年の差カップルでエロ萌え 6歳差
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0001名無しさん@自治スレで設定変更議論中2011/06/12(日) 08:01:03.80ID:Lh4eHJQF
親父と少女、お姉さまと少年など、年の差万歳なエロと萌えを語るスレです。

職人様へ
特殊傾向は表記必須でお願いします。


■前スレ
年の差カップルにエロ萌え 5歳差
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1272234202/

■過去スレ
年の差カップルにエロ萌え 4歳差
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1243290093/
年の差カップルにエロ萌え 3歳差
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1214833826/
年の差カップルにエロ萌え 2歳差
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1194432193/
年の差カップルでエロ萌え
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1176813582/

■保管庫
http://wiki.livedoor.jp/toshinosa_moe/d/FrontPage
0408名無しさん@ピンキー2013/05/05(日) 10:08:15.43ID:ftTipu8X
元服って12ぐらいでしょ?
6つ離れてたら十分じゃね

日本版乙嫁語りみたいな感じか。あっちはもうちょい離れてるけど
0409名無しさん@ピンキー2013/05/06(月) 12:58:40.34ID:Si+i9Au4
姉の友達と弟とかどう?
どっちも異性縁が薄く奥手なので姉に半ば強引にくっつけられたみたいな
0410名無しさん@ピンキー2013/05/07(火) 22:33:56.25ID:xQ8ebc48
幼い頃から知っているお姉さんを嫁にして
犯して自分の女にするとか最高じゃね?
0412名無しさん@ピンキー2013/05/25(土) 01:02:53.97ID:orbiqzRg
>>410-411の流れで幼馴染で8〜12歳差の高校生の男と女教師とか思い付いた
学校とか外じゃ秘密、家族以外は基本的に幼馴染って知らない関係
女教師は優しい、男の親が居ない時に時々飯作りに行ったりとかしてる
女教師の家で食べたりする事も
男はちょっとツンデレ気味、でもまあちょっと
偉そう振りたい御年頃って妄想が
0413名無しさん@ピンキー2013/05/26(日) 00:36:00.24ID:f02O35R3
私も年上の美女と犯りたい
0415名無しさん@ピンキー2013/06/01(土) 16:07:04.29ID:7BpRmDOk
新海誠の新作映画の言の葉の庭が年上のお姉さん×年下の男子高校生で最高だった
04173222013/06/28(金) 22:35:15.60ID:8Zu/YtBg
新人さんが、もうじき巣立ちます。
芽衣ちゃんシリーズ7月には再開します。
04183222013/06/28(金) 22:39:15.08ID:8Zu/YtBg
短大卒と高校卒の小娘の面倒をみたおかげで、しばらくネタには困らない!
0420名無しさん@ピンキー2013/06/30(日) 10:26:40.12ID:/mvjMtCv
>>417

うおおお!
待ってましたマジで

いつ再開されるかと毎日覗いてました
うれしいよお
04213222013/07/08(月) NY:AN:NY.ANID:Tt/J8RBm
T
俺の家の最寄り駅は、武蔵野線と京浜東北線が交わる駅だ。
利用者が多い割には、駅の設備は貧弱で、武蔵野線のホームにはエスカレーターさえも設置されてい
ない。それでも、京浜東北線の始発電車が有るし、都内に出るのも、千葉方面に行くのも便利なので
それなりに人気のある駅らしい。
岐阜から埼玉に引っ越してきたのは23の春。教員試験に落ちて一年間の就職浪人の後、愛知県と埼玉
県の試験を受けて、合格したのが埼玉県だった。
最初は大宮に住み、次が三郷、その次が所沢。勤務先の学校が変わるたびに転居を繰り返し、4校目に
なる、いまの高校に転勤になり、この街に移り住んだ。アパートからマンションへと住む家は変わった
が、もう10年も暮らしている。
恵美子さんと並んでバス通りを歩く。土曜の夜だというのに、近くに多く存在する学習塾に通う子供
が多く、そのお迎えの車で、それほど広くない通りは渋滞していた。
「最近の子供は、遅くまで勉強で大変だよね。」
小学校の高学年と思しき、ある塾の通学カバンを背負った一団とすれ違った時に、恵美子さんが心配
そうに言う。
「この辺は、小中学生向けの塾が多いから、小中学生の代々木って言われてるらしいよ。」
「なんで代々木?」
「代々木は予備校が多いから。」
「なるほどね。」
「勉強する子供も大変だけど、送り迎えする親も大変だと思うよ。」
「そうだね。」
それから、ひとしきり高校受験の時の思い出話をした。
僕らの世代は団塊ジュニアと呼ばれ、丁度、一学年下が戦後で一番子供が多い年だった。
岐阜の山奥ではそうでもなかったけれど、恵美子さんが中学を過ごした横浜では、1学年で14クラス
もあった。1クラスは40人。つまり560人前後の同窓生がいたわけだ。
生徒数が多いという事は、公立高校の募集枠に対して、競争率も上がる訳で、私立の高校に行く生徒
は、お金持ちか、公立の受験に失敗した奴か、成績が悪い奴って感じだった。
「受験の一ヶ月くらいまえになると、夜型から朝型の生活に変えないと、試験当日に頭が働かないか
らって、10時に寝て、6時に起きて勉強するのが流行ったよね?」
「ああ、受験必勝法なんてのに書いてあった気がする。」
「うちは飲食店やっていたから、親の帰りが遅くって、10時に布団に入ったって、夜中にバタバタす
るから、結局、起きちゃったんだよ。それで、眠くなるまでオールナイトニッポンとか聴いてると親
が怒るんだよ。」
「深夜ラジオか懐かしいな。俺は、雑音だらけの、吉田照美のテルテルワイド聴いてたよ。」
「テルテルワイドの後は?」
「後?、うーん、そのまま、文化放送を聴いてたとおもうけど。」
「ぱぱラナイトじゃなかった?」
「それだ! ぱぱラナイト♪、ぱぱラナイト、今夜もフリー&フリー♪」
番組のジングルが不意に口をついた。
「うわ〜懐かしい!向井亜紀だよ〜。なんで歌えちゃうの〜。」
中高生の頃に見聞きしていたものは、思っている以上に記憶の奥底に残るようだ。
マンションに着くまで、同じくらいの時期に放送していたテレビやラジオの話で盛り上がった。
04223222013/07/08(月) NY:AN:NY.ANID:Tt/J8RBm
U
部屋に入ると、玄関と廊下の照明を点ける。
靴を脱ぎ散らかしたままリビングに進み、照明とエアコンのスイッチを入れた。
恵美子さんが来るなんて、予想もしていなかったので、読みかけの新聞や雑誌を片付け、ダイニング
テーブルの上に置きっ放しの食パンやらジャムをキッチンカウンターに除ける。
小声でおじゃましますと言いながら、恵美子さんがリビングに入ってくる。
「適当に座ってください。」そう声をかけると彼女は、お茶菓子が入っているコンビニ袋をテーブル
に置いて、コートを脱いでダイニングチェアの背もたれにかけた。
「ちゃんと片付いていますね。」
「単に物が少ないからだよ。それに、今日の昼間に掃除機かけたから。」
「それって、私がくるのを見越して?」
「はは、そうなら良いんだけど、単に毎週土曜日の日課だよ。」
「それは残念。」
彼女は、そう言いながら、ソファーに置きっ放しになってる読みかけの単行本を手にした。
コンロにケトルをセットして火を点ける。棚から紅茶の缶を取り出して、ティーポットに適量よりも
少しだけ多めに茶葉を入れる。
お湯が沸くまでの間に、ティースプーンとカップをトレーに並べた。

この間は、茶菓子がなかったけど、今日はマドレーヌやらパウンドケーキやら、紅茶に合う菓子がそ
ろっている。お湯を注いでから、茶葉が十分に開くまで待つ間に、ケーキを皿に盛り、ジャムを少し
だけ添える。
キッチンカウンター越しに恵美子さんを見ると、彼女は静かに、単行本の最初の数ページを読み進ん
でいた。
「お茶はいったよ。」
「あっ!ごめん。」
慌てて本を閉じて、本を元にあった場所にそっともどした。
「本当なら、私がやらなきゃダメなのにね。」
ダイニングテーブルの椅子に座りながら、恵美子さんはバツが悪そうに笑った。
「いや、お客様だし、僕が淹れた紅茶が飲みたいんでしょ?」
そう言いつつ、ティーポットを取り上げて、まず恵美子さんのカップに紅茶を注いだ。
恵美子さんはテーブルに両肘をついて、前のめりになって、ティーカップから立ち上る紅茶の香りを
感じようと鼻をヒクヒクと鳴らす。その姿は子供のようだ。
プリンスオブウェールズは、他の茶葉よりもフルーティーな甘い香りが強い。
リビングが紅茶の香りに包まれる。
「お酒飲んだあとは、濃いめのコーヒーがうちの定番なんだけどね。」
「あっ、それわかる気がする。」
たまに自宅でワインを飲んだりすると、私もコーヒーが飲みたくなる。と言っても、うちはインスタ
ントしかないから、駄々こねてモンカフェを芽衣に淹れてもらうんだ。
「自分ではやらないんだ?」
「うーん、仕事から帰ってくると、結構クタクタだから、芽衣に頼ちゃうこと多いかな。」
でも、自分がお休みの日とか夜勤明けの時とかは、ちゃんとやっているよ。唇を尖らせて主張する。
「そういえば、芽衣がハンバーグのリベンジがしたいって言ってくるんだよ。」
「ああ、ハンバーグは芽衣の一番の得意料理だから、沢辺さんに食べてもらいたいのよ。」
「へ〜、ハンバーグが必殺技なんだ。」
「うん。うちで作る時は、横浜の兄直伝のスパイスを混ぜて、上手く作るのよ。」
「でも、ここで作ろうとした時は、出来合いのハンバーグヘルパー使おうとしてたよね?」
「仕方ないわよ。」沢辺さんの家にある調味料やスパイスじゃ、あの味は出せないと思って、次善の
策をあの子なりに考えたんだから。まるで自分の事のように芽衣を弁護する。
「じゃあ、リベンジする時には?」
「気合いれて、完璧なものを作ろうとするでしょうね。」
いたずらっぽく笑う。
恵美子さんが手を伸ばして、マドレーヌをとり小皿に移す。俺はジンジャークッキーを摘まんだ。
「芽衣に好きって言われた?」
突然の恵美子さんの問いかけに、口にしたジンジャークッキーを吐き出しそうになる。
04233222013/07/08(月) NY:AN:NY.ANID:Tt/J8RBm
すみません。
iPhoneでも自宅でも書き込めなかったのですが、ふらりと入った喫茶店で書き込めた。
携帯に保存した入力済みのデータが、これだけなので、明日以降UPします。
0424名無しさん@ピンキー2013/07/08(月) NY:AN:NY.ANID:ZPLtu+7+
やった〜、再開した!

……そして続きはまた明日…だ、と?
ふふふ 高度なじらし技だなぁ(泣)
0425322 おまけ2013/07/08(月) NY:AN:NY.ANID:KgWizrKf
「芽衣に好きって言われた?」
突然の恵美子さんの問いかけに、口にしたジンジャークッキーを吐き出しそうになる。
粉っぽくなった口が水分を欲するが、紅茶はまだ適温に冷めてはいない。仕方なく、一口だけ啜りこんだ紅茶で口の中を湿らせた。
「急に何を言い出すんだよ。」
抗議の声をあげるが、恵美子さんはニヤニヤと嫌な笑みを浮かべるだけ。
「純真無垢な女子高生の心を弄ぶなんてダメね〜。」
「いや、弄んでないから。」
どちらかといえば、あなたの方が純真な中年男を弄んでますから。そう言いたい気持ちを抑えて、今は黙っておく。
「芽衣は、あなたのことが好きなんだと思うよ。」「そりゃどうも。」
別にはぐらかす必要はないんだけど、なんとなく口籠ってしまう。
「あなたは、芽衣のことをどう思っているのかしら?」
でも恵美子さんは追撃の手を緩めてくれない。
「正直なところ、恋愛感情は持てない。もし、芽衣に正式に好きだって言われても、ごめんって言うしかないよ。」
ふーん。恵美子さんは小さくため息のようなものを洩らし、紅茶を一口啜った。
「私と芽衣ってやっぱり母娘だから、趣味っていうか趣向が似ているのよね。私も、若い頃は、歳上
の男性が好みだったし・・・。」
「ふーん。」
「芽衣の父親は、私よりも一回り上の放射線技師なんだけど、看護師って、勤務時間が不規則だし、
一般の人と休みが合わないから、意外と職場内での恋愛って多いのよ。私もそのパターンで、外科病
棟で勤務している時に仲良くなって、向こうは歳上だから包容力もあるように感じたし、結構優しか
ったから、いいかなって思ったの。」
ごめんね。つまらない話で。一方的に喋っていることを気にしたのか恵美子さんが謝る。
「いや、興味があるから続けてよ。」
恵美子さんがこういう話をするのには、それなりの意図があるのだろう。その意図は分からないけど
恵美子さんの元夫には興味がある。
「その頃は、看護師って仕事に失望していたの。規模の大きな病院の外科病棟だから、四六時中、急
患は運ばれてくるから、緊急手術なんてしょっ中だったし、入院患者さんも傷が痛むから呻き声あげ
てるし、苛ついて看護師に八つ当たりする人なんかもいるから、やり甲斐はあるんだけど、やっぱり
少しづつ疲れちゃうの。患者さんに対して事務的な対応になったり、表面的にはちゃんと対応してい
るように見えて、実は手を抜いたり。看護師になって4年である程度周りが見えてくる時期だから、
理想と現実のギャップに悩んじゃってたんだと思う。で、その放射線技師の彼が、もっと待遇のいい
病院に移るのを機会に結婚したの。」
「何歳の時に?」
「ちょうど23歳。で、私は専業主婦になって、仕事が不規則な旦那様のサポートにまわったの。」
口が渇くのか、恵美子さんはもう一口紅茶を啜る。
「でも、結婚生活はそれほど上手くいかなかったの。旦那は優しかったんだけど、ただ優しいだけの
人だったの。私が芽衣の育児に没頭している間に、准看の若い女の子と浮気して、向こうにも子供が
出来ちゃって、すったもんだの挙句、浮気相手の方を選んで私とは協議離婚。幸い、お坊っちゃんだ
ったから、慰謝料と芽衣の養育費をがっつりと搾り取りましたけどね。」
結婚生活は3年ちょい。旦那と暮らしていたマンションは、向こうがそのまま住むっていうから、母と
兄が暮らす大宮に来たの。恵美子さんはそう言いながら、少しだけ淋しげな笑顔を浮かべた。
0426322 おまけ2013/07/08(月) NY:AN:NY.ANID:KgWizrKf
「人に歴史ありってやつだね。」
「歴史といっても、本人にとっては黒歴史ってやつですけどね。」
「それからはずっと一人?」
聞きにくい質問だけど、今なら素直に答えてもらえそうだ。
「まあ、いろいろありましたけど、芽衣が落ち着くまではって思ったから。」
「なるほど。」
「沢辺さんにだって、元教え子の方以外にもお相手はいたんでしょ?」
マドレーヌをフォークで小さく切りながら、上目遣いに恵美子さんが質問を口にする。
「初めてのデートは高校2年生の時。結局、そのデート1回でその娘とは終わり。ちゃんとした彼女が
出来たのは、大学2年生。その娘とは1年半続いたけど、向こうは関西の方で就職が決まり、遠距離恋
愛が確定したところで振られた。29歳の時に先輩に紹介された他校の女性教諭とも長続きせず。とど
めは、元教え子との恋。こちとら、振られつづけて30年だぞ。」
黒歴史にかけては、こちらも恵美子さんに負けてはいない事を強くアピールする。
「そんな、自慢気に言われてもね〜。」マドレーヌを咀嚼しながら苦笑い。
「つまり、お互いに人生を積み重ねてきているんだから、過去のことなんて気にしないって言いたい訳ですよ。」
「でも、もし沢辺さんの事を芽衣と奪い合うって事になったら、勝てる気はしないな〜。」
なにせ向こうはピッチピチだものね〜。私なんか、遥か昔にお肌の曲がり角をターンしてるし。
「あのね〜。俺はロリコンじゃないし、自分の子供でもおかしくない生徒に対して、恋愛感情を持つ
ほどケダモノでもないよ。」
「でもさ、キャンディーズだって、男は狼なのよって歌ってるじゃない?」
「それはピンクレディー!」恵美子さんの素ボケに容赦無くツッコミを入れる。
0427名無しさん@ピンキー2013/07/08(月) NY:AN:NY.ANID:ZPLtu+7+
あ、おまけがきた
ラッキー♪

