙か下の海面を覗込んだ。 「かうやつて下を見てゐると、ちよいと飛込みたくなるぜ。」 するとMはそれに答へないで、近眼鏡をかけた顏を僕の側へ持つて來ながら、「おい、俳句が一つ出來た」 さうしてもう一度海を見て空を見て、それから靜にケビンへ寢に下りて行つた。 エレヴエタアが止つたと思ふと、先へ來てゐた八田機關長が外から戸を開けてくれた。 その開いた戸の間から汽罐室の中を見た時に、僕が先づ思ひ出したのは「パラダイス・ロスト」 かう云ふと誇張の樣に聞えるかも知れないが、決してさうではない。 眼の前には恐しく大きな罐が幾つも、噴火山の樣な音を立てて並んでゐる。 その狹い所に、煤煙でまつ黒になつた機關兵が色硝子をはめた眼鏡を頸へかけながら忙しさうに動いてゐる。 それが皆罐の口からさす灼熱した光を浴びて、恐ろしいシルエツトを描いてゐる。 しかも、エレヴエタアを出た僕たちの顏には、絶えず石炭の粉がふりかかつた。 僕は半ば呆氣にとられて、この人間とは思はれない、すさまじい勞働の光景を見渡した。 その中に機關兵の一人が、僕にその色硝子の眼鏡を借してくれた。 それを眼にあてて、罐の口を覗いて見ると、硝子の緑色の向うには、太陽がとろけて落ちたやうな火の塊が、嵐のやうな勢で燃え立つてゐる。 それでも重油の燃えるのと、石炭の燃えるのとが素人眼にも區別がついた。 ここで働いてゐる機關兵が、三時間の交代時間中に、各々何升かの水を飮むと云ふのも更に無理はない。 すると、機關長が僕たちの側へ來て、「これが炭庫です」 さうしてさう云ふかと思ふと、急にどこかへ見えなくなつてしまつた。 よく見ると、側面の鐵の板に、人一人がやつと這ひこめる位な穴が明いてゐる。 そこで僕たちは皆一人づつ、床を嘗めないばかりにして、その穴から中へもぐりこんだ。 中は高い所に電燈が一つともつてゐるだけだから、殆ど夜のやうな暗さである。 まづ坑山の竪坑の底に立つてゐるやうな心もちだと思へば間違ひない。 僕はごろごろする石炭を踏んで、その高い所にある電燈を見上げた。 ぼんやりした光の輪の中に、蟲のやうなものが紛々と黒く動いてゐる。 雪の降る日に空を見ると、雪が灰をまくやうに黒く見える―― 僕はすぐに、それが宙に舞つてゐる石炭の粉だと云ふ事に氣がついた。 此中で働いてゐる機關兵の事を考へると殆ど僕と同じ肉體を持つてゐる人間だとは思はれない。 現にその時も二三人、その暗い炭庫の中で、石炭をシヨヴルで下してゐる機關兵の姿が見えた。 外に海があつて、風が吹いて、日があたつてゐる事も知らない人間のやうに働いてゐる。 さうして、誰よりも先きに、元の入口をボイラアの前へ這ひ出した。 が、ここでもやはり、すさまじい勞働が、鐵と石炭との火氣の中に、未練未釋なく續けられてゐる。 エレヴエタアで艦の底から天上して中甲板の自分のケビンへ歸つて、カアキイ色の作業服を脱いだら、漸くもとの人間になつたやうな心もちがした。 それがどこへ行つても、空氣が息苦しい位生暖かくつて、いろんな機械が猛烈に動いてゐて、鐵の床や手すりが油でぴかぴか光つてゐて、僕のやうな勞働に縁の遠いものは、五分とそこにゐると、神經にこたへてしまふ。 が、その間に絶えず或る考へが僕の頭にこびりついてゐた。 それは歐洲の戰爭が始まつて以來、僕位の年齡のものが大抵考へるやうになつた、或る理想的な考へである。 今このケビンの寢臺の上にころがつて、くたびれた足をのばしながら、持つて來たオオベルマンの頁をはぐつてゐる間もやはりその考へは、僕をはなれない。 