「ひぁ…あ…っ、ア…っ」
「…っ、お前も…そうだろう…?まだ…俺が、欲しいんだろ…?」
耳元で吐息交じりに熱っぽく囁かれ、びく、と身体が震えた。
それだけで膣がきゅう、と締まり、男を締め付けるのを女自身も感じていた。
男が再び律動を始めた。
伴うように、女の形のよい唇から、また淫らな喘ぎが漏れ始める。
「くぅん、あ、ああ、ぁ、あ…!」
「気持ちいいんだろう…?もっと…、俺を求めろ…幻海…!」
それは強制の言葉でありながら、裏腹に、懇願の色が含まれている事に女は気付いていた。
――頼む、と。
男の心が、そう女に乞うていた。
(馬鹿だね……あんたは…)
女は心でそう男を宥めながら、ただ男にされるがまま――求められるがままに、その身を差し出していた。

強く、些か荒々しく男に揺さ振られ、女が絶頂を迎えるとまた男が中で果てる。
香に交じって酒の匂い――そして、男の精の匂いが部屋に漂っていた。
引き抜かれ、どろりとした感触が股を伝い、女は微かな不快感を覚えた。
喪失感は虚しさを呼ぶ。
冷めていく熱が儚さを伝える。

霞む目で男を見上げると、男は憂いを秘めた眼差しを女に向けていた。
そして、女の髪を愛しげに梳きながら、消え入るように囁く。

「…俺はお前が欲しい…」

男の睦言に、女は、この上無く優しく微笑み、男に返す。