恵美子さんが好きな俺には良い展開だが
スレの趣旨からするとやはり芽衣ちゃんが有利か・・・

いずれにしても、これから更に面白くなりそうで
数か月待ち続けた甲斐あり!

322さん、ゆっくりでもいいので何卒完結までヨロシク

いちファンより
04293222013/07/11(木) NY:AN:NY.ANID:3f3So41h
芽衣ちゃんの先生24

ダイニングテーブルの上に置いた携帯が軽く振動して、電話の着信を知らせる。
画面をみると神崎の名前が表示されていた。
「神崎からだ。」「朱音ちゃんから?」 恵美子さんと2人で顔を見合わせる。
浦和駅で電車を待っている時に、恵美子さんの携帯にディズニーランドを出たってメールが入った。
あれから45分ほどなので、まだ電車の中のはずなのだが。
「とりあえず出てみたら?」恵美子さんに促されて通話ボタンを押す。
「沢辺です。」テーブルの向こうで、恵美子さんも心配そうな表情を浮かべる。
「せんせ〜い、今、家にいる?」
こんばんはの一言もなく、神崎が単刀直入に質問をぶつけてきた。
「神崎か?こんな時間にどうした?」
「今日、芽衣とランドに行ってきたんだけど、お土産を渡したいんだ。」
神崎の声は、狭い空間にいるのか、少しばかり反響するような感じだ。
「土産? そんなの月曜日に学校で渡してくれればいいよ。」
「先生、学校じゃ絶対に受け取らないでしょ!」
確かに。受け取らないどころか、見つけたなら即座にボッシュート&お説教しなければいけない立場
だ。
「気持ちだけありがたく戴くよ。それは誰か他の人に廻してあげなさい。」
「うわ〜! 生徒の好意を踏みにじる、鬼みたいな発言だ〜!」
「もう遅い時間だぞ、抗議は月曜に聞いてやるから帰りなさい。」
「ていうか、沢辺っち、私達がどこにいるのか判ってる?」
「沢辺っち言うな! 帰り道の駅かなんかにいるんだろ?」
「ヒルトップマンションのエントランスって言ったら?」
「へっ?」
「ヒルトップマンション南浦和だって言ってるの!」
「うちのマンションじゃないか!?」
俺が驚きの声をあげると同時に、部屋のインターフォンが鳴る。
「今、インターフォン鳴らしたよ。」
慌ててインターフォンのコールボタンを押すと小さなモニター画面の向こうに、神崎と芽衣が立って
いた。
「ここでギャーギャーやっていても、遅くなるだけだから。」
モニター越しでも、神崎が軽くイラついているのが判る。
芽衣の方はといえば、この状況に困惑しているかのようにキョロキョロと周辺を気にしている。
多分、神崎の勢いに負けて、渋々ついてきたのだろう。
「わかった。とりあえず、今から下に取りに行くから。」
「え〜、いいよ、玄関までいくよ。部屋番わかってるし、別に上がったりしないからさ。」
「あ〜、もう判った。」オートロックを解除するボタンを押す。
2人がエントランスに入ったのを確認して、コールボタンを解除する。
「朱音ちゃんは元気ね〜。」インターフォンでのやり取りを聞いていた恵美子さんも苦笑い。
電車の時間を考えると、さっきメールくれた時には、ランドを出てから暫く経ってからみたいね。
最初から、沢辺さんのところにお土産持ってくるつもりだったんでしょ。
恵美子さんは冷静に分析する。
「とりあえず、土産受け取ったら帰らせる。悪いけど恵美子さんは、リビングから出ないで。」
「・・・・・そうね、私は出ない方がいいかもね。」
少し不満気な表情の恵美子さんをリビングに残して玄関に移動する。
恵美子さんのブーツは、靴箱と柱の間の窪みに隠すように置く。
いずれ、2人(主に芽衣だけど)には、恵美子さんに惹かれていることを話さなければならない。
でも、今はまだ、そのタイミングではないと思う。
ドアの向こうに人の気配。足音が近づいてくる。ノブを回し扉を開けると、芽衣と神崎が4・5m先を
歩いてくるところだった。
04303222013/07/11(木) NY:AN:NY.ANID:3f3So41h
芽衣ちゃんの先生24

紫のダウンジャケットに、暗めのグレーのフレアスカート。スカートと同じ色合いの厚めのタイツに
モコモコとしたムートンのブーツ。色味を抑えているせいか、神崎の服装はやっぱり男前だ。
綺麗目のスキニージーンズに黒いロングブーツ、恵美子さんを病院に迎えに行った時に着ていたダウ
ンコート。ピンクと白のボーダーが入った毛糸の帽子。首もとには恵美子さんのフェルメールブルー
のマフラーの芽衣。2人の格好は、それぞれ性格を端的に表しているようだ。
こちらが出てきた事に気づき、2人は立ち止まる。そして先を歩いていた神崎が、一歩後ろにいる芽衣
を振り返り、何事か話しかけると芽衣の背中を押して先に立たせる。
芽衣は神崎に懇願するような視線を送ったが、小さく首を振る神崎に拒否された。
「お帰り。ディズニーランドは寒かったろ?」
俺は玄関を出て扉を閉める。すぐに帰らせるつもりだったので、上着をきてこなかった事を若干後悔
するくらい、外は寒かった。
「むちゃくちゃ寒かった。」俺の問いかけに返事をしない芽衣に代わって、神崎が答える。
「ずいぶん遅くまで、ランドにいたんだな。」
「パレード見て、ボン・ヴォヤージュで買い物してたら9時過ぎちゃった。」
「ボン・ヴォヤージュってなんだ?」
「そういうお店があるの。沢辺っち、ディズニーランド行ったことない訳?」
「もう随分長いこと行ってないな!」
「うわ〜、寂しい人生! ほら芽衣。かわいそうな沢辺っちにお土産渡してあげなよ。」
俯いたままの芽衣の右手には小さな紙袋がある。ミトンの手袋越しにギュッと握りしめられた紐状の
把手に引っ張られて、紙袋の上の方が少しだけひしゃげていた。
「くれるんだろ。」右手を差し出す。
俺の声に一瞬ピクッとなったあと、上目遣いに俺を見つめる。
木曜日の夕方に怒らせてしまってから、まだ2日しか経っていない。けど、こうして向かい合ってみ
ると、随分と会っていなかったように感じる。
芽衣の右手がゆっくりと前に差し出される。
「芽衣が30分もかけて選んだんだよ。」ありがたく受け取りなさいよね。
どこぞのツンデレ娘のような事を神崎が言う。
「そうか。ありがとな。」そう言って差し出された手から紙袋を受け取った。
ディズニーキャラクターが描かれた紙袋は、予想よりも軽かった。
「開けていいかって言いたいところだけど、時間が時間だからな。」
「え〜! 上がってお茶飲んでいけって言えないの?」
「今日はダメだ。田舎の知り合いが遊びに来てる。」
「だから今日はオシャレしてるんだ。」芽衣が小声で聞く。
「ああ、プレゼントのお礼はまた今度な。」
「なんだ、ついでに車で送ってもらおうかなって思ってたのに。」
「じゃあさ、沢辺っち。トイレだけ貸して。寒いし、駅のトイレすごい列が長くて。」
「えっ、ちょっと待て。」
「ごめん、余裕なさそう。」
俺を押しのけて、ドアを開けかねない勢いで神崎が近づく。
「いや、ちょっと掃除してから。」
「大丈夫、駅よりは綺麗でしょ?」
俺が単に掃除がゆきとどいてないから入室を断ろうとしていると勘違いした神崎は、引き止める俺の
腕を振り払い、ドアノブを開けた。
扉の向こうには恵美子さんが佇んでいた。
突然開いた玄関ドアに、恵美子さんは驚いて固まった。それでも、右手をインディアンのようにあげて
「・・・チャオ」と意味のない挨拶をしたのは、母親としての威厳を保とうとした結果なのだろうか?
数秒の間をおいて、勘の鋭い神崎はすべてを察したようだ。
「沢辺っちサイテー!」その声は、ディズニーランドを吹き抜ける北風よりも冷たかった。
04313222013/07/11(木) NY:AN:NY.ANID:3f3So41h
芽衣ちゃんの先生25
カーステレオから流れるのは、随分と昔の浜田省吾のアルバムのラストナンバー。
「夏の終わり」というその曲の歌詞は、冬の北風が強く吹き付ける湾岸高速を走るのにはひどく不釣
り合いだ。
さいたま新都心近くのインターから首都高に乗り、もう1時間ほど経つが、助手席に座る芽衣とは会
話がほとんどない。
彼女から要求されたドライブデートだが、この重い雰囲気は、楽しいドライブというには程遠かった。
羽田空港から合流してきた新横浜行きのリムジンバスをパスするために、中央車線に移動する。
土曜日と言っても、真冬の2月のせいか行楽地に向かう車も少なく、横浜までは、あと20分くらいで
着くことができそうだ。
今日の目的地は鎌倉。
湾岸線で横浜ベイブリッジを渡り、横浜横須賀道路を通って大船へ。大船から江ノ島に出て、海沿い
の道を鎌倉に抜ける。このルートは、俺が昔付き合っていた女性と、初めてドライブしたルートだっ
た。

ディズニーランド土産を届けにやってきた芽衣と神崎に、恵美子さんと二人っきりでいるのが暴露て
神崎からサイテー男認定を受けて一週間。
2人がきた時に、恵美子さんも来てるぞって迎え入れてあげていれば、何の問題も無かったのだが、
変に気を回した結果、芽衣を傷つける形になってしまった。
芽衣が知らないうちに、二人で食事に行く約束をしていた事。恵美子さんが自宅にいるのに、それを
隠そうと嘘をついた事。
自らをジャッジメントと称する神崎に、その二つの罪状を指弾され、芽衣を傷つけた事に対する罰
して、芽衣と一日デートする事を申し渡された。
その裁定を拒否した場合は、クラスの女生徒に暴露すると脅迫された俺に、拒否する事は出来なかっ
た。
こちらとしては、恵美子さんと二人で食事に出かけたことを、指弾される事に抵抗がない訳ではない
が、芽衣が持っている俺に対する気持ちを考えると、そう強くも出られない。
それぞれが、心の中にモヤモヤとしたものを抱きながら、神崎のジャッジを受け入れて、家路につい
たのだった。
04323222013/07/11(木) NY:AN:NY.ANID:3f3So41h
芽衣ちゃんの先生25


その夜。恵美子さんからメールが届いた。
送信者 五十嵐恵美子
夜分すみません。さっきはごめんなさい。
私が紅茶が飲みたいなんて言わなかったら、こんな騒ぎにならなかったのに。(涙)

風呂に入り、冷蔵庫から持ち出したビールをベットのサイドテーブルに置き、チビチビと飲みつつ、
恵美子さんにメールを返す。

from 智哉
お疲れさま。夕食とお酒、ご馳走さまでした。
今晩の事は、恵美子さんが悪い訳じゃないです。
芽衣と神崎が来た時に、素直に恵美子さんが来ている事を伝えていれば、なんの問題
もなかったのに、変に隠し立てしようとした俺が全面的に悪いです。
今度、食事に誘う時は、芽衣も一緒に行ける時にしましょう。

疲れと軽い酔いに加えて、眠気にまで襲われていて、文章を読み返すのも面倒だった。
それでも「てにをは」が気になってしまうのは国語教師の性なのか。
まあ、いいだろうと送信ボタンを押すと同時に、重い瞼を閉じた。