これは其の後の事だが、夕飯をすませて、士官室の諸君と話してゐると、上甲板でわあと云ふ聲が聞こえた事がある。 何だらうと思つて、ハツチを上つて見ると、第四砲塔のうしろに艦中の水兵が黒山のやうに集まつてゐた。 さうしてそれが皆、大きな口をあいて、「勇敢なる水兵」 ケエプスタンの上に、甲板士官がのつてゐるのは、音頭をとつてゐるのであらう。 こつちから見ると、その士官と艦尾の軍艦旗とが、千人あまりの水兵の頭の上に、曇りながら夕燒けのした空を切りぬいて、墨を塗つたやうに黒く見えた。 下では皆が、鹽辛い聲をあげて、「煙も見えず雲もなく」 勇ましかる可き軍歌の聲が、僕には寧ろ、凄壯な調子を帶びて聞えたからである。 主計長の案内で吃水線下二十何呎の倉庫へはいつたり、軍醫長の案内で蒸し暑い戰時治療室を見たりしたら、大分足がくたびれた。 そこで上甲板へ出て、水兵の柔道を見てゐると、機關長が氣合術をやつて見せるから來いと云つて人をよこした。 その後で、士官次室へ招待されて皆で出かけたら、浴衣がけで、ソフアにゐた連中が皆立つて、僕たちの健康とSの結婚とを祝してくれた。 中でも、色の黒い、眼の大きい、鼻のつんと高い關西辯の先生の如きは、赤木桁平君を想起するやうな勢ひで、盛んにメートルをあげた。 僕に自來也と云ふ渾名をつけたのも、この先生である。 これは僕の髮の毛が百日鬘の樣だからださうだが、もし夫れ人相に至つては、夫子自身の方が遙かによく自來也の俤を備へてゐた。 鏡にさへ向へば、先生自身にもすぐにわかる事である。 この先生は、僕にハムだのパインアツプルだの色んな物を呉れた。 とか何とか云つて、僕のコツプへ無暗にビールを注いだ。 「今日靴下一つになつて、檣樓へ上つたのはあんたですか。」 彼と僕とは今朝雨の晴れ間を見て、前部艦橋からマストを攀のぼつて、檣樓へ上つて來たのである。 僕はこの先生とこんな話をしながら、ニコチンとアルコオルとをちやんぽんに使つた。 所が、その痛みは士官次室を失敬した後でも、まだ執拗く水おちの下に盤桓してゐる。 そこで僕はTに仁丹を貰つて、それを噛みながらケビンのベツドの上へ這ひ上つた。 僕が檣の上へ帽子をかぶつてゐる軍艦の夢を見たのは、その晩だつたやうに記憶する。 明くる朝、飯も食はずに上甲板へ出て見たら、海の色がまるで變つてゐるのに驚いた。 昨日までは濃い藍色をしてゐたのが、今朝はどこを見ても美しい緑青色になつてゐる。 そこへ一面に淡い靄が下りて、其靄の中から、圓い山の形が茶碗を伏せたやうに浮き上つてゐる。 僕は丁度來合せた機關長に聞いて、艦が既に豐後水道を瀬戸内海へはいつた事を知つた。 して見ると遲くも午後の二時か三時には山口縣下の由宇の碇泊地へ入るのに相違ない。 僅か何日かの海上生活が、僕に退屈だつたと云ふのではない。 やがて、何氣なく眼を上げると、眼の前にある十四吋砲の砲身に、黄いろい褄黒蝶が一つとまつてゐる。 驚いたやうな、嬉しいやうな妙な心もちではつと思つた。 機關長は相變らずしきりにむづかしい經義の話をした。 陸を、畠を、人間を、町を、さうして又それらの上にある初夏を蝶と共に懷しく、思ひやつてゐたのである。 さもなければ、芸術に奉仕する事が無意味になつてしまふだらう。 たとひ人道的感激にしても、それだけを求めるなら、単に説教を聞く事からも得られる筈だ。 芸術に奉仕する以上、僕等の作品の与へるものは、何よりもまづ芸術的感激でなければならぬ。 それには唯僕等が作品の完成を期するより外に途はないのだ。 芸術の為の芸術は、一歩を転ずれば芸術遊戯説に堕ちる。 人生の為の芸術は、一歩を転ずれば芸術功利説に堕ちる。 