(一つだけ、あった)
脳裏に浮かぶ、世界の裏を牛耳るどす黒いまでに大きなあの組織。
不幸なことに自分はそこに務める悪党どもを知ってしまっている。
「まさか、真九郎...アンタ、悪宇商会と手を...」
「組んでないって。はぁ...誤解を招いて悪かったよ」
「奥さんが浮気している現場に依頼人を連れて行く」
「それが今回引き受けた俺の仕事だよ」
「後は、奥さんや間男が逃げないように見張るのも仕事に入ってたっけ」
「尾行と証拠写真と実働と時給を全部合わせたら結構な額になったんだよ」
「そ、そう...」
釈然としない心を無理矢理納得させた銀子は真九郎が抱えていた
借金を一応、清算したのだった。