翌朝、目覚めはよくなくて、目を覚ましたのは9時を回っていた。
顔を洗い、洗濯かごに入っているワイシャツやら下着やらを洗濯機にぶち込む。
卵を焼くのも面倒なので、キッチンカウンターにころがっている、昨日で賞味期限が切れている食パ
ンをインスタントの味噌汁で食す。
携帯に、芽衣から着信が有ったのは、洗濯物を干し終えて、昨日使ったティーセットを片している最
中だった。
サンリオキャラクターが表示されるのは木曜日以来。無表情であるはずの白い仔猫のキャラが、怒っ
ているように見えるのは、俺の気のせいだろうか?
04333222013/07/11(木) NY:AN:NY.ANID:3f3So41h
今日はここまで。
ここから、芽衣ちゃんのターンが始まります。

しかし、3ヶ月書かないと、それぞれのキャラのセリフの言い回しが変になってしまうな〜。
0434名無しさん@ピンキー2013/07/12(金) NY:AN:NY.ANID:MU1mFzyE
>>433

おっ!
いよいよ芽衣ちゃんの反撃?
それも楽しみだなぁ

> しかし、3ヶ月書かないと、それぞれのキャラのセリフの言い回しが変になってしまうな〜。

まだ再開後のウォーミングアップ中って事で、ドンマイ!(死語)
04353222013/07/13(土) NY:AN:NY.ANID:j9FmQyDy
芽衣ちゃんの先生25

昨日のこともあるし、御機嫌斜めなんだろなと思い、携帯を取り上げて、恐る恐る通話ボタンを押す。
「おはよ。先ちゃん。」予想に反して、芽衣の声はいつもと同じように、ポヤポヤとした柔らかさを
保っていた。
「ああ、おはよう。」平静を装うつもりが、いつもよりも声が上擦ってしまった。
「あれ? 先ちゃん、まだ寝てた?」
「いや、起きて洗濯回してるところだよ。」
「ふーん。もう11時近いよ。これから干すんじゃ乾かなくない?」
「いや、厚手の物はないから大丈夫だろ。」
うーん。担任教師と生徒の会話じゃないな。
「ところで、今日は出かけたりしないよね?」
「へっ?」
「だから、これから出かけるか聞いてるの!」
「まあ、特段、遠出する予定はないけど。」
「じゃあ、3時にうちに迎えに来て。」
「へっ? なんで?」
「夕飯にスペシャルハンバーグ作ってあげるから。」
材料とかは、迎えに来てくれたついでにパルコで買えばいいし。芽衣は、とても楽しげに、パルコの
地下食品売り場で調達する品々を読み上げる。柿安本店で和牛の挽肉500gって高くないか?
「え〜と、前にも言ったけど、担任の家に生徒が食事を作りに来るのはマズイかと・・・。」
「ふーん、うちのママを連れ込んだサイテー教師がそういう事を言うんだ。」
一転して、神崎なみの冷たい声を出す芽衣。
「いや、連れ込んだ訳じゃなくて・・・。」
「朱音ちゃんにメールしようか?」
「いえ、正直すまなかったと。」
素直でよろしい。芽衣は満足気に言う。
「あと、通話料とかもったいないから、先ちゃんもLINEに登録してよ。」
こりゃあ当分の間は、芽衣の言いなりになりそうだな。脳裏に過る悪い予感は的中間違いなかった。

普段、南浦和駅前のマルエツかダイエーで買い物している俺は、浦和パルコの地下食品売り場を利用
する事は殆どない。
たまに映画を観にきたついでに、パンやお弁当を買うくらいで、柿安本店では一度も買い物をした事
がなかった。
マルエツやダイエーなら同じ金額で、その3倍の量が買えそうな和牛の挽肉を500gと銘柄豚の挽肉を
200g。香辛料売り場では、ナツメグやらケッパーやらのスパイス各種を購入。レジを通過した時には
漱石先生が4人ほどいなくなっていた。
自炊は和食が中心の我が家。スパイス何ぞは滅多に使わなくて不経済だと主張したのだが、定期的に
やってきて、俺を胃袋から支配する気満々の芽衣に、あがらう事が出来なかった。

芽衣がトイレに行っている間に、恵美子さんにメールを一通送る。

from智哉
漱石先生が〜 T_T
買い物終わりました。お財布から漱石先生が4人も去って行きました。
これだけあれば、一週間は暮らせるのに〜!

メールの文章が、おばちゃんっぽいような気がするが、恵美子さんなら、きっとこの悲しみを理解し
てくれるだろうと送信する。

Re 漱石先生が〜T_T
うちなら10日は暮らせるわ〜!
ちなみに、私は、そのハンバーグが来るのを自宅で待つ身です。
どうせなら私も沢辺さんの家に行くって言ったんだけどね〜。
絶対に来ちゃダメ! ですって (´Д` )
芽衣が帰って来るまでお夕食は我慢。ほんと狭量な娘だわ。
04363222013/07/13(土) NY:AN:NY.ANID:j9FmQyDy
芽衣ちゃんの先生25

ありゃ。つまり700gのお肉は3人分の分量なんだ。
それなら、恵美子さんがお腹を空かせて目を回す前に、芽衣を送り届けないとな。
見たことがない五十嵐家のダイニングテーブルで、ハンバーグの配給をポツネンと待つ恵美子さんの
姿を想像して、思わず笑ってしまった。

「先ちゃん、一人でニヤついてると、スゴイキモいよ。」
呆れたような声に、携帯画面から顔をあげると、あえてウワ〜って感じの表情を作っている芽衣が立
っていた。
「別にニヤついてなんかないさ。」足元に置いておいた香辛料が入ったビニール袋を取り上げる。
「誰とメールしてたの。」
「・・・別に。」
「まさか、うちのママじゃないでしょうね?」普段はポヤポヤしているくせに、こういう時だけ勘が
鋭くなるのは、女性としてデフォルトで設定されている機能なのか。
「恵美子さんとですが。・・・なにか?」
「うわっ! 女子とお買い物中なのに、他の女とメールするなんてサイテーだ!」
必要以上に大きな芽衣の声に、廊下を挟んだ反対側の雑貨屋の女性スタッフが何事かと振り返る。
「お前、自分の母親つかまえて、他の女ってのはヒドくないか?」
「今の私にとって、ママはライバルですから!」
鼻息荒く、プリプリ怒りながら訳の判らないライバル宣言をする芽衣の手を引っ張り、地下駐車場に
行くエスカレーターに乗る。ダメだこいつ!

うちの部屋のお隣さんは、俺とそう変わらない年頃の夫婦と4人の兄妹。一番上のお兄ちゃんは来年
には中学生になる。もう一軒のお隣さんは、県庁を退職した旦那さんと専業主婦の奥さん。
買い物袋をぶら下げてエントランスを抜けたところで、隣の奥さんとすれ違う。
「こんにちは〜!」ニコニコと愛想良く挨拶する芽衣の後ろを、両手に袋を提げて、居心地悪そうに
ついて行く俺。ヒルトップ南浦和のスピーカーと陰口を叩かれているお隣の奥さんに見られた以上、
歳若い女の子を連れ込んでいるという噂が立つのは、時間の問題だ。

部屋に着き。食材を冷蔵庫に。調味料の類をキッチンカウンターに置いた芽衣は、持参したエプロン
をして、調理に必要なボール等の器具を、勝手しったる台所と言った感じで準備してゆく。
ハンバーグは、合挽き肉にみじん切りのタマネギと卵というシンプルなもの。それにコックの叔父さ
んから伝授されたスパイスを加える。
芽衣が一番得意とする必殺技だというから、期待は高まる。
「ねえ先ちゃん。椎茸いれてもいい?」
俺が椎茸を憎んでいる事を知りながら、そういう事を言うのはイジメじゃないだろうか?
「付け合わせを、ニンジンのグラッセにするならいいよ?」
「・・・性悪教師!」
そんなやり取りを、何度か繰り返す。
呼ぶまではキッチンに入ってくるなと言われ、仕方なくダイニングテーブルでお茶を飲む。
考えてみると、この部屋のキッチンで食事を作った事があるのは、芽衣と岐阜の姉貴と姪の三人だけ。
恵美子さんは、キッチンに立ったことはない。
バンダナを姉さん被りにして、ボールにいれた合挽き肉を一生懸命に混ぜ合わす。
バンダナと額の間から、数本の髪が垂れていて、それが色白の肌に映える。
雑誌を読みながら、思わずその様子を盗み見てしまった。
随分前に、似たような光景をみたことが有った。それは何時だったんだろう?
雑誌を閉じて、窓の外を見るふりをしながら、記憶を遡る。
04373222013/07/13(土) NY:AN:NY.ANID:j9FmQyDy
芽衣ちゃんの先生

独立したキッチンがある部屋で暮らしたのは、教師になって、岐阜から出てきてからだから、大学時
代に付き合っていた女性ではない。そうなると、29の時に付き合った女性教諭か、元生徒だった女性
しかいない。
女性教諭だった彼女は、料理が不得意で、逆に俺が料理を振る舞うことが多かった。
先輩教師の前の勤務校で英語教師をしていた彼女は、英国への語学留学をしていただけあって、いつ
もお洒落に気を使っていた。
それに対して、山好きが高じて、毎週末に、強行軍で中央アルプスや北アルプスの山々を歩いていた
自分は、お洒落とは全く無縁な人間。
最初のうちは、全く対照的な生活に興味を持ったが、次第に疎遠になってしまった。
もう今となっては、滅多に思い出すこともない、通り過ぎて行った女性だ。

元生徒だった彼女は、料理が好きな女性だった。
村上稜子。今はニューヨークで暮らしている。稜子は、俺が初めてクラス担任になった時の生徒だ。
俺が26歳。彼女は17歳。所沢にある高校の二年生だった。
高校生の間の彼女とは、それほど思い出はない。正直いうと影の薄い地味な生徒だった。
彼女は絵が好きだった。美術部に所属し、高校生を対象にした展覧会に参加しては、いろいろな賞を
獲得していた。
それは、イラストレーターだった彼女の母親から受け継いだ才能だったのかもしれない。
母方の親族は、設計技師の祖父、建築家の叔父と技術系の才能に恵まれた家系だった。
忙しい母親に代わり、稜子の面倒を見たのは彼女の祖母だった。それに彼女が幼い頃はまだ大学生だ
った叔父。特に叔父さんにはずいぶんと懐いていたらしい。
卒業後、彼女と再会したのは、32歳の夏。彼女は美術系大学の院生だった。
その年、俺が担任を勤めるクラスの男子生徒が、夏を過ぎてから、美術系大学に行きたいと言いだし
た。
それまで、親の勧め通りに、それなりの大学の経済学部への進学を希望していたのだが、どういう心
境の変化か、秋の三者面談の席でそう言い出したのだった。学年主任を含めて、大騒ぎとなり、とり
あえず本人の志望する学部の情報を急遽集めたのだが、オープンキャンパスは既に終わっていて校内
設備の見学は出来なかった。
そこで思い浮かべたのが村上の存在だった。卒業生の名簿を探し出し、村上の家に電話して、特別に
校内見学と、その学部の雰囲気やカリキュラムについてレクチャーして欲しいと頼み込んだ。
村上は快諾してくれて、翌週の金曜日の午後に、彼女の大学の正門で待ち合わせの運びになった。
彼女の案内で、校内見学や、生徒の希望する学部の学生へのインタビューもする事ができた。
残念なことに、生徒が思い描いていた世界と、現実との間には、激しいギャップがあったらしく、
大学見学の翌週には、元の志望校への進学に専念する事にしたという報告があった。
村上へのお礼を兼ねて、食事を奢ると伝えると、ちょうど行きたい場所があるという事で、十月末の
日曜日に、池袋駅で待ち合わせる事になった。
彼女が行きたいと言っていた場所は、その年の4月にオープンしたばかりの六本木ヒルズだった。
六本木ヒルズの上層階にはアートスペースが設置されている。ちょうど好きな作家の作品が展示され
ているので来たかったのだが、一緒に出かける相手がいないという事で、俺にお鉢が回ってきたよう
だ。近くにあるホテルのビュフェで食事とケーキバイキングを楽しみ、ヒルズの中を歩いているうち
に日は傾き、俺たちは、東京スカイビューと呼ばれる展望台に上がった。