分化発達した芸術上の理想のそれぞれを完全に実現させる事だ。 それがいつも出来なければ、その芸術家は恥ぢなければならぬ。 従つて又偉大なる芸術家とは、この完成の領域が最も大規模な芸術家なのだ。 勿論人間は自然の与へた能力上の制限を越える事は出来ぬ。 さうかと云つて怠けてゐれば、その制限の所在さへ知らずにしまふ。 だから皆ゲエテになる気で、精進する事が必要なのだ。 そんな事をきまり悪がつてゐては、何年たつてもゲエテの家の馭者にだつてなれはせぬ。 尤もこれからゲエテになりますと吹聴して歩く必要はないが。 僕等が芸術的完成の途へ向はうとする時、何か僕等の精進を妨げるものがある。 丁度山へ登る人が高く登るのに従つて、妙に雲の下にある麓が懐しくなるやうなものだ。 その人は遂に僕にとつて、縁無き衆生だと云ふ外はない。 樹の枝にゐる一匹の毛虫は、気温、天候、鳥類等の敵の為に、絶えず生命の危険に迫られてゐる。 芸術家もその生命を保つて行く為に、この毛虫の通りの危険を凌がなければならぬ。 自動作用が始まつたら、それは芸術家としての死に瀕したものと思はなければならぬ。 より正しい芸術観を持つてゐるものが、必しもより善い作品を書くとは限つてゐない。 さう考へる時、寂しい気がするものは、独り僕だけだらうか。 まづ内容があつて、形式は後から拵へるものだと思ふものがあつたら、それは創作の真諦に盲目なものの言なのだ。 が、その言葉の内容の上では、真に相隔つ事白雲万里だ。 その内容と形式との一つになつた全体を的確に捉へ得た所が、イブセンの偉い所なのだ。 あの言葉の内容とあの言葉の中にある抽象的な意味とを混同すると、其処から誤つた内容偏重論が出て来るのだ。 この微妙な関係をのみこまない人には、永久に芸術は閉された本に過ぎないだらう。 画を描かない画家、詩を作らない詩人、などと云ふ言葉は、比喩として以外には何等の意味もない言葉だ。 それは白くない白墨と云ふよりも、もつと愚な言葉と思はなければならぬ。 恐らくは誤つた内容偏重論を奉ずるものより、実際的には更に災に違ひあるまい。 素質、教育、その他の点から、僕が常に戒心するのは、この誤つた形式偏重論者の喝采などに浮かされない事だ。 偉大なる芸術家の作品を心読出来た時、僕等は屡その偉大な力に圧倒されて、爾余の作家は悉有れども無きが如く見えてしまふ。 丁度太陽を見てゐたものが、眼を外へ転ずると、周囲がうす暗く見えるやうなものだ。 を読んだ時、どんなに外の露西亜の作家を軽蔑したかわからない。 僕等は太陽の外に、月も星もある事を知らなければならぬ。 に嘆服した時も、ヴアテイカンのラフアエルを軽蔑するのに躊躇するだけの余裕があつた。 芸術家は非凡な作品を作る為に、魂を悪魔へ売渡す事も、時と場合ではやり兼ねない。 「どんな作品でも、悪口を云つて云へないと云ふ作品はない。 賢明な批評家のなすべき事は、唯その悪口が一般に承認されさうな機会を捉へる事だ。 さうしてその機会を利用して、その作家の前途まで巧に呪つてしまふ事だ。 美学の本さへ読めば批評家になれると思ふのは、旅行案内さへ読めば日本中どこへ行つても迷はないと思ふやうなものだ。 たとひそれが時として、僕自身に対するものであつても。 と云ふ意味は、倪雲林が石上の松を描く時に、その松の枝を悉途方もなく一方へ伸したとする。 その時その松の枝を伸した事が、どうして或効果を画面に与へるか、それは雲林も知つてゐたかどうか分らない。 が、伸した為に或効果が生ずる事は、百も承知してゐたのだ。 