予想外だったな、と愛する孫娘を茶化す父の姿を見て冥理は涙ぐんでいた。
真九郎も引き取ってきた時に比べれば、随分成長したなと懐かしく思える。
生きる意味も無く、ただ死にたくないからという理由で生きながらえていた
あの少年が崩月の家を出た途端、途方もない大事に巻き込まれながらも、
なんとか切り抜け、己の人生に生きる意味を見いだしたというのが、冥理と
法泉にとっては本当の我が子のように嬉しく思えた。
「真九郎君。夕乃。本当におめでとう。祝福するわ」
だから、二人が幸せになれるなら私達親は結婚を認めよう。
それが冥理と法泉の親としての答えだった。
「真九郎。夕乃との結婚は俺も冥理も反対はしねぇよ」
「好き合った女と男同士、末永く幸せになればいい」
法泉はそう言い残し、客間から立ち去っていった。