今週はここまで。
仕事の帰りに喫茶店で、2ちゃんに書き込む生活は、いつまで続くんだろう。
04403222013/07/20(土) NY:AN:NY.ANID:9oyhJ8eL
芽衣ちゃんの先生25
展望台は、開業してから半年経過しているにも関わらず、カップルやグループ客で混雑していた。
特に、お台場や東京タワーが見渡せる方向の窓際は、ひどく混雑していて、窓際に近づくことさえも
一苦労な感じだった。
村上も俺も、人ごみは苦手。人を押しのけてまで、外の景色を見る気にもなれず、比較的、人が少な
い新宿方面の展望をみただけだった。
「なんでこんなに混雑してるんでしょうね?」
「さあな、新しく名所が出来たら、とりあえず行っておくべぇってのが、日本人だからな。」
地方からの団体旅行客と思われるおばちゃん集団に、窓際から追いやられ、苦笑いしながら展望台を
出る。
もともと、俺たちの目的は、アートスペースだったので、展望台には未練はないが、展望台を目的に
きた人にとっては、少しばかり物足りないだろうなと思ってしまった。
村上が見たがっていた展覧会は、森美術館オープン記念の展覧会だった。
「ハピネス:アートにみる幸福への鍵 モネ 、若冲、そしてジェフ・クーンズへ」と題された展覧会。
クロード・モネは印象派の巨匠。伊藤若冲は名前だけは知っているが、代表作は思い当たらない。
ジェフ・クーンズに至っては、名前さえも聞いた事がない。
大学では西洋美術史を専攻していた村上だったが、伊藤若冲についても、どんな生い立ちだったのか
まで解説してくれた。
一つ一つの作品について、じっくり見つめ、俺に解説をしてくれた結果。俺たちは美術館に2時間半
もいる結果になった。
小腹が減ったので、近くのビルに入っているサイゼリアに入って、パスタとピザをシェアする。
なかなかに楽しい一日を過ごすことができた。
六本木から地下鉄に乗り渋谷へ。彼女が今住んでいる吉祥寺の駅まで送る。
高校時代は、親と一緒に所沢の高級住宅地に住んでいた村上は、通学の便利さを考えて、吉祥寺の
叔父さんの仕事部屋の一室に住まわせてもらっているという事だった。
彼女の叔父さんという人は、建築デザイナーとしては有名になりつつある人だった。
高名な建築家の名を冠した建築事務所から独立し、まだ40歳をすぎたばかりだというのに、海外の
都市計画に関するコンペで、採用には至らなかったものの、高評価を得て、それをきっかけに、様々
な、ビルや商業施設に関する設計のオファーがやってきていた。
井之頭公園近くのマンションの一室に事務所を構え、学校がない時には、事務所の掃除や、仕事の手
伝いをする事を条件に、家賃をタダにしてもらっているという。
「吉祥寺で6畳のワンルームだったら、家賃は8万くらいかな?」
「台所も、ちゃんとしたお風呂もついていることを考えると、実質1DKみたいなものですから、もっ
とするかも知れません。」
「でも、事務所には人がいるだろう? 気を使わないか?」
「いえ、事務所って言っても、ほとんど叔父が仕事をする時に使うだけで、スタッフの人たちは別の
建物で仕事をしてるんです。だから仕事の手伝いって言っても、仕事部屋の掃除や資料整理とか、食
事の世話くらいなんです。」
仕事モードに入ってしまうと、食事を摂る事さえ忘れてしまうぐらい集中するので、生活の面倒をみ
るのも結構骨が折れるんですよ。
村上は、叔父さんの世話をすることが、満更、嫌でもなさそうな口調で言った。
井之頭線が、吉祥寺に着く間際、ポイントを通過するのに車体を大きく揺らす。
少し高めのヒールを履いた村上が、後ろに立っていたおばちゃんにぶつかられ、バランスを崩して、
俺に持たれかかった。
右腕で彼女を支えた時に、彼女の軽さに驚き、彼女がひどく痩せている事に気がついた。

「先ちゃん、何ぼーっとしてるの?」
芽衣の呼びかけに我に返って、キッチンの方を振り返る。
芽衣が、ハンバーグの種を両手でまとめて、これから空気抜きに移ろうというところだった。
「悪い。昨日、少し夜更かししたんで、少し眠気がきてる。」
「ふーん。なんか遠い目をしてるから、ママのことでも考えてるのかと思った。」
「恵美子さんの事を?」
「うん、絶対、今度はいつ会えるのかなって考えていたでしょ?」
「恵美子さんになら、今日、芽衣を家に送って行く時に逢えるだろ?」
「はぁ? 会わせるわけないじゃん。」
昨日、私に黙って会っていたことに関しては、ママも先ちゃんと同罪なんだから。当分は会わせてあ
げないもんね。
手にしているハンバーグの種を、俺にぶつけかねないくらいの勢いで芽衣は言う。
04413222013/07/20(土) NY:AN:NY.ANID:6iTGI9Gn
芽衣ちゃんの先生25
「大体、いつの間にアドレス交換したのよ?」
「・・・いつだったか覚えてない。」
俺が恵美子さんに教えたのは、携帯番号だけだった。
「そうやって、すぐに惚ける!」
「いや、多分、2人がこの家から帰る時だと思うよ。」
「ウソだ! 先週、ママの携帯見た時には、先ちゃんのアドレスはTEL番だけだったよ。」
えっ!? それはつまり。
「まさか、恵美子さんの携帯を勝手に見てるのか?」
「向こうだって、私の携帯勝手に触ってるもん。」
岐阜の姉貴母娘も、勝手に触った、触ってないって喧嘩してたけど、母娘って、そういったものなの
かな?
「いくら親子でも、他人の携帯を勝手に触ったりするのは良くないんじゃないか?」
「だから、向こうも同じことしてるの!」
「しかしな〜。」
「先週、お風呂に入る時に、ストラップを携帯に巻き付けておいたのに、出てきたら、巻き方がビ
ミョーに違ったんだ。その次の日にママの携帯みたら、メールのフォルダーに、ロックがかかってい
るフォルダーが新しく出来てたし、先ちゃんのアドレスにメルアドも追加されてた。」
「つまり、芽衣は、その時に、恵美子さんが芽衣の携帯を触って、俺のアドレスをコピーしたって言
いたいのか?」
「そう。」
全面的にママが悪いの! 芽衣はこの議論を打ち切るかのように、ハンバーグ種の空気抜き作業を始め
た。
「まあ、芽衣と恵美子さんの問題だから、俺は口出ししないけど。」
俺は、恵美子さんにメルアドを教えてないわけだから、芽衣の言う通りかもしれないな。
芽衣の様子からすると、これ以上、この話題を続けると、ヤブヘビになりかねない。
俺は読みかけの雑誌に意識を戻した。
04423222013/07/20(土) NY:AN:NY.ANID:6iTGI9Gn
今週はここまで。
今日からは、子供達が夏休み。
お父さん稼業に勤しみ、UPが遅くなりそうです。
自宅の回線もiPhoneも書き込み出来ず。
最後の砦だった、街の喫茶店もアクセス規制。
行く先々で、書き込み出来るか試しながらUPしてます。
0448名無しさん@ピンキー2013/08/14(水) NY:AN:NY.ANID:vdZL9BNK
ラストオブアスが良い感じにおっさん少女だった
でもエロは想像できないな
0450名無しさん@ピンキー2013/08/22(木) NY:AN:NY.ANID:x98jwMAW
何時も思うが明らかにそのスレの守備範囲内なのに
無し?とか聞いてくる人はなんなんだw
0451名無しさん@ピンキー2013/08/31(土) NY:AN:NY.ANID:3/JSq4NY
>>442
もし書き込み規制きついなら代行スレも覗いてみてください。
つづきまってます
0453名無しさん@ピンキー2013/09/03(火) 17:04:18.26ID:BKkWFEd7
「…中田さんって」
「うん」
「いいや、何でもないです」
「なんやのそれ、気になるやん」
「忘れてください」
「…そう? まぁええけど…」

とある平日の午後。オープンしたばかりの飲食店の厨房で、カテラリーを磨いている二人がいた。
中田と呼ばれる三十五を過ぎた男性は、グレーのスーツをパリッと着こなし、年相応かつお洒落な髪型をしている。もうひとり、二十歳の若い女は店で支給された制服を少しだらしなく着こなして、無表情でフォークを磨いている。名前は沢口マホという。

外出チェーン店にしては少し高めの値段設定のこの店は、こじゃれたフレンチレストランである。中田は、東京の本店から新人の教育係としてこの地方都市にやってきた。
なんもないところやなぁ、と言うのが彼の本音で、大阪で生まれ育ち東京で職についた彼にとって、とくに取り柄も無いこの街は退屈の一言に限った。
アルバイトでこの店のウェイトレスをているマホは生まれも育ちもこの街らしい。

ランチタイムからディナータイムの間で、昼間使用したカテラリーを洗って磨く。マホが一人でこの作業をこなしていたので、手隙だった中田は手伝うことにしたというわけだ。

「…沢口は彼氏とかおるん?」

無言の重苦しい空気を破ったのは中田だった。

「何ですか藪から棒に」
「いやぁ、なんとなく」
「…今はいませんよ」
「へぇ、今は」
「面白がってません?」

マホは眉間にシワを寄せた。
ぽっちゃり、という言葉がぴったりのその体を纏う白いワイシャツがこのじっとりとした暑さでぴったりとくっついている。中田は見てはいけないものを見た様に目を自然にそらした。

「そんなことあらへん」
「…こんな身体でも、ありますし」
「何が?」

マホの言葉がひっかかり、中田は聞き返す。

「需要」

中田の目をとらえて上目遣いでニヤリとしながら、マホは呟いた。
…この子、こんな顔するんやな。
対して可愛いと思ったことがない、この年下の女に今、無性にぞくぞくしている自分がいる。
マホに対する興味がむくむくと沸いてきて、中田は続けて質問した。

「どんな層に?」

そうですね、と下を向きながらマホは数秒考え、思いついたような仕草をしてまた挑発的な表情で中田を見上げた。

「赤い縄は少し太い方が映えるんですよ」

そう言ってふ、と息を漏らし、小声で冗談ですよと付け足した。
中田は自分の中のオトコの部分が引っかかれたような気がした。

「…おもろいやん」
0457453つづき2013/09/06(金) 05:02:21.77ID:pzwApOQ6
「お疲れ様でした」
マホはまだ残っている厨房の人たちに声をかけて、従業員の更衣室へ向かった。腕時計を確認すると、夜の十時だ。明日はアルバイトがないことが、マホの足取りを軽くさせた。
着替えを済ませ、裏口から出る。そこにいたのは、少なくとも自分にとっては意外な人物だった。

「やぁ、今あがりなん?」

中田が爽やかな笑顔で立っていた。その手には煙草が収まっている。裏口には灰皿が設えているから、きっと煙草を吸っていたんだろう。一瞬たじろいだが、マホはすぐに冷静な顔を作った。

「はい。お疲れ様でした」
「んじゃあこれからヒマ?」
「…まぁ」
「ヒマならメシでも行こうかと思って。あした、沢口休みやろ?」

マホはその言葉を待ってましたと言わんばかりに、にっこりと微笑んだ。

「いいですよ」
04584532013/09/06(金) 05:03:42.92ID:pzwApOQ6
※※※

ラブホテルの室内は卑猥な間接照明で照らされていた。そんなあかりのもと、中田に組み敷かれているマホの裸体が艶かしく光る。まだ少し幼さが残っていて、それがよりいっそういやらしさを演出していた。中田はたまらずマホの首元にかぶりついた。

「あ」

マホは小声で漏らすと、腕を中田の首にかけた。それを先に進めていい合図だと中田は受け取る。こぶりな乳房を片方は丁寧に揉み、もう片方は先端を舌先で弄ぶ。

「ん、あっ」

マホの顔が赤くなってきて目が潤みはじめた。中田は顔をマホの耳に近づけ、乳房にあった手を太ももへ移動させる。マホの耳を丹念に舐め、手は太ももの上をじれったく触ると、マホからあがる声がより一層甘いものになった。

「も、やだ…、ぁあ」
「何が?」
「…さ、触ってぇ」
「どこを?」

マホは恥じらったのか少しためらったあと、太ももを触っていた中田の手を掴み、自らの恥部に引導した。その若さゆえかは知らないが大胆な行動に、ますます中田は興奮する。
既に濡れそぼったそこを指でひとこすりするとマホから今までとはまた違った声が漏れた。中田がぷっくりと膨らんだ肉芽を指で弾くと、じんわりとまたそこが潤沢するのがわかった。

「いやぁっ、そこだめぇ、やぁ…あぁっん」
「ダメなら止めてもええんやで」
「…いじわる…、んぁ」

テンプレート通りの陳腐な会話。しかしマホは興奮したらしく身をよじらせていた。
こんなに濡れていたら大丈夫だろうと、一気に指を二本中に挿入する。中田が天井を指の腹で擦っていると、マホはいきなり大きな声を出した。

「だめだめだめ、出ちゃう、出ちゃうよぉ」

その瞬間、ピュッピュッと液体がマホの恥部から飛び、ベッドにじんわりとシミを作った。
中田がわざとらしく液体で濡れた指を自ら舐めると、マホは恥ずかしさからか顔を手で隠す。狙ってか狙わずかはわからないが、中田はたびたび見せるマホの幼い仕草を素直に可愛いと思い、反面虐めたくなる。

「あーあ、シミ作ってもうたやん。こんなに出して」
「…い、言わないでください」
「沢口ってこんなエロかったんやなぁ」
「止めてください…あの、中田さん横になってもらえますか」

今度は俺のしゃぶってくれるんかな。中田は素直に横になる。すると、マホは意外すぎる行動に出た。

「え、ちょ、沢口、待っ…ん」
「うるさいですよ」

中田の顔のあたりになんの躊躇いもなく跨り、腰を落とした。中田はマホにびっくりはしたものの、舐める行為自体に抵抗は無いので素直にその割れ目を舐める。

「あっ…やぁ、も、もっとここ舐めてください…」

マホの手がマホ自身を恥ずかし気もなく指で広げる。
この子、ド淫乱やんか…。
そう冷静に考えているつもりだが、実際のところ中田は自分の股間が先程よりも、より大きくなっていることに気づいていた。

つづく
0459名無しさん@ピンキー2013/09/08(日) 17:50:49.79ID:E9Sien6k
30代半ばくらいのカタブツクッソ真面目なおっさんと十代の女の子の恋愛とかいいよね。
女の子は若さ幼さゆえに愚直なほど真正面から気持ちをぶつけてきて、
『流石にこんな若い子には将来あるし手出す訳には』とか、『大人げなくマジになるのまずい』とかで
堪えてるおっさんはかわしつつ振り回されまくるんだけど、
そのうち本気で好きになってしまって辛抱堪らなくなってくる。
それで、女の子の(おっさんからすると)子供の遊びのような恋愛ごっこでは満足できなくなって
うっかり紳士の仮面を脱いで越えちゃいけないラインを踏み外そうとするけど、
女の子は面食らって怖がっちゃったりして
「どうした?君が望んだことだろう」
「大人の男を本気にさせるとどういうことになるか、よく覚えておきなさい」
みたいなそういうのが読みたいです!!!
0460名無しさん@ピンキー2013/09/08(日) 17:55:18.56ID:E9Sien6k
あれ?書きこめた。というかリロードやっと上手くいった。
読み込めたらいいの来てる!
>>453
GJ!空気えっろ!えっろ!関西弁のMな子とかめちゃ可愛い。
続き待ってます!
04623222013/10/17(木) 21:26:16.21ID:KoPwKN9Z
「芽衣ちゃんの先生」をお待ちの皆様。
夏休みに入ってから、PCに向う時間も少なく、
また、筆も進まなかったのですが、とりあえず、
話の持っていきようが見えた気がします。
最後まで書き終えた段階で、まとめてアップ致し
ますので、もう少々お待ちくださいませ。
04633222013/10/17(木) 21:31:50.29ID:KoPwKN9Z
市川さんが入口の方向に向かって手を振る。
話しの腰を折られた格好の私は、市川さんを軽く睨みつけながら温くなりかけたビールを啜った。
なんで生徒達に男女交際について意見されないといけないんだ。少なくとも私はあなた達の2倍近い人生を経験しているんだぞ。たかだか16年・17年しか生きていないあなた達に何が判るんだ・・。
そんな言葉をごにょごにょと呪文のように唱えながらビールと共に流し込む・・・。
「おまちどうさん。」
私の視界の片隅に黒っぽい物体が入ってきたと同時に、低い声が聞こえた。
中ジョッキを手にしたまま、その物体の方をみるとそこには黒いスーツを着て、サングラスをしたヤクザが立っていた・・・。ヤクザ屋さんがなんで・・・・。