もし承知してゐなかつたとしたら、雲林は、天才でも何でもない。 だからこそロダンはアンスピラシオンを軽蔑したのだ。 昔セザンヌは、ドラクロアが好い加減な所に花を描いたと云ふ批評を聞いて、むきになつて反対した事がある。 セザンヌは唯、ドラクロアを語るつもりだつたかも知れぬ。 が、その反対の中にはセザンヌ自身の面目が、明々白地に顕れてゐる。 芸術的感激を齎すべき或必然の方則を捉へる為なら、白汗百回するのも辞せなかつた、あの恐るべきセザンヌの面目が。 この必然の方則を活用する事が、即謂ふ所の技巧なのだ。 だから技巧を軽蔑するものは、始から芸術が分らないか、さもなければ技巧と云ふ言葉を悪い意味に使つてゐるか、この二者の外に出でぬと思ふ。 悪い意味に使つて置いて、いかんいかんと威張つてゐるのは、菜食を吝嗇の別名だと思つて、天下の菜食論者を悉しみつたれ呼はりするのと同じ事だ。 前の倪雲林の例で云へば、或効果を生ずる為に松の枝を一方に伸すと云ふこつをいやが上にも呑みこむべきものだ。 さう云ふ金箔ばかりけばけばしい言葉は、中学生にのみ向つて説教するが好い。 が、芸術に於ける単純さと云ふものは、複雑さの極まつた単純さなのだ。 〆木をかけた上にも〆木をかけて、絞りぬいた上の単純さなのだ。 その単純さを得るまでには、どの位創作的苦労を積まなければならないか、この局所に気のつかないものは、六十劫の流転を閲しても、まだ子供のやうに喃々としやべり乍ら、デモステネス以上の雄弁だと己惚れるだらう。 そんな手軽な単純さよりも、寧ろ複雑なものゝ方が、どの位ほんたうの単純さに近いか知れないのだ。 御恥しいが僕の悪作の中にはさう云ふ器用さだけの作品も交つてゐる。 これは恐らく如何なる僕の敵と雖も、喜んで認める真理だらう。 僕の安住したがる性質は、上品に納り返つてゐるとその儘僕を風流の魔子に堕落させる惧がある。 この性質が吹き切らない限り、僕は人にも僕自身にも僕の信ずる所をはつきりさせて、自他に対する意地づくからも、殻の出来る事を禦がねばならぬ。 追々僕も一生懸命にならないと、浮ばれない時が近づくらしい。 神田同朋町の銭湯松の湯では、朝から相変らず客が多かった。 式亭三馬が何年か前に出版した滑稽本の中で、「神祇、釈教、恋、無常、みないりごみの浮世風呂」 風呂の中で歌祭文を唄っている嚊たばね、上がり場で手拭をしぼっているちょん髷本多、文身の背中を流させている丸額の大銀杏、さっきから顔ばかり洗っている由兵衛奴、水槽の前に腰を据えて、しきりに水をかぶっている坊主頭、竹の手桶と焼き物の金魚とで、 狭い流しにはそういう種々雑多な人間がいずれも濡れた体を滑らかに光らせながら、濛々と立ち上がる湯煙と窓からさす朝日の光との中に、糢糊として動いている。 だから柘榴口の内外は、すべてがまるで戦場のように騒々しい。 つつましく隅へ寄って、その混雑の中に、静かに垢を落している、六十あまりの老人が一人あった。 鬢の毛が見苦しく黄ばんだ上に、眼も少し悪いらしい。 が、痩せてはいるものの骨組みのしっかりした、むしろいかついという体格で、皮のたるんだ手や足にも、どこかまだ老年に抵抗する底力が残っている。 これは顔でも同じことで、下顎骨の張った頬のあたりや、やや大きい口の周囲に、旺盛な動物的精力が、恐ろしいひらめきを見せていることは、ほとんど壮年の昔と変りがない。 老人はていねいに上半身の垢を落してしまうと、止め桶の湯も浴びずに、今度は下半身を洗いはじめた。 が、黒い垢すりの甲斐絹が何度となく上をこすっても、脂気の抜けた、小皺の多い皮膚からは、垢というほどの垢も出て来ない。 