「なんでよ!!アンタあれだけ暴力が嫌いだったじゃない!!」

「揉め事処理屋を辞めるなら一緒にラーメン屋やっていこうって...」

「それなのに!どうして!!」

「どうして...私のこと、待ってくれなかったのよ...」

「銀子は、何も悪くないんだ。悪いのは全部俺だよ」 

「意味わかんないわよ!」

「大体何度も言ったようにアンタに揉め事処理屋なんて向いてないのよ!」
 
「アンタもう一杯辛い思いしたじゃない!」

「何度も危険な目に遭って、その度に死にかけて私がッ...」

「私とッ...一緒に日の当たる世界で、一緒にラーメン屋をやってこうって」

「銀子...」

 喚き、錯乱する幼馴染と距離を取り、指一本触れようとしない真九郎。

 銀子は気が付いていないが、恐るべきは真九郎の冷静さである。

 一時期は家族、兄妹同然に育った仲の幼馴染の嘆きに対して悲痛な

表情を浮かべるどころか、眉一つ動かさないまでの冷淡さは、普段の

優柔不断な真九郎を知る人物の目から見れば大事に値する。