黒いスーツに白いワイシャツ。ネクタイは黒いザックリと編まれた細身のニットタイ。背は高く最低でも180センチはありそう。肩幅は広く、胸板は私が叩いた位ではビクともしなさそうな位厚い。
若干白いものが目立つ髪はオールバックにまとめられ、ターミネーターがかけていそうなサングラス。
なんか大昔にビデオでみたシュワちゃん主演のゴリラという映画を彷彿とさせるスタイルだ。
数秒間の観察の後、私が出した結論は「この人は私たちに害なす人」というものだった。
頭のなかでハザートランプが点滅する「危険」「要注意」「退避」「警察」いくつもの文字が頭に浮かんだ。
大きな声で助けを呼ぶ為に深呼吸する。そしてほんの一瞬で周りを見渡し、大声をあげたら私たちを助けてくれそうな男性客がいないか確認するが、禁煙席には男性客はほとんどいない。
覚悟を決めて「助けて〜!」と大声を張り上げる寸前、市川さんが意外な言葉を口にした。
「もう、鷹史おじさん遅いよ。」
「へっ?」貯め込んだ空気が肺から漏れて行く。
「お前は、上前津の会社まで何分かかると思っているんだ。」ヤクザ屋さんが苦笑交じりに呆れた声で言う。
「たまたま水曜日でNO残業デーだったから早く帰って来られたんだ。普段ならまだ職場にいる時間だぞ。」
「でも約束の時間に15分も遅れてる。」
「律子が勝手に指定した時間だろ。会社の終礼が終わって3分で職場を出るなんて、20年弱の会社員人生で初めてだ・・・。」
「とりあえず、似合わないサングラスを外してそこに座りなよ。」
市川さんは面倒臭さそうに空いている私の隣の席を指さす。
「日差しがきついんだから仕方ないだろ。」ヤクザ屋さんはそう言いながらサングラスを外した。
「ひぃっ!」思わず小さく洩れてしまう悲鳴。この人は絶対に何人か殺やめている。そう確信した。
サングラスの下にはギョロッとした一重まぶたの大きな瞳が隠れていた。そしてその視線は、私の事を刺し貫くように冷たく尖っている。もし視線で人を殺す事ができるなら、私は即死だろう。
逃げ出したくても、唯一の避難経路にヤクザ屋さんが立ちはだかっている。これって死亡フラグだよ
04643222013/10/17(木) 21:33:53.10ID:KoPwKN9Z
ぎゃあ! 誤爆(というかエバーノートに貼るべきものを誤コピペ)しました。
大変失礼しました。
04663222013/10/24(木) 21:19:24.27ID:/tjrHpnW
食事を終えて、軽く後片付けを済ませると、もう20:30近くだった。
芽衣の家までは車で15分ほど。これから送って行けば、21時には帰り着く事が出来そうだった。
恵美子さんが日勤の日の夕食は大抵、21時だというから、それほど遅くならずに済みそうだ。
恵美子さん用のハンバーグを入れた密封容器を紙袋に収納する。ついでに、昨夜、食べ損ねた
スイーツも保冷剤(まあ、この寒い時期には不要だけど念のため)と一緒に入れておいた。
リビングにいる芽衣をみると、ソファーにもたれかかり、好きなアイドルが出演しているバラエ
ティー番組を熱心に見ている。
「芽衣、そろそろ帰りの時間だぞ。」「え〜、あと少しで終わるんだけど。」
いいところなのに、何で声をかけるのとでも言いたげに、不満の声をあげる芽衣。
「芽衣を送っていって、9時半には帰り着きたいんだよ。」
宿題という訳じゃないけど、狐面の教科主任に提出するレポートを多少なりとも進めたかった。
芽衣は携帯の時計をチラリと見る。
「仕方ないな〜。」
ブツブツ言いながらも、ソファーから立ち上がり、壁にかけてあるダッフルコートを手にした。

二人並んで非常階段を降りる。今日も天気が良くて、夜空には少しだけ欠けた月が見えた。

車の中は寒かった。ただ、俺の車は埼玉で乗るにはスペック過剰な寒冷地使用なので、他の車に
比べて暖房を入れたあと、車内が暖かくなるまでの時間は早い。

芽衣は助手席に乗りたがったが、荷物があるだろうと押し切って、後部座席に座らせた。
「ハンバーグ美味しかった?」車がマンションの駐車場を出たあたりで、芽衣が聞いてきた。
「美味しかったよ。すごい大きさだから食べきれるかなって思ったけど、完食したからな。」
美味しさでいえば、昨日の夜、恵美子さんに一口もらったタンシチューと肩を並べるだろう。
「よかった。また今度作ってあげるね。」「また今度ね〜。」
自宅から持ってきたエプロンを、うちに置いてきた芽衣は、今後も食事を作りにくる気満々だ。
「今度は、和食が良い?、中華が良い?」
そういいながら、運転している俺の両肩を掴んで、軽くマッサージするかのように揉みしごく。
今まで触れられた事がなかったので、突然の芽衣のスキンシップ攻撃に驚いてしまう。
「前から言っているけど、担任の家に、生徒が出入りするのは問題なんだよ。」
「いいじゃん、べつに毎日作りにくる訳じゃないし。誰かに見られても、私は、先ちゃんの事が
好きだから、ご飯作りに来てるって正々堂々と言っちゃうもん。」
芽衣は、随分と軽い口調でサラリと好意を口にする。
卑怯だけど、こちらも正面から受け止めることなく、聴き流す。
「そうすると俺は、女生徒の好意につけ込んで、メシを作りにこさせている破廉恥な中年教師って言われるだろうな。」
「言いたい人には言わせておけばいいじゃん。」
「最悪、俺が教師を辞めることになるかもしれないよ。」
「  ・・・。   」芽衣は運転席にもたれかかっていた上半身を、バックシートに戻した。
「ご飯を作りに来る事が、そんなに悪いことだと思えないんだけど・・・。」
「仮に、芽衣が俺の親戚だっていうなら話は別なんだけど、担任と生徒っていう誤解を受けやすい立場だからな〜。」
女子高校生と担任の恋。ジュブナイル小説やテレビドラマなら、テンプレートって言っても言いすぎじゃないくらいよくある設定だ。唯一違うのは、その担任教師が中年おじさんという事ぐらいか。
「なんか納得できないな〜。」
さもつまらなそうにそっぽを向く。まあ、芽衣の気持ちもわからなくはないけどね。
04673222013/10/24(木) 21:22:12.25ID:/tjrHpnW
「恵美子さんと一緒に来るなら、誤解される心配もないぞ。」
そんな芽衣の事を、何となくからかいたくなって、俺は恵美子さんの名前を口にする。
「それだけは絶対にイヤ!」
「なんで?、それが一番自然な形じゃないか。」
生徒の母親とお付き合いするのも問題だろうけど、少なくとも女生徒との関係を疑われるよりはましだろう。
「さっきも言ったでしょ。私にとっての一番の敵はママだもん。」
「なんで恵美子さんが一番の敵なんだ?」
「だってさ、絶対、ママも先ちゃんの事、好きだもん。」
「好きって、まだそんなに話もしてないぞ。」
「でも、二人っきりでご飯行ってたし、私に隠れて、部屋にも連れ込んでたじゃない。」
連れ込んでいたってお前、人聞きが悪いな〜。芽衣の言葉を選ばない攻撃に若干たじろいでしまう。
「誤解がないように言っておくけど、昨日は、本当にご飯食べて、恵美子さんがお気に入りの紅茶を飲みたいって
言うから、ご飯のお礼を兼ねて、紅茶を淹れて、話をしていただけだよ。」
「でも、後ろめたい事がないなら、私や朱音ちゃんが来たときに、ママの事を隠さなくていいじゃない。」
「・・・・。」
まあ、おっしゃる通りですよね。
「ほら、本当になんにも無いなら、黙らなくてもいいじゃん。」
芽衣は勝ち誇ったように言った。
とにかく、デートする約束は守って貰うからね。約束破ったら、朱音ちゃんに言いつける!
交渉決裂とばかりに、車内に響きわたる大声でそう宣言する芽衣の勢いに、俺は負けそうだった。
04683222013/10/24(木) 21:23:58.24ID:/tjrHpnW
自宅に帰って、パソコンに向かってチマチマと文章を入力する。
4ページ程進んだ辺りからタイプミスをすることが増えてきた。そろそろ眠気もきて集中力の限
界のようだ。
少し前屈みの姿勢でパソコンに向かっていたせいか、首回りと腰の筋肉が固まって軽い痛みを感
じる。
大きくノビをして、首をグリグリと回す。40を過ぎて間違えなく身体は固くなる一方だ。
充電ケーブルに差しっぱなしにしてある携帯を取り上げる。
画面をみるとメールが2通。今日、芽衣が登録してくれたlineのアプリ上にも2という数字が表示してあった。
lineは芽衣と神崎からのダイレクトメッセージ。携帯メールは、恵美子さんからと、たま服を買う
店からのセール情報。とりあえず、恵美子さんからのメールを開いてみた。

from 恵美子
こんばんは。
ハンバーグ御馳走様でした。
さすが良いお肉を使っているだけあって、とっても美味しかったです。
随分とお金使わせてしまって、本当にすみません。
ご飯食べているときに、芽衣が来週の日曜日は、沢辺さんとデートだって言ってました。(困)
ワガママ娘がご迷惑をおかけしますが、子犬がじゃれているようなものですから、適当にあしらって下さい。
ψ(`∇´)ψ

なんだか最後の顔文字に軽い寒気を感じるのは、俺の気のせいなんだろうか。
受信時刻をみると、1時間ほど前。ちょうど資料をひっくり返して調べものをしていた頃合いだ ったので、
メールが届いたことに気がつかなかったんだろう。
時計を見ると、もう午前零時近い。返信メールを送るには躊躇する時間だ。
少し迷ったけど返信するのは止めておく。
ワープロソフトを閉じて、パソコンの電源を落とす。電子音と共に画面が消えて、ハードディス
クの作動音も止まった。
痛む腰を揉みしごきながらキッチンへ行き、タンブラーに残ったコーヒーを捨てて、水桶にタンブラーを沈めた。
ふと視線をあげた先のダイニングチェアの背もたれには、芽衣が置いていったエプロンがかかっていた。

昔読んだ雑誌の記事で、付き合い始めた彼女が最初に部屋に置いて行く物は何ってランキングがあった。
うろ覚えだけど、第一位がぬいぐるみで、第二位がクッションとかのリビング雑貨、第三位がエ
プロンだった気がする。
ここは自分のテリトリーだって事を主張するには、ぬいぐるみやクッション何かよりも、エプロ
ンの方が破壊力は高いもんな。
先程、恵美子さんからのメールの笑顔の顔文字に感じたのと同じ寒気をエプロンからも感じた。
来週の日曜日には芽衣とデートに出掛けないといけない。この時に、じっくりと芽衣と話をしよう。
そう考えながら、キッチンの電気を消し、俺は再び寝室に引っ込んだ。
04693222013/10/24(木) 21:26:34.83ID:/tjrHpnW
翌朝。普段よりも30分早起きして、ゆっくりとシャワーを浴びる。
身支度を整え終わったのは七時。恵美子さんの勤務は今日は日勤のはず。
昨日の夜送れなかったメールを返す。

from 沢辺
おはようございます。
メールに気がつかなくてすみません。
ハンバーグ、本当に美味しかったです。
あれだけ本格的なハンバーグは、本格的な洋食屋なら二千円とられてもおかしくないと思うので
3人で食べに行ったと思えば妥当な金額ですよ。
恵美子さんが一緒ならもっと良かったんですけどね(照)
今度のお出掛け(俺の中ではデートではない)ですが、芽衣とゆっくり話ができる機会だと思って
ます。(彼女の進路も含めてですが)
あまり遅くならないうちに帰らせますので安心してください。

朝食に食べる買い置きのカップラーメンの湯を沸かしていると、メールが届いた事を知らせる音。
画面を見ると、残念ながら恵美子さんからではなく、芽衣からのメールだった。

from 芽衣
タイトル (`Δ´)
おはよう。せっかくlineでメールしたのに、なんでぇ開かないないわけ!?
( `Д´)/


・・・・・お怒りですね。
そういえば、芽衣と神崎からメール来ていたこと忘れてた。
慌ててlineを立ち上げて2人のメールに目を通す。他愛もない開通おめでとう的なメールだった。
これで又、返信しなかった日にゃ何を言われるかわからない。
lineの使い方が判らなくて返信できなかったって言い訳にするためにあえて携帯メールで返事を送る。

from 沢辺
おはよう。lineの使い方が判らなくて、メールに気がつかなかった。すまない。
今度、使い方説明してくれ。

実際、lineやらFacebookは使ったことがないから嘘ではないけどね。
沸いた湯をカップラーメンに注ぎ入れ、少々、塩分およびカロリー過多となる朝食を啜り込んだ。
04703222013/10/24(木) 21:30:30.64ID:/tjrHpnW
1学期・2学期に比べて短い3学期。教職員にとっては、来年度の新入生の入試に関する打ち合わせやら、
試験の準備やらでなにかと忙しい時期でもある。
国語科の教師にとっては、退職した戸塚先生の授業の駒数が増えた分、例年以上に忙しかった。
狐目の教科主任と打ち合わせをしていたおかげで、昼食をとる時間も短くなってしまい、仕出し弁当に手を
つける頃には、昼休みが半分終わっていた。
芽衣からのメールが届いたのは、弁当を半分食べたあたり。今度はlineではなく携帯メールだった。

from 芽衣
今日は部室顔だせる?