老人は片々の足を洗ったばかりで、急に力がぬけたように手拭の手を止めてしまった。 そうして、濁った止め桶の湯に、鮮かに映っている窓の外の空へ眼を落した。 そこにはまた赤い柿の実が、瓦屋根の一角を下に見ながら、疎らに透いた枝を綴っている。 は、かつて彼を脅かしたそれのように、いまわしい何物をも蔵していない。 いわばこの桶の中の空のように、静かながら慕わしい、安らかな寂滅の意識であった。 無心の子供のように夢もなく眠ることが出来たならば、どんなに悦ばしいことであろう。 何十年来、絶え間ない創作の苦しみにも、疲れている。…… あたりではやはり賑かな談笑の声につれて、大ぜいの裸の人間が、目まぐるしく湯気の中に動いている。 柘榴口の中の歌祭文にも、めりやすやよしこのの声が加わった。 ここにはもちろん、今彼の心に影を落した悠久なものの姿は、微塵もない。 「いや、先生、こりゃとんだところでお眼にかかりますな。 どうも曲亭先生が朝湯にお出でになろうなんぞとは手前夢にも思いませんでした。」 見ると彼の傍には、血色のいい、中背の細銀杏が、止め桶を前に控えながら、濡れ手拭を肩へかけて、元気よく笑っている。 これは風呂から出て、ちょうど上がり湯を使おうとしたところらしい。 馬琴滝沢瑣吉は、微笑しながら、やや皮肉にこう答えた。 「どういたしまして、いっこう結構じゃございません。 結構と言や、先生、八犬伝はいよいよ出でて、いよいよ奇なり、結構なお出来でございますな。」 細銀杏は肩の手拭を桶の中へ入れながら、一調子張り上げて弁じ出した。 「船虫が瞽婦に身をやつして、小文吾を殺そうとする。 それがいったんつかまって拷問されたあげくに、荘介に助けられる。 そうしてそれがまた、荘介小文吾再会の機縁になるのでございますからな。 不肖じゃございますが、この近江屋平吉も、小間物屋こそいたしておりますが、読本にかけちゃひとかど通のつもりでございます。 その手前でさえ、先生の八犬伝には、なんとも批の打ちようがございません。 彼はもちろん彼の著作の愛読者に対しては、昔からそれ相当な好意を持っている。 しかしその好意のために、相手の人物に対する評価が、変化するなどということは少しもない。 これは聡明な彼にとって、当然すぎるほど当然なことである、が、不思議なことには逆にその評価が彼の好意に影響するということもまたほとんどない。 だから彼は場合によって、軽蔑と好意とを、まったく同一人に対して同時に感ずることが出来た。 この近江屋平吉のごときは、まさにそういう愛読者の一人である。 「なにしろあれだけのものをお書きになるんじゃ、並大抵なお骨折りじゃございますまい。 まず当今では、先生がさしずめ日本の羅貫中というところでございますな―― 側で湯を浴びていた小柄な、色の黒い、眇の小銀杏が、振り返って平吉と馬琴とを見比べると、妙な顔をして流しへ痰を吐いた。 もうそれがはっきりとは見えないほど、衰弱していたのである。 「これはお尋ねにあずかって恐縮至極でございますな。 手前のはほんの下手の横好きで今日も運座、明日も運座、と、所々方々へ臆面もなくしゃしゃり出ますが、どういうものか、句の方はいっこう頭を出してくれません。 時に先生は、いかがでございますな、歌とか発句とか申すものは、格別お好みになりませんか。」 「いや私は、どうもああいうものにかけると、とんと無器用でね。 「いや、まったく性に合わないと見えて、いまだにとんと眼くらの垣覗きさ。」 だからもちろんその方面の理解にも、乏しくないという自信がある。 