「気持ちいいですか?」
 肉の丸みをリズミカルにはずませ、ミクさんが見上げてくる。
「……よ、よすぎて、こ、これじゃ」
 僕の声は震え、切迫している。
 指でしごかれて、舌で舐められて、その時点で出していてもおかしくなかっ
た。加えて豊かな双乳でパイズリまでしてもらって、出さないほうがおかしい。
射精欲が黒い炎となってめらめらと燃えさかっている。
 ペニスだけでなく肉体全体が、肉体だけでなく精神もきちきちに張り詰め、
迸ろうとしている。固さに熱、勢いが際限なくチャージされ、圧縮されている。
こんなにも狂おしく、高まったのは初めて。
 出したい、出したい、出さなければ収まらない。出す、出す、出すうううぅ。
「はい」
 小さな声が響き、すうっと温かな肌が去っていった。
「……え?」
 気づくと、ミクさんの制服が元に戻っている。僕のモノはぎんぎんに勃起し
たままトランクスに収められて、ズボンのジッパーも上がった。
 な、なんで!? いったいどういうことだ!?
 窮屈で、困る。いやそんなことじゃない。気持ちよく出したかったのになん
で放置する? 燃えさかるペニスは、僕の気持ちは、どうなるんだ?
「こ、これ、このままじゃ」
 怒りも燃えてきた僕の訴えに返ってくるのは、
「勝つんです」優しいだけでなく強くも聞こえる声。
「勝てば、遂げられます」
 ミクさんの声に包まれ、きらめく瞳に吸いこまれる。怒りの矛先が変わる。
 そうだ。対戦に勝てばいい。僕は……俺は勝負に勝つ。勝って、ふくれあが
ったこの欲望を解放する。したたかにぶちまけて、牝を牡に染める。
「応援してますよ」
 手を振るミクに送りだされる俺は肩をいからせ、にやついていた。勝利に一
番必要なものを授かって、負けるはずがない。負ける気が全くしない。
 対戦の場はすぐそこだ。今なお熱り立っている股間が、早くしろと言わんば
かりにビクンと跳ねあがった。

(終)