まあ、シンプルな文章だこと。

from 沢辺
今日は、何かと忙しいから無理かも。
出来るだけ、顔だすようにするよ。

行儀悪いけど、食べながらスクリーンキーボードを華麗に操りメールを送る。

ものの一分もしないうちに芽衣からの返信。

Re 芽衣
絶対だよ。

いや、出来るだけって言ってるのに絶対はないだろう。軽くため息。
まあ、子供だからしょうがないか。
次の4限まで時間もないし、芽衣への返信はせずに、携帯を定位置に戻した。


6限は戸塚先生に代わっての1年生の授業。
入学したての頃には少しは可愛い気があった1年生も、学期末にもなると、2年生とそう変わら
ない。俺が授業を受持つようになってまだ2回目。さすがに私語を交わすような生徒はいない。
戸塚先生は冗談も言わずに淡々と進めるタイプだったが、俺は軽口を交えながら、ランダムに生
徒に質問をぶつけていくタイプなので、生徒たちも授業に乗ってきてくれる。2年生に比べて張
り合いのある授業ができた。
チャイムが鳴る3分前には、この時間の授業のポイントを確認し、チャイムと同時に号令で授業
を終了した。
階段を下りて自分のクラスの教室へ。残念ながら、6限目の数学の授業が延長戦に入っているみ
たいで、入口の近くで待機することになった。
ズボンのポケットから携帯を取り出す。スケジュールアラームの他にメールが1通。開いてみる
と恵美子さんからだった。
04713222013/10/24(木) 21:32:41.50ID:/tjrHpnW
from 恵美子
お疲れさまです。
返信が遅くなってごめんなさい。私、今日は遅日勤なので、今がお昼です。
ハンバーグ、私もご一緒したかったな。(泣)
そうか、進路のこともありましたよね。しっかりと話してあげて下さい。
ちなみに私、明日が夜勤、明後日が明け、木曜は日勤、金曜がお休みです。
今度会うときには、私の勤務表のコピー渡しますね。(芽衣にはナイショです)

いかん。顔がにやけてしまう。
夜勤明けは、恵美子さんも眠いだろうから、金曜日あたりに軽くお茶でも誘ってみようか・・・。
そんな不埒なことを考えていると、授業が終わったらしくガタガタと椅子を引く音がして、生徒
達が出てくる。
「どこ行くんだ?」「トイレっす!」「すぐ戻ってこいよ!」
古い校舎だけに室温が低くて、昼飯時に水分を取りすぎると頻繁にトイレに行きたくなるらし
い。
6限担当の先生と入れ替わるように教室へ入る。今日のショートホームルームでは、伝達事項も
特にないから短時間で終わるはずだ。
生徒達のおしゃべりは、担任が入ってきたくらいでは止まらない。気の早い奴は教科書一式鞄に
しまって、終わりの号令と共にダッシュで帰りそうな勢いだ。
「ほれ、早く帰りたけりゃ席につけ。そこ、携帯はまだ出しちゃダメだろ!」
ショートホームルームが終わるまで、携帯はカバンの中ってのがルールだが、一刻も早く、メー
ルやSMSっていうものを確認したい奴は、フライング気味に取り出してくる。
「先生、早く始めてよ。」運動部系の女子生徒が急かしてくるが、トイレに行っている奴等が戻
ってからと宣言。まあ、こんなやり取りは、毎日のことだ。
一番前の席で、携帯を隠そうともせずに弄っている男子生徒に、デコピンを一発お見舞いしてい
る間に、トイレに行っていた生徒も戻ってきた。
何人かの生徒から「遅せぇ!」と罵声を浴びせられるが、「うっせい!」と言い返し席につく。
「よーし始めるぞ。とりあえず今日はこっちから伝える事はない。ただインフルエンザが大流行
してるから、気をつけろ。自分はもちろんだが、家族でかかった人がいたら、まあ、できる限り
接触はさけて、うつらないようにしろ。あと、少しでも熱があるときは、無理せずに病院に行く
ように。あと、うがい手洗いは必ずやれ。」
「あ〜、俺、今も熱あるんですけど。」クラスのおちゃらけ役の男子生徒が茶々をいれてくる。
「そりゃ生きてれば普通は熱があるさ。」混ぜっ返しの合いの手も入る。
「心配な奴は帰って体温計ってみろ。他に質問あるか〜?」
「ねえっす!」男子生徒の一人がクラスを代表して答える。
「んじゃ、終了。」
日直が「きり〜つ、れい、なおれ〜」と間延びした号令をかける。とりあえず憂鬱な月曜日の授
業終了だ。

教室を出ていく生徒たちを見送り、ふと視線を感じて振り返ると芽衣が立っていた。
04723222013/10/24(木) 21:49:56.89ID:/tjrHpnW
「五十嵐、部室行くのか?」
学校にいる間は、絶対に芽衣とは呼べない。芽衣は五十嵐と声をかけられた事が不満なのか、眉間に皺を寄せた。
「メールなかった。」一応は、他の生徒を気にしてか、芽衣の声は小さかった。
「これから職員会議があるんだ。本当に顔を出せるか判らないんだよ。」
「lineの使い方を教えろって言ってた。」
「ああ、とりあえず夜にでも電話するから。」
「ママにはメールしたくせに。」ジトッとした視線で非難がましく言う。
ああ、なるほどね。多分、朝、俺が送ったメールを読む恵美子さんの姿を見たんだろう。それで、自分には返信
して来なかった俺に対して怒っているんだな。
「五十嵐とは学校で話せるし。」
とりあえず1階まで一緒に行こう。俺はそう言って、教卓に置いてある教科書を手にして歩き出
す。
うちのクラスは、ショートホームルームが早く終わることで有名。両隣のクラスはまだやってい
るみたいで、廊下にはうちのクラスの生徒しかいない。
芽衣は、紺色のスクールバックを手にしてついてくる。
「メール開かなかったのは悪かったよ。line使った事がないから、アプリの上にある数字が、メー
ルの数だって判んなかったんだ。」
何となく言い訳じみて聞こえるが、それで押し通すしかない。
「普通、新しいアプリダウンロードしたら、使ってみない?」
「資料作っていたから、いじる暇がなかったんだよ。」
「貸して!」
「何を?」
「先ちゃんのスマホ!」
辺りには誰もいない。仕方なくポケットから携帯を取りだし、ナンバーロックを外して渡す。
芽衣は普段、アンドロイドのスマホを使っている。俺のはiPhone。使い方判るのかな。
「lineのアプリ立ち上げたら、このボタン押して・・・。」
iOSもAndroidも使い方に大した差はないのか、芽衣は操作に迷う事なく、俺にメールの確認方法
と送信方法を説明してくれる。
何人かの生徒が横を通りすぎるが、機械に疎いおじさん先生に、生徒が携帯の使い方を教えてい
るとしか見えないのか、大して気にも留めてないようだ。
「ふーん、思ったよりは簡単なんだな。でも同じメールするだけなら、普通の携帯メールでもい
いじゃないか?」
「lineだと、相手がメールを読むと、送った人のメールの本文の横に既読って表示が出て、相手が
メール読んだか
が判るようになってるの。それに無料通話も出来るし、グループでメールのやり取りも出来るん
だから。」
「へ〜。」便利なもんだなと関心してしまう。
「先生はソフトバンクでしょ。うちはママも私もauだから。メールは会社が違うとお金がかかるけど、line
ならメールも通話もゲームも無料なんだよ。」
04733222013/10/24(木) 21:54:19.24ID:/tjrHpnW
「と言うわけで、今日からはlineでメールしてね。」
「まあ、とりあえず使ってみるよ。」
芽衣から携帯を受け取りポケットにしまう。
「そう言えばさ、今日の夕飯はどうするの? うちはママが遅番だから帰り遅いんだけど。」
「そうだな、今日は魚にしようかと思うけど。」
「作ろうか?」
「あのな〜、五十嵐はそんなに俺を馘首にしたいのか?」
芽衣の天然さが逆に心配になってしまう。
「一人でごはん食べるの、私も寂しいし、昨日と同じで、ママの分も作ってタッパーで運べ
ば・・・。」
「却下。」本当にこいつは、事の重大さを理解していないんだな。
「ちぇっ!」芽衣は心底不服そうに、舌を鳴らす。
他のクラスのショートホームルームも終わったらしく、幾人かの生徒が階段を下りてきた。
俺と芽衣はそこで別れて、俺は職員室に戻った。
04743222013/10/24(木) 21:59:42.11ID:/tjrHpnW
水曜日。
面倒な打ち合わせも、急ぎの仕事もなく、久しぶりに部活の開始時刻から、図書準備室に顔を出
すことが出来た。
陽春賞へ向けて、部員たちは図書室で資料を探したり、司書さんが使っているパソコンで調べも
のをしたりしてる。
名ばかりの顧問代理だが、一応は彼女達から相談事や指導を求められれば、それなりに答えない
といけないので、図書準備室の窓際の一角に椅子を移動させて、3年前の文化祭で頒布した冊子
を読んでいた。

ポケットの携帯が小さく鳴る。取り出して確認すると恵美子さんからのメールが届いていた。

from 恵美子
題名 おはようございます(´つω・。)
お疲れさまです。夜勤明けで、今、目を覚ましました。
昨日は、比較的穏やかな夜だったので、早めに帰ってこれて爆睡です。( ̄q ̄)zzz
私のシフト表を渡したいんですが、お仕事の帰りに、どこかでお茶でもご一緒しませんか?
芽衣にバレると良くないので、さいたま新都心駅の改札前のドトールなんかどうでしょうか?
待ち合わせ時間は、沢辺さんにお任せします。


今の時期の最終下校時刻は17時15分。さいたま新都心駅迄なら車で15分ほど。余裕で間に合う。
大きな商業施設も多いから、駐車場に困ることもないだろう。
五十嵐家の最寄り駅は北浦和。通学経路の関係上、芽衣や神崎がさいたま新都心駅に姿をみせる
可能性は殆どない。
別に隠れて会う必要はないんだけど、恵美子さんも芽衣に気を使っているらしい。


from 智哉
題名 Re おはようございます(´つω・。)
おはようございます(笑)
夜勤明けで疲れていませんか?
こちらは、さいたま新都心で問題ないです。
改札の反対側にある、大きなドトールで良いんですよね?
待ち合わせは余裕をもって18時でどうでしょうか。

タイプミスに苛つきながら、文章を入力して送信ボタンを押した。
04753222013/10/24(木) 22:01:12.34ID:/tjrHpnW
図書準備室には7人の部員がいるのに、本当に静かだ。
時おり、ページをめくる音や、ノートにペンを走らせる微かな音がするくらい。逆に、窓下のグ
ランドで練習する運動部員達の掛け声のほうが煩いくらいだ。