が、彼はそういう種類の芸術には、昔から一種の軽蔑を持っていた。 なぜかというと、歌にしても、発句にしても、彼の全部をその中に注ぎこむためには、あまりに形式が小さすぎる。 だからいかに巧みに詠みこなしてあっても、一句一首のうちに表現されたものは、抒情なり叙景なり、わずかに彼の作品の何行かを充すだけの資格しかない。 という語に力を入れた後ろには、こういう軽蔑が潜んでいた。 が、不幸にして近江屋平吉には、全然そういう意味が通じなかったものらしい。 手前などの量見では、先生のような大家なら、なんでも自由にお作りになれるだろうと存じておりましたが―― いや、天二物を与えずとは、よく申したものでございます。」 平吉はしぼった手拭で、皮膚が赤くなるほど、ごしごし体をこすりながら、やや遠慮するような調子で、こう言った。 が、自尊心の強い馬琴には、彼の謙辞をそのまま語通り受け取られたということが、まず何よりも不満である。 その上平吉の遠慮するような調子がいよいよまた気に入らない。 そこで彼は手拭と垢すりとを流しへほうり出すと半ば身を起しながら、苦い顔をして、こんな気焔をあげた。 「もっとも、当節の歌よみや宗匠くらいにはいくつもりだがね。」 しかし、こう言うとともに、彼は急に自分の子供らしい自尊心が恥ずかしく感ぜられた。 自分はさっき平吉が、最上級の語を使って八犬伝を褒めた時にも、格別嬉しかったとは思っていない。 そうしてみれば、今その反対に、自分が歌や発句を作ることの出来ない人間と見られたにしても、それを不満に思うのは、明らかに矛盾である。 とっさにこういう自省を動かした彼は、あたかも内心の赤面を隠そうとするように、あわただしく止め桶の湯を肩から浴びた。 そうなくっちゃ、とてもああいう傑作は、お出来になりますまい。 してみますと、先生は歌も発句もお作りになると、こうにらんだ手前の眼光は、やっぱりたいしたものでございますな。 が、馬琴がさっきにも増して恐縮したのはもちろんのことである。 妙に間の悪くなった彼は、こういう挨拶とともに、自分に対する一種の腹立たしさを感じながら、とうとうこの好人物の愛読者の前を退却すべく、おもむろに立ち上がった。 が、平吉は彼の気焔によってむしろ愛読者たる彼自身まで、肩身が広くなったように、感じたらしい。 「では先生そのうちに一つ歌か発句かを書いて頂きたいものでございますな。 おせわしゅうもございましょうが、お通りすがりの節は、ちとお立ち寄りを。 そうして、もう一度手拭を洗い出しながら、柘榴口の方へ歩いて行く馬琴の後ろ姿を見送って、これから家へ帰った時に、曲亭先生に遇ったということを、どんな調子で女房に話して聞かせようかと考えた。 眼の悪い馬琴は、その中にいる人々の間を、あぶなそうに押しわけながら、どうにか風呂の隅をさぐり当てると、やっとそこへ皺だらけな体を浸した。 彼はその熱い湯が爪の先にしみこむのを感じながら、長い呼吸をして、おもむろに風呂の中を見廻した。 うす暗い中に浮んでいる頭の数は、七つ八つもあろうか。 それが皆話しをしたり、唄をうたったりしているまわりには、人間の脂を溶かした、滑らかな湯の面が、柘榴口からさす濁った光に反射して、退屈そうにたぶたぶと動いている。 彼はこの風呂の湯気の中に、彼が描こうとする小説の場景の一つを、思い浮べるともなく思い浮べた。 舷をうつ浪の音が、まるで油を揺するように、重苦しく聞えて来る。 その音とともに、日覆をはためかすのは、おおかた蝙蝠の羽音であろう。 舟子の一人は、それを気にするように、そっと舷から外をのぞいてみた。 