カーテンが開いているので、冬の夕日の弱い日差しが、室内を淡く照らす。
そんな光景をぼんやりと見つめていたら、急に、芽衣から声をかけられた。
「沢辺先生。ちょっと良いですか?」
芽衣は、鎌倉のガイドブックらしき本を手にしていた。
「ああ、長くなるなら、そこのイスもっておいで。」
「大丈夫です。」
そう言いながら、芽衣は室内を見回して、近くに他の部員がいないことを確認した。
「日曜日のデートだけど、先ちゃん鎌倉詳しい?」
「鎌倉? 校外学習とかで何度も行ってるけど、有名なお寺さん位しかしらないぞ。」
「今、静御前の話を書こうと思っているんだけど、私、鎌倉って行った事なくて・・・。」
「ああ、捕らわれた静御前が、頼朝に命じられて舞を舞う話だったな。」
陽春賞向けに、芽衣が書こうとしている小説は静御前が主人公だった。「しずや しず」という
題名になる予定だった。
「話に出てくる場所に、行ってみたいの。」
「例えば?」
「鶴ヶ岡八幡宮とか、建長寺とか、あと北条政子のお墓があるお寺とか・・・。」
「寿福寺か、行ったな〜。」
「えっ? 先ちゃん詳しいの?」
「昔の彼女が、今でいう歴女だったからな、その彼女とドライブに行った時に寄った。」
「彼女とドライブ!?」
芽衣の声のトーンが急に跳ね上がる。1年生の部員が怪訝そうな顔でこちらを振り返る。
「声がでかいよ。俺だって、昔は彼女ぐらいいたよ。」
俺が、彼女とドライブしたって事ぐらいで、そんなに驚くことないだろうに。
「先ちゃん。日曜日、車で行こ!」
「へ?」
「鎌倉、いろんなとこ見るなら、車で行ったほうが良いでしょ?」
「いや、逆に電車行った方が楽だよ。鎌倉って道狭いし、駐車場探すのも大変だから。」
確か、あの時は、ドライブの方がメインだったから、大船から江ノ島に出て、海岸線の道路を通
って鎌倉に抜けたのだが、市内の渋滞に辟易して、コインパーキングに車を停めて、鶴ヶ岡八幡
から北鎌倉まで歩いたんだっけな。
「やだ、車がいいの!」
あ〜あ、わがまま娘モードに入っちゃったよ。
どちらにしても、部活中の今、話すことではないので、夜、電話で話すことになり、芽衣は上機
嫌で大テーブルに戻って行った。
04763222013/10/24(木) 22:02:12.64ID:/tjrHpnW
今日はここまで!
続きは明日にm(_ _)m
04773222013/10/25(金) 07:57:41.28ID:YnDoRy/n
恵美子さんとの待ち合わせの店に着いたのは、約束の五分前だった。入口から店を覗いて見たけ
ど、恵美子さんの姿は見えず。
先に入って待っていようかと思ったけれど、とりあえず、時間まで外で待つことにした。
駅のコンコースを吹き抜ける風が強くて、首筋から冷気が入り込んでくる。
恵美子さんと待ち合わせすることがわかっていたなら、もう少し小洒落た格好をして来たんだが
ウールのスラックスにユニクロのシャツ。着古したジャケットという、ある意味国語教師らしい
残念な服装できてしまっている。
次回からは、恵美子さんと会えそうな日は、もう少し見れる格好にしようって考える。
フィールドコートの内ポケットに入れておいた携帯が小さく震える。取り出してみると、恵美子
さんからの着信だった。
「もしもし、沢辺です。」
風切り音が響かないよう、風上に背中を向けて、送話口を右手でガードする。
「すみません、恵美子です。沢辺さん、もうお店の中にいますか?」
「いえ、まだです。」
「良かった、さっきお店の中みたら、すごく混雑していて、いっしょに座れそうになかったんで」
店内の様子を伺うと、確かにカウンタ=に数席空きがあるくらいで、テーブル席は埋まっている。
「そうですね、今も混んでますよ。」
「反対口のビルの中にファミレスがあるんですが、そこはテーブル席空いてるんです。」
「じゃあ、そこにしましょうか? 恵美子さん、今、どこにいるんですか?」
「えーと、改札出て、左に折れた先にあるビルのあたりです。エクセルシオールのあたりです。」
「わかりました、そっちに行きますよ。」
恵美子さんは待ってますと言って電話を切った。
さいたま新都心駅は東口に大きな商業施設が立ち並び。西口は官庁街と大きなホールがある。
仕事帰りの人の波は、一ヶ所しかない駅の改札口に向かって押し寄せてくる。その流れの邪魔に
ならないように、早足で西口へ向かって歩く。
時々、うちの学校の制服姿の生徒を見かけるが、顔をみられないように俯き加減ですれ違う。
コンコースを抜けたあたりで、人の流れを横断して、恵美子さんがいると思われる、ビルの入口
にたどり着いた。
「こんばんは。」声に振り返ると、恵美子さんがたっていた。
黒いショート丈のダウンコートに、ダークブラウンのロングスカート、足元は白いスニーカー
手には、夕飯用とおぼしき食材が入ったビニール袋。
恵美子さんも、絵に書いたような普段着姿だった。
「すみません、急にお誘いしちゃって。」
恵美子さんは、ビニール袋を両手に持ち直して、小さくお辞儀する。
「いえ、どうせ帰っても暇ですから。お買い物済んだんですか?」
ビニール袋からはみ出している、大根の葉っぱがどうしても気になってしまう。
「ええ、あんまり遅くなると、目的のもの無くなっちゃうんで。」
ばつが悪そうに苦笑いする恵美子さん。
「今日の五十嵐家の夕飯はなんですか?」
「ぶり大根にしようかなって・・・。」
「じゃあ、煮込む時間もあるでしょうから、早くお店に入りましょう。」
俺はそう言って、先に立って、ファミレスの扉を開けた。
04783222013/10/25(金) 07:59:53.90ID:YnDoRy/n
夕食の時間には、まだ早いせいか、店内の混みようは八割方ってところ。
従業員の女の子に案内されて、俺たちは、店の奥の方の六人掛けのテーブルに座った。
「沢辺さん、夕食は?」
「一応。帰ってから食べようかなって思ってます。」
「じゃあ、お茶ですかね?」
「でも、ファミレスでドリンクだけってのもなんだしな〜。」
「そうですよね。」
二人してメニューをみる。
「じゃあ、私、あんみつ食べようかな・・・。」
「えっ、夕飯前にあんみつ?」
デザートのページをみてみると、あずきとアイスクリーム、おまけにフルーツがたっぷり
のった、あんみつが有った。
「だって、仕事帰りにモーニング食べただけで、お腹空いちゃったんだもの。」
「起きてからは何にも食べてないの?」
「うん、何かごちゃごちゃやっているうちに、食べるタイミング逃しちゃって・・・。」
「じゃあ、食べた方がいいよ。俺も、このスフレチーズケーキって奴を注文するから。」
「・・・それも美味しそうだよね。」
「迷う〜!」って呻いている恵美子さんは放っておいて、卓上の呼び出しボタンを押す。
注文を取りに来たお姉さんに、クリームあんみつとチーズケーキ、それにそれぞれのドリンク
を頼んだ。
「はい、これ私のシフト表です。」個人情報の絡みがあるから、他のスタッフの名前のところ
は塗りつぶしてあるけど、気にしないでね。
そう言いながら手渡された紙には、一月十一日から二月十日までの一ヶ月間の勤務シフトが
記されていた。
恵美子さんのセクションは、十八人いて、セクションの看護師を束ねる師長が一人、副師長
が恵美子さんを含めて三人。恵美子さんの名前は上から三番目だった。
早日勤が、午前七時から午後四時まで。普通の日勤は午前八時四十五分から午後五時四十五分
まで。遅日勤は午後二時から午後十時まで。夜勤が午後八時から翌朝八時四十五分まで。
一応、勤務時間は決まっているけれど、人の命に関わる仕事なので、上がりの時間だからって
すぐに帰れる訳じゃないから、恵美子さんクラスになると、残業も結構な時間になるみたいだ。
「だから、私が腰をやっちゃった時には、ナースルームがパニックになったみたいです。」
よく見ると、一月十五日から二十一日の間は線が引かれていた。
今日が三十日だから、恵美子さんが腰を痛め、うちで過ごしてから、まだ二週間ちょっとしか
経っていない事に気づく。
「考えてみると、俺と恵美子さんがこんな風に話すようになって、まだ二週間なんですね。」
「そうなんですよね、私も、今日、帰りの電車のなかで、そのシフト表みて驚いちゃいました。」
「なんだか、もっと前から知ってるような気がするんですけど・・・。」
「あら、夏休み前の三者面談でもお会いしてたじゃない。」
「いや、そう言う意味じゃなくて・・・。」
「わかってますよ、まさかあの時、こんな風にお茶をご一緒するようになるなんて、想像も
出来ませんでしたもの・・・。」恵美子さんはそういって笑った。
「本当にね。」
ウェイトレスのお姉さんが、お待たせしましたと言いながら、注文した物をもってきた。
恵美子さんの前にはクリームあんみつとトロピカルティー。俺の前には、コーヒーとケーキが
並べられる。テーブルの隅に伝票が置かれて、お姉さんが立ち去るまでの間、テーブルを沈黙
が支配した。
04793222013/10/25(金) 08:01:34.74ID:YnDoRy/n
「そういえば、日曜日のお出かけ、車で鎌倉に行くんですって?」
アイスティーにガムシロップを加えて、ストローでかき混ぜながら、恵美子さんが思い出した
ように聞く。
「できれば電車で行きたいんだけど、芽衣はどうしても車がいいって言うんです。」
「ダメだって、キツく言ってみたらどう?」
「まあ、あの年頃の子って、ドライブとかに憧れるから、しょうがないかなって。」
「本当に甘いんだから。」恵美子さんは呆れたように言う。心なしか眉間に皺が寄っているよ
うな気が・・・。
なんて答えていいか判らなくて、俺はうつむいてしまう。
「沢辺さんは、芽衣に期待を持たせ過ぎです。このまま頑張れば、先ちゃんと付き合えるかも
なんて勘違いさせちゃいますよ。」
「いや、それは、さすがにないでしょ。何ていうか、芽衣は恋に恋してるようなものだろうし」
「あの子は本気ですよ。日曜の夜、私、宣戦布告されちゃいましたから。」
「宣戦布告!?」驚いて、大きな声をあげてしまう。
「そう。ハンバーグ食べてる時、芽衣は向かいの椅子でお茶飲んでたんだけど、いきなりママ
は先ちゃんのことをどう思っているのって聞いてきたの。」
「・・・・・。」
「いい友達になれそうな人だよって答えたんだけど、私は先生が好きだから、ママはライバル
だねって言われたの。」
「・・・・はあ。」思わず溜息が漏れてしまった。うちに来た帰り道で、ママは一番の敵だな
んて言っていたけど、まさか恵美子さんにもケンカを売っていたとは。
「まぁ、私も全力でかかってきなさいって言っちゃいましたけどね。」
あははは、と乾いた笑いのあと、恵美子さんは何だか慌てた様子で、あんみつの上に別添えの
黒蜜をかけた。
「俺と恵美子さんのタッグに勝てると思ってるのかな?」
ちょうど、アイスクリームをスプーンで口に運んだ恵美子さんは、スプーンを口にしたまま、
キョトンとした表情を浮かべた。
「そうね、それもかわいそうだから、芽衣には朱音ちゃんをパートナーでつけてあげようか
しら。」
「それだけは勘弁してくだせい。」
二人で顔を見合わせて笑っていると、恵美子さんの携帯に芽衣からのメールが届く。
そこには、「お腹すいた〜」と短く書かれていた。

仕事行ってきまーす。
04823222013/10/26(土) 23:00:39.20ID:KQ2BLwaK
ガソリン満タン。空気圧も大丈夫。ついでにエンジンオイルも変えてもらい、ラジエターの水も
継ぎ足してもらった。
鎌倉往復は軽く見積もっても100キロを超える。10年で7万キロ。あちらこちらにガタが来てい
るこの車。ちゃんと整備しておかないと、横浜横須賀道路あたりで、エンストでもしたら目も当
てられない。やっぱり、そろそろ乗り換えの時期なんだろうな。
満タン+オイル交換+洗車。財布の中の諭吉さんが飛んでいった。
「ありがとやした〜!」ガソリンスタンドの、朝から元気なお兄ちゃんに見送られて、アクセル
を踏み込んだ。

日曜日の朝。県道を行き交う車は、平日の半分くらい。毎日、学校に向かう通勤経路を、今日は
芽衣を迎えに行くために走っている。
朝八時に北浦和待ち合わせとなれば、準備やなんやで、俺の起床時間は必然的に早くなる。日曜
日だというのに、一時間早起きしなければならないなんて、理不尽な事だとため息。
原山の交差点で信号につかまり停まる。胸ポケットの携帯を取り出して、メールをチェックする
けど、自宅を出る前に、恵美子さんから届いたメール以降は、新着メールはなかった。

from 恵美子
おはようございます。
今日は風が冷たいですね。
芽衣のこと、よろしくお願いします。
わがまま言うようなら、放り出してやって下さい。

朝から何度も読み返したメール。今日は、恵美子さんは早日勤なので六時前には家を出たはず。
こちらからも、いってらっしゃいメールを送ったけど、もう職場に入ったあとなのか、返信はな
かった。
信号が青に変わる。隣に並んでいた原付を先に行かせて、ゆっくりと車をスタートさせた。

鎌倉に行くのは二年ぶりだろうか。校外学習の行く先として、鎌倉は定番中の定番。北鎌倉から
長谷のあたりまでは、何度も歩いたことがある。
校外学習が行われるのはたいてい春と秋。この時期の鎌倉はとにかく人が多い。
生徒達が決められた経路をちゃんと歩いているか、なにかトラブルを起こしていないか、チェッ
クしながら歩いているので、観光らしい観光はしたことがなかった。
個人的に歩いたのは、村上稜子とのドライブで鎌倉に来た時だけだった。
あの時は、彼女を、吉祥寺まで迎えに行き、環八で世田谷に出て、第三京浜で横浜に行ったの
だった。しかも紫陽花のシーズンだったので、北鎌倉は大渋滞。結局、途中でコインパーキング
に車を停めて、歩いて北鎌倉を散策したんだった。
蒸し暑くて、汗にべたつくシャツの感触。狭い歩道とを行き交う人の多さ。結局、まともに見学
もできなくて、帰りの車の中で、稜子と二人で、観光シーズンの鎌倉には二度と行かないって話
した事を今も覚えている。
あれから10年。まさか芽衣と出掛けることになるなんて思ってもみなかった。
04833222013/10/26(土) 23:26:52.28ID:xQBiPQwt
どういう訳か、自宅での書き込みが出来なくなりました。
また、規制食らってるみたいです。
0485名無しさん@ピンキー2013/11/01(金) 01:02:02.81ID:cFeEqpip
中近世あたりの貴族とか武士の結婚でまだ元服したての若い少年と
それよりちょっぴり年上の少女の初夜とかどうだろう

2つか3つしか離れてないのに自分よりも大人びた感じの花嫁にドキドキしながらも
自分からリードしていかないといけないみたいな
0486名無しさん@ピンキー2013/11/01(金) 01:06:21.13ID:k6E42PoX
>>485
書きたいなら止めないが
それだと年の差カップルというスレの趣旨には合わないんじゃね?
04873222013/11/01(金) 22:44:55.02ID:b2mHwY8P
書き込もうとすると

あなたダマされてますよ

と表示されてしまい、書き込み出来ません!

代行スレってあるんでしょうか?
0490名無しさん@ピンキー2013/11/16(土) 21:46:04.23ID:NcH7Jq+f
海府 利雪(かいふ としゆき)25歳 海上自衛隊特別警備隊第3陸戦隊 1等海曹

海府 深雪(かいふ みゆき)13歳 市立帝和中学1年

20XX年、大陸国家との『環日本海大戦』勃発。日本は再び戦争へと走り始めた。
海上自衛隊特別警備隊第3陸戦隊は佐渡ヶ島防衛の為に編制され、即日派遣される。
これは佐渡ヶ島出兵前夜のある自衛官とその従妹の物語である………
0491名無しさん@ピンキー2013/11/17(日) 10:13:22.03ID:/ZrGOl1c
>>459
いいなあ……大人ぶって我慢してたのにいきなり本気出してくるおっさんいい
その上の続きも気になるけど
0492名無しさん@ピンキー2013/11/21(木) 22:39:27.06ID:FWVSzuDw
ちょう亀だけど、100辺りの びっち幼女×筋肉オッサンに禿げた!