霧の下りた海の上には、赤い三日月が陰々と空にかかっている。 同じ柘榴口の中で、誰か彼の読本の批評をしているのが、ふと彼の耳へはいったからである。 しかも、それは声といい、話しようといい、ことさら彼に聞かせようとして、しゃべり立てているらしい。 馬琴はいったん風呂を出ようとしたが、やめて、じっとその批評を聞き澄ました。 「曲亭先生の、著作堂主人のと、大きなことを言ったって、馬琴なんぞの書くものは、みんなありゃ焼き直しでげす。 早い話が八犬伝は、手もなく水滸伝の引き写しじゃげえせんか。 そこで、まずそれを読んだというだけでも、一手柄さ。 ところがそこへまたずぶ京伝の二番煎じと来ちゃ、呆れ返って腹も立ちやせん。」 馬琴はかすむ眼で、この悪口を言っている男の方を透して見た。 湯気にさえぎられて、はっきりと見えないが、どうもさっき側にいた眇の小銀杏ででもあるらしい。 そうとすればこの男は、さっき平吉が八犬伝を褒めたのに業を煮やして、わざと馬琴に当りちらしているのであろう。 「第一馬琴の書くものは、ほんの筆先一点張りでげす。 あればまず寺子屋の師匠でも言いそうな、四書五経の講釈だけでげしょう。 それが証拠にゃ、昔のことでなけりゃ、書いたというためしはとんとげえせん。 お染久松がお染久松じゃ書けねえもんだから、そら松染情史秋七草さ。 こんなことは、馬琴大人の口真似をすれば、そのためしさわに多かりでげす。」 憎悪の感情は、どっちか優越の意識を持っている以上、起したくも起されない。 馬琴も相手の言いぐさが癪にさわりながら、妙にその相手が憎めなかった。 その代りに彼自身の軽蔑を、表白してやりたいという欲望がある。 それが実行に移されなかったのは、おそらく年齢が歯止めをかけたせいであろう。 あの手合いの書くものには天然自然の人間が出ていやす。 決して小手先の器用や生かじりの学問で、でっちあげたものじゃげえせん。 そこが大きに蓑笠軒隠者なんぞとは、ちがうところさ。」 馬琴の経験によると、自分の読本の悪評を聞くということは、単に不快であるばかりでなく、危険もまた少なくない。 というのは、その悪評を是認するために、勇気が、沮喪するという意味ではなく、それを否認するために、その後の創作的動機に、反動的なものが加わるという意味である。 そうしてそういう不純な動機から出発する結果、しばしば畸形な芸術を創造する惧れがあるという意味である。 時好に投ずることのみを目的としている作者は別として、少しでも気魄のある作者なら、この危険には存外おちいりやすい。 だから馬琴は、この年まで自分の読本に対する悪評は、なるべく読まないように心がけて来た。 が、そう思いながらもまた、一方には、その悪評を読んでみたいという誘惑がないでもない。 今、この風呂で、この小銀杏の悪口を聞くようになったのも、半ばはその誘惑におちいったからである。 こう気のついた彼は、すぐに便々とまだ湯に浸っている自分の愚を責めた。 そうして、癇高い小銀杏の声を聞き流しながら、柘榴口を外へ勢いよくまたいで出た。 外には、湯気の間に窓の青空が見え、その青空には暖かく日を浴びた柿が見える。 しかし風呂の中ではさっきの男が、まだ馬琴がいるとでも思うのか、依然として猛烈なフィリッピクスを発しつづけている。 ことによると、これはその眇に災いされて、彼の柘榴口をまたいで出る姿が、見えなかったからかも知れない。 眇の毒舌は、少なくともこれだけの範囲で、確かに予期した成功を収め得たのである。 彼は秋晴れの江戸の町を歩きながら、風呂の中で聞いた悪評を、いちいち彼の批評眼にかけて、綿密に点検した。 