ありがとう、本当にありがとう
0495名無しさん@ピンキー2014/01/01(水) 16:05:21.33ID:0k9QeisZ
制服の王子様ってアプリやってるけど、良いなーこれ
女の子が適度に鈍くて可愛いし
おっさん達との距離感が好みでニヤニヤするわ
0496名無しさん@ピンキー2014/01/02(木) 21:51:51.91ID:KYeFnNr1
わたしも制服の王子様やってたww
医者のオジサマがツボだったな
またやろうかなぁ
0498名無しさん@ピンキー2014/01/10(金) 21:32:57.13ID:6o3XQ7EN
保守
0499名無しさん@ピンキー2014/01/18(土) 23:37:11.92ID:D/ry/Stp
待ち合わせの時間より少し早いが、少女は先に来て公園のベンチに座っていた。
「待たせて悪かったね」と言いながら、私は小走りで近づく。
少女−早川結衣子は、およそ一週間前に、お互いの奇行のために偶然出会い、
それ以降、密に連絡をとりあっている。
今日は8月18日、この一週間はいわばお盆休みの週だが、
大学生の私は故郷に帰る事も無く、下宿のアパートでごろごろしていた。

 彼女は私が近づいていっても姿勢を変えず、背筋を伸ばし座っている。
くしゃくしゃに丸めた深い青色のカーディガンを手に持ち、
太股のうえにのせている。
この七分袖のカーディガンと彼女がきている白のワンピースは、
以前私が買ってあげたものだ。
以前というのは、つい2日前の事・・・
それを条件に彼女とsexしたのだ。まだ、小学6年生の少女と・・・

 ノースリーブのワンピースを着た彼女には、
例えその趣味が無い人でも目が行くのではないか。
薄手の生地だから、正直なところ、
日の明かりで照らされると体のラインが見え、
そして、育ちざかりのちょこんと膨らんだ胸を、確実に認識できる。

 特に今の、背を反らせた姿勢からはっきりと分かる、その微妙な
膨らみの先のちょっとのでっぱりから、ブラジャーをしていないことが
想像でき(実際、してなかった)、それはこの前、
存分に口にふくみ、吸い、なめまわした乳首を思い出させ、
その時の彼女の体の匂い、熱い吐息の混じった甘い喘ぎ声が頭の中でよみが
えった。


続く?
05014992014/01/20(月) 23:25:56.86ID:YXGPbbsf
需要があるんだった書く。頑張る
0502名無しさん@ピンキー2014/01/29(水) 04:22:01.46ID:578GVgLw
「君はさぁ、俺のことばかにしてるだろ」
「……え、えっと」

 きょとり、とわざとらしく丸い瞳の視線をそらして少女は口元を引きつらせた。
 散々笑ってすり寄って撫でさすってきた手を掴み上げてシーツに押し付ければ、形勢逆転は一瞬だった。


 昼過ぎ、新しい服を買ってもらったのだ、と言って部屋にやってきた彼女は、けれど見覚えのあるワンピースを着ていた。
 ボーイッシュな服装の多い彼女が珍しく気に入ったそのワンピースは薄いライムグリーンで、彼女が飛び上がったり歩いたりするたびに
膝小僧より少し短い裾がひらりひらりと舞い上がる。
 何が新しいのか、とお茶を出しながら問いかけてみれば、にんまりと年齢不相応な笑顔がカップの縁から覗いた。
 しまった、と思ってももう遅い。一瞬のあくどい笑顔は掻き消えて、邪気なんて欠片もありませんよという満面の笑みで彼女は立ち上がる。

『パンツ!』

 ばっ、と持ち上げられるワンピースの裾。
 眩しいくらいに白いおなか。あまりの勢いのよさにまだ薄い胸さえ一瞬覗かせて、斯くして目の前に薄いピンクの下着が晒された。

『……』

 頭を抱えた。

『……パンツ』
『……』
『ぱーんーつー』
『……聞こえてるし分かってるから裾を下ろそうか』
『パンツー』
『分かったから下ろせってば! パンツパンツ言うな!』
『ちゃーんーとー見ーてーなーい。ほらほら、昨日おねーちゃんに買ってもらったんだ』
0503名無しさん@ピンキー2014/01/29(水) 04:23:03.57ID:578GVgLw
 慌てて目を逸らしたものの、白と淡い桃色のコントラストはきっちりと網膜に焼き付いていた。
 子供用にしては珍しい、ゆとりの少ないデザイン。見ていて不安になるくらいに細い太ももにひらりとかかる小さなリボン。
 顔見知りの「おねーちゃん」のいい笑顔が思い浮かぶ。確実に面白がってやがる。彼女は僕を鉄の男かなにかだと勘違いしている節が有るらしい。
 脳裏に浮かんだサムズアップを掻き消そうと眉を寄せていると、まだスカートの裾をたくし上げたままの少女がわざわざてくてく歩いて
僕の視界に入り込んだ。可愛いでしょ、と満面の笑顔で首をかしげて見せる。文句なしに可愛い。パンツも笑顔も。
 ただしその笑顔には裏があるのはしっかり知れている。

『……っ、下ろせって言ってるだろ!』
『あっ』

 その小さな手から奪い取るようにして裾を無理矢理に下ろすと、びくっと肩を上げた少女は下ろされた裾を眺め不満げに唇を尖らせてから
僕の顔を見上げた。不覚にも赤くなっているのだろうこちらを見て、瞬きが三回。にまーっと吊り上がった唇。
 その笑顔にぞわぞわと足の付け根が粟立つ。

『なんだよー、せっかく一番に見せようと思ってきたのに』
『見せなくていい!』
『何で?』
『何でって、……あのなぁ、女の子がそう簡単に人にパンツ見せたりしちゃ駄目だろ』

 今更なことを言っているのは重々承知だ。彼女だってそんなことが分かっていないほど常識の無い子供ではない。
 寧ろ頭は良い方の筈。第一印象こそボーイッシュで若干野放図なものだが、彼女は育ち自体悪くないのだ。
 それなのになぜ僕が釈迦に説法をするような注意をしなくてはならないのか。本人がそうやって注意をしてもらいたいからに決まっている。

『いーじゃんか。……それとも、可愛くなかった?』
0504名無しさん@ピンキー2014/01/29(水) 04:23:43.65ID:578GVgLw
 どんぐり眼が悲しげにこちらを見上げる。ぐ、と顎を引いた。
 その上目遣いも、きゅっとワンピースの裾を握る仕草も、全部全部分かってやってるのだ、この少女は。
 もっと他にコミュニケーションが有るだろう、と思う。もっと小さいときはこんなじゃなかった筈だろ、とも思う。
 でもそうやって見つめられて『……可愛かった』と言ってしまう僕にも責任はあるのかもしれない。
 それはちょっとした敗北宣言みたいなものだったのだが、ぱっと彼女の瞳が輝いて、今度は純粋に褒められたのが嬉しい様子ではにかんで見せる
お陰で毒気が抜かれてしまった。

『……可愛くっても、そうやって簡単に人に下着を見せたりしちゃいけません』
『……むー』
『むーじゃない。君は女の子なんだから』

 一つ真面目にお説教をしてやろうと座るように床を指さすと、ベッドに座る僕の隣にいそいそと登ってきて正座する。
 窓の外で烏が一声鳴いた。

『……』
『……』

 まぁ、座ったので良しということにしよう。向き直ってこちらも正座をすると、膝に両手を添えてぎゅっと腕を突っ張った彼女がこちらを見上げていた。
 不満げな顔。何で怒られそうなのか全然分からないという表情で、まるで挑むようにして僕を睨んでくる。
0505名無しさん@ピンキー2014/01/29(水) 04:24:36.08ID:578GVgLw
『じゃあさ、教えてよ。何で見せちゃダメなんだ?』
『……あのなぁ、言わなきゃわかんないか?』
『分かんない』
『……』
『わかんないよ』
『………………、君は可愛い女の子なんだから、その、色々と、あるだろ』
『色々って?』
『色々、は、色々』
『ぐたいてきに』
『……』

 負けじと睨んでいた筈の丸い瞳から、気が付けば視界は白いシーツの上をのろのろと這っていた。ねぇ、と僕のつむじに鈴の鳴るような声が降ってくる。
 不機嫌そうに尖っていた筈の声色は、そんな僕の様子に機嫌を持ち直したのかころころと楽しそうだ。

『ねぇ。何で?』

 白い手がこちらに伸びる。膝の上で握った僕の手の甲を撫でて、三度目の『ねぇ』は耳元すぐ近くで囁かれた。びくりと反応する僕を笑う気配がする。
 それが無性にいらだった。
 例えば、一回り近く小さな女の子にやり込められている情けなさだとか、すっかり自覚済みで僕を追い詰める子供離れした彼女の手管だとか。
すっかり慣れたと思っていても、眩しいくらいに白い太ももとまだ丸みを帯びたおなかと、淡い桃色の下着の色がまだ鮮烈に頭から離れない。
ぐるぐると下半身から正座をしたつま先まで、怒りなのか欲情なのか分からない感覚が飽和状態になっていた。

『ねぇってば』


『俺みたいなのに犯されるから』
0506名無しさん@ピンキー2014/01/29(水) 04:25:36.17ID:578GVgLw
 そうして冒頭に戻る。
 シーツに押し付けた手首は力を込めれば簡単にへし折れてしまいそうで、僕の手の中でとくとくと脈打っている。
 まるい瞳が瞬いて、あ、あ、と細い喉の奥から小さな小さな声が零れ落ちた。

「え……えっと」
「あのね、男の部屋に来て、そんな恰好をして、こんな風にベッドに座って、そんな風なことを言うと、犯されるんだ」
「あ、あう」
「分かっててやってたんだろ?」

 詰問するような僕の問いかけに、へら、とさっきまでの笑顔とは違う、混乱で顔がゆるんだだけのような表情で彼女は笑う。
 幼いが故に不測の事態に滅法弱い彼女は、僕に押し倒されたというそれだけで大きな瞳に薄い膜を張っていた。
 そんなちぐはぐな表情を見下ろしていると益々苛立ちが増す。要するに彼女は、僕が反撃に出るなんてひとかけらも考えていなかったのだ。
 さっきからかすかに手首を押し返そうとしてくる力を押さえつけ、もう片方の手も繋ぎ合わせるようにしてシーツに縫い付けた。散らばった髪が音を立て
何を否定したいのかゆるゆると首を振る仕草にほんの少しだけ嗜虐心が満たされる。

「謝って」
「へ、……え?」
「ごめんなさいって言ったら許してあげる。ごめんなさい、もうしません。やりすぎました。ほら、言いな」

 じくじくと熱を持ちだした下腹部から意識を逸らしてそう言った。
 はたはたと彼女の長い睫が靡く音がする。窓の外ではもう一回烏が鳴いた。夕暮れまではまだ時間があるだろう。
 きっと無理矢理に謝らせたら彼女は機嫌を損ねて帰ってしまうだろうから、あとから「おねーちゃん」にもう一度釘を刺しておかなくてはならない。
 ほんと、いい加減にさせないと食っちゃいますよ。それくらい言ったって許される気がした。
 平静を取り戻そうとそんなよそ事を考えていると、視界の隅で少女の小さな唇が震えるのが見える。
0507名無しさん@ピンキー2014/01/29(水) 04:26:25.51ID:578GVgLw
「や、」
「……や?」

「やだっ」

 彼女が吐きだしたのは強い否定の言葉だった。

「や、やだ、ぜったいあやまらない。あたしわるくない」
「……」
「わ、わるくないもん」
「……そう」

 ふつりと何かが途切れたような音が聞こえた。
 まだ震えている花びらのような唇を舐め上げる。彼女は「ひ、」と喉の奥でか細い悲鳴を上げた。

「じゃあ、犯すよ」
「……っ、ん、ん、んーっ」

 返事を待たずに舌をねじ込む。狭い口で必死で僕の舌を銜え、押し出すことも逃げる事も出来ない彼女の足がぱたぱたとベッドを叩く音がした。
 軽く片足で押さえつける。小さな手が一瞬強張って、ゆっくりと拳を握った。小さな歯列をなぞり薄い舌を追う。さっき出したお茶の味はすっかりしなく
なっていた。
 たっぷり口内を嬲った後に口を離すと、酸欠でかそれ以外でか、顔を真っ赤に上気させた彼女が「ぷぁ」と赤ん坊のような声を上げる。

「……っ、どう、反省した?」

 こめかみに一筋涙の痕を残してゆらゆらと視線を漂わせていた彼女が、僕の声で焦点を合わせ直した。浅く開き息づいていた口が閉じられ、んぐ、と僕が
奪い取って行った後に残った唾液を白い喉が飲み下す。
0508名無しさん@ピンキー2014/01/29(水) 04:28:09.27ID:578GVgLw
「し、し、しないっ」
「……」
「あ、あた、あたし、わるくないもん。ぜったい、悪くない」

 涙でぐずぐずに緩んだ瞳で、それでもこちらを睨みつける。
 もう僕は何も言わなかった。
 ただ両手で押さえつけていた彼女の手を一つにまとめ、余らせた右手でワンピースの裾をまくりあげる。びくりと白いおなかが波打った。
 見せびらかしていた下着も、やっと膨らみかけたかそうでないかというような薄い胸も一気に視界に収める。僕の膝の下の足が細い太ももをすり合わせ
ようとしたようだったけれど、彼女の細い脚は下着のクロッチを隠すことも出来ずにもぞもぞと動くだけだった。
 まくり上げた裾を少女の顎のしたに置いて、まだ傾きだしたばかりの日の光に晒されている桜色のそれに軽く手を掛ける。少々乱暴に摘み上げるように
すれば、彼女の口から噛み殺した悲鳴が上がった。

「いっ、……」
「……」
「う、う、うう、うー」

 それから手のひら全体で揉み込むようにして押しつぶす。
 ちらりと少女の表情を伺えば、眉根を寄せて歯を食いしばり、




ここまで
睡魔の幼女がすげぇ俺の事を誘ってくるからちょっとベッドで懲らしめてくる
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