そうして、それが、いかなる点から考えてみても、一顧の価のない愚論だという事実を、即座に証明することが出来た。 が、それにもかかわらず、一度乱された彼の気分は、容易に元通り、落ち着きそうもない。 町家のものは、彼の気分とは没交渉に、皆その日の生計を励んでいる。 そういうものが、無意味な一列を作って、ただ雑然と彼の眼底を通りすぎた。 「どうして己は、己の軽蔑している悪評に、こう煩わされるのだろう。」 「己を不快にするのは、第一にあの眇が己に悪意を持っているという事実だ。 人に悪意を持たれるということは、その理由のいかんにかかわらず、それだけで己には不快なのだから、しかたがない。」 実際彼のごとく傍若無人な態度に出る人間が少なかったように、彼のごとく他人の悪意に対して、敏感な人間もまた少なかったのである。 そうして、この行為の上では全く反対に思われる二つの結果が、実は同じ原因―― 同じ神経作用から来ているという事実にも、もちろん彼はとうから気がついていた。 「しかし、己を不快にするものは、まだほかにもある。 それは己があの眇と、対抗するような位置に置かれたということだ。 ここまで分析して来た彼の頭は、さらに一歩を進めると同時に、思いもよらない変化を、気分の上に起させた。 それはかたくむすんでいた彼の唇が、この時急にゆるんだのを見ても、知れることであろう。 「最後に、そういう位置へ己を置いた相手が、あの眇だという事実も、確かに己を不快にしている。 もしあれがもう少し高等な相手だったら、己はこの不快を反※するだけの、反抗心を起していたのに相違ない。 何にしても、あの眇が相手では、いくら己でも閉口するはずだ。」 その空からは、朗かな鳶の声が、日の光とともに、雨のごとく落ちて来る。 彼は今まで沈んでいた気分が次第に軽くなって来ることを意識した。 「しかし、眇がどんな悪評を立てようとも、それは精々、己を不快にさせるくらいだ。 いくら鳶が鳴いたからといって、天日の歩みが止まるものではない。 そうしてその時は、日本が古今に比倫のない大伝奇を持つ時だ。」 彼は恢復した自信をいたわりながら、細い小路を静かに家の方へ曲って行った。 うちへ帰ってみると、うす暗い玄関の沓脱ぎの上に、見慣れたばら緒の雪駄が一足のっている。 馬琴はそれを見ると、すぐにその客ののっぺりした顔が、眼に浮んだ。 そうしてまた、時間をつぶされる迷惑を、苦々しく心に思い起した。 こう思いながら、彼が式台へ上がると、あわただしく出迎えた下女の杉が、手をついたまま、下から彼の顔を見上げるようにして、 「和泉屋さんが、お居間でお帰りをお待ちでございます。」 そうしてしかたなく、玄関の隣にある書斎の襖を開けた。 開けてみると、そこには、色の白い、顔のてらてら光っている、どこか妙に取り澄ました男が、細い銀の煙管をくわえながら、端然と座敷のまん中に控えている。 彼の書斎には石刷を貼った屏風と床にかけた紅楓黄菊の双幅とのほかに、装飾らしい装飾は一つもない。 壁に沿うては、五十に余る本箱が、ただ古びた桐の色を、一面に寂しく並べている。 障子の紙も貼ってから、一冬はもう越えたのであろう。 切り貼りの点々とした白い上には、秋の日に照らされた破れ芭蕉の大きな影が、婆娑として斜めに映っている。 それだけにこの客のぞろりとした服装が、いっそうまた周囲と釣り合わない。 このスレッドは1